セラside
「はあ!!」
私は眼の前の敵に向かって“波動砲”を幾重にも放つ。
でも、お姉ちゃんと同じ悪魔らしい女の人は、水を操ってそれを簡単に防いでみせた。
「ギシシシシ! シ、シネ!」
「ぐっ!?」
後ろからトーカお姉ちゃんの苦しそうな声が聞こえてくる。トーカお姉ちゃんはもうボロボロなのに、お父さんとお母さんを守るために戦っているの。
「“
その時、私とよく似た身体をした男の人が、背中から生えているケーブルみたいなのを私達に向ける。ケーブルからは、凄い電圧の雷が放たれ、雨のように辺り一帯に降り注いだ!
ドゴゴゴゴォォォンッ!
「きゃあ!?」
「ぐはっ!?」
「うわぁぁっ!」
辺りに降り注いだ雷は、黒い煙を出しながら、轟音を響かせる。その破壊力に、トーカお姉ちゃんは膝をついてしまう。
「トーカお姉ちゃん!」
「だ、大丈夫。二人は無事よ」
トーカお姉ちゃんの後ろには、気を失って倒れたお父さんとお母さんがいる。
どうやら、トーカお姉ちゃんが雷を誘導してくれたみたいで、二人に怪我はないみたいなの。
(でも、このままじゃあ……)
私は上空にいる男の人を睨みつける。雷を出した男の人は私達の前にゆっくりと降下してきた。
「目をお覚ましください! 貴方様はこのような者といるべきではないのです!」
……どうやら、この人は私のことを知ってるみたいなの。もしかしたら、記憶を失う前の私と関係があるのかもしれない。
私が思考を巡らせていると、悪魔の女の人がゆっくりと近づき、私に語りかけてきた。
「……セラセルベス。いえ、セラだったか。大人しく投降しろ。そしたら、少なくとも後ろの三人の身柄は保証しよう」
「なに? 正気か?」
「オイ、ナニ、イッテル! オレ! コイツラト、ア、アソビ、タイ!」
先程までトーカお姉ちゃんと戦っていた蟲の人が声を出し、私は思わず後ずさる。動悸が止まらないの。
コイツのせいで、さっきから思うように戦えない。トラウマのように絡みつく恐怖が、私の身体を支配しようとしてくるの。
「賢い貴様ならわかるだろう? このままやってもお前たちの勝利はゼロに等しいと。今、投降すればそれでよし。……だが、投降しないというのであれば────」
「……え?」
瞬間、凄まじい量の水が、私達に覆いかぶさり、一瞬の内にトーカお姉ちゃん達を拘束した!
「なっ!?」
それを見て、私は瞠目する。トーカお姉ちゃんも私も油断なんてしてなかった! 一瞬のうちに、あの悪魔の女の人はトーカお姉ちゃん達を捕まえてしまったの!
この人、もしかしたら、イッセーお兄ちゃんや黒歌お姉ちゃんにも匹敵するかもしれない……。
「さあ、選べ。投降するか、コイツラを殺すか……好きな方をな……」
女の人の言葉は有無を言わさぬといった風だ。選択肢のない私は拳を握りしめ、唇を噛んだ。
私が悩んでいる隙きに、女の人は徐々に私に近づいていき────
****************************
イッセーside
「────っ、セラ!?」
機械の男が抱えているボロボロのセラを見て、俺は目を見開く。
俺の叫びを聞きながら、機械の男は嫌悪感を隠さない視線で俺を睨みつけていた。
「……セラ? 無礼な。この御方はそのような名で呼んでいい御方ではない」
機械の男は心底不愉快そうに言う。コイツ、セラと似た
「我が名は“ディオ・ガーチュ”。メルヴァゾア様に仕える“羅睺七曜”が一人。“
メルヴァゾア? 聞いたことがない存在だ。部長もオーディンの爺さんも心当たりはなさそうに見える。察するに、この世界とも基軸世界とも違う異世界の存在か?
