帰ってきたらD×Dだった件   作:はんたー

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朱乃さんとデートです

 イッセーside

 

 

 

 

 

 次の日。休日。

 俺は待ち合わせ場所であるコンビニの前にいた。

 一応、一緒に暮らしてるんだけど、準備に時間がかかるのと、雰囲気を出したいため、現地集合にしたらしい。

 しかし、いざデートとなると、やっぱり緊張するな。ミッテルトとのデートとはまるで違うし、チョードキドキしてきた! 

 ちなみに服はミッテルトのコーディネートだ。他者とのデートなのに、ミッテルトが色々とアドバイスしてくれた? だけど、そのお陰で結構いい感じに仕上がったと思う。

 待ち合わせ時間の午前十時になろうとした時、フリル付きの可愛らしいワンピースを着た朱乃さんが現れた。

 

「あ、朱乃さん……?」

 

「ごめんなさい、待たせちゃったかしら?」

 

「い、いえ……」

 

 俺は目をパチクリさせながら、胸を高鳴らせていた。

 朱乃さんは髪をおろして、年相応の女の子が着るようなかわいい服を着ていた! ブーツを履いた朱乃さん、初めて見たし! 

 てか、いつものようなお姉さま的な年上の女性が着てそうな落ち着いた服装を着てくるものだと思ってた。勝手なイメージだけど、そう思ってたんだ。

 実際、朱乃さんが部長と一緒に出掛けるときの私服もそんな感じだったしさ! 

 ところが! 今日の朱乃さんが着ている服は可愛い女子高生の服装といった感じのもの! 

 正直、俺と同学年か、年下に見えてもおかしくないほどだ! 

 いつもの朱乃さんは綺麗って感じだけど、今日は可愛く見える! 

 俺が朱乃さんの可愛さに見惚れていると、朱乃さんは不安そうに尋ねてくる。

 

「そ、そんなに見られると恥ずかしいわ。……今日の私、変?」

 

「すっごく可愛いです! 最高です!」

 

 不安げな朱乃さんの言葉に俺は首を大きく横に振る。

 俺の言葉を聞いて、朱乃さんは恥ずかしそうにしながらも嬉しそうだった! 

 普段はあらあらうふふなお姉さまなのに、今日の朱乃さんは乙女すぎる! 

 ギャップがあって最高です! 

 

「今日イッセー君は一日私の彼氏ですわ。……イッセー、って呼んでもいい?」

 

 朱乃さんは恥ずかしそうに上目づかいでそんなことを訪ねてきた! 

 可愛すぎる! その可愛さは卑怯でしょう! 

 

「ど、どうぞ」

 

 俺も思いもよらない状況にドキドキしてしまい、そんなふうに答えることしかできなかった。

 朱乃さんもそれを聞いて顔をぱぁっと明るくさせた。

 

「やったぁ。ありがとう、イッセー」

 

 悦びに満ち満ちたその表情はとても可愛らしいものだった! 

 ヤバい! 表情一つが殺人級の破壊力だ! 

 俺は気を紛らわすため、少し周りを見渡すことにした。

 ────すると、俺の視界に紅髪が映った。

 

「ん?」

 

 既視感を感じてよく見れば、少し離れた電柱の陰に紅髪の女性がサングラスと帽子を被って、こちらをうかがっている。……あ、メガネをかけた金髪の方は涙目っぽい。それとレスラーの覆面から猫耳を出している小柄な少女。紙袋を被った怪しい奴! そして、マスクとサングラスが変質者感を出している黒髪の着物! その横で普段の格好の木場とミッテルトがこちらへ手で謝っていた。

 ……うん、部長と部員達だよね。あなた達、何やってんですか!? 変装して付いてきちゃったの!? 

 木場とミッテルト以外はどう見ても不審者なんですけど!? 

 ……も、もしかして、俺と朱乃さんのデートの盗み見するとかそんな感じ? 

 

『その通りっすよ』

 

 うおっ!? びっくりした! 

 ミッテルトが思念伝達で俺に語りかけてきやがる! 

