〈トレーナーの家族〉
父親
本編未登場
一家の大黒柱であり基本物静か
頼り甲斐はあるらしい
母親
温厚な性格でオタク趣味
姉
黒髪ストレート貧乳
勝気な性格で、幼少期からトレーナーとは喧嘩ばかりしてきた
しかし2人の間には確かな信頼関係がある模様
義兄
エイシンフラッシュファン
曰く天皇賞秋は見に行ったらしいがトレーナーとは会うことはなかった
最近テレワークに切り替え育児満喫中
甥
この回のアイドル
名前は進
シニア期の夏に生まれた
半月のドイツ旅行もあっという間に過ぎて俺たちは再びトレセンに舞い戻ってきた。あっちにいる間も様々な出来事があったが今回は割愛しておこう。
何はともあれ無事に日本に帰り、再びトレセンでの日々を送っていると、今度はフラッシュが俺の実家に行きたいと言い出した。
彼女曰く、『せっかくですし、トレーナさんのご実家に行って結婚の挨拶をしてしまいましょう。まだ済ませていないんですよね?』だそうだ。
確かに今年の年始はURAファイナルズがあってそれからすぐにフラッシュの実家へ行きいつの間にやら1月の末。正直実家に帰れるような暇は一切なかった。そのためまだ実家に顔を見せていない。せっかくの甥との初対面はお預け状態だ。
結局、断る理由もないのでまあいい機会だし一緒に済ますか、と切り替え、フラッシュ同伴の帰省をすることにした。
にしたって最近のフラッシュ行動力の化身と化してきたな・・・。
そんな事情があって始まったこの帰省。ただ帰省といっても行先はご近所、東京都東久留米市なのだが。
お天道様も真上から俺たちを見守る時間帯、まばらな人口密度の駅から大通りに沿って歩くこと5分ほど。マンションが立ち並ぶ住宅街の中にそびえ立つ一軒のマンションに着いた。
「この中ね」
そう言って建物の中に入っていく。
建てられてからそれなりに経っているからなのか少し黒ずんだエレベーターを手慣れた動きで操作する。
エレベーターは俺たちだけを音を立てず、するすると高度を上げていく。そんな最中、俺はちらとフラッシュの方に視線をやった。
彼女は、緊張が大きいのだろう。体を少し縮こまって必死に「toi toi toi」と呟いていた。
確かに人の家に初めてお邪魔になる時の緊張感は分かる。ましてやそれが婚約者の実家となれば尚更だ
そこで俺はそっと彼女の肩を抱き寄せた。
抱き寄せられたフラッシュは一瞬驚いた顔をしていたがすぐにこちらの意図に気付き、ぴっとりとくっつくように体を密着させてきた。俺はそのまま距離を詰め、抱き締めるような形を採った。そして、彼女の耳元で優しくささやいた。
「大丈夫。俺も一緒だから」
漆黒の耳は蕩けた様に俺にひっつく。その姿が可愛らしく、そっと頭をなでやる。
するとフラッシュも自然と笑みが出てくるようになった。
それからもしばし抱き合っているといつの間にか目的の階に付いていた。早く出ろが口癖と言わんばかりにせっかちなドアが俺たちを急かす。
仕方がないのでフラッシュの手を取り、エレベータードアの先に延びる廊下を進む。
少し歩き、瓜二つなドア群の中から1つのドアを選び出す。いつぶりだろうか。久しく帰ることのなかった実家である。
早速呼び鈴を鳴らし帰宅を告げる。すると即座に中からは~い、という声がしバタバタという音が近づいてきた。
やがてドアが開き、そこから中肉中背の四角眼鏡をかけた如何にも真面目さを醸し出す男性、俺の
「は~いどちらさ・・・
「久しぶり、義兄さん」
俺は義兄さんに一言挨拶をしてから奥にいるお袋と姉貴にも聞こえるように声を出す。フラッシュもそれに続くように挨拶をした。
「お袋~、姉貴~。ただいま~」
「お邪魔します」
「あ、彼女さんも連れてきたん・・・えええええ!?エイシンフラッシュさん!」
フラッシュを見た途端物凄い驚き方をする義兄さん。その様子はさながら昔流行ったシェーの様だった。
確かにフラッシュは『超』が付くほどの有名人。知ってて当然か。
それに比べて俺はほんの一瞬。本当に一瞬だけ有名になっただけだ。
「うん。色々話したいことあるもんで・・・連れてきちゃった」
