新世界の‪✝︎神‪✝︎になる   作:鳥ッピイ

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クリスマスってなんですかね(逆ギレ)なわけでオートマタ初投稿です。


001.常若の国

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居眠りでもしていたのか、マイナスイオン溢れる木漏れ日あふれる森林の中にいた。これがハイキングだったら確かに心落ち着く緑の風景だったけど、現実は迷子というか、遭難である。電波が届いていないのか、スマホはどこにも繋がらない。

 

「いや、どこだここ」

 

最初は明晰夢でも見ているのかと思った。 しかし夢にしては匂いも感覚も、そしてジリジリと焼くような暑さがあまりにもリアルすぎる。 次は誘拐かと思ったが、生憎一般人なので誘拐される謂れも恨みもない…はず。誘拐なら誘拐で人質を森に放置するとかどんな放置プレイだよ。

 

しばらくはぽかんと口を開けて辺りを見渡すだけだったが、顎が痛くなったのでようやく立ち上がることにする。 見渡したところで辺りは木、木、木 。緑のオンパレードだ。 ドッキリのプラカードを期待していたが、いつまで経っても出てこない。

ここがどこなのかもわからないし、眠る直前に何をしていたのかも、記憶にもやがかかったかのように思い出せない。 確か、何かをしようとしたのだ

 

「いって!!」

 

途端にズキズキと痛みだした頭を抑える。 記憶に対しての思考は仕方なく振り切ってとりあえず歩くことにした。

 

 

俺のお先は真っ暗なのに、辺りは深呼吸をしたいくらいには穏やかな場所だ。 特に驚いたのは自身が寄りかかっていた大木だった。

塩害によって多くの森林が枯れたというニュースを目にするにも関わらず、樹齢が何百年も経っていそうな木が、この森にはゴロゴロと立っている。

 

「ん゛ん!!!!!?」

 

なにか音がするな、と何となく目を向けた先にはとんでもなくでかい鹿っぽい動物がいた。少なくとも俺の身長の頭ひとつ分は抜き出ていた。

 

カエルを潰したような声を出したことで襲われないかと一瞬恐ろしい考えが頭をよぎるが、鹿はこちらをちらりと一瞥するとのそのそと去っていった。

あんな大きな鹿は見たことがない。 九州どころか奈良公園だってあんな鹿はいないない。

 

いい加減ここがどこなのか、まず日本なのか不安になってきた。 木漏れ日漂う景色とは裏腹に、心に大きな影が掛かっているのを自覚して顔を顰めた。けもの道のような道無き道を進みながら孤独による不安と恐怖に耐えられなくなっている自分がいる。

 

「?何の音だ?」

 

風によって葉の揺れる音だけの世界で、初めてなにかが動くような音がする。 動物がたてる音にしてはあまりにも不自然な...誰かが騒いでいるような音だ。

 

「もしかして、誰かいるのか?」

 

この際人間ならなんでもいい。そう思いながら自身の目先まで生えた雑草をかけ分け音の発信源に向かった。

 

「あの!誰か」

 

 

 

「キサマ!ナヲナノレ!」

「ブレイナ!キサマコソナヲナノレ!」

「ナンダト!」

「ヤルノカ!?」

「ヤッテヤロウジヤナイカ!」

 

「「モノドモカカレェ!!!!」」

 

 

 

「お邪魔しました」

 

なんか変な被り物をした2つの機械...ロボット?と手下みたいな奴らが陣形を組んで争っている。どゆこと?????????

 

 

「ナニモノダ!」

「ナニモノダ!」

 

「うげっ」

 

 

 

「ワレラノ聖戦ヲ邪魔スルトハ!無礼者メ!」

「サテハ貴様!アンドロイドダナ!」

 

「我ラノ戦イヲ邪魔スルカ!」

 

 

 

「うわああああ!?すみませんお邪魔しました!!!!!!!」

 

奴らに見つかった瞬間、俺は全力疾走で逃げ出した。

 

そして、無我夢中で走っているうちにいつの間にか森を抜けたらしい。

 

「ぜェ...なにあれ.........ぜぇ...ロボットなのか......?」

 

見たことの無い形のロボットだ。パッと見はちょっと可愛かったのに、何故かキレられて追いかけられる羽目になった。 なんだアレは。どうすれば良いのだ!?