「その通りさ。コイツはこの世界とも、基軸世界とも違う、別の世界からやってきた機械生命体。無機と有機が争う神話の神の一角さ」
「……その異世界の神が何でセラを」
「なんでも何も、この御方は元々こちら側の存在だからだ」
ディオ・ガーチュとやらは気を失っているセラを抱えながら、言う。
「この御方の真名は“セラセルベス”様。我等が主神の妹神であり、魔神と恐れられた御方だ。崩御なされたと思われていたが……まさか、記憶を失い、こんな辺境の惑星に辿り着いていたとは……」
はっ!? セラが魔神!? コイツの主の妹神だって? ……いや、確かに考えてみれば腑に落ちる。セラは時折邪悪な力を発揮する。その最たる例がシャルバの時に見せた暴走だ。今思えばあれは魔神の片鱗だったってことか……。
「……それにしても、魔神にしては随分あっけなかったな。人間二人を守るためとはいえ、ああもあっさり捕まるとはね……」
「キシシシシ、コイツ、タイシタコト……ナカッタ……」
「……その声!? 貴女は……」
もう一人の悪魔らしき女と蟲魔人の男は嘲るように言う。悪魔の女の声にセラフォルーさんは聞き覚えがあるらしく、目を見開き、驚いたような表情となる。
「……久しぶりだな。セラフォルー・シトリー……いえ、今はレヴィアタンだったわね。直系の私を差し置いて……ね……」
女はフードを取る。その容姿は以前、先生が倒した旧魔王、カテレアに何処となく似た印象を覚えるものだった。
「おいおい、まじかよ? コイツは……」
「……お前は、ツファーメ・テレアク・レヴィアタン!」
アザゼル先生とバラキエルさんの言葉に部長は目を見開く。レヴィアタンってことは、旧魔王の血族か?
「セラフォルー様。あの人は……」
「……あの人はツファーメ・テレアク・レヴィアタン……先代魔王レヴィアタンの娘だよ」
セラフォルーさんの言葉に合点がいく。なるほど、旧魔王の娘というのなら、カテレアに似た感じがするのも納得だ。彼女は長い髪をかきあげ、セラフォルーさんを見据える。
「……まさか、生きていただなんてね。アジュカ君に滅ぼされたとばかり思ってたんだけど……」
「……ああ。あのままなら、確かに滅ぼされていたかもしれない……。だが、直前にメロウ殿に救われたのさ。お陰で、以前に増して力を得ることもできた」
そう言いながら、ツファーメは水のオーラを身に纏う。成程、相当の使い手だな。恐らく、三人の中で最強はコイツだ。ロキはおろか、フェンリルよりも厄介そうなオーラを纏ってやがる。
……だが、俺にとって重要なのはそこではない。コイツ、今なんて言った? 人間二人を守るため……? そもそもセラは家で父さんや母さんと一緒にいたはずだ。それなのに、コイツラに攫われたってことは……っ!
「……てめえ、父さんと母さんに何をした……っ?」
俺は殺気を放ちながら、ツファーメ達を睨みつける。それを見たツファーメは怪訝そうにしながらも、何かに納得し、質問に答える。
「ああ。そういえば貴様の肉親だったのだな、赤龍帝。安心しろ。見られた以上、最初は私も殺すつもりだったが、この魔神のガキが抵抗してきてな。長引いても面倒だったから、二人を殺さない代わりに付いてくることを約束させたのだ……。今頃は私の手下共に囲まれてるだろうが……死んではないだろう」
死んではない……つまり、それ以外のことはわかってないってことだ。クソッ! 巫山戯やがって! 父さんや母さんを巻き込むんじゃねえよ!
