タイトルに関しては思いつきです。もしつられて来てしまった淫夢厨の方がいらしたらぜひノンケになってくださいw
冗談はさておき今年もよろしくお願いします
親紹介RTA 前編
ウマ娘・・・古来より人間と共に生き、人間と共に地球の頂点に上り詰めた存在でありながら人間以上に謎の多い生物。なぜ娘、すなわちメスしかいないのか。なぜ人間より何十倍もの力をその身に宿しながらも安全性に欠ける2足歩行になったのか。無数とも言えるウマ娘の謎。本来であればそれはかなり興味深い話であり、尽きない話題だろう。しかし世間一般ではウマ娘について、もっとメジャーな話題があった。それこそが・・・ウマ娘によるレースである!
ここは府中トレセン学園、日本一のウマ娘養成学校であり、ここには優秀なウマ娘が数多く通ってる。彼女らは日々努力を重ね、勝利というただ1点を目指す。その努力を支える存在こそがトレーナーである。トレーナーと一口に言っても大きく2種類存在する。1つはチームトレーナー。5人以上のウマ娘で構成されるチームを担当するトレーナーであり、多くのウマ娘を担当するため、相当な実力を要する。そしてもう1つは専属トレーナー。1人のウマ娘のみを担当するトレーナーであり、多くのトレーナーはこちら側に属する。さて、トレセン学園とトレーナーの解説はこれくらいにしてこの物語を見ていこう。
早朝、ちらちらと雪が舞い厳しい寒さを感じる頃、1人の男がトレセン学園の校門をくぐった。黒のスーツに黒髪、黒い瞳とそこら辺を歩けば嫌という程見るサラリーマンと似た格好をする彼だがサラリーマンと異なる点は2つ。1つは真ん中に蹄鉄が描かれた朱色のバッチ、トレーナーバッチをしていること。そしてもう1つは・・・頭に植木鉢が被さっているということである。
「おはようございます、たづなさん」
頭に植木鉢が被さっていることを気にも留めず彼は校門に立っている緑の制服と黄色のネクタイに身を包んだ女性、駿川たづなに挨拶をする。
「おはようございます、トレーナーさん。あの・・・今日は頭に植木鉢が被さってますよ」
たづなに苦笑いをしながら指摘され、彼はようやく植木鉢のことに気が付いた。
「ああ、ありがとうございます。通勤中に来た痛いのってこれだったのか・・・」
「その・・・いつものことですが怪我はなさらないでくださいね」
「大丈夫ですよ、丈夫なんで」
腕をたくし上げ力こぶを見せる。そう、この男、生まれてこの方運がひじょーに悪いのである。どの位かというとおみくじは万年凶か大凶、外を歩けば月1のペースで交通事故に巻き込まれるレベルで。だが天は彼を見捨てなかった。そう、異常に生命力が高いのである。車に突っ込まれてもピンピンしていられる位。今日だって通勤中にアパートの2階から頭上に落ちた植木鉢をちょっと痛いな~とすましてきたのだ。
そして校門を通り過ぎ、練習場のターフに向かう。現在彼はチーム、アンタレスのサブトレーナーをしている。新入りとしてここに来た頃、誰も担当がつかずにうだうだしていた時にこのチームのメイントレーナーに拾われたのだ。
「師匠、おはようございます」
彼が師匠と慕うメイントレーナーへと挨拶をする。そんな彼の今日の業務は・・・
「おう。あ、そうだ。お前そろそろ独立させるから担当探せよ~。うちのチームからは1人も出さんからな」
「了解っす。・・・え?」
独立である。
放課後、件のトレーナーはチームのメンバーからお別れ会を受けていた。
『お疲れ様でした!サブトレーナー!』
「いや退職するわけじゃないからね!」
チーム用として与えられた一室を使ってそれは行われていた。クラッカーが飛び交い、祝福の言葉を述べる。
一斉での言葉を終えると、次は1人1人が挨拶をしていく。
「今までありがとうございました・・・。向こうに行っても・・・元気にしてくださいね・・・」
「転勤でもないからね!ただ独立するだけだから!」
まあ先程からこのようなことばっかりやっているが。
「次は・・・フクちゃんか」
「はい!私からは、トレーナーさんの運勢をしっかりばっちり占ってしんぜましょう!」
次に彼の前に来たのはしいたけみたいな瞳をしている栗毛のウマ娘、マチカネフクキタルだった。
