結婚RTA   作:アテル

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オリジナル設定解説 その5

〈URAファイナルズ〉
本作2年目、つまりエイシンフラシュのクラシック期から始まったレース
年明けの1月1日から1月4日までに、全国各地で、短距離、マイル、中距離、長距離、ダートの5部門で開催される


第2回URAファイナルズ中距離部門出バ表

1  エイシンフラッシュ(8番人気)
2  アグネスタキオン(13番人気)
3  メジロライアン(15番人気)
4  マンハッタンカフェ(12番人気)
5  フジキセキ(9番人気)
6  ダイワスカーレット(1番人気)
7  ヒルノダムール(17番人気)
8  ゴールドシップ(6番人気)
9  トーセンジョーダン(11番人気)
10 シャフェリヤール(18番人気)
11 ローズキングダム(7番人気)
12 スペシャルウィーク(3番人気)
13 ルーラーシップ(4番人気)
14 ペルーサ(2番人気)
15 ナカヤマフェスタ(16番人気)
16 ゼンノロブロイ(10番人気)
17 ヴィクトワールピサ(14番人気)
18 アドマイヤベガ(5番人気)


うまぴょいRTA

再び誇りに向かって進む決意を決めたあの日から半年以上が過ぎ、ついに両親が見に来てくださるレースである天皇賞・秋の日を迎えた。そこで私はダービーよろしく怒涛の末脚で見事勝利を手にしたのだ。

「お父さん・・・お母さん・・・」

そして私は今、2年ぶりに両親と対面していた。レースを終えた私の所へ、お祝いの言葉を伝えに来てくれたのだ。

G1を2勝した。そんな素晴らしい功績を手にした私は自身でももう、立派な『ウマ娘』だ。この結果を、今日、両親の前で見せることができたことを誇らしく思う。

「フラッシュ、とても素晴らしい走りでした!本当に・・・super、toll、klasseですよ!」

「お母さん・・・ね、私、すごいでしょ」

テストで満点を取ったことを自慢する子供のような、そんな懐かしい気分に浸りながらはにかんだ笑顔を見せると、お母さんは泣きながら私をそっと抱きしめた。しきりにすごい、すごいと言いながら頭を撫でるお母さんは、本当に嬉しそうだった。

 

その日の夜、私は両親が泊っているホテルに来ていた。トレーナーさんが、

『久しぶりに会ったんだ。ゆっくり楽しんでくるといいさ』

と快く送り出してくれたので、今日は両親と一緒に夜を共にすることにしたのだ。

「それで、その時にトレーナーさんが・・・」

「ふふっ、フラッシュは本当にトレーナーさんのことが大好きなのですね」

ホテルにて、私の日本での生活についてを離しているとお母さんが笑いながら言った。確かにここまで、話の5割8分はトレーナーさんについて話しているのでそう思われても仕方がないだろう。それに・・・実際そう・・・ですし///

「将来は我が家の新しい家族になったりしてな。ははは」

私からそういった話題が出るのがよほど珍しいのだろうか。お父さんがなかなか言わない冗談を零した。

「・・・」

しかし、そんな何気ないようなお父さんの言葉が私にこの話題を切り出す機会を与えてくれた。そう、将来についてだ。

「お父さん、お母さん。突然だけど・・・私、もっと日本で走っていたい。もっと、レースに出ていたい。だから、帰国を先伸ばしさせてください!」

今年の夏、合宿にてトレーナーさんが漏らした一言。

『君の走りを目に焼き付けていた』

まるで消えゆく炎を眺めるような、そんな口ぶりは私にスケジュールの終わりを意識させるのには十分だった。

予定の完遂が近い事への達成感と共に私の中に感じたそれの正体は、すごく単純なものだった。今日、あの歓声を浴びながら悟った。これは、欲望なのだと。もっと走っていたいという、ただそれだけのすごく単純な感情。でもそんな単純な感情はもう、無視できない程私の中で大きくなり存在を主張していた。そして私は決断をした。この感情に従うことを。この直感を信じようと。そう決めたのだ。トレーナーさんがそうであるように。

「ダメ・・・でしょうか?」

反応がなく、不安になって再び問う。

「ダメな訳ないですよ。あなたが本当に望んだ進路なら、それを応援しない親なんていないわ」

「母さんの言う通りだ。フラッシュ自身が道を決めて、そこに進みたいというならそれを応援するのが筋ってものさ。寧ろ、させてくれ」

私の肩に手を添えて優しく言ってくれる両親。トレーナーさんとはまた違った安心感を感じ、緩み切った私は両親の方に体を倒す。ハンモックの様に私を優しく受け止めてくれる2人の腕が懐かしくてまた頬が緩む。