 

『悪いっすね。部長達がどうしてもって言うんで……まあ、うちとしても、監視はしとこうと思ってたんすけど……』

 

 ど、どういうことだよ? 

 

『うちはデートは許可したっすけど、それ以上のことは許可してないっすからね。くれぐれも注意するっすよ……』

 

 は、はい。

 ミッテルトの言葉にはかなりの圧が感じられる。

 ここは逆らわない方が良さそうだ────そう考えていると、朱乃さんの方も皆にも気付いたみたいだ。

 

「あらあら、浮気調査にしては人数多すぎね」

 

 朱乃さんは部長達を見ながら小さく笑んでいた。

 そして、見せつけるかのように俺に身を寄せて腕を組んできた! 

 あー、朱乃さんの髪から良い香りがする。しかも、豊満な胸が腕に当たってる……。

 ああ、たまらん。

 

 バキッ

 

 鈍い音が後方からする。

 恐る恐る振り返ると────怒りに震えている様子の部長が電柱にヒビを入れていた! 

 ……怖い。

 しかも、どっかで既視感あるし……ああ、リムルが誰かといるときに隠れて見てるシオンさんだ。

 まあ、取り敢えず見なかったことにしよう。

 

「……取り敢えず、行きましょうか」

 

「ええ」

 

 こうして、俺と朱乃さんは街へと繰り出すのだった。

 

 

 

 

 ****************************

 

 

 

 

 

 デートを始めて結構な時間が経った。

 その間、朱乃さんは終始年頃の女の子という感じだった。

 口調からも、いつもの「あらあら」「うふふ」が完全に消え去っているし……。

 

「美味しいわね。イッセー」

 

「はい。そうですね」

 

 朱乃さんはクレープを食べながら、俺と手を繋いでいる。

 繋ぎ方からも、俺を頼ってくれてる感じが伝わってきて、終始キュンとしてしまう! 

 ヤバイ! この人、とんでもなく可愛い! 

 普段の高貴な印象を見せる和風美人としての朱乃さんではなく、年頃の女の子といった感じの朱乃さんだ。

 こんな朱乃さんを見るのは初めてだ……。案外、こっちが素なのかもしれないな……。

 いつもの朱乃さんも十二分に男を魅了する素敵な女性だ! 

 でも、普段のお姉様な朱乃さんを知ってるからこそ、ギャップによる可愛らしさが凄まじすぎるぅぅ!! 

 

「イッセー、次はどこ行くの?」

 

「……あ、そうですね」

 

 危ない危ない! 

 余りの可愛さに意識がどっか行ってた……。

 今はデートを楽しまないと……。

 ……ん? あれは……

 

「あそこの水族館行きませんか? なんか、新オープンって書いてあるし……」

 

「うん」

 

 俺の言葉に朱乃さんは最高に可愛らしい笑顔で答える。

 駄目だ! 脳味噌が撃沈する! 可愛すぎるよ朱乃さん! 

 

 

 

 

 ****************************

 

 

 

 

 

「深海魚って変な顔の子が多いのね」

 

「でも、可愛らしくもありますね」

 

 水族館から出たばかりの朱乃さんは楽しそうに言った。

 久しぶりに町の水族館に来たけど、雰囲気があって良かったなぁ。

 “魔国”の水族館だと迫力はあるけど癒やしと呼ぶと何か違う気がするし……。

 まあ、あそこもあそこでいい所ではあるんだけどな。

 見ると朱乃さんも大満足しているようだった。

 ……それはさておき。

 

「········」

 

 いるな……。何やら凄まじいプレッシャーを放っている。

 先程から紅髪の追跡者様御一行がずっと追ってきてるんだよな……。

 ミッテルトはまだ許容してるらしいけど、紅髪の王様が特にヤバイ! もしかしたら、デート後に殺されてしまうのではないかと思うほどに……。

 朱乃さんも紅髪のご一行様を確認した。

 すると、何やら可愛いイタズラ笑顔を作り、俺の手を引っ張って走り出した! 

 おおっ! 何事ですか!? 

 振り向き様、朱乃さんは楽しそうに言った。

 

「リアスたちを撒いちゃいましょう!」

 

 なんと! そうきましたか! 