「すごいな義弟君。あのエイシンフラッシュさんとお付き合いしてるなんて・・・」
「否定はしないけどまずトレーナーと担当ウマ娘と考えるべきでは?」
そんな(義)兄弟コントをフラッシュそっちのけでやっていると奥から姉貴が出てきた。髪はボサボサでもう真昼間だというのに未だに寝巻で歩いてくるその様子は育児の過酷さを物語っていた。
「ケイちゃん何玄関で騒いでんの・・・。うっわあんた担当の娘家に連れてくるとか何考えてんの・・・」
俺を見た途端鋭い刃のごとき端的な罵倒が飛んできた。相変わらずの減らず口だ。
だがここで挑発に乗って投げ返してはいけない事程度は履修済みだ。ここはなんも効いてませんよ風格を崩さずに行こう。
「まあまあ、積もる話もあるし早く中に上げてくんね?」
「ホントあんたって生意気よね・・・。まあいいわ。早く来な。あ、ケイちゃん。悪いけど担当ちゃんに麦茶出してあげて」
「うん、分かった」
そう言ってまずは義兄さんが。それに続いて姉貴が奥に行ってしまった。
「あの・・・お姉さんとの仲は・・・」
「いっつもあんな感じに憎まれ口たたき合ってるだけだよ。ちゃんと仲はいいから」
確かに一見仲は悪そうだがそんな事はない。ただお互い口が悪くて素直になれないだけだ。
「さ、俺たちも行こっか」
そして俺はフラッシュの手を引いて我が家に入っていった。
つい数年前まで暮らしていたはずなのにどこか新鮮な雰囲気がするのは新しい家族が増えたからだろうか。
さっと玄関を見渡してみると白を基調とした明るい色で構成されており、俺がいた頃とは随分と変わっていた。
廊下を歩き、リビングにやって来た。
物が少し減っただろうか。スッキリとした印象を与えるリビングには赤子服に身を包み、姉夫婦にあやされている我が甥っ子がいた。キャッキャと無邪気に喜んでいる甥を見ていると無性に庇護欲が湧いてくる。その可愛さはやはり赤子の特権とでも言うべきか。あの白玉のようなまん丸としたボディと果てしない自由さが生み出すプリティさはフラッシュが生み出す可愛いとはまた違った方向性であり、守ってもらうことでしか生き残れないからこそ生み出した生存する術。その術に見事ハマった者は産まれたばかりに同種をわざわざ赤ちゃんと区分し彼らを守る他、己の欲を満たす事は出来ない。なんて狡猾なのだろうか。
そんな、要約すると「可愛いなあ」で済む至極どうでもいい思考を瞬時に巡らした。
そしてリビングの机で呑気に本を読んでいるお袋に帰宅の報告をする。
「ただいま」
「一昨年ぶりだね。おかえり」
「まあ去年は怒涛の年だったからね~。今年もつい最近まで日本にいなかったし」
「出張だったの?」
「いんや。単に向こうに用事があっただけ。まそれは後で話すわ」
単に話すタイミングを後回ししただけである。
「なによ変に改まって・・・エイシンフラッシュちゃんじゃん。担当なの?」
ようやく本から目を離しこちらを向いたお袋はやっとフラッシュについて触れた。その顔は驚きに染まっている。あれ?話したことあるんだがな・・・。
「はい。○○さんに指導を貰っています。エイシンフラッシュです。よろしくお願いします、お義母さん」
「よろしくね。フラッシュちゃん」
お袋・・・義母呼びされたの気付いてるのかな・・・。確かに発音同じだから分かりにくいけど。
「ま、話は後で聞くわ。今は荷物おいてゆっくりしてな。疲れてるでしょうし」
そうして、俺たちはお袋から流されるままにリビングでくつろぐことにした
「あ、荷物はここね」
「ありがとうございます・・・」
やはりまだ慣れていないのだろう。未だフラッシュは緊張している様子だ。無理もないが。
そんな彼女に気を配りながらも、俺も自分の荷物を置いてコートを脱ぐ。家の中と外では寒暖差が酷過ぎて風邪ひきそうで恐ろしい。
フラッシュも、いつもの外用コートを脱いで中の黒いオールインワンの全貌が姿を現す。やはりいつ見ても整っており、美しいという印象を与える。
「あ・・・あの・・・エイシンフラッシュさんはどうして義弟君と担当契約を?」
なんかいつもより下手だな義兄さん。いや?普段聞き手にしか回らないあの人がこうやって質問しているんだから寧ろ積極的か?
