隣のお嬢様はネガティブガール   作:星メガネ

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さてさてお久しぶりの番外編です。タイトル通り、響也は登場しません。

そして今回は15話と16話の間の話、本編内ではまだ一度もないましろと大翔がメインのお話です。


③主人公がいなくたって物語は進む(当たり前)

「はぁ……」

 

 

 バンド仲間と別れ、一人だけの帰り道。倉田ましろは迷っていた。本来であれば彼女達は、もっと早く帰れていたはずだった。

 

 だが練習後の帰り道に生徒会の一員である八潮瑠唯と出会い、自分達の音楽への苦情が入っていること、更に空き教室の使用申請書に誤った記載があることを指摘された。その急なダブルパンチで使用許可を取り消されてしまい、空き教室に置いている物を片付け、今に至る。

 

 

「はぁ……このこと、四条君にも言うべきだよね」

 

 

 あまりにもスパンが短すぎる二度目の溜め息。それもそのはず、彼女がようやく歩み出した“特別なもの”になり得るバンドという道が、いきなり壁に阻まれているのだから。

 

 そしてこの事実を、ここまで協力してくれた四条響也に話そうとしているのだが、彼女は躊躇っている。それは迷いではなく、勇気の問題。彼女は響也に伝えるのが怖いのだ。

 

 

「あれ、倉田さん?」

 

「え……?」

 

 

 後ろから不意に聞こえた声に、ましろは直ぐに振り向いた。響也ではないが、聞き慣れた声。

 

 

「た、高本君……?」

 

 

 響也の一番の友達であり、月ノ森の異空間の片割れである高本大翔がそこにいた。

 

 

──ましろside──

 

 

「た、高本君……?どうしてここに…?」

 

「実は教室に宿題を忘れちゃっててさ。家に着いてから思いしだしたんだけど、流石にやばいと思って取りに戻ってたんだ。そういう倉田さんは?」

 

「わ、私は……バンドの練習の帰り道で……」

 

 

 いつもはここに四条君もいて三人だから、普段高本君と二人になることがなくて緊張してきちゃうよ……。けど、高本君になら……話してもいいのかも。今回の事、それと四条君についても。

 

 

「あ、あの…!高本君。一つ相談したいことがあるんだけど、いいかな…?」

 

「……?全然構わないけど、少し意外。そういうことは響也に聞くもんだと思った」

 

「あはは……。実は────」

 

 

──倉田説明中──

 

 

「……なるほど。要するに、響也に今回の事を話す勇気がないってことか」

 

「う、うん……」

 

 

 我ながら情けないなと私は伝えながら思った。だがそれでも、彼の友達である高本君と二人であるこのタイミングは、相談をする絶好の機会だと思った。

 

 

「……あいつなら全然大丈夫だと思うけどな…?」

 

「え、ほ、本当……?」

 

「あぁ。だって倉田さんのせいでもなければ、皆のせいでもないんだろ?あいつはそんなことで怒る奴じゃないさ。倉田さんも心当たりあるだろ?」

 

「……あっ!」

 

 

 高本君にそう言われて思い出したのは、私が初めて四条君と話した時だった。あの日私は教科書を忘れて、今日と同じように勇気が出せなくて先生に言えずにいた。あの時も、彼は文句一つ言わずに助けてくれた。それだけじゃない。それからも四条君は協力してくれて、今私はバンドを組むにまで至っている。

 

 

「高本君。私、話してみるよ…!」

 

「そう、それでいいんだ」

 

「ありがとね。高本君、相談に乗ってくれて」

 

 

 その後の土日、メッセージを送ろうと何度かLINEとにらめっこするも、中々文面が思い浮かばなくて月曜日に響也へ話すことになるのだが、それはまた別のお話。

 

 

──大翔side──

 

 

 倉田さんと話した後、そのまま彼女は家まで送り、俺は家へ帰ってきた。自室へ入り、持ってきた宿題を机へ放り投げ、直ぐP◯5を起動。ゲーマーたる者、一日に少しでもゲームに触れなきゃ死んでしまうからな(?)

 

 

「……」

 

 

 ふと、倉田さんとの話を思い出した。彼女に伝えた事は全て俺の本心だ。あいつがあれくらいで怒るわけないってのは、俺が一番良く知ってる。これでも中学からの仲だからな。

 

 けど────

 

 

「響也のやつ、きっと苦労するだろうなぁ……」

 

 

 今日初めて倉田さんと二人きりで会話をして、俺は純粋にそう思った。あの時倉田さんには言わなかったが、もっと響也を信用してほしかったな。あの程度のこと、響也じゃない誰かでも概要を知ってたら怒ることなんてないのに。あの自信や勇気の無さは、今後必ず何処かで倉田さん自身を阻むことになるだろうな。

 

 

「それに倉田さんの感じからしてあいつ、まだはっきりと言ってねぇな」

 

 

『流石にバンドのサポートってなると迷うな。音楽ド素人だし、後ろで見守ってやることくらいじゃないか?少なくとも俺等に出来るのは』

 

 

「まぁこれに関しては俺から伝えるわけにもいかねぇしな。いつか自分の口から言うだろ、多分」

 

 

 もう考えるのやーめた。俺がいくら長考したって何も変わらん。Ge◯shinやるぞGe◯shin!!

 

 

 その後の月曜日、彼は発熱で学校を休むことになるのだが、それもまた別のお話である。




久し振りの番外編、そして初の大翔視点でした。
“友達”に嫌われたくないましろと、“友達”を信頼してほしい大翔の二人の視点でお送りしました。互いの気持ちも理解出来るけど、人付き合いって人生で一二を争うくらいに難しいですよね。
番外編は不定期で投稿していきます。本編投稿後にここ書きたいなと思ったところを書いていくつもりなので、地味に重要なシーンも入ってる場合があるかもです。
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