「……それで、貴女の目的は? 他の旧魔王のように私達を殺しに来たってこと?」
セラフォルーさんはツファーメが何を目的に来たのか測りかねているらしく、問いただす。だが、意外にもツファーメは気怠そうにセラフォルーさんを見つめるだけだった。
「いや? 確かに昔は私達から魔王の座を奪った敵だが……今となってはお前達のことも別に恨んでもない。……まあ、ここで新旧レヴィアタン対決をするのも面白そうではあるが……」
それを聞いたセラフォルーさんは魔力を高め、臨戦態勢に入る。その眼は一切の油断を捨て去ってるのが見て取れる。
それを見たラーヌは興味なさげに言う。
「マスターからの命令です。兵藤一誠を生け捕りにしろ────とね。それ以外は……別に殺してもいいらしいわ」
「フフフ、ならば私は今、この場でオーディンを始末させてもらおう。奴を殺せば会談も流れ、黄昏を行えるからな!」
「なら、私は今度こそ黒猫を貰おう。眼の前で妹を救えないという現実を見せつけ、ルミナスなんぞに組みした愚かを骨の髄まで味あわせてやろう」
「キシシシシ、俺、キリサク……」
「そんな……事……させるかよ……」
俺は足に力を入れ、立ち上がり、拳を構える。巫山戯るな。皆を殺されてたまるかよ!
「ガハッ!?」
瞬間、俺は吐血し、ダメージに思わず突っ伏してしまう。クッ、ダメージがまだ抜けないのかよ!
「……折角和平交渉が成立したんだ。そんなことさせるかよ!
先生は“
「悪いが、貴様らでは相手にならん」
バチバチバチッ!
「なっ! ぐはっ!?」
ディオ・ガーチュとやらはワームのように蠢くケーブルでアザゼル先生を攻撃する。アザゼル先生はなんとかそれを引きちぎろうとするが、発せられた高圧電流により、ダメージを負う。
「私に電気は効かんぞ!」
雷光を纏ったバラキエルさんはディオ・ガーチュの電流など気にも止めず、徒手空拳による攻撃を放つ。
「……ふむ。電気は効かんか。ならば、力で捻じ伏せるとしよう」
「なっ!?」
ズドンッ!
奴はケーブルを纏め、巨大な鎚を作り出し、バラキエルさんに向かって放つ。バラキエルさんはなんとか受け止めるが、先程の朱璃さんと子フェンリルとの戦いによるダメージが抜けておらず、吹き飛ばされてしまう。
「魔法少女を舐めないでよね☆“
セラフォルーさんは濃密な氷の魔力が込められた光をディオ・ガーチュに放つ。それを奴は背から生えたケーブルで阻止するが、光の当たった端から徐々に凍りついていく。
「ほう?」
「余所見してんじゃねえぞ」
アザゼル先生はディオ・ガーチュに拳を放つ! ディオ・ガ―チュはそれを電流ケーブルで阻止しようとするが、氷に阻まれ、電流を流すことができないでいる! あの氷は最初から電流を防ぐために放ったのだろう!
ドゴォォン!
「グッ!」
“
「────グングニル!」
ブゥゥゥゥゥン!!
そこへオーディンの爺さんが槍による攻撃を放つ! 槍から放出される極大のオーラはそのままディオ・ガーチュを貫かん勢いで突き進むが…………
ガキィィィンッ!
槍はロキの手によって容易く防がれる。ロキは鎧をその身に纏い、オーディンの爺さんの攻撃を相殺しやがった!
「フハハハ! 今の我にはもはやグングニルすら通用せん! 終わりのときだオーディンよ!」
「ふん、先程まで赤龍帝にボコボコにされてボロ雑巾になってた若造が言いよるわぃ」
オーディンの爺さんは槍と魔術を駆使し、鎧を纏ったロキに対抗する。対してロキは新たに量産型のミドガルズオルムを多数呼び出し、オーディンの爺さんと渡り合っている。オーディンの爺さんも多勢に無勢。中々に苦しい表情をしているようだ。
「陽光!」
天照さんが陽の光を模したエネルギーを放つ! ディオ・ガーチュとロキはそれを容易く防ぎ、逆に天照さんにカウンターを仕掛ける。天照さんはそれを勾玉で迎撃するも、余裕はなさそうに見える。
「死ネ!」
「っ!? ────くっ!」
そこにカマキリの“蟲魔人”が羽を羽ばたかせ、鋭い鎌で天照さんを斬り裂かんとする。恐らく“神話級”────フェンリルの爪にも匹敵するであろう鎌を何とか躱しながら、天照さんは勾玉の光線を放った。
カァァァァァッ!!