「そ、それはですね・・・。私があるレースに向けて無茶な練習を重ねていた時期、偶然トレーナーさんと知り合ったんです。まるで運命の出会いの様でした」
「運命の出会い・・・かあ」
「はい。その時にトレーナーさんからひとめぼれ、と言って頂き・・・」
その言葉を聞いた瞬間姉貴からえげつない視線が向けられた。人でも殺せそうな視線に心が痛む。
「お~。義弟君も度胸あるね~」
義兄さんからは公園でイチャイチャするカップルを見るような生暖かい視線が向けられる。
一応の弁明をするとあの時は純粋に走りに対してのひとめぼれである。これは揺るぎはない。
「いやあの時はあくまではし・・・」
しかしその時、ハッと気が付いた。
フラッシュからの寂しげな視線に気が付いたのだ。喪失感漂うもの悲しげな瞳を向けられてしまってはどんな人間でもどうにか救ってやりたくなるものだろう。
「りだけじゃなくて心の底からひとめぼれしてたよ」
結局俺は、プライドを捨てることにした。
それからも兄夫婦は俺たちのことを根掘り葉掘り聞き漁った。特に、ダービーについてなんかは相当聞かれた。そしていると、甥が「おう、ワテの事も構えや」と言わんばかりの大声で存在を主張し始めたので、話題はそのまま甥の事へと移っていった。
「そういえばこの子・・・名前は?」
「進。進むって書いて進だよ」
あやしている姉貴に変わって義兄さんが答えた。優しい言葉の中には、誇らしげな感情が多分に含まれていた。
「へえ~。いい名前じゃん」
「でしょ?」
泣き止んだ進を見せつけながら姉貴も参戦してきた。本当に我が子を愛しているのが伝わって来た。
「なるほど・・・進さん・・・」
そんな親バカの自慢を聞いている横で、フラッシュは進に興味津々といった感じでまじまじと見つめていた。確かにフラッシュは一人っ子だ。これまであまり赤ちゃんに触れる機会はなかっただろう。その神秘に対し、あくなき探求心が生まれるのもよく分かる。
「フラッシュちゃん、触ってみる?」
「いいんですか!?ありがとうございます。では・・・失礼して・・・」
姉貴からの提案に目を輝かせてフラッシュは答えた。その様子はまさに年相応の少女そのものだった。
そして彼女は進の頬をツンツンとつついてみる。これが思いのほか彼女のツボにはまったらしく、飽きることなくつついていた。その際、つついている指がつかまれて大慌てする様子は非常に可愛かった。
「せっかくだし、あんたも触ってあげたら?その方がこの子も喜ぶよ」
「・・・泣かれない?」
「さあ?」
「ま、その時はその時か」
意を決して頬を指でつつく。幸い、意識はフラッシュの方に向いているおかげで俺が触っても泣くなんてことはなかった。
そして肝心の感触だが・・・これはハマる。白い柔肌に指が埋まっていく感触がたまらない。そして埋めた後に伝わってくる強いハリ。押し返すほどの弾力もまた気持ちがいい。例えるならば・・・少し前に流行ったスクイーズだろうか。あのような感触だった。
「ほ~ら、叔父ちゃんですよ~」
間違っちゃいないので一応名乗りはする。名乗りはするがやはり傷つく。自分が年老いてきているのだという自覚を持たされるのはどうしても心に来るのもがある。
・・・アラサーか・・・。
「お、おば・・・おば・・・」
「フラッシュ、無理はしなくていいよ」
彼女が何を言いたいのかが分かったため待ったをかける。20も過ぎていないような女の子がそのようなことをいうのは劇薬にも等しい。やめた方が己のためだ。
というかフラッシュ、18で義理とはいえ甥を持つのか・・・。
「ん?ちょっと待ちなお2人さん」
だがその時、俺たちの会話に違和感を感じた姉貴が呼び止めた。どうやら粗方見当はついたらしく怒りの表情が見て取れる。
