冬月よ、エヴァに乗れ!   作:朝陽晴空

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冬月よ、エヴァに乗れ:序 (2022/08/27 13:09改稿)

「シンジ、エヴァに乗るのか乗らないのか、はっきりしろ。乗らないのならば、帰れ!」

 

 エヴァ初号機の格納ケージ。

 隣に立つ碇ゲンドウの言葉で、眉間のしわがさらに深まる。

 私は冬月コウゾウ、特務機関ネルフの副司令をしている。

 

 

 

 碇は自分の息子を初号機に乗せようと強要している。

 

「シンジ君、あなたは何のためにここまで来たの? 逃げてはダメよ、エヴァから、そして何よりもお父さんから」

 

 葛城一尉が説得に当たるが……彼は黙って俯いたままだ。

 

 

 

 碇は胸を張って、息子の説得は任せろと言っていた。

 雑務に追われて忙しい事もあり、ヤツに丸投げしたのが間違いだった。

 『来い。』と書いた手紙だけで、彼が第三新東京市に現れたのは奇跡だ。

 

 

 

 高圧的に命令すれば、息子は黙ってエヴァに乗るとたかをくくっていた碇の傲慢さを嘆いても遅い。

 葛城一尉も彼のために話しているのではない。

 他人に掛ける言葉にはどうしても本人の願望が乗ってしまう。

 

 

 

 彼の敏感な心のアンテナは、葛城一尉が自分のためにエヴァ乗せようとしている事を感じ取っているのだろう。

 非情にも使徒は猶予を与えてはくれない。

 使徒の攻撃により、私たちの居るエヴァ初号機ケージも大きく震動した。

 

 

 

「ヤツめ、ここに気付いたか」

「どうする、零号機パイロットは使えんぞ」

 

 他の人間に聞き取られないように低い声でそっと囁いた。

 零号機は使徒に武力偵察を試みた際に、使徒の攻撃で重傷を負わされた。

 パイロットである綾波レイも胸から出血するほどの大怪我だった。

 

 

 

「ならば冬月、お前がエヴァに乗れ」

 

 碇が発した言葉に私は耳を疑った。

 

「碇、何を言い出すのだ!?」

「先生は初号機のコアに誰が眠っているかご存知のはず。会えるかもしれませんよ」

  

 ユイ君を餌にして私を乗せようと言うのか。

 だがその手には乗らん。

 

 

 

「それならば碇、お前がエヴァに乗った方が良いだろう。夫婦なのだからな」

 

 皮肉を込めてそう答えると、碇は不敵な笑みを浮かべた。

 

「私はネルフの総司令です。人類補完計画も私が居なければ進みません」

「……その為には私を犠牲にするのも厭わない訳か」

 

 

 

 私は碇よりも一回り年上の60歳だが、ヤツに敬意を払われる事は無かった。

 ユイ君と再び会えるかもしれないと言う悪魔のささやきに乗ってしまい、私は碇に服従した。

 

「シンジの説得は続けます。ほんの少しの間の辛抱ですよ」

 

 

 

 碇とヒソヒソ話を続けていると、不審な目で私たちの方を見つめている周囲の視線に気が付いた。

 

「……仕方ない、私がエヴァに乗ろうではないか!」

 

 大きな声で私がそう宣言すると、室内は大きなざわめきに包まれた。

 葛城一尉も酸欠気味の金魚のようにしばらくの間、口をパクパクさせていた。

 

 

 

 

「副司令がエヴァに!? ちょっちリツコ、いったい何がどーなってんのよ!?」

「わ、私だって常識を疑うわよ!」

 

 赤木君も突拍子もない私の発言に激しく動揺しているようだ。

 

 

 

 さあ碇シンジ君、60歳を迎える老人がエヴァに乗ると言っているのだ、自分がエヴァに乗ると言ってくれ。

 

「副司令、エヴァの操縦方法については改めてレクチャーする必要はありませんね?」

「ああ、資料には一通り目を通してある」

 

 

 

 冷静さを取り戻した赤木君の問い掛けに、私は頷いた。

 現実は非情なものだ。

 彼は私の期待には応えてくれず、黙って俯いたままだ。

 

 

 

