隣のお嬢様はネガティブガール   作:星メガネ

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読んでくださり、本当にありがとうございます!

今回は本編です。宜しくお願いします〜!




第17話 人間、時には諦めも肝心

「(あいつ、大丈夫かな…?)」

 

 

 初めてのアルバイトの翌日。俺は一人で学校へ向かっていた。本来であれば大翔がいるのだが、さっきLINEで「熱出たから休む!」と連絡が来たのだ。仕方ないから授業後のノートの写真は送ってやるか。綺麗さは保証しないけどな。

 

 そういえば倉田達はどうなったんだろ。練習は順調なのだろうか。今日バイト休みだし、顔出してみようかな。皆めちゃくちゃ上手くなってたらどうしよ。月ノ森生だし、有り得なくはないのが怖えんだよな。

 

 

「(会ったら顔出していいか聞いてみるか)」

 

「あ、四条君……」

 

「(……噂をすればなんとやら、てやつか)」

 

 

 後ろから聞こえた声に振り向くと、そこには倉田がいた。なんかすんごい久し振りな気がするな…一年ぶり?(超メタ視点)

 

 隣にやってきた倉田だが、何か暗い雰囲気がするぞ。あれぇ、もしかして俺がいない間に何かあった……しかないよなぁ。

 

 

「何かあったのか…?」

 

「あはは、やっぱり分かっちゃうよね……」

 

 

 知 っ て た。伊達にお前のそういう困った顔見てないからな。……これ心に留めといてよかった。声に出してたら普通に気持ち悪すぎるだろ。

 

 

「実はね────」

 

 

 

──倉田説明中──

 

 

 

「…………」

 

 

 倉田の話を簡単にまとめると、まず生徒会に音楽とは到底思えない騒音を月ノ森から出させるなって苦情が入った。それを生徒会の八潮瑠唯が伝えに来た。てかあの人って生徒会の人だったんだな。……急に心に痛みががが(過去のトラウマ)

 

 ……時を戻そう。それに付随して二葉が生徒会に提出した教室使用の申請書に不備が複数点見つかったのもあり、教室の使用許可を取り消されちまったらしい。

 

 

「まぁ要するに、二葉がやらかしたってことだな。騒音って苦情入れた奴等はもちろん許せねぇが」

 

「うん……。今日のお昼休みにみんなで集まって、申請書の書き直しをするんだけど……四条君も来てくれる?」

 

「いいぜ。ちょうど顔出そうと思ってたとこだ。まぁつまみ出されてるとは思わなかったけどな」

 

 

 何となくこれまでの流れで察してた。あと二葉がリーダーなのちょっと不安になってきたな。……待てよ。俺じゃん。あいつにまとめ役任せたの。

 

 

「ありがとう。始めて直ぐなのもあるんだろうけど、騒音とまで言われるなんて思わなくて、少し不安になっちゃって……」

 

「そりゃそうだよな……殴りに行くか。苦情入れやがった奴」

 

「!?そ、それはダメだよ…!」

 

「冗談だよ。本気でそんなことはしないさ」

 

 

 ただ、本気で努力してる人を馬鹿にすんのはムカつく。この学校は人一倍努力してる人が多いはずなのに、それを貶す奴がいるとはな。

 

 

「そういう奴等は練習して上手くなって、自分達の実力で黙らせるしかないんだ。八潮の言う感じなら申請書を不備なく書き直して提出すれば教室は使えるだろうし、まだまだここからだ」

 

「…そうだよね。私、頑張ってみる!」

 

「あぁ。その意気だ」

 

 

 心は折れてないようで何よりだ。本当に好きなことだったり、やりたいことになると簡単には諦めきれないのが人間の性だ。倉田にとってバンドはちゃんとそれになってる。

 

 そこから俺と倉田は何気ない会話をしながら、学校へ向かった。月曜日の学校ってなんでこんな憂鬱なんだろうな。

 

 

────────

 

 

 

「はぁ、またこの教室に戻ってこれてよかった…」

 

「大きな音出すなって釘刺されちゃったけどね〜……」

 

 

 放課後。倉田達は何とか元々使っていた教室をまた使えるようになった。てっきり提出し直すんだと思っていた申請書は、書き直すだけで済んだ。まぁ広町さんが言うように大きな音を出すなという、実質楽器の使用にある程度の制限がかかることになったのと────

 

 

「それはまだいいとして、なんで八潮もいんの?」

 

「教室使う時は生徒会の人立ち会わせるようにって言ってたろ?」

 

 

 ────そう。わりと面倒な条件を付けられたもんだ。まぁその時によって人が代わるのかは知らんが、代わらないとしたら八潮も相当面倒な役回りを任せられたもんだけどな。

 

 あと桐ヶ谷お嬢のこの感じ、八潮のこと苦手だな。まぁ性格真反対だもんな。そら噛み合わないわ。

 

 

「私の事は気にしないで結構よ。あなた達の活動を邪魔するつもりはないから」

 

「いや、そんなとこで見られてると逆に気になんだけど〜……」

 

 

 うん。それに関しては桐ヶ谷お嬢に同意。ライブなんだから見られるのは当然ではあるが、練習風景まで見られるのは……な。俺だったら嫌だわ。倉田も何気に頷いてるしな。本当厄介な条件押し付けられたもんだ。

 

 そう思っている俺等とは裏腹に、流れるように準備を始める広町さんと二葉。普通にすげぇっす。

 

 

