最初の中ボスは勇者姫の宿命のライバルである 作:炭酸パスタ
「立て!! 輝け!! 甦れ!! 我が宿命のライバル、勇者シルヴィア・フォン・ソラプロダクト!!
有象無象相手に這いつくばる無様を見せるのはやめろ。
…言った筈だぞ。
貴様を倒すのは、この俺様だっっ!!」
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異世界を舞台としたゲーム『マナファンタジア』の、作中屈指の難関と有名な第五章ボス【絶対防壁】『
第三章である絶対零度の戦乙女編から本格的に姿を見せ始めた、世界の運営者たる神の手先『天使』。
その天使の中でも『勇者』である折心は、圧倒的な難易度を誇っていた。
正攻法では、ひたすらレベル上げをする以外に対処はない。
相手の技を見ただけでほぼ完全に把握し、即座に相手より早く強力な威力で、カウンター気味のタイミングで差し込む
「人の勇者シルヴィア。人の身でここまで持ったのは君が始めてだよ。凄いね。
でもね…折心と君には超え難い生まれの差が現実としてある。
では、さようなら人の勇者。
君の最強の技で葬ってあげるよ。
天使の折心が使えば、君の技もこんなに強くなるんだ。────天技ファイナルマナブレイドΣ」
力の総和を以て事象を零へと変える、光属性の最高位魔法剣『ファイナルマナブレイド』。
魔法を物質化して顕現させ、世界への干渉力を高めると共に、魔力を高次元で使う為の“魔法使いの杖”とする『魔法剣』自体が、人が使える魔法の最高位技能であり、ファイナルマナブレイドは、魔法剣において最高位である。
則ち、全ての魔法使いが目指す究極点。
元々は恵まれた血統を持つ王族であり、魔法研究者でもあるシルヴィアが開発したオリジナル技…だった。
しかし、天使族の勇者である折心は、光属性と魔法に対しての適性は、人間族最高の光魔法適性持ちのシルヴィアのそれを遥かに超えていた。
人間が世界に反映させた技術など、天才天使の折心からすれば、答えが書かれた問題用紙の様なものだ。
折心は世界を『観た』だけで、自分ならどの様に生み出せるかまで理解出来てしまう。
そして彼女は人間が先天的に持つ全ての能力を、己の余りある才能で完全な上位互換として再現出来る。
己の溢れ出る総合的な才能により、上位互換として再現された技の末尾には、総和を示すΣが付けられるのである。
人間としては恵まれ過ぎたシルヴィアの才能と、本人の高い知能や蓄積された王室書庫があって始めて完成したファイナルマナブレイドを、折心は遥かに上回る純粋な才能のみで一度で発現させてみせた。
「さようなら、人の勇者」
天使の振るう魔法剣は、空間を断絶する刃となってシルヴィアへと向かう。
その最終奥技は、別のファイナルマナブレイドによって打ち消された。
「────ファイナル…マナブレイド」
しかし、打ち消したのは、シルヴィアではない。
背の高い眼鏡の美青年だった。
「……………誰だ、君は」
「黙れ神の狗が。俺様が今シルヴィアに話しかけているのが理解できたなら邪魔をするな!!」
人間に行える最高位の魔法剣を発現させている三人目。
彼こそは、本来第一章の中ボスとして、ボス戦のチュートリアルとして倒される噛ませ犬である。
魔法研究所始まって以来の天才ではあったが、本人に肝心の魔力が皆無であり、いわゆる実戦が出来ない理屈野郎だった。
シルヴィアの事をライバル視しているが、生物としてのポテンシャルが圧倒的に違う故に、魔法を戦闘で使う為の的として倒されて終わる。
初見のプレイヤーにも分かり易い様に、やたら魔法について詳しく説明しながらも、当の本人は戦闘前のムービーで、魔石による魔法を一回使うだけで、戦闘中において魔法を使って来ないという仕様。
魔法は使わないし、物理攻撃も強くないが、こちらが適切に魔法を使わないと、見切りで攻撃を躱したり防いだりする中ボスで、ユーザーには『先生』と呼ばれている。
ゲージを溜めてシルヴィアの究極奥技『ファイナルマナブレイド』を出すと戦闘が終了して、その後一切出て来ない、使い捨てのキャラクター。
それが第一章中ボス『ジティア・スカイライン』。
平民の中では最も裕福な家庭に生まれ、財力と知力と容姿を高水準で生まれ持ちながらも、魔力を持たなかったが故に屈折して、物語が始まって早々に退場する噛ませ犬。
抜群の環境を与えられても、平民と貴族には隔絶した才能の差があるとプレイヤー達に教えてくれる噛ませ犬に過ぎない。
