隣のお嬢様はネガティブガール   作:星メガネ

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読んでくださり、本当にありがとうございます!

はい、というわけでお久し振りです。
ほぼ一年ぶりの新規投稿になりますが、今回はあの人達が登場します。


第16話 人生いつだって何が起こるか分からない

「おっしゃナイス〜!」

 

 

 バイトの面接があった日から数日が経った土曜日の真っ昼間、俺は大翔とまたA◯exのランクへ潜っていた。そしてついにプラチナ帯でチャンピオンを取り、ようやく降格圏内から抜け出すことに成功したのである。ここまでが本当に長かった…!

 

 一度コントローラーを置いて一息、真っ昼間ってこともあって腹減ったな。今日の昼飯なんだろ。

 

 

「どうする?一旦終わるか?」

 

「だなぁ。昼飯食ったらまたやろうぜ……と思ったけどまだGe◯shinの日課やってねーや」

 

「あー、確かに朝起きてから直ぐやってたもんな。じゃあGe◯shinやりながら駄弁るか」

 

 

 Ge◯shinの日課と言ってもわりと直ぐ終わるんだけどな。デイリーと樹脂の消費だけしたら終わりで、またA◯exに戻る。まぁ息抜きだと考えればいいもんだろう。

 

 昼飯食ったら連絡すると伝えて一旦通話を切る。じゃあ下降りて飯何か聞いてこよーとスマホを手に部屋を出ようとすると……

 

 

「!?びっっっくりしたぁ。てこれって……!」

 

 

 スマホのバイブが鳴り、びっくりしながらも画面を見る。見覚えがあり過ぎるその番号は、面接をしたコンビニの電話番号だった。

 

 

「スゥー……はい、四条です────」

 

 

 二重の驚きから何とか息を整え、電話に出る。話を聞くと採用の連絡で明日の朝から来てほしいとのことだった。面倒だなぁと思いつつもそんなこと言えないので、了承の返事をして電話終了。

 

 人間って急に断れない予定が入るとやる気失くすよなぁ……。あぁ……面倒くせぇ。

 

 

────

 

 

「ねっみぃ……」

 

 

 そんなわけで翌日の朝9時。俺は初バイトのためお店へ向かっていた。何故に6月手前でこんな暑いんだ…。常にタオル持ってないとやってらんねぇ(汗っかき)

 

 そのお店はパン屋さんなんだが、実際初日は何すんだろ。少なくともパン作ったりはないだろうが、レジに立ったりするんだろうか。大翔にレジに立った時の感覚どんなもんだったか聞いとけば良かった。

 

 

「着いちまった……」

 

 

 お店の前に着いたわけだが、なんかあれだな。連休明けの学校前にいるような気分になるな。まぁやるしかねぇか。なるようになーれ。

 

 ……あれ?てか待って?面接した時は特に気にしてなかったけどさ。やまぶきベーカリー…!?俺は直ぐにお店側から見えない所に移動して頭を抱えた。このままじゃただの変人じゃねぇか。

 

 

「(いやいやいやいや……そんなわけねぇじゃん。どうせ同じ名字か店名がそうなだけだろ)」

 

 

 そんな都合良い展開があってたまるかこの野郎。お店入って直ぐあの人がいるわけ……

 

 

「いらっしゃいませ!……あれ?」

 

「……あー、えっ…と」

 

 

 全っっっ然そんな事あったわ。店内に入って直ぐに聞こえた声はあの時ライブハウスで聞いたのと全く同じもの。容姿もあの時のまま、唯一違うのはエプロンを着用していることのみ。Poppin'Partyのドラムである山吹沙綾さんがレジに立っていた。

 

 いや、ライブの時とのギャップ良すぎん?心臓止まるかと思ったんだが。何なら現在進行系で口動かんが?