「さあさあトレーナーさん、この水晶玉をじっと見つめたください。そのまま・・・そのまま・・・」
運が悪いのを自覚しているトレーナーだったがせっかくだからとフクキタルの指示に従う。
「むむむ!これは・・・シラオキ様からのお告げ!」
その一言に会場内がざわつく。果たしてどんなお告げなのか、皆が今か今かと待ち焦がれている。
「出ました!・・・サブトレーナさん」
「は、はい」
急に改まった呼び方をされ、跳ねるように返答をする。
「・・・諦めてください。あなたの運のなさは生まれ持ったものです。どうしようもありません。持ち前の機転と人離れした生命力で生き延びてください・・・とのことです」
「シラオキ様そんなに酷いこと言うの!?」
想像以上に酷なお告げを貰い、心に大ダメージを追うトレーナー。分かっていたが面と向かって言われるとやはり堪える。
「大丈夫です、先程言った通り機転と生命力で何とかしてください!」
「・・・フクちゃん」
目頭が熱くなるのを感じる。
「よし!俺、頑張るよ!」
ちょろい、会場にいる誰もがそう思った。
その後、日が暮れるまでみんなでパーティーを楽しみ、各々の寮に帰っていった。
皆が寮に帰り、ごみが散乱したチームの部屋を片付けながらサブトレーナーとメイントレーナーは会話をしていた。
「おい、俺がお前に初めて教えたこと。忘れてないよな」
「もちろんですよ。ウマ娘たちの心のケア、ですよね」
「ちゃんと覚えてたか。もし忘れてたらぶん殴ろうかと思ったぜ」
「忘れるわけないじゃないですか。今でも結構大事にしてるんですよ」
当時の光景を今でも鮮明に思い出せる程大切にしているのだ。
『お前も知ってるよな、ウマ娘の本能の1つ、闘争心。ウマ娘は本能から1番を取りたい、勝ちたいって気持ちが来る。でもそれは偶にウマ娘の人生を、心を滅茶苦茶にするんだ。闘争心が高ぶりすぎて怪我をする奴もいる。逆に闘争心が失せ、レースで負けたり、出なかったり・・・最悪学園をやめる奴すらいる。俺らトレーナーってのは、ウマ娘の人生を預かる存在だ。人生をぶち壊す、そんなことはしちゃならねー。心のケアすらも怠らない。それを1番大事にして欲しいって思ってる』
担当の娘たちの練習を見ながらメイントレーナーが告げた言葉。それは彼の魂に刻み込まれていた。
「にしても・・・まさか全員集まってくれたなんて・・・嬉しい限りですよ」
「別に全員来いとは一言も言ってないんだぜ?ただ、行きたい奴だけ来いっ言ったら来たんだよ。そんだけお前が慕われてたってことだ」
「トレーナー冥利に尽きますよ。ほんと」
くすっと笑みが零れる。
「ああ、お前はよくやってくれた。胸を張って送り出せる、自慢の弟子だよ」
「ありがとうございます、師匠」
「そんじゃあもう主役は帰れ。いつまでも片付けなんてやんなくていいからな~。というか俺が追い出す」
「あはは・・・。それじゃ、お言葉に甘えて・・・」
頑固な性格をしている己の師に対し、変わらないことへの喜びを覚えながらサブトレーナーは部屋を後にする。
サブトレーナーがいなくなり、部屋に1人残されたメイントレーナーは月を見ながら呟いた。
「・・・あいつならやってくれるだろうな・・・。URAファイナル優勝を。いつか」
その頃の彼の愛弟子は・・・
「痛って~。なんで俺が上に乗ったら傾くんだよ・・・」
今時見ない四角型マンホールの罠に見事引っかかっていた。
1週間後・・・
ついにチームアンタレスのサブトレーナーを辞め、完全フリートレーナーに舞い戻った彼は練習場で練習光景を見ていた。しかし、いくら見ていても彼の直感に来る娘はおらず、彼の黒い髪にひたすら白いメッシュが入るだけの時間が流れる。こんなことだったら日傘でも持ってくるんだったなと後悔しつつも変わらずそこに突っ立ていた。
そのまましばらく眺めているとふと1人の黒鹿毛のウマ娘に目が行った。ただ1人で走ってはタイムを確認し、少し休憩を入れたらまた走り出す。彼はその走る姿に目を奪われていた。別段他の娘と変わった所などない。だが綺麗に整えられた黒い髪と尻尾が、太陽のもとキラキラ輝く。その輝きの波が美しいいつの間にかまた走り終わりタイムを確認していた彼女の周りに視線を向けると2、3人かのウマ娘が集まって密談をしていた。失礼と心の中で彼女たちに謝りつつその会話に耳を澄ます。