「ユイ君、私の呼び掛けに応えてくれ……」

 

 初号機のエントリープラグに乗り込んだ私は、L.C.L.に包まれながらユイ君に心の中で語りかけた。

 シンクロするにはこれしかないと考えたのだ。

 

 

 

「エヴァ初号機、起動しました!」

 

 オペレータの伊吹君が報告すると、悲鳴に似たどよめきが起こった。

 皆、喜びよりも困惑した気持ちの方が大きいようだ。

 

 

 

 綾波レイは零号機とシンクロするのに数ヵ月掛かったのだが、私は一回で初号機とシンクロが出来てしまった。

 老人が巨大人型兵器を動かす奇跡など、顎が外れるほど驚いただろう。

 

「葛城一尉、出撃だ。さもなければ人類に未来は無い」

「りょ、了解しました、エヴァ初号機、発進!」

 

 

 

 碇め、何のためらいもなくそれを言うか。

 副司令が居なくなったら困るのは自分なのだぞ、考え直す気は無いのか?

 出撃を命じる葛城一尉の声は激しく震えていた。

 

 

 

「副司令、まずは歩く事だけを考えて下さい」

「心得た。やってみよう」

 

 私は赤木君に言われたように、初号機の右足を踏み出そうとした。

 しかし初号機は直立したまま、全く動こうとしない。

 

「どうしました!?」

「動かん、動かんのだよ……!」

 

 葛城一尉の呼び掛けに対して、私はそう答えた。

 

 

 

 必死にエントリープラグの中でもがいても、初号機はピクリとも動かない。

 おかしい、起動は成功したはずだ!

 

「シンクロ率、10%を切っています!」

 

 伊吹君の声を聞いた私は深い溜息を吐き出した。

 どうやら私の集中力の限界がきてしまったらしい。

 車の運転も控えていたほどだ、若者の様にはいくまい。

 

 

 

 使徒は初号機を察知し、グングンとこちらに迫り来る。

 そして使徒は腕を伸ばし、初号機の首を絞める。

 まるで自分の首が絞められたかのように、私は息苦しくなる。

 指先一本すら動かせず、無抵抗だった。

 

 

 

「私は……死ぬのか……」

 

 走馬燈のように過去を思い出す時間も無いまま、私の意識は途切れた。

 

 

 

 

 

 

「私は……助かったのか……?」

 

 目を覚ました私の目に映ったのは、ジプトーンの天井だった。

 ベッドの中に居る感触もあって、ネルフ施設の病室だと確信した。

 建築費を節約するように、自ら予算を組んだのだから間違いはない。

 ネルフはエヴァには予算を注ぎ込むが、それ以外は厳しいのだ。

 

 

 

「副司令、お目覚めですか!」

 

 目を開いた私を見て声を上げたのは、椅子に座って見守ってくれていた日向君だった。

 彼は直ぐにスマホで葛城一尉に私の覚醒を報告をしていた。

 体を起こそうとすると、痛みが走った。

 

 

 

「ああ、副司令! 無理はなさらないでください!」

 

 止められて私は身体を再びおろした。

 日向君の話によれば、使徒に首を絞められていた初号機は、突然狂ったように暴れ始めたようだ。

 

 

 

 私が気絶したままの状態でも、初号機は使徒のA.T.フィールドを打ち破ってコアを砕き、殲滅したらしい。

 

「やはり副司令が御自分で動かしていた訳ではないのですね……」

 

 四足歩行で獣のように暴走する初号機を見て、彼も予想はしていたらしい。

 

 

 

「ユイ君が私を守ってくれたのか……」

 

 初号機に息子を乗せて覚醒させようとした碇と私の計画は果たせたのかもしれない。

 これでゼーレに多少の言い訳が付く……訳が無かろう!

 このような老人をエヴァに乗せるとは!

 

 

 

「今まで体験した事の無い、全身の筋肉痛だよ」

 

 気絶している間も、初号機と私の神経接続は解かれなかったのだろう。

 普段使わない筋肉までもが総動員されていた。

 

 

 

「人並外れた動きでしたからね。俺にもあんな動きは出来ません」

 

 青葉君も病室にやって来て、日向君と二人でマッサージを始めてくれた。

 

「呼ばれた碇の息子……シンジ君はどうしている?」

「葛城一尉が自分の家に引き取って、説得を続けているようです」

 

 彼はネルフに残ったか、それでは私はお役御免だな。

 マッサージの心地良さもあってか、気分がずいぶんと和らいだ。

 

 

 

 !? いやいや待て待て!