「(ふぅ…………暇だな)」

 

 

 倉田達が練習開始したことでやる事なくなっちまった。再三言ってる通り俺は音楽の知識なんて全くないわけで、何もやれることないからなぁ。のほほんと椅子に座って見てることしか出来ないわけで。

 

 

「……」

 

「(いや待てよ。いるやん、話し相手)」

 

 

 俺は教室の端の席に座ってる八潮を見る。まず話し相手になってくれるかって所から始まるけど、向こうも暇だろうし大丈夫だろ。本読んでっけど。お互い全く知らないわけでもないんだし。

 

 

「何か用かしら?」

 

「反応はっや」

 

「あなたが歩いてくるのが見えたからよ」

 

「率直に言えばただ話しに来ただけだ。俺はあいつ等に教えてやれることなんて何もないからな」

 

 

 俺がそう言うと、八潮は意外にも読んでいた本に栞を挟んで閉じた。こんなあっさりと話し相手になってくれるとは思わなかったな。フルシカトされるかと思ってたんだけども。

 

 

「前から思っていたのだけれど、あなたは何故彼女たちに協力しているの?あなたには何のメリットもないはずよ」

 

「んなもんシンプルさ。楽しいし、面白いからだよ。そもそも、友達といることにメリットとかデメリットなんて関係ないだろ?」

 

 

 理由なんて単純明快。まぁメリットやデメリットで考えてる時点で八潮には分からないだろうがな。

 

 

「彼女たちからしても、もっと知識のある人に協力してもらった方がいいと思うのだけれど」

 

「いきなり普通に毒はいてくるじゃん。まぁその通りだけども」

 

 

 それに関して俺からは何も言えねぇ。

 

 

「認めるのね」

 

「教えてやれることはないって言っただろ?そんなクソみたいなウソつく程終わっちゃいねぇよ。俺は人の努力を踏みにじる奴等が大嫌いなんでな」

 

 

 仮にそんなウソついたところで、隠し通せる気もさらさらないしな。後あいつ等の音楽を騒音だとか言って苦情を入れた奴等の話もしようか迷ったが、気まずくなりそうだからやめとく。それに八潮もひょっとしたら騒音だと思っている派閥かもしれないしな。ここで変な衝突起こして、あいつ等の邪魔はしたくない。

 

 

「……そう」

 

「四条〜!ちょっとこっち来て!」

 

「ん?おう、んじゃな」

 

 

 桐ヶ谷お嬢に呼ばれ、俺はそっちへ向かって行った。

 

 

「……分からないわね。何故先の見えない道を進もうとするのか」

 

 

────────

 

 

「んで、どうしたんだ?」

 

「四条ってさ、もしかして八潮と仲いい?」

 

「……は?」

 

 

 いや突然なにかと思えば……は?お嬢にはあれが仲良さげに見えたってこと?

 

 

「えーと、何事?」

 

「あはは……実はね────」

 

 

──二葉説明中──

 

 

「ということなんだ」

 

「なるほどな。要は八潮に作曲をお願いしたいと。それで八潮と話してた俺に依頼してほしい…てところか?」

 

「そう!流石は四条、話が早い!」

 

 

 八潮はバイオリンをやる上で作曲もやっているらしく、それで八潮と仲良さそうに話してた俺に説得出来るかとお嬢は聞いてきたみたいだ。そもそも八潮がバイオリンやってる事自体、初耳なんだが?

 

 

「正直に言わせてもらうが、そもそも八潮とは仲良くないぞ。俺じゃ説得は出来ねぇだろうな」

 

「え〜!そう言わずに、あたしらを助けると思ってさ〜」

 

「というか、この会話がもう八潮に筒抜けなんだが、普通は本人がいないところでだな…」

 

「その通りよ」

 

 

 ほらバッチリ聞こえてら。

 

 

「それにバイオリンはもうやめたの。頼むなら他を当たってくれるかしら?」

 

「ええっ!?バイオリンやめちゃったの!?あんなに上手だったのに…」

 

「才能がなかったからよ。トップに立てないのなら、続ける意味がないと思っただけ」

 

 

 トップ……ねぇ。その声色には、確かに諦めが感じ取れた。けど、何となくその目には諦め以外の感情がこもっていそうだがな。話の節を折りたくないから、何も言わないでおく。

 

 まぁそうなると、八潮に作曲を依頼するのは難しいな。本人がやりたくないのなら、それを尊重するべきだ。と俺は思うが……

 

 

「けどさ、曲が作れるなら〜……その、あたしらに作って!!」

 

「私からもお願い!八潮さんの作った曲をもらえたら、すっごく嬉しいよ!」

 

 

 なんか、あれだな。ここまできたら八潮がかわいそうに見えてくるな。生徒会から面倒な役回りを与えられた挙げ句、そこで作曲を依頼されることになってんだからな。仮に俺がその立場だったら多分キレてる。

 

 結局その後、八潮が折れる形で話が終わり、彼女が昔に作った曲を提供してもらうことになった。だが歌詞がないということで、最初ということもあって全員一度歌詞に挑戦することになったとさ。

 

 

「八潮。なんか、すまんな……」

 

「彼女達のお願いに付き合うより、承諾した方がはやく終わると思っただけよ」

 

「ははっ、違いねぇ」

 

 

 そんじゃ、俺はあいつ等の作ってきた歌詞を読むのを楽しみにしておこうかな。




次回に関しては、はやめに出したいとは思っております(い つ も の)
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