だが、通用した様子はない。“蟲魔人”は総じて魔法攻撃に強い耐性がある。コイツもその例に漏れず、高い魔法耐性があるみたいだな!
「効いてない? 貴方、何者なの?」
「キシシシシ、俺、マンティディーチ。シ、新生“十二蟲将”ノ……ジュ、十一位!」
「あらそう、自己紹介ありがとうっ!」
魔法戦は不利と判断したのか、天照さんは剣を取り出し、マンティディーチの鎌と斬り結ぶ! 天照さんは凄まじい速度でマンティディーチを斬り裂くが、その硬い装甲に阻まれ、内部まで届いてない様子だ。
────ゾクッ!
嫌な悪寒が全身を走る! 見ると、ツファーメ・テレアク・レヴィアタンが魔力を高め、鋭い視線を放ちながらそれを解放しようとしていた!
「……“
魔力を高めたツファーメは鋭い水の斬撃を解き放つ!
ザクザクザクザクザクッ!!
「ぐはっ!?」
「キャア!?」
「ぬぅ!?」
「がっ!?」
その鋭い攻撃に対応しきれず、アザゼル先生とセラフォルーさんが水の牙の餌食になる! 唯一応対することができたオーディンの爺さんと天照さんも、かなりのダメージを負っているのが見て取れる!
「くっ、舐めないでよね!」
セラフォルーさんはツファーメに向かって凄まじい威力の氷刃を放つ! アザゼル先生も堕天使の光槍を思い切りぶん投げる! だが、ツファーメは意にも介さず水の大蛇を創り出し、セラフォルーさんとアザゼル先生ごと氷刃と光槍を噛み砕いた!
「う、嘘……」
「……まじかよ」
「お生憎様……こちらも以前とは違うのだ……“
サバァァァァァァンッ!!
そのままツファーメは広範囲の水刃を放ち、セラフォルーさんや先生達を斬り裂いた!
「セラフォルー様! アザゼル先生!」
皆の悲鳴も虚しく、二人はその場で倒れ臥す。それを見たツファーメはなんの感慨もなさそうに二人を見ていた。
「悪いわねセラフォルー。正直、今の貴方にはあまり興味はない。……当時は怨みもしたが、今となっては魔王の座すらどうでもいい。アジュカとは決着を着けたいと思うけど、この場にはいないみたいだし、今はあの人からの任務を優先するつもりよ」
そう言いながら、ツファーメとディオ・ガーチュは俺達の方へと歩み出す。木場やゼノヴィア達はその濃密な魔王覇気に当てられ、動くことができずに呆然としている。オーディンの爺さんと天照さんはロキとマンティディーチの相手で精一杯だ! ただでさえ、ツファーメの水刃で負傷してるんだ。現状、こちらへのフォローは厳しいだろう……。
「うぅ……お兄……ちゃん」
セラのその言葉を聞いたディオ・ガーチュは機械にも関わらず目を血走らせ、セラの首元を締める!
「ぐ、ぐぁぁ……」
「貴女様は何を仰ってるのですか? 貴女様の兄君はあそこにいるナマモノなどではありません! 我等が主神たるメルヴァゾア様に兄神のレガルゼーヴァ様だけです! 訂正してください!」
「て、てめぇ! セラを離せ!」
「ナマモノは黙ってろ。これは我らの問題だ」
クソッ! 動け! まだ動けるだろ! 相手は全員が凄まじいまでの手練れ! このままじゃセラが危ない! 皆も殺されてしまう!