 今、青葉君は説得を続けていると言わなかったか?

 

「彼はエヴァに乗るとは言わなかったのか?」

「はい、まだ保留中のようです」

 

 碇は私を再びエヴァに乗せるつもりではないだろうな?

 『老骨に鞭打つ』とはこの事だ!

 

 

 

 

 

 

 そして一週間後、文字通りの出来事が起きた。

 光る鞭を操る使徒が現れ、私は碇の命令でエヴァに乗せられた。

 初号機が使徒の鞭で打たれる度、私の身体に痛みが走る。

 

「あのぉ、副司令。無理はなさらないで下さいね?」

 

 作戦課長の葛城一尉はとてもやり辛そうだ。

 

 

 

 初号機が一度覚醒した影響からか。

 疲れるほど集中しなくても、普通にエヴァを動かせるほどのシンクロ率は保っていられた。

 

「しかし葛城一尉。こうなっては使徒に接近し、ナイフでコアを破壊するしかあるまい」

 

 

 

 新しい武器として、赤木君が用意してくれたエヴァ用のライフル。

 世界で最も硬いとされる劣化ウラン弾だが、使徒のA.T.フィールドは破れなかった。

 

「はい、誠に遺憾ながらその通りです」

 

 葛城一尉は副司令の判断に軽々しく異議を挟める立場にはなかった。

 安全を考えての遠距離攻撃だったのだろうが、失敗に終わった。

 

 

 

 初号機で前進し、使徒との距離を詰めて行く。

 

「電源ケーブル切断、内部電源に切り替わります!」

 

 使徒の鞭の一撃が、初号機の背面から伸びる電源ケーブルを薙ぎ払った。

 電源ケーブルを付け替えようと兵装ビルに移動しようとした私の視界に、二人の少年の姿が入った。

 

 

 

「シンジ君のクラスメイト!? どうしてこんな所に!?」

 

 驚いた葛城一尉が叫んだ。

 緊急事態宣言により、民間人はシェルターに避難しているはずだ。

 子供たちが外に出てしまえるほど管理が杜撰だとはな。

 警備員の人件費を削減して見張りを減らした、身から出たサビだ。 

 

 

 

 初号機を後方へ動かせば、踏み潰してしまうかもしれん。

 電源ケーブルの交換は諦めるしかなかった。

 こうなっては内部電源が切れる前に決着を付けるしかあるまい!

 

 

 

「副司令、無謀です! 引き返してください!」

 

 葛城一尉の制止に耳を貸さず、私は使徒に向かって突き進んだ。

 使徒の鞭が初号機の腹を貫通する。

 ユイ君、私に力を貸してくれ……!

 私は痛みに耐えながら前進を続け、使徒のコアに向かってナイフを突き立てた。

 

 

 

「活動限界まで後10秒!」

 

 伊吹君が悲鳴を上げた。

 発令所の皆が見つめる中、私はナイフを持つ手に力を込めた。

 しかし使徒のコアが破壊される前に、初号機は沈黙した。

 

 

 

「動け、動いてくれ!」

 

 傷を負わされた使徒は怒り、前にも増して激しく初号機に鞭を打ち付ける。

 活動限界は過ぎたはずだが、全身に初号機の受けたダメージがフィードバックされる。

 あまりの痛さに、私は意識を手放した……。

 

 

 

 

 

 

「また……助かったのか……?」

 

 目を覚ましたのはジプトーン天井の一室だった。

 またネルフ施設内の病室に運び込まれたのか。

 

 

 

「副司令、お目覚めですか」

 

 落ち着いた様子で声を掛けてきたのは、日向君だった。

 彼は以前と同じくスマホで葛城一尉に報告をした。

 体を起こそうとすると、痛みが走ると思った私は、そのままの姿勢で話す事にした。

 

「また初号機が暴走して、使徒を倒したのか?」

「はい、完全に内部電源は切れていたはずだ、と赤木博士は話していました」

 