 逆らえるわけもなく、朱乃さんに引かれるがまま、俺も一緒に走り出す。

 

「あ! 待ちなさい!」

 

 部長達も俺達が逃げると知って、急いで駆け出したぞ! 

 しかも、“気闘法”で闘気を纏い、“瞬動法”の要領で駆けているからかなり速い! 

 だが、それは朱乃さんも同じだ! 

 この辺りはあまり来ないはずなのに、朱乃さんは迷うことなく街中を右に曲がり、左に曲がり、部長達を撒こうとしている! 

 数分走ったところで小路に入り、気配と魔力を遮断し、身を潜める。

 物陰から部長達が通り過ぎていくのを確認────ミッテルトは途中で目があったので気づいてるっぽいけど────した後、俺と朱乃さんは道路へ出ていく。

 

「うふふ、リアスを撒けたみたい」

 

「ミッテルトには気付かれてましたけどね」

 

 それにしても以外だ。あのミッテルトがデートを許したのもそうだし、俺達をこうして見逃すだなんて……。

 そんな事を考えていると、朱乃さんはクスクスと笑いだした。

 

「うふふ。実は、今日の服はミッテルトちゃんにオススメしてもらったのよ」

 

「そうなんですか!?」

 

「ええ。ミッテルトちゃんも正妻の座を渡すつもりはないけど、筋さえ通すならば問題ないってよく言ってますし、なんやかんやで私のことも認めてくれているのよ」

 

「········」

 

 ミッテルトは俺の夢────ハーレムを知った上で俺に付き合ってくれている。だから、俺がこうして他の女の子とデートをする時も、嫌な顔こそするけど、なんやかんやで認めてくれた。

 普通、ないだろ、そんなこと許す恋人なんて……。

 本当、俺には色々と勿体ない彼女だよな……。

 

「……ところでここはどの辺り……だ……?」

 

 俺はあたりを見渡して、現在地を確認する。

 ……すると、俺の視界には「休憩○円」「宿泊○円」の文字が書かれた看板があちらこちらにとびこんできた……。

 ……ここ、ラブホテルばっかりだぁぁぁぁぁぁっ!!!!! 

 こ、コレは大変なところに来てしまったぞ!? 

 ヤバイ! これは流石にマズすぎる! こんなところに来たなんてバレたら流石にミッテルトに殺される! 

 

「あ、朱乃さん! 流石にマズイから早く他のところに行こう!」

 

 早足に俺はその場を去ろうと朱乃さんの手を引くと、朱乃さんは立ち止まり、俺の服の端を摘んだ。

 

「あ、朱乃さん? は、早く……」

 

 振り返ると、朱乃さんは何やら緊張した様子で顔を最大限に真っ赤にしていた。朱乃さんはそのままモジモジしながら呟く。

 

「……いいよ」

 

「へ?」

 

 朱乃さんが何を言っているのか分からず、俺は聞き返してしまった。

 いいよって……え? どゆこと? 

 言葉の意味が分からず、フリーズする俺に、朱乃さんは意を決したように、真正面から潤んだ瞳で言った。

 

「……イッセーが入りたいなら、私、いいよ……。……だいじょうぶだから」

 

 ・・・・・・・。

 マ、マジかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああっ!? 

 え!? ほ、本当に!? マジで!? 良いんですか!? 

 い、いや待て! 落ち着け! 冷静になれ! 

 ま、まあ、朱乃さんだって疲れてるだろうし、休憩したくなることもあるだろう! 

 きっとそういう意味なんだろう……。

 

「……ううん、そういう意味じゃなくて……イッセーとなら、いいよ……」

 

「あ、朱乃さん……」

 

 そう言う朱乃さんはいつもの余裕ある表情ではなかった。

 おおお!? 朱乃さん! その反応、初々しいすぎるよ! 

 こ、これはもう行くしかないんじゃないのか!? 

 い、いやでも、ミッテルトにもデート以上のことは駄目って言われたし……いや、でも、さっきは見逃してくれたし……う〜ん、どうすれば!? 

 やるか、やらないか! 落ち着け俺! 冷静に考えろ! 