「ありがとう、papa、mama」

久しぶりに呼んだこの呼び方で、私の心は完全にドイツにいたあの頃に戻っていった。

 

翌日・・・

朝、私は両親に来年になったら一度帰ることを約束してトレセンに戻ってきた。

「おはようございます、トレーナーさん」

トレセンに戻って真っ先に向かったのはもちろんトレーナー室。昨日の件を報告するためだ。

「ああ、おはようフラッシュ。いい時間は過ごせた?」

「はい。おかげさまでとても充実した時間を過ごさせていただきました」

「そっか、良かった」

言葉と共に優しい笑顔を私に向けるが、それもすぐに剥がれ落ちて寂しげな表情に変わる。

「あの・・トレーナーさん」

私は意を決して話を切り出す。

「私・・・予定の変更をしたいです」

「いいよ。いつのを変える?」

「有マ記念後に引退すること・・・いえ、今後10年の私の予定全てです!」

「・・・え?」

取り出したメモ帳とボールペンを床に落とし、エイプリルフールであることを望むような眼差しで私を見つめる彼。

私はその言葉を現実にするべく、おもむろに分厚いスケジュール帳を取り出し彼の前でそれを引き裂いた。破れた紙が舞い散る中、私は彼の方へと歩みを進め、さらに言う。

「私のレース引退を先送りにし、選手生活を続けたいんです!貴方と!まだまだ走っていたいんです!」

「・・・君がそうしたいのなら、俺はどこまでだってついていくよ。でも、本当にいいのかい?」

よほど嬉しいのでしょうか。頑張ってかっこいい表情にしようとしているのに、偶にころっと可愛い笑顔が見えています。そんな所もまた、愛おしい。

「これが私の選択です。私が達成したい、『誇り』を選んだんです。ただ・・・スケジュール帳を破いてしまったのは、やはり少しの喪失感を感じてしまいますね。ですが、これからのスケジュールは貴方と2人で作っていくのです。1人で作ったあのスケジュールはもう、いりません」

「そっか。・・・じゃあ、今後ともよろしくね。エイシンフラッシュ」

「はい。よろしくお願いしますね。トレーナーさん」

ここからが、私たちの新しい1歩だ。2人で、まだ見ぬ未来を描いていくのだ。

そう考えると、心が躍った。

「ではまずは破棄した10年分の予定を立てましょう。もちろん、2人で」

朝日が照らすは私たちの未来。風が導くは無数の幸福。秋の空気は、私たちを祝福しているようだった。

 

更に時は流れ翌年1月・・・

『美しい青空広がる、東京レース場。ターフも絶好の良バ場になりました』

私は今、再びこの地で晴れ舞台に立っていた。ファンファーレが鳴り響き、体中がソワソワとうずく。レース前の武者震いの感触をひしひしと感じながら私は定刻通りに1と書かれたゲートの中に入った。

『各ウマ娘、ゲートに入って体勢整いました』

Auf geht's(行きましょう)!」

ガシャンという音共にゲートが開き、私は歩みを進める。

URAファイナルズ王者の座を掛けた勝負が今、始まった。

『スタート!』

 

~~~~~~

 

ゲートが開くのと同時に、各ウマ娘が一斉に飛び出した。

まずはダイワスカーレットとペルーサが先頭を目指して飛ばす。

それに続いてアグネスタキオンやメジロライアン、ヴィクトワールピサといった先行集団が走りその少し後ろに出遅れたルーラーシップが続く。

そこから4バ身程離れてエイシンフラッシュら、さらに2バ身程離れてゴールドシップとアドマイヤベガが走っていた。

『ダイワスカーレットとペルーサ!早くも競り合っていっる様子!』

先頭ではダイワスカーレットとペルーサが先頭狙いどんどんスピードを上げる。それに影響され、他のウマ娘たちもペースを上げていた。

『先頭からシンガリまで13バ身の差で第3コーナーに入ります』

「(・・・まずいな・・・ここまで列が長くなるとフラッシュの末脚を発揮できても先頭を取れるか・・・。ハイペースなレースも相まって余計に厳しいか?)」

トレーナーの心にも不安が差し込んできた。

そしてレースはさらに進み第4コーナーここまでのタイムは1分30秒弱。超がつくほどのハイペースなレースなのが伺える。

見守るトレーナーの目にも走っている彼女たちの様子がはっきりと映り、気づけば客席が沸き立った。大歓声が巻き起こり、皆がそれぞれの推しウマ娘にエールを送る。

トレーナーもそれらに感化され声を張り上げる。誰よりも担当のために時間を使い、誰よりも彼女のために行動した自分自身が声を出さなくてはならない。そう思い、過去一番の声を腹の底から出した。

「いけーー!フラッシュ!もう少し!諦めるなあ!!」

その声が引き金となって、フラッシュは軌道を変えた。

『エイシンフラッシュ!内を回った!先頭を捉えた!』

 