激しい動悸の中、喘ぎながら俺は辺りを見渡した。 開けた草原になにやら大きな建造物が見える。

しかしその建造物はファンタジーよろしく寂れた西洋の城だった。

 

「そ、そんなぁ......」

 

石造りの重厚な城は侵食した緑からその機能をとっくに失っている。 誰かの助けは望めないだろう。 まず向かおうにも、城にかかる石橋が壊れている。

しかし石橋の下に流れる川を見つけられたことは不幸中の幸いだった。 少なくとも水分補給はできる。

 

川は遠目に見ても充分に澄んでいたが、近づいてみてその透明さに目を見開いた。 こんな綺麗な川はそれなりに前のテレビ番組でしかお目にしかかかれないほどだ。抵抗はあるが飲むのには問題は無さそうだ。

生存に必要不可欠な水分を摂取したことで何とか落ち着きを取り戻す。

 

「やっぱり、ダメか......」

 

川べりに座り込んでスマホをもう一度起動させてみるが、やはり電波は圏外を示したままうんともすんとも言わない。ため息をついたまま再び学ランのポケットに戻す。電池の消費が心配だった。

 

「ほんと、どこなんだよ。ここ......」

 

これはもしかして流行りの異世界というやつなのか。異世界にしてはファンタジーチックな城によくわからないロボットという世界観が謎すぎるが。

 

ギュルル、と腹の虫がなる。

 

「は、腹が減った」

 

最後にいつ食事をしたなんて覚えていないが、空腹なのは確かだった。 川に魚でもいないだろうかと川面をのぞき込む。

 

「お」

 

釣竿を持っていないため期待こそしていなかったが、澄んだ水の奥に川の流れる速さよりもと遅く魚が動いている。腕をまくり、そのまま魚を掴み引き上げた。

 

「おお〜!!食料ゲット!」

 

手の中でビチビチと跳ねる魚は、確かに魚だった。正確に言えば、魚型のロボットだった。

 

「イャアアアアアアア!!」

 

思わず魚を川面にたたきつけた。

 

「いやなんでだよ!!!!!!!!」

 

 

「魚が川を泳いでるのはいいよ!だって魚だもん!!でもあれはロボットだろ!!!!なんでロボットが川を泳いでるんだよ!!おかしいだろ!!!」

 

魚型のロボットが水の中を泳ぐこと自体は至極正しいのか?ていうか、なんだあの魚ロボット。本物と見間違うくらいにはめちゃくちゃクオリティが高かった。

 

どこに予算を使ってるんだ予算を!!!

 

 

「魚型なら...食べられたかな〜いや...食べれないだろ。魚型の機械なんだから...」

 

頭を抱えて座り込む。もうキャパシティオーバーだ。 どこなんだここは。何なんだあのロボットは! 1人漫才も限界はあるんだぞ

 

 

その時、地鳴りのような音が鳴り響いた。

 

「な...なんだ、あいつ!?」

 

川の向こう側、廃墟の城のそばに自分の身長なんて優に超えるでかいロボットが、こちらに向かって歩いてきていた。

 

「!!!!!」

 

眩い光に思わず目を閉じると、体が熱湯につけられたような熱さに覆われ思わず悲鳴をあげる。

 

そして轟音と共に傍の大きな石橋が吹っ飛んだ。直撃しなかったのは奇跡だろう。

 

攻撃してきたのは間違いない。あの巨大なロボットだ。

 

「ハァ!!!?ビーム!!?」

 

見つめなくてもわかる。ロボットの光る目が、次の光線が間もなくこちらに直撃すると伝えていた。

 

逃げなければ! どこに? あの破壊の範囲から逃れるだけの脚力なんて俺には残ってない。

 

―――――――――死ぬ!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

「......?」

 

 