 彼は私にそう答えた。

 

 

 

 またしてもユイ君に命を救われたという訳か。

 前とは違い、私の腹部には包帯が巻かれている事に気が付いた。

 使徒の鞭が初号機の腹を貫通したのだ、私の身体にもダメージはあったのだろう。

 

 

 

「私は腹部を怪我をしているのか?」

「はい、使徒の攻撃は肋骨の間をすり抜けたので、骨にヒビが入る事は免れましたが、念のためにと赤木博士が」

 

 この傷はマッサージなどで治るものではない。

 碇も怪我人をエヴァに乗せはしないと思いたい。

 彼から綾波レイの傷は回復していると聞いた。

 

 

 

「これからは零号機が使徒迎撃の任務に当たるそうです。副司令はゆっくりと静養なさってください」

「エヴァに乗る以外にも私の仕事は沢山あるのだよ、そうとも言ってられん」

 

 私はシンジ君の現況について尋ねた。

 

 

 

 彼は葛城一尉と家族のように暮らしてはいるが、エヴァに乗る事に関しては承諾していないのだと話した。

 初号機の覚醒を達成した今でも、碇が遠ざけていた息子をネルフに留めて置くのは意外だった。

 予備パイロットしての利用価値を考えているのか。

 

 

 

 

 

 

 運命の神は私に再三の試練を与えた。

 三度目に襲来した使徒は、遠距離を攻撃できる陽電子ビームを放つ敵だった。

 葛城一尉は零号機が使徒の射程圏外から超長距離射撃で倒す作戦を立案。

 

 

 

 その『ヤシマ作戦』は碇の承認を得て実行に移された。

 発令所で皆と一緒に作戦の様子を見守る事になった私だが、不思議と胸騒ぎがした。

 初号機が私を呼んでいる……?

 

 

 

 そんな気がしてならなかった私は、発令所を出て初号機ケージへと向かった。

 私がケージに到着すると、初号機は待っていたかのように、私に向かって手を差し出した。

 初号機の手のひらに乗った私は、エントリープラグへと導かれる。

 

 

 

「初号機、起動しました!」

 

 伊吹君が報告で、作戦の実行直前で慌ただしかった発令所が、さらに輪をかけて騒がしくなった。

 副司令が忽然と姿を消した事にも気が付かんくらいだからな。

 

 

 

「副司令、いったい何をなさるおつもりですか!?」

「葛城一尉、初号機をポイントZで射出させろ!」

 

 鬼気迫る私の表情に気圧されたのか、葛城一尉は命令通りにポイントZに初号機を射出させた。

 

 

 

 碇は私を止めようとはしなかった。

 ポイントZは使徒から遠く離れた場所にある。

 地上に射出された初号機で、私は零号機の元へと急いだ。

 この胸騒ぎが、余計な心配に終わってくれればそれで良い。

 

 

 

「陽電子砲、発射!」

 

 葛城一尉の号令で、零号機の撃った陽電子砲から発射されたビーム。

 それは使徒のコアを直撃するかと思われた。

 

 

 

 だが攻撃に気が付いた使徒も、陽電子ビームで反撃。

 互いの陽電子ビームは干渉し合って軌道が曲がってしまった。

 その結果、零号機は使徒を一撃必殺で仕留める事は出来なかった。

 

 

 

 再び使徒が放った陽電子ビームにより、零号機は陽電子砲ごと消滅する。

 発令所の誰もが覚悟していただろう。

 だが私がそうはさせなかった。

 

 

 

 零号機を庇うように大の字に立ち塞がり、A.T.フィールドを展開して使徒の放った陽電子ビームを受け止めた。

 

「第二射を急ぎたまえ!」

 

 私の言葉に零号機は反応し、陽電子砲の再充填を始めた。

 

 

 

 A.T.フィールドで使徒のビームの威力を抑えているが、全身に激痛が走る。

 大火傷を負った経験は無いが、焼け死ぬのではないかと感じた。

 気絶すれば、初号機のA.T.フィールドは消えてしまう。

 

「はぁぁぁぁぁっ~!」

 

 大きく息を吸って気合いを入れ直すが、やはり私の意識は激痛に耐えられなかった。

 