~~~~~~

 

「はあ・・・はあ・・・」

周囲の音が雑音の様に頭の中にうるさく響く。呼吸がややおぼつかなくなり、視界が少しぼやける。

だが、沈みかける思考を叩き起こし、再び目の前のレースに集中させる。

今の先頭はダイワスカーレットさん。先程まではかなり距離が開いていましたが今はもうかなり縮めることが出来ました。しかしそれは他の皆さんも同じ。ルーラーシップさんやヴィクトワールピサさんは既にダイワスカーレットさんを完全に捉え、先頭を取るタイミングを見計らっている。それに直接見える訳ではないですが私の後ろにはアドマイヤベガや何よりゴールドシップさんが控えています。今安易に出るのは得策とは言えません。

・・・。・・・っ!?また思考が・・・。

再び沈みかけた集中力持ち直させ、状況をよく見る。その時・・・

「いけーー!フラッシュ!もう少し!諦めるなあ!!」

先程から雑音になっていた応援の中で1つだけ、私の耳に真っすぐ届くような声が聞こえた。この声は間違いなくトレーナーさんのものだと分かった。

「今・・・ここで弱音を吐いてる場合じゃない!」

トレーナーさんの声に力を貰い、脳の全てを持っていして打開策を練る。色んな箇所に目を配ると、1つの案が出てきた。

コーナーの内側が大きく空いていたのだ。チャンスはここしかない。私は確信しそのルートに進路を変える。今のスピードのままカーブを曲がるのは危険な賭けだが、私は迷わず実行した。今、私が勝つルートは間違いなくこの方法なのだ。

『エイシンフラッシュ!内を回った!先頭を捉えた!それに続くはゴールドシップ!』

聞こえてくる実況通り、私はぐんぐん順位を上げる。1人、また1人と抜かして行き、ついに先頭集団と肩を並べた。

垂れてきた蜘蛛の糸を掴むように、天の声に従うように、私は最後の直線に入る。

「「「はあああ!」」」

横に並ぶルーラーシップさん、ヴィクトワールピサさんと激しく競り合う。火花散らすデッドヒートの中、急に走馬燈の様に記憶が流れてきた。

日本に来たばかりの頃の戸惑い、オロオロしてばかりいた懐かしいき日。両親が来る選抜レースに向けて必死に努力していた時の焦燥感。レースで全力を出して勝った瞬間の喜び。ファルコンさんら学友たちと過ごす何気ない日常。

そして・・・何より浮かんでくるのは・・・

『訂正します。予定ではなく、彼女のトレーナーです』

『まずは君の走りだ。君の走りを見てビビっと来てね。まさに・・『ひとめぼれ』かな?』

『俺が、君を守る』

トレーナーさん。

あの人の優しさが、強さが、愛情が、私をここまで強くしてくれた。私の手を取り、ここまで導いてくれた。

だから・・・私は負けない!貴方が連れてきてくれたこの舞台で!私は、私の力で勝ちたい!勝つ!勝つんだあああ!

この願い・・・

「今こそ・・・成就の時!」

言葉を口にした途端、体中から力が溢れ出した。さっきまで振り絞り、もう残り僅かのように思えていたはずの活力が漲り、足を進める動力になる。

その力に身を任せ、さらに速度を上げて走る。ただがむしゃらに、力の限り、走った。

 

 

 

 

『ターフを駆ける一筋の閃光が今、1着でゴール!エイシンフラッシュ。圧倒的末脚で他のウマ娘を完全に振り払った!』

「・・・!?」

その実況が聞こえた時、ようやく自分がゴールしていたことに気が付いた。

「はあ・・・はあ・・・」

力を出し切り、もう立つ力さえもない私はターフに倒れ込み、青空を眺めた。

故郷とはまた一味違った青空は、私を包み込んでくれた。

タイムは1分55秒9、上がり3ハロンは31秒3。どちらもレコード記録であった。間違いなく私の大勝利だ。

「見てる?papa、mama・・・。私、勝ったよ」

 