 

 

「あ…のー、すいません。先日面接をさせていただいた四条響也です。店長さんとかって」

 

「え、あ!ちょっと待っててくださいね!」

 

 

 数秒の沈黙と緊張の末に俺がそう伝えると、彼女はそそくさと奥に入っていった。その間に俺は店内を軽く見渡す。パンめちゃくちゃ美味そうだし、何より奥からすんごい美味そうな匂いすんだよな。朝飯食ったけど腹減って来ちゃうじゃんか。

 

 そのまま数分待ち、彼女と一緒に一人の男性が戻ってきた。店員さんが持ってたのは薄茶色のエプロンと、自分の名前が入った名札だった。仕事服とかは特に無い感じなのかな。

 

 

「四条響也君だね。早速だけど、このエプロンを着てくれるかい?サイズは特に問題ないと思うから」

 

「はい。分かりました」

 

 

 渡されたエプロンを着て、名札をズレが無いように付ける。こう言うのって少しでもズレてると気になっちゃうんだよな。今回はそんなに時間かけれないからささっとつけるけど。

 

 

「問題はないかい?」

 

「はい。大丈夫です」

 

「良かった。それじゃあ改めてになるけど、山吹亘史だ。こちらが娘の「父さん?」……」

 

「はぁ……山吹沙綾です。よろしくね」

 

「は、はい。よろしくお願いします!」

 

 

 何というか、山吹家の勢力図が見えた…気がする。我が家とは真逆だこりゃ。

 

 軽い自己紹介を終えた後は、主に山吹さんに色々と教えてもらいながら業務をこなしていった。立ち作業きっついでござる…。

 

 

──────

 

 

「ふい〜……」

 

 

 足痛いでござる…。疲れたでござる。たかが3時間、されど3時間。インドア派の俺はもう立ち作業と初めてだらけの経験でHPがポ○モンよろしく赤色である。すごいキズぐすりくれ。

 

 なんて茶番はここまでにして、昼休憩である。俺は来る前にコンビニで買ってきたおにぎりを頬張った。うん、美味い。因みにおにぎりは圧倒的鮭派だ。ツナマヨも嫌いじゃないけど、こればかりは譲れん。

 

 

「(初めて来たこういうちゃんとした場所って、スマホとか弄りづらいよなぁ)」

 

 

 やまぶきベーカリーが悪いとかじゃなくて、俺の感じ方の問題なんだけども。まぁ続けていく内に馴染めるだろう。山吹さんはもちろん、亘史さんも千紘さん(仕事中に話した)も優しい人だし。

 

 後は───いたいた。

 

 

「「……」」ジーッ

 

 

 この二人の子供と打ち解けないとな。純君と紗奈ちゃんだったっけか。まだ小学生みたいで、見事に人見知りを発揮しているようだ。何かいいきっかけとか共通した話題があればいいんだが。

 

 色々考えていると、諸々の家事を終えた千紘さんが二人の背中を押してこちらにやってきた。え待って俺もまだ何話そうか決めてないんですけども。

 

 

「ほら。純と紗奈もお兄さんにご挨拶して?」

 

「……う…」

 

「う……?」

 

「うっせぇー!うんこー!!」

 

 

 わーお。こりゃ凄い人見知りだぜ…。

 

 世界一汚い挨拶を残して純君はぴゅーと走り去ってしまった。こういうのも含めて年頃の男の子って感じだ。千紘さんも「あらあら」と笑みを浮かべている。さてはこの状況、初めてじゃないっすね?

 

 

「ごめんなさいね。純ったら恥ずかしいみたい」

 

「別に大丈夫っすよ。子供らしくていいじゃないですか。けど、紗奈ちゃんはそんな事なさそうですね」

 

「う、うん…」

 

 

 紗奈ちゃんと話すためにしゃがんで俺から話しかけると、彼女は緊張してるのかぎこちなく頷いた。こう見るとやっぱ山吹さんや千紘さんに似てるな。純君は亘史さん寄りっぽい気がする。

 

 

「これからここでバイトする四条響也って言うんだ。よろしくね、紗奈ちゃん」

 

 

 仲良くなるきっかけはまだ思いつかないけど、純君は逃げたし紗奈ちゃんも緊張してるし、今日すぐに仲良くなる必要はないかもしれないな。これから少しずつ仲良くなってけばいいさ。

 

 それから千紘さんと紗奈ちゃんとあれこれ話して、俺は午後の仕事に戻っていった。後半戦もがんばるぞい。

 

 

──────

 

 

 時刻は18時。初アルバイトを終えた俺は、帰る支度をして裏口の方に向かっていた。千紘さんや亘史さんには挨拶済、純君や紗奈ちゃんは二階で宿題に励んでいるらしい。偉い偉い。後は山吹さんだけなんだが…あ、いた。どうやら俺が来るのは見越してスタンバっていたようだ。

 

 

「今日はお疲れ様。初めてのアルバイトはどうだった?」

 