ドゥン!
何かがセラとディオ・ガーチュの間を横切る! あれは……滅びの魔力!?
ザッ!
誰かが俺の前に立つ。見ると、そこには紅い髪をたなびかせる部長と、刀を携えたミッテルトの姿があった!
「? ……誰?」
ツファーメは怪訝そうに部長を眺める。部長は強い口調でそれに答える。
「私はリアス・グレモリー。イッセーの主よ!」
「主? お前が?」
「グレモリー……サーゼクスの血縁? まあいいわ。貴方如きに用はない。見逃してあげるから消えなさい」
明らかに見下した口調。それも当然だろう。コイツラと部長の間には覆しようのない絶対的な力の差があるのだから。それがわかっててなお、部長は一切引く気はない。
「巫山戯ないで! イッセーを貴方達に渡す気はないわ! とっととセラを離しなさい!」
「イッセーはうちの恋人っす! それを奪おうってんなら、覚悟するッスよ」
ミッテルトが刀を向け、部長が滅びの魔力を高める。それを見た皆は覚悟を決め、部長達と隣り合うように各々の武器を構えた!
「イッセー君達は渡さない!」
「その通りだ。お前達にイッセーもセラも、お前等は渡さん!」
「母様だけでなく、イッセー君にセラちゃんまで失うだなんて絶対にさせませんわ!」
「ぼ、僕だってぇぇ!」
なっ!? だ、駄目だ皆! 皆じゃあこいつ等には……俺は何とか声を出そうとするが、血混じりの吐瀉物が込み上げ、思うように言葉が出せない!
「行くわよ!」
部長は滅びの魔力を放つ! だが、この程度の滅びではこいつ等に痛痒を与えることはできない! ツファーメが水を使い、滅びの魔力を簡単に打ち消す! 打ち消された滅びは爆風を起こし、煙幕として二人の視界を遮る。
「ふん、無駄なことを……」
機械生命体であるディオ・ガーチュは高度なセンサーを持っているらしく、ケーブルを鋭利な針にし、部長を貫かんとする!
「えい!」
そこでギャスパーが神器を発動させ、ディオ・ガーチュの動きを一瞬だけ停止させる! 時間にして、僅か数秒にも満たないが、木場とゼノヴィアが部長の前に滑り込むには十分な時間だ!
「聖魔剣よ! 盾となれ!」
「デュランダルッ!」
木場とゼノヴィアはそれぞれ聖魔剣とデュランダルでディオ・ガーチュの攻撃を防ごうと奮起する! 二人共、ミッテルトの“
「「ぐわああああっ!?」」
聖魔剣とデュランダルは砕けてしまい、木場とゼノヴィアは吹き飛ばされる! そこに現れたのはヴァーリとアーサー! 各々の武器で攻撃を仕掛けている!
「悪いが、兵藤一誠には聴きたいことが多くある! こんなところで死なすわけには行かないんでね!」
「例え何者であろうと、聖王剣で切り裂くだけです!」
ヴァーリは白龍皇の光弾を、アーサーはゴールブランドの空間断裂を仕掛けるが、それらはツファーメの水の魔力で打ち消されてしまう!
「なっ!? コールブランドの斬撃を防ぐとは……」
「一筋縄ではいかないか……だが、旧魔王の娘なら、あの男を倒す予行になるかもな!」
あの男? 誰のことだ? ヴァーリの言葉を聞いたツファーメは不愉快そうに顔を歪めている。
「あの男と一緒にするな……今の私は、あの男よりも強くなってるわよ!」
ツファーメは再び全包囲の水の牙を突き立てる! ヴァーリとアーサーは何とか対応しようとするが、あまりの手数に全てを防ぎきらことはできず、押し切られてしまう!