「フラッシュ!おめでとう!ほんっとうに・・・おめでとう」

涙を流しながら私を抱きしめるトレーナーさんをそっと抱き返す。

「貴方がいたから・・・私は勝てたんです。ありがとうございます、トレーナーさん」

微笑むと、トレーナーさんはまた目頭を押さえながら涙を零した。

「っ・・・ヤバ・・・また涙が・・・」

まだ溢れるトレーナーさんの涙を優しく指で拭い取り、トレーナーさんの顔を胸に押し当てる。すると、トレーナーさんの涙も少しずつ収まってきた。

「さ、もう涙は収まりましたか?もう少ししたらウイニングライブなんですから」

「っと、そうだったな。じゃあ、ライブが終わったらまたここで」

そう言ってトレーナーさんは控室を飛び出していった。

私はそれに続いて控室を出て、走りゆくトレーナーさんに向けて声を掛けた。

「トレーナーさん!・・・絶対に、笑顔で見に来てくださいね!」

私の呼びかけに返答の声は返ってこなかった。しかし代わりのサムズアップが見えた。

私も思わず、サムズアップを返した。

 

~~~~~~

 

あの後急いでライブの席を取り、身だしなみを整えて万全の準備を期してからフラッシュの晴れ舞台を今か今かと待ちわびた。

今日のレースの感想を口々に言う観客たちの声を聞く度、口角が不自然なくらい上がってしまい、周りの人にドン引きされることがあったり、いつもレースの時に鉢合わせするフラッシュのファンの人たちと交流したりと多少のイベントもあったりしながら無事、ライブの時間を迎えた。

会場のボルテージもMAXに近づき、皆がワクワクしながら彼女たちの登場を待っていると、ステージのスポットライトが輝き、曲が流れだした。

曲はライブの振り付け指導に四苦八苦したある意味トラウマがある曲、『うまぴょい伝説』。URAファイナルズシリーズのためだけに書き下ろされた新たなウイニングライブ曲であり、常人では思わず、なんだこれは。と漏らしてしまうような歌詞が特徴的だ。これの歌詞を書いた奴が正気か俺は聞きたい。

『位置について よーい、ドン!』

フラッシュの掛け声と共にステージの全体が明るくなり、今回の上位3着であるエイシンフラッシュ、ルーラーシップ、ヴィクトワールピサの3人がおててを繋ぎながら階段を駆け下りる。

それから皆が歌っていくのだが彼女から紡がれる言葉は『うまだっち』だの『うみゃ』やら本当に意味が分からない。ただそれがクセになるのだ。とにかく、そんな中でも俺たちファンはコールを全力でする。それこそがトレーナー道であり推し活なのだ。

やがてサビが近くなり、段々と会場の雰囲気が盛り上がる。

そしてサビ突入の瞬間。ウマ娘とファンの心それぞれを完全に体現した素晴らしき歌詞(コール)を腹の底から叫ぶ。

『君(俺)の愛バが!』

 

ウイニングライブを終え、俺とフラッシュは東京レース場を後にし俺の家に向けて一緒に歩いていた。

「では改めまして。フラッシュ、URAファイナルズ優勝おめでとう!」

「ありがとうございます。ですが、先程も言った通り、私だけでは勝てない戦いでした。貴方がいたから勝てたんです。ですから、これは私たちの勝利。ということにしませんか?」

「そっか・・・。担当にここまで思われるなんて、トレーナー冥利に尽きるな」

顔が赤くなっているのをを自覚しながらも、それを意に介さぬ風に言って照れを誤魔化す。

「トレーナーさん、顔が赤いですよ。・・・可愛いですね」

いたずらっぽい笑みを浮かべながらこちらをからかうフラッシュ。バレてたか。

「俺も一応男だもんでさ、可愛いよりかっこいいって言ってほしいな~なーんて」

そんな彼女を肘で小突きながら反論をする。

「ふふっ、そういう所ですよ。可愛いのは」

「むー」

ほっぺたを膨らませて反抗する意思を見せるがフラッシュには笑って誤魔化されてしまった。

そんな感じで歩いていると、公園に差し掛かった。俺は足を止め、その公園に行くことを提案した。

「フラッシュ。ちょこっとだけあの公園寄ってかない?」

「確かに貴方の家に着く時刻までまだ余裕がありますが・・・何をするんですか?」

「君に見せたいものがあってさ」

きょとんとする彼女の手を引いて公園に入っていく。