「あんたが進の叔父なのは分かる。でもどうしてフラッシュちゃんは自分を・・・進の親戚として言ってるんだい?結婚まで程遠いよねえ?まだ学生相手なんだし」
言葉選んだな。
にしても少々痛いところを突かれてしまった。なんでこういう所の勘が鋭いのか・・・。
どの道話さなければならないとはいえ言いにくい雰囲気になってしまった。
が、言わないとどうしようもないので腹をくくって、変にかしこまって言うことにした。
「え~申し遅れました。私、こちらのエイシンフラッシュさんと結婚することになりました。ということで今日はその報告に参りました」
そんな俺を姉貴は震えながら見ていた。きっと俺たちの門出を祝ってくれているんだろうソウダロウ。
「何考えてんのよあんたあ!」
だがそうではなかった。姉貴は怒号を上げ、光の速度の平手打ちが俺に突き刺さった。全体重が乗ったその無駄に思い一撃は、頬に季節外れの紅葉を描いた。
「何でまだ学生のフラッシュちゃんに結婚申し込んでんのよ!」
「学生結婚・・・ってコト!?」
「うわあ・・・凄いな義弟君。度胸が」
反応は三者三様だった。
お袋最近はちい〇わにお熱なのな。
「まあ・・・そういうツッコミは来るわな」
苦笑しながら答える。改めて言葉で指摘されるといかにまずい行為かを思い知らされた。
しかし俺のフラッシュに対する愛はもう恋人なんて枠じゃ収まりきらないほど大きくなってしまった。愛が大きくなればなるほど、恋人という不安定な足場の現状が恐ろしく感じた。疑いもなく存在する互いを想う心。だが、それが一瞬にして崩れ去ってしまいそうな恐怖に苛まれ、ひどく苦しんだ。そして、欲した。いや、欲してしまったが正しいだろう。夫婦という確固たる地位を。
そして俺はフラッシュへ
そこに後悔なんてものはない。
そう思い直した時、自然と言葉は出た。
「確かに学生結婚は世間的に不味いかもしれない。でも、学校生活に支障はない。レースやトレーニングだって今まで通りだ。それに・・・俺たちは十分すぎるほどお互いを愛し合ってる。どんな困難があろうと、2人で頑張っていくよ。だからお袋。フラッシュさんとの結婚を認めてくれないか」
「私からもお願いします!私も、この人と生涯を共にしたいと思って決めました。甘い覚悟ではありません。ですから、お願いします!」
俺たちの決意を受け取り、お袋は渋々納得した様子で大きなため息を吐いた。
「そこまで言われちゃ文句なんて出ないわよ。その代わり・・・フラッシュちゃんのこと、幸せにするのよ」
「当たり前だ」
「・・・息子がこんなに立派になるなんてねえ」
そう言ってお袋は、やけに遠い目をしながら窓の外を眺めた。果たしてその瞳には一体いつの俺が映っているのだろうか。
「はあ・・・アンタはいつもアタシの想定外ばっか起こすんだから・・・。偶には2人で顔、出しなさいよ」
「分かってるって」
全く、素直じゃないんだから。
「結婚おめでとうございます。ファンとして、親戚として、お祝いの言葉を述べさせて頂きます!」
「はい、ありがとうございます。お義兄さん」
「うおおおお!エイシンフラッシュさんにお義兄さん呼びされたあ!」
あっちは・・・うんそっとしとこ。
「それじゃあフラッシュちゃん。こんな息子だけどよろしくしてやってね」
「寧ろ、私の方こそお世話になってばかりですよ」
「ふふっ、お似合いね・・・」
そしてお袋は再び本に目を落とした。本の奥に見える心底嬉しそうな表情に、思わずこちらの頬も緩んだ。
「あ、そうです。忘れていました」
だがその和みも束の間。フラッシュが思い出したかのようにお袋の下へ歩いて行った。