「ぐぉっ!」
「ぐはっ!」
ヴァーリの半減も、アーサーの空間削りでも対応しきれてない! 何かのスキルか!? あの感じ……下手したら究極級はあるかもしれない!
「チィッ! 伸びろ如意棒!」
「雷光よ!」
「行くわよ!」
美猴と朱乃さん、イリナがそれぞれ如意棒と雷光、光の槍で攻撃するが、それすらもディオ・ガーチュのケーブルで防がれる! 奴はケーブルでで如意棒を絡め取り、逆に電流を流して美猴にぶつけやがった!
バチバチッ!
「ぐおぉぉぉっ!?」
凄まじい電流で悲鳴を上げる美猴。あの電流は見た目以上に電圧が高い! 多分、バラキエルさんの雷光とかと比べても遜色のないレベルだ! そんな電気をモロに浴びた美猴は為すすべなく崩れ落ちる。
「きゃあ!」
朱乃さんは再び雷光で敵を射抜こうとするが、それよりも速く、ケーブルが朱乃さんをはたき落とす! 朱乃さんは立ち上がろうとするが、今までの戦いの疲労から立ち上がれないでいる。
「はぁ!」
そこへイリナが光の槍を手にも持ち、ディオ・ガーチュに接近戦での攻撃を仕掛けるが、ディオ・ガーチュはいとも容易くイリナの槍を捌き、逆にケーブルでイリナを弾き飛ばした!
「滅びよ!」
「朧・飛空剣!」
その隙を付き、部長とミッテルトが伸び切ったディオ・ガーチュのケーブルを切断する! だが、ディオ・ガーチュは慌てることなく即座にケーブルを修復し、エネルギー弾を二人に向かってぶっ放した!
「ぐっ! “
ミッテルトは朧流守りの秘奥義でエネルギー弾をいなそうとするが、そのすさまじい質量の光弾はミッテルトを以てしても弾けるものではなく、ミッテルトと部長はそのまま光弾に弾き飛ばされてしまった!
「があっ!」
「ああっ!!」
「ぶ、部長ーっ! ミッテルトォー! 皆ぁ────!!」
頼む! 動け! このままじゃ、皆が……っ!
ミッテルトと部長はボロボロになりながらも立ち上がる。それを見たディオ・ガーチュは怪訝そうにしている。
「理解不能。貴様らに勝算はないというのに、何故立ち上がる?」
それを聞いたミッテルトは強い眼差しで敵を射竦める。
「イッセーはうちの大切な存在だからっすよ。セラちゃんもうちの大事な妹分! お前らなんかに奪われてたまるか!」
「そうよ! イッセーもセラも、私にとって家族も同然なの! 絶対に渡す訳にはいかないわ!」
ディオ・ガーチュはミッテルトと部長の言葉を聞き、目を血走らせ、怒りに震えている。
「……セラセルベス様を愚弄するか……この御方の兄弟は我が主神と兄神のみ! それ以外には存在せん!」
ケーブル同士を絡み付かせ、巨大な腕や剣、鎚を作り出し、ディオ・ガーチュは攻撃をする! その怒涛の攻撃をミッテルトはなんとか見切り、躱すが余裕があるようには見えない! 部長など付いていくだけで精一杯だ! 正直、ミッテルトのスキルがなければとっくにやられている!
「きゃっ!」
部長は脚を絡め取られ、その場に転倒する。ディオ・ガーチュは倒れた部長にケーブルの連撃を集中させる!
「ぐっ!」
ガガガガガガガガガッ!