遊歩道を道なりに沿って歩いているとやがて開けた場所に出た。遠くを見れば都心の夜景が眩しく輝き幻想的な雰囲気を出していた。

そしてフラッシュの方を見れば、その夜景に目を奪われている様子でその表情だけで連れてきた価値があったと感じる。

光に照らされ反射する美しい黒い毛並み、綺麗に整った凛々しい顔、白雪のような柔らかい肌。そしてそんな彼女を彩る大人びた服。フラッシュを構成する全ての要素が完璧に混ざり合って彼女を美しく見せていた。

もう抑えられない。俺はついに覚悟を決めた。

「・・・綺麗だ」

そんな彼女があまりに美しく、つい言葉が漏れてしまう。

「え?」

「フラッシュが美しいってこと」

「ど、どうしたんですか急に///」

「・・・君と一緒に過ごした3年間、今までの人生で一番充実してた」

「と、トレーナーさん?」

俺の独白に戸惑いを隠しきれていない様子のフラッシュ。だが俺はそれを尻目に独白を告白に変える。

「これからも君と一緒なら、こんな毎日がずっと続くんだろうなって。そう思ってる」

「え?え?」

「だからさ、君の一生の予定に・・・俺を加えておいてほしいんだ」

「っ!それって・・・」

俺は懐から白い小箱を取り出し、フラッシュの前に膝まづいた。そしてその小箱をフラッシュの前で開き、一世一代のプロポーズをする。

「エイシンフラッシュさん。俺と、結婚してください!」

俺たちの間に静寂が訪れた。時が止まったかのように全く動かず、ただ都会の喧騒な音が鳴り響く。

流石に俺も不安を覚え、伏せていた顔を上げてフラッシュを見ると、彼女は中に入っているダイヤモンドの指輪を見て涙を一筋流していた。

「フラッシュ?」

「あ・・・いえ・・・これは・・・」

突然、流れた涙に困惑している様子の彼女に俺はゆっくりでいいと声を掛ける。

「あ、はい。・・・えっと・・・はい、喜んで!」

フラッシュは最っ高の笑顔で承諾してくれた。その時の笑顔は、涙が都会の光に反射して彼女の美しい顔をより一層綺麗に見せていた。

「あの、せっかくなので貴方にこれを付けて貰いたいです」

「ん。じゃあ付けるね」

そして俺は彼女の手を取り、薬指に指輪を丁寧にはめていく。するりと指輪ははまり、彼女の手で輝いていた。

「似合っているよ」

そして俺は彼女の手の甲に唇を落とした。

俺にとって宝そのものである彼女を生涯かけて大切にしよう。そう誓うように。

「ふふっ。本当に嬉しい。私が・・・トレーナーさんのEhefrau()・・・」

「気に入ってもらえたようで何よりだよ。それじゃあフラッシュ。改めてこれからもよろしくね」

「はい。よろしくお願いします」

そしえ俺たちは、我が家に帰っていった。

 

「ただいま~」

ガチャリと音を立ててドアが開く。昨日はレースの準備で帰れなかったため2日ぶりの我が家である。

「お邪魔します」

「もう、フラッシュ。ここはもう君の家でもあるんだから、ただいまでしょ?」

遠慮がちなフラッシュにしっかり指摘をする。

そう、俺たちはもう婚約者なのだ。こういう所からしっかりしていこう。

「っと・・・そうでしたね。では・・・ただいま」

噛みしめるように言うその言葉に、俺もしっかり返答する。

「うん。おかえり」

「あっずるいです。私もおかえりって言いたいです」

「えっ・・じゃあただいま」

フラッシュの思いもよらぬ提案に驚きながらも望み通りの行動をする。

「はい、おかえりなさい」

久々に言われたその一言は、家族の温かさを思い出させるには十分だった。

 

「あっそうだフラッシュ。今後のことなんだけどさ」

夕食も風呂も終えて時刻は9時半過ぎ。リビングでゆっくりくつろいでいる時に俺が話を振った。

「完全同居はまだにしよっか。あ、でも来たい時はいつでも来ていいから。前に渡した合鍵使ってくれてもいいし」

「何故・・・ですか?」

「俺と君はこれから数十年にわたって一緒に居れるだろ?でもさ、寮のみんなと一緒に過ごせる朝はさ、それと比べると多くないんだ。だったら今は寮のみんなと思い出を作ってほしいなって」

ここだけは譲れない。まだ彼女は青春真っただ中なのだ。出来ることは今してほしい