何か聞きたいことでもあるのだろうかと不思議に思っていると次の瞬間、彼女は深々と頭を下げた。
どうしたんだと周囲がざわめいていると彼女の口から衝撃の言葉が飛び出た。
「息子さんを私に下さい!」
その場に冷たい空気が流れた。
フラッシュ以外の皆が一斉に俺をじっと見つめた。その視線からは何を吹き込んだんだとでも言うかのような無言の圧がひしひしと伝わって来る。
視線が鋭く突き刺さり心臓はもうめった刺しだ。
「フラッシュ!?それは言わなくて大丈夫・・・」
「?ですが、トレーナーさんはしていましたよね?」
当然の反応だろう。首を傾げ、納得していないという表情で見つめるフラッシュへの答えに迷ってしまう。この純粋な少女をその場しのぎの雑な嘘でだましているという罪悪感が心を蝕む。しかも後ろの面々からの視線がその感情により拍車を掛けていた。
まるでスーパースターの様に視線が向けられているがその意味合いは全く逆のモノ。本当、痛いのなんの・・・。
とにかくこの状況をどうにかしなければいけない。後で細かいことを詳しく説明するとして・・・どうにかこの場だけでも円滑に終わらせたい。こっぴどく怒られるのはしょうがないとして割り切ろう。もう詰んでるから。
様々な選択肢が頭の中を駆け巡り結果を推測しては没にする。それを繰り返しているとある選択肢が出てきた。
「あれは・・・そう!男の見せ場、男の見せ場だから・・・」
義兄さんから、僕そんなこと言ってないけどね。という声が聞こえる。脳内に直接話しかけてこないでアルミホイル巻くよ。
「見せ場・・・ですか。なるほど、そういうものなんですね」
「そ、そうなんだ。でも、フラッシュが俺の事を本気で想ってるのはちゃんと伝わったよ。ありがとう」
何とか誤魔化せそうなので追撃のスマイル感謝でさらっと話題をずらしておく。地味に有効なテクニックなので覚えておこう。
「ふーん。ちょっとアンタ、こっち来なさいよ」
その直後、姉貴からOYOBIDASIが入る。
それを言った時の表情と言ったらもう恐ろしくて仕方がなかった。髪は逆立ち目をギラギラ光らせ、般若そのものと化していた。
最初からこうなることは分かってはいた。なので泣く泣く
「フラッシュ。俺はちょっと姉貴と話してこなくちゃいけないからお袋たちと先にどっか美味いもの食べに行ってて。後で追いつくから」
そう言って彼女をこの家から出した。流石にこれからの会話を聞かせるのはしのびない。
フラッシュも困惑気味ではあったが何とか理解はしてくれた。
そして俺は姉貴の待つ家の奥、もとい元自室に行った。壁の傷なんかがそのまま残っており、ひどく懐かしさを感じる。変わらないということが、確かな安心感をもたらしてくれていた。
ひとしきり懐かしさを感じ終わった後、タイミングよく姉貴が踏みつけてきた。綺麗に肩から入ったおみ足に為す術なく、俺はその場に押さえつけられた。
「さて、弟よ。何か言い残すことはあるか?」
「姉貴の足で踏まれても何にも嬉しくないっす」
「そうか」
「南無三!」
この日、アパート中に俺の断末魔が響いたという。
【嫁紹介RTA 計測開始から1112日】
前回のあとがきに書いてたように本来はこの話は前回とセットにする予定だったんですよね
ただ長ったるいなってことで分割されました。結果文量が増えました。どうして・・・
さて、次回で最終回です
出来るだけ早く投稿でするつもり(少なくとも年内)なのでお気に入り登録してくださると助かりますやる気に直結するので
さて、お気に入り登録100件越えありがとうございます
初の100件越えで正直興奮が止まりませんでした
今後とも、よろしくお願いします。次回最終回だけど