ミッテルトはそれを“堕天刀”で防ぐが、限界が近いのが見て取れる。全てを防ぎ切ることはできず、ミッテルトは部長とともに後方に跳ぶことで何とか攻撃を回避する。
「ぐっ、ありがとうミッテルト」
「これ……くらい……どうってこと……ないっすよ……」
ハァハァと息切れをしながらもミッテルトは闘志を込めた瞳をしている。獰猛に笑みを浮かべ、精一杯の見栄を張っている。
「ふん、理解に苦しむ。貴様の勝率は0なのだぞ? 何故そうまでして死の時間を先延ばしにする?」
「わかってないっすね。うちは死ぬつもりなんか毛頭ないんすよ。うちは、生きて皆で帰るために戦ってるんすよ」
「ミッテルトの言う通り! 私は……私達は諦めたりしない!」
ディオ・ガーチュは興味をなくしたかのように無機質な目で二人を狙う! 俺は痛む身体に鞭を打ち、駆け出しそうとするが、間に合わない! 俺は最悪の光景を幻視する────
ドン、ドンッ!
────瞬間、銃声が鳴り響く。
それと同時に何かが宙に舞う。それは、ディオ・ガーチュのケーブルとセラの首を掴んでいた腕。そして、セラだった。
「……なに?」
刹那、誰かが宙を舞うセラを優しくキャッチする。
「中々いい事言うじゃん。そういう諦めない姿勢ってやつ? 少なくとも、僕は嫌いじゃないよ」
俺はその光景に目を疑った。セラをキャッチしたのは紫の髪をサイドテールで纏めた女の子。小さい姿でありながら、軍服を纏っており、その姿はこの上なく様になっている。
「だ、誰……?」
「イッセーの知り合いさ。取り敢えず、今は君の味方だよ」
朦朧としたセラの言葉に答える少女を見て、思わず俺は目を見開いた。
「あ、貴女は────ウルティマさん!?」
「やあ、イッセー。久し振り」
そこにいたのは原初の悪魔の一柱! 毒姫の称号を持つ原初の紫! テンペスト検事総長にして、聖魔十二守護王の一柱! “
というか、それだけじゃない! さっきの高密度の魔力を宿した銃弾は、間違いなく“
「やあ! 無事みたいだね、イッセー!」
「────か、カレラさん!?」
崖の上にいるのは原初の黄にして魔国の司法府最高裁判所長官! 聖魔十二守護王“
「あれって……青原さん?」
倒れている木場がカレラさんの抱えている青い物体を見てそう呟く。マジじゃん! あれレインさんじゃん! なんでカレラさんがレインさんを抱えてこんな所にいるんだ!?
……いや、それだけじゃない! 他にも誰かいる! あ、あれは……
「ヤッホ〜。イッセー君、元気してるぅ?」
「し、シルビアさん!?」
あの人はシルビアさん! カグチやメロウと同じ、神祖の高弟の一人であり、魔導王朝サリオンの天帝、エルメシアさんのお母さんだ! 何であの人まで!?
「リムル君との会談で私も必要かな〜って思ってねぇ。私もいい加減、神祖様とは決着つけないとって考えてたしねぇ。それに、まだいるのよぅ」
苦笑しながらそう呟くシルビアさん。その後ろには、見覚えのある人達が佇んでいる。
「ふう、久し振りね。イッセー君。リアスちゃんも無事で良かったわ」
「ふん、死んでなかったのね。変態ドラゴン。ガッカリしたわ」
「やれやれ、相変わらず素直じゃないね。君は……」
現れたのはティアマットさん! その後ろには鎧に身を包んだ男女と軍服、スーツに身を包んだ男性だ! 鎧は“
「てぃ、ティアマットさんまで……それに、ジウと帝国の人達も!?」
え!? ちょ、ちょっと待て!? なんでこの人達が!? そ、そういえばティアマットさんは帝国のお世話になってるって聞いてはいたけど……それにしたって可笑しくね!?
「やれやれ。随分と手酷くやられたようじゃのぅ」
眩い転移の光と共に、コツコツとブーツが地を蹴る音が響く。現れたのは輝く銀髪に右目が赤で左目が青の
「「「ルミナスさん(様)!?」」」
俺達の驚きの声が響く中、ルミナスさんは妖しげに妖艶な笑みを浮かべるのだった。
脅威の援軍(双方にとって)