 

 

 

 

 

 気が付くと私は一面オレンジ色に包まれた世界に居た。

 L.C.L.の海の底のような感覚だ。

 今までいた場所とは隔絶された、静かな場所だった。

 

「冬月先生……」

 

 銀色に輝く、人の形をしたシルエットが、煙のように私の目の前に現れた。

 

 

 

 輪郭しか認識できないが、私には間違いなくその人影がユイ君だと分かった。

 

「ユイ君……」

 

 手を伸ばすと、自分も同じ銀色の発光体となっている事に気が付いた。

 私がユイ君の腕をつかもうとすると、ユイ君は避けるように腕を引っ込めた。

 

 

 

 まだ私は生きなければならないとユイ君は言っているようだ。

 

「分かった、もうひと頑張りしよう」

 

 そう微笑みかけると、表情は見えないが、ユイ君も笑顔になった気がした。

 

 

 

 

 

 

「また……助かったのか……?」

 

 覚醒して対面したのは、三度目のジプトーンの天井だった。

 ネルフ施設内の病室に居るのだと断言できる。

 

 

 

「副司令、目を覚まされましたか!」

 

 日向君に声を掛けられ、体を起こしたが、不思議と身体に痛みを感じない。

 それどころか、巻かれていた下腹部の包帯は解かれていた。

 だが今は自分の身体よりも気になる事があった。

 

 

 

「零号機と使徒はどうなった……?」

「二度目の攻撃により、使徒は殲滅されました。零号機も、副司令が初号機で身を挺して守って頂いたお陰で無傷ですよ」

 

 日向君は晴れやかな笑顔で答えた。

 私と初号機とのシンクロ率は300%を超えて測定不能になるほどだったらしい。

 エントリープラグの中で、私の肉体は溶けてしまっていたそうだ。

 

 

 

 すると私がユイ君と出会った事も、幻想ではないかもしれないと言う事か。

 私の身体の傷が完治したのも、彼女からの贈り物なのかもしれない。

 

「副司令、お見舞いの方々が来てますよ」

 

 青葉君がそう言って病室のドアを開けると、5人の子供たちが中へと入って来た。

 その内の1人、綾波レイは手に花束を持っていた。

 

 

 

「……助けてくれて、ありがとう」

 

 碇にしか笑顔を見せないと思っていた彼女が、私にも微笑みを向けてくれるとは。

 もし私に孫が居たらこのように可愛いのだろうと、彼女の頭を優しく撫でてしまった。

 彼女は顔を赤くしてパッと私から離れた。

 

 

 

「ワシらも危ない所を助けてもろて……」

「あの時は本当に済みませんでした!」

 

 次にそう言って私に頭を下げたのは、シンジ君のクラスメイトである鈴原トウジ君と相田ケンスケ君だった。

 彼らは巨大ロボットに乗って戦う、勇ましい老人の話を聞いて、興味本位でシェルターを抜け出した事を深く謝った。

 

 

 

「あの……僕……初号機に乗る決心がやっとつきました。今まで僕のワガママで迷惑を掛けてしまって、ごめんなさい」

 

 頭を下げたシンジ君に、私は顔を上げるように言った。

 そして顔を上げた彼はしっかりと視線を合わせた。

 

 

 

「まあエースパイロットのアタシが来日したからには、年寄りの冷や水はもう止める事ね!」

 

 割り込んできたセカンドチルドレンの少女は、副司令の私相手にでも物怖じしない物言いと態度だ。

 私が目を覚ますまでの間に、彼は葛城一尉と、この少女に背中を押され、初号機に乗る勇気を出したようだ。

 

 

 

 初号機の中でユイ君と会ったと碇に話すと、「冬月、エヴァに乗れ!」とは言わなくなった。

 これで年甲斐もなくエヴァのパイロットとして奮戦した老人の物語は終わりだ。

 

 

 

 何、まだまだ現役パイロットでいけるだと?

 さらに強くなって使徒と戦う機会があると言うのかね?

 冗談でもそのような話は止めて欲しいものだ。




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スーパー冬月さんの強さについて

  • 使徒と互角に渡り合えるくらい
  • もっと、圧倒的な強さに!
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