「いやもう、体力不足を強く実感しましたよ…。早く慣れないと」

 

 

 明日は筋肉痛確定として、お客さんと軽い談笑をしながらレジこなすのはかなり楽しかった。コミュ力と心の余裕無くて完全に対応しきれなかったけど。あ、それと亘史さんが仕上げたパンを並べる時なんかは至福の一時だ。出来たてで美味しそうな匂いするし、目が幸せだった。帰り際にいくつか買ってってもいいのかな。

 

 

「大丈夫だよ。これからも宜しくね。四条君」

 

「はい。宜しくお願いします!えっと……今更で申し訳ないんですけど、山吹さんって高校…」

 

「?二年生だけど、どうしたの?」

 

「え、じゃあ山吹先輩で。宜しくお願いします!」

 

 

 あっぶね。今日ずっと心の中でさん付けで呼んでた。口に出さなくて良かった…。どうやら、俺はこういう上下関係に忠実らしい。

 

 俺のあまりの切り替え具合に山吹先輩は「ふふっ…」と笑みをこぼした。え、かわい。

 

 

「四条君って、面白いね。ライブにいた時はあんなに恥ずかしがってたのに…!」

 

「あれは…!ちょっと恥ずかし過ぎるんでやめてください…」

 

 

 あれは先輩がライブ衣装で可愛すぎたのと、これから先関わる機会なんてないと思ってたからであって。いやまぁ普通に掘り返されたら恥ずか死ぬんでやめてください……。思い出してまた少し恥ずかしくなってきた。

 

 てか先輩はいつまで笑ってんすか!!分かった。この人あれだ。意外と人のことからかうの好きな人だ。

 

 

「ごめんごめん。改めてお疲れ様、これから宜しくね」

 

「はい。宜しくお願いします!では、失礼します」

 

 

 さて、帰ってゲームしよ。そんな事を考えながら俺は外に出て自宅へ歩き始めた。え、てか明日学校じゃん。こんな足痛いのに?これを社会人は毎日やってんのか。だるっ……。

 

 

「(運動、しようかなぁ…)」

 

 

 これじゃ次のバイトでも筋肉痛になりそうだ。本格的なのじゃなくても、せめてウォーキングくらいはした方がいいんじゃないか?

 

 

「(後はコミュ力だな。桐ヶ谷お嬢を…いや、あの人はコミュ力高すぎて参考にならないか…?)」

 

「あ、まだいた!四条君!」

 

「え、先輩?どうしたんですか?」

 

 

 振り向いた俺の前で止まった先輩の手には、そこそこ大きな袋。俺が何か忘れ物したわけではないみたいだけど……ん?何か美味そうな匂いするぞ。まさか!

 

 

「お父さんが渡しそびれちゃったみたいでね。初日お疲れ様って、これ」

 

「おぉ…!て、こんなにいいんですか?」

 

「もちろん。あとバイト終わったら、言ってくれれば残ってるパンを持ち帰ってもいいからね」

 

「本当ですか!?嬉し…!」

 

 

 受け取った袋の中には塩パン、メロンパン、チョココロネと色々とパンが入っていた。美味そうすぎる。明日の朝食にしよ。これは次のバイトで亘史さんにお礼言わないと。しかもパン持ち帰ってもいいなんて…!!嬉しすぎるな。

 

 

「ふふ」

 

「…?何笑ってんすか」

 

「いやぁ。凄い顔キラキラさせてるから、それだけ喜んでくれてるんだなって」

 

「そりゃ嬉しいですよ!パン好きですし」

 

「なら良かった!父さんにも伝えておくね」

 

 

 貰えるだけでも嬉しいのに、それが俺の初日の頑張りを認めてくれたんだから。あぁ、働いてる人達のやりがいってこうやって出来ていくんだな。社会人への階段を一歩登った気分だぜ。

 

 

「じゃあ私はこれで。外も次第に暗くなるだろうから、気をつけて帰ってね」

 

「はい。ありがとうございました。お疲れ様です!」

 

 

 先輩に挨拶をして、俺は再び帰路についた。まだアルバイト初日終えたばかりだけど、これからも楽しく続けられそうだ。




はい。というわけで、何気に2話連続でましろちゃんが登場しない回になりました。
本来であればリサ姉とモカで一話ずつの予定だったけど、モニカがメインだからそれは違うなとなってまとめて登場してもらいました。
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