付近に響いた轟音と赤い光にA2は振り返る。

森の国の機械生命体は独自のネットワークを築く関係上、排他的で攻撃的だ。 同じ機械生命体同士で争うことも珍しくはない。しかし、廃墟付近に佇む大型の機械生命体が動くことは珍しかった。

 

A2が森の国に訪れた理由は2つ。ひとつは生き延びた自身を抹殺しようとするヨルハから逃げること。しかし彼女自身の本命は2つ目だ。

 

───機械生命体を皆殺しにする。ただそれだけだった。

 

 

約50m先に大型の機械生命体が、一体のアンドロイドに向け、今まさに攻撃を仕掛けようとしている瞬間を捉えたA2は、思考回路が命令を出すその前に、ほぼ無意識でBモードを起動させた。

 

 

大型の機械生命体を叩斬った後、A2は助け出したアンドロイドに視線を向けた。

 

「...............?」

 

なんとなく感じた違和感を形容する言葉をA2はもたない。

黒い髪に黒い服という黒で構成された少年型。 しかしヨルハ型ではない。旧型のアンドロイドは体内の融合路を水で冷やす必要があるため、その隙を襲われたのだろう。補助タイプであるならば直接戦闘は尚更苦手なはずだ。

 

「この辺りの機械生命体は凶暴だ。粗方破壊はしたからお前も早く行け」

 

危険はない。そう判断してA2は少年の視界から消えた。

 

 

 

 

 

 

よく分からないうちによくわからないきれいな女の人からよく分からない事を言われてよく分からない間にか女の人はいなくなっていた。

 

初めて会えたはずの人は、俺が固まっているその瞬間にもう消えていた。 夢か、と思ったが、ガラクタと化したロボットが、彼女の存在が現実であることを知らしめている。とりあえず、助かったということだけは確かなようだった。

 

 

 

辺りをある程度探索すると、先程の女の人の言葉通り、周辺のロボットは全員、既に壊されているようだった。

水源を離れるのはいささか不安だが、俺を助けてくれた女の人の言葉には従っていた方がいいだろう、と考えて再び歩き出す。

 

なにより生きている人間がいるという事実が俺の足を進ませた。

 

 

▲▼

 

 

 

「(また別の森に迷い込んでないか?)」

 

ずっと同じ景色をぐるぐる歩いている気がする。

 

「(そんな事ないって。気のせいだって道に迷ってなんかいないって)」

 

ダラダラ汗をかいたところで立ち止まる。諦めたらそこで試合が終了するので絶対に道に迷ったなんて認めない。認めたら俺の人生も終了する気がする。

 

「さ、さっきの女の人......。また助けてくれないかな」

「オンナノヒト?」

 

「そう、綺麗な女の人...........」

 

背後から聞こえてきた声に思わず答えてしまったが、その声音に嫌な予感がする。

ギ、ギ、ギと油をさし忘れた機械のように振り返った先には、首を傾げたロボットがいた。

 

「オンナノヒト、ッテダレ?」

「........................」

「...........................」

 

 

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

 

俺は再び駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

「こら!勝手に村の外に出ちゃいけませんよ。危ないでしょう?」

「カスパルオジチャン。オンナノヒト、ッテダレ?」

「女の人?レジスタンスの方でしょうか?うーん。連絡は来ていませんが...。ハッ!それよりも早く帰りましょう。 今日はどんな絵本を読みましょうかね」

「ワーイ!」

 

 

▲▼

 

「大規模な魔素反応?」

『はい!森の国で旧世界の魔素が大量に観測されたみたいで、近隣のヨルハ部隊は念の為調査して欲しい、という司令部からの任務命令が出ています。2Bさん、お願いできますか?』

「わかった」

『9S、貴方も任務に同行してください』

「ええ〜〜これから2Bと一緒に砂漠のバラを見に行こうって話してたんですよ。」

「......私は見に行くなんて言ってない」

「そんなぁ」

『9S、任務が最優先です』

「はーい」

『まあまあ、任務と言っても様子見程度ですから』

「2B、砂漠のバラは今度見に行きましょうね」

「.....................」

 

 

 

その約束が叶わないことを、私は知っている。

 

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