 思考加速をMAXにし、最大の決断を迫られる俺。すると、横から覚えのある気配の主が近づいてきた。

 

「まったく、昼間っから女を抱こうとは……中々やるのぅ、赤龍帝の小僧」

 

 聞き覚えのある声にふりむくと、そこには帽子を被ったラフな格好の爺さんがいた。

 背後にはガタイの良い男とパンツスーツを着た真面目そうなお姉さん。  

 見覚えがある────というか、あの爺さんとは何度か話したこともある! 繁華街とかにいる派手な服装の老人という感じだが、間違いない! 

 

「オーディンの爺さん!?」

 

 そう、現れたのは北欧の主神オーディンさんだ! 

 

「ほっほっほっ、久しいの赤龍帝の小僧。北の国からはるばる来たぞい」

 

「……いや、それはいいんですけど……何でここに?」

 

 別に日本に来てるのは問題ない。駒王町は今や三大勢力にとっても重要な場所だ。会談や打ち合わせの場所に選ばれても何ら問題はない。

 だが、ここはラブホテルばっかりのちょっとアレな場所だぞ! 何で来てるのこの人!? 

 

「オーディンさま! こ、このような場所をうろうろとされては困ります! か、神様なのですから、キチンとなさってください!」

 

 ほんとそれ。

 俺の思ったことを代弁するかのように、お姉さんが爺さんを叱りつける。

 この人は確か……鎧着てた側近のお姉さんだ。美人さんだけど、どこか苦労人の気配が漂っていたから覚えている。

 そんなお姉さんの言葉にオーディンさんは笑いながら答える。

 

「よいではないか、ロスヴァイセ。お主、勇者をもてなすヴァルキリーなんじゃから、こういう風景もよく見て覚えるんじゃな」

 

「どうせ、私は色気のないヴァルキリーですよ。あなたたちもお昼からこんなところにいちゃだめよ。ハイスクールの生徒でしょ? お家に戻って勉強しなさい勉強」

 

 なんだか爺さんだけでなく俺達まで叱られてしまった。

 でも、確かにおっしゃる通りで……何か、先生みたいだなこの人。

 はぁ……。すっかり朱乃さんとラブホテルに入るか決める雰囲気じゃなくなっちゃったな。

 無念っ! 

 仕方がないし、帰るか……そう想いながら、横を見ると朱乃が爺さんの付添らしいガタイの良い男性に詰め寄られていた。

 

「……あ、あなたは」

 

 朱乃さんは目を見開いて、驚いている。知り合い? 

 

「朱乃、これはどういうことだ?」

 

 男の方はキレ気味だ。声音に怒気が含まれている。

 す、すごい迫力だな。気配からするに堕天使か? 

 ……というか、この“妖気(オーラ)”の感じ、朱乃さんにそっくりだ……。……もしかしてこの人……!? 

 

「か、関係ないでしょ! そ、それよりもどうしてあなたがここにいるのよ!」

 

 朱乃さんは目つきを鋭くして、にらみ付けていた。

 そこには先ほどの乙女モードの雰囲気は微塵もない。

 

「それはいまはどうでもいい! とにかく、ここを離れろ。おまえにはまだ早い」

 

 朱乃の腕を掴み、強引に何処かへ連れて行こうとする! 

 

「いや! 離して!」

 

「お、落ち着いてください!」

 

 俺は二人の間に割って入り、堕天使の男性を制す。

 

「むっ! 何だ君は!」

 

 堕天使の男性は鋭い瞳で俺を射抜く。流石に凄い迫力だけど、朱乃さんの気持ちを考えると、ここは穏便に済ませた方がいい。

 

「俺、朱乃さんの後輩の兵藤一誠っていいます。今回、ここにいたのは……えっと、ちょっとした手違いで、少なくともそう云うことをするために来たってわけじゃないんで、とにかく落ち着いてください! 取り敢えず、今は朱乃さんも動揺してるし、俺も謝ります。申し訳ありませんでした────バラキエルさん」

 

 男────バラキエルさんはそれを聞いてひとまず朱乃さんを開放する。

 だが、その視線はずっと俺に向けられていた。

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