「うわ、すご・・・。あの娘、エイシンフラッシュさんか。ドイツからの留学生なんだっけ?」
「そうそう。もうこっちに来て1年くらい経つのかな?まあ、話したことないんだけど・・・」
エイシンフラッシュ、どうやらそれが彼女の名らしい。
「(エイシンフラッシュ・・・覚えておこう・・・)」
人生で1度は言ってみたいセリフの1つを完遂しつつ、彼は足早に屋内に戻っていった。
数時間後・・・
学園内でシャワーを浴び、エイシンフラッシュについての資料を一通り目を通してきた彼は、先程とは別の場所でエイシンフラッシュを見かける。何やら賑やかな栗毛のウマ娘に絡まれていた。
「(確かあの娘は・・・)」
記憶から先程目を通した資料を引っ張り出し思い出していく。
「(そうだ。スマートファルコン。エイシンフラッシュと同室の娘だ)」
「お願い、フラッシュさん!ちょっとだけ、ちょっとでいいから、ファル子のライブ見て行ってよ~♪」
「『ちょっと』とは・・・何分でしょうか・・・」
「「へ?」」
ファルコンとトレーナーの声が被る。
「ファルコンさん、言葉は正確にお願いします。ライブの開催時間は何分何秒予定なのかを教えてください」
地球がうんぬんかんぬん言い出したら完全に小学生のそれな言い回しに、ファルコンは困惑の様相を見せる。
「うえっ!?そんな小学生みたいな意地悪言わないで~!?」
「いえ、意地悪のつもりは・・・。ただ、今は秒刻みのスケジュールを組んでいるため、あまり時間的余裕がないんです」
「(秒刻みのスケジュールって何?)」
トレーナーが心の中でツッコミを入れる。
「出た!フラッシュさんのスケジュール!ちょっとくらいズレたって大丈夫だよ~」
「いいえ、一秒の誤差も許容できません。それは正しい行いではありませんから」
果たして自分は決めたスケジュールを達成できているのか。2人の会話を少し離れた位置で見ているトレーナーは自問自答をする。常に自分の運勢に翻弄され、有言実行とは程遠い人生を送ってきた彼は彼女の意志の強さに感服する。
「・・・選抜レース後の予定に組み込んでおきますので。では」
「あっ、フラッシュさーん!?」
彼が思考にふけっているといつの間にか2人の会話は終わっていた。2人の少女の会話を少し離れた場所から盗み聞きするなど完全に事案案件。あのちびっこ理事長が
『解雇ッ!荷造りは手短になッ!』
と言っている姿が目に浮かびここは退散することにした。
「はあ~、行っちゃった・・・。こうなったら・・・ファル子たちをずうーっと見ていたあ・な・た!に来てもらお☆」
忍び足で退散しようとしている所にファルコンに声を掛けられる。
「・・・俺?」
「熱烈すぎてすぐわかったよ☆ファル子のライブにご案内してあ・げ・る☆」
スーツの襟を掴み、ファルコンは走り出した。ファルコンに引きずられながら、彼は思った。
「(エイシンフラッシュ・・・。時間に厳しいタイプの娘なんだなあ・・・。でもどうやらトレーナーはいなさそうだし、今度の選抜レース・・・見に行こうかな・・・)」
ちなみにファルコンのライブは彼ともう1人、同じトレーナーバッチをした男がいた。
その週末・・・
完全フリーとなってから初の休日、トレーナーは近所の河川敷を散歩していた。特に行く当てもなくぶらついているとジャージ姿のエイシンフラッシュを発見した。
「はあっ・・・はあっ・・・。休憩・・・開始・・・」
絶え絶えに紡ぐ言葉から、彼女がかなり追い込んでトレーニングしているのが見て取れた。恐らく何日もこんな調子なのだろう。表情からもよく分かる。
「はあ・・・ふぅ・・・。休憩・・・終了・・・」
「(早い!?)」
その時間は僅か数十秒程。走り終わった様子から考えると、とても休めたとは思えなかった。
「はあ・・・次は・・・「もう少し休憩した方が!」
彼は思わず声を掛けていた。
「っ・・・。貴方は・・・?」
これが彼らの出会い。初めての顔合わせだった。
【1月14日 結婚RTA計測開始】
ギャグ・・・ギャグ・・・どこ?