「そういう事ですか。それなら私も賛成です。・・・ふふっ」

そうだ。友との思い出というのも、大事な物なんだ。そんな瞬間瞬間を必死に生きて、楽しんで欲しい。

「それと・・・結婚式のことなんだけど・・・」

これはまだ先の話かもしれないが案外そうも言ってられない話。

「日本とドイツで1回ずつやらないか?」

日本の友人たちにもドイツの友人たちにも、両方に晴れ姿を見せてやりたい。

「・・・・・結婚式って役所でするものじゃないんですか?」

「ふぇ?」

「ふぇ?」

驚いた。まさかここで文化の違いが出るとは。

「えっと・・・婚姻届提出を役所でして結婚式は教会なり神社なりでやることを指すんじゃないのか?」

「?婚姻届を提出した後、役所にて婚姻の儀式を行うことが結婚式じゃないんですか?教会で式を挙げるのはクリスチャンだけでは?」

しまった想像以上に違った文化だ。

というかドイツの結婚式ってそんな感じなのか。じゃあ、『その結婚ちょっと待った』は出来ないのか。

「なるほど。ドイツ式だとそうなのか・・・。えっとね、日本だとさっき言った感じなんだ。ドラマとかで見たことないかな?」

「いえ、見たことはないですかね・・・。お付き合いしたり同棲したりなどはドラマでもやっていましたが挙式については・・・」

「なるほどね~。・・・ちょっとスマートファルコンに聞いてみて。理想の結婚式は?なんて聞いてみたら少女漫画のページとセットで出てくるかも」

「なるほど。それは名案ですね。早速聞いてみます」

そう言ってフラッシュはスマホを取り出してすぐに電話をした。電話を掛けてすぐ、『ありがとうございます。ファルコンさんもおめでとうございます』と言っていたので恐らく今日のURAファイナルズ優勝について祝われたのだろう。

良い友達を持ったね、フラッシュ。

 

「はい、分かりました。待っていますね」

最後にそう付け加えてフラッシュは電話を切った。

「すぐに写真を送ってくださるそうです」

「写真?」

漫画のページを撮影するのだろうか?

「はい。ファルコンさんのご両親の結婚式だそうです。昔からご両親にその話を聞かされていたそうで自分もそのようなものに憧れた・・・と」

結構可愛いところがあるではないか。一体どんなものか気になる。

「家族思いなんだな。ファルコンも」

「はい。そういう所も自慢の友人です」

そしてファルコンから写真を待つ間、ふと思いついたことを聞いてみた。

「そういえば・・・フラッシュって日本国籍取得してる?」

「いえ、国籍はドイツのままで滞在ビザの更新を定期的にしています。以前トレーナーさんもつい来て下さりましたよね?」

「あ~、やっぱりか・・・」

「?」

「フラッシュ。挙式は何とかなるけど婚姻届は出せねえ・・・。しばらく事実婚だ俺たち」

「?」

「国籍が違うから結婚して変える国籍がない」

「あっ・・・」

これを言った途端2人の間にこの話をする気力が消え、結婚式の話をほっぽり出して一緒に寝た。

 

「って、ファル子の写真については~!!」

 

【うまぴょいRTA 計測開始から1086日】




フラッシュパパはイケおじでフラッシュママはマダムってイメージで書いてます。伝われ・・・伝われ・・・

ギャグ小説の冠そろそろ下ろした方がいい気がしてきたぜ
つ、次はギャグの予定だから・・・後生ですから許して・・・

出バ表ですが枠番と人気に関しては完全ランダムで決めました。このメンバーでこの人気はおかしいだろという意見も出るかもですがそれは私の運勢に言ってください(責任転嫁)
またメンバーですがエイシンフラッシュの同期(ウマ娘されてない馬も今回は入れさせてもいただきました。早く実装されて♡)、また年代が近いウマ娘、そしてエイシンフラッシュが種付けした牝馬の父、そしてダイワスカーレット(特別扱い)から18名を選ばせていただきました。メンバー探すの難すぎな(じゃあ選ぶなよ)

レース描写に関しては・・・はい。頑張った結果がこれです。すいません

・・・5分遅刻
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