そして第五章こそ、天使と人間にも同様の差があると教えられる場面なのだ。
そんな彼が何故第五章のステージに表れる事が出来たかと言えば、シルヴィア・フォン・ソラプロダクトに対する偏執以外の何物でもない。
「ジティア、どうして…。何故貴方が…」
「シルヴィア・フォン・ソラプロダクト!! 何故と聞きたいのは此方だ。
何故だ、何故、俺様以外に膝を付いている!!」
シルヴィアのロールを巻いた金髪とは対照的な鋭い銀髪。
高い身長に細身の身体。
スクウェア型で淡翠色なレンズの眼鏡。
整ってはいるが神経質そうな顔立ち。
如何にも研究者らしい裾の長い白衣。
無駄に自信過剰な態度。
そして、眼鏡。
確かに、王女シルヴィアの記憶の中のジティア・スカイラインと一致している。
一致していないのは、魔力の溜まった石『魔石』等の外部由来の魔力ではなく、自身の魔力を持たない彼が、自分の最強奥技『ファイナルマナブレイド』と同質のものを発現している事だ。
「…そうね。ありがとう。
でも、
そう。
天使と人間に隔絶した才能の差がある様に、貴族と平民にも隔絶した差がある。
それは、貴族には魔法が使えるが、平民には魔法が使えないという決定的な力の差だ。
それは、努力や工夫でどうにかなるものではない。
魔臟という臓器が存在するかどうかという、極めて先天的な資質によるものだからだ。
厳密な婚姻管理で、貴族と平民の血が交わらない仕組みになっている為、平民の子供に魔臓が備わる事は決して無い。
それ故に、裕福とはいえ平民生まれのジティアが、
シルヴィアの問いは至極当然の事であった。
しかし、ジティアにとっては、それは当然でも必然でも偶然でさえも無かった。
「簡単な事だ。無いなら作ればいい。
先天的に平民の肉体に魔臓が無いのなら、後天的に作っただけの事」
それは、己の存在を作り変えるということ。
神が一度として人に許した事の無い禁忌。
今迄に成功した例は一つもない。
そのような事が起こり得ない様に、綿密に計算して神が作ったのがこの世界なのだから。
故に、それは天使をも驚かせた。
「それは本当かい?」
折角のシルヴィアとの会話に割り込んできた折心に苛つきをあらわにしつつと、聞かれた質問には割と律儀に答えるジティアは理系男子である。
「この俺様がシルヴィアに嘘をついたと? 嘘をつかねば勝てぬ卑怯な弱者だと? 天使風情が人間を……俺様を侮るなよ」
しかし、その疑問それ自体がジティアにとっては侮辱であったようだ。
「計算に計算を重ね、実験に実験を重ね、研鑽に研鑽を重ねた。
魔力によって臓器を作り、肉体と整合させる。
貴様らが生まれ付き備え当然の様に振るう才を、俺様は理論と検証に基づき知識と技術で後天的に再現した。
それが成功する確率は理論上0.001%だったが、考えられる要素全てを追求して25%にまで引き上げた。
そして、今俺様はここにいる。
他の誰でもなく、俺様自身がそれを肯定する!!」
それは75%で死ぬ挑戦を超えたということ。
折心には、持たざる者特有の破滅か一発逆転を選ぶ賭けと思えた。
しかしそれは、彼にとっては賭けでも何でもなかった。
だが、それは折心だけでなく、シルヴィアにさえ賭けにしか思えなかった。
「貴方…死んでも良かったのですか」
「貴様と同じ
ジティアとしては、死んで元々。生き残れて始めて
シルヴィアと戦う土俵に立って、初めてジティアは生を始められるのだ。
その運命を掴めないならば、則ち生きていないのと同じ。
生きていない者が死のうと、それは僅かなリスクですらないのだから。
これはジティアにとってライバル宣言である。
彼は(俺様は今最高にライバルしているぜ)と悦に浸っていた。
だが、それを聞いたシルヴィアはこう思ってしまった。
(ふむ……コレってプロボーズではないのでしょうか?)
少々戦場に相応しくないピンク色の想像をしてしまったが、そこは王女。
顔には出さずに、冷静さを振る舞う。
(魔力を得た事で貴族社会に入れるし、『ファイナルマナブレイド』が使える時点で、その魔力は少なく見積もっても王族級に匹敵するでしょう。魔力よし、頭よし、顔よし。うん、全然お相手としてはアリよりのアリでは?寧ろ御父様だって、全力Goサインくれそうですわね…。その前に、ジティアさん本人に婚姻届にサイン貰わないと)
ここまでを並列思考で折心の動きに気を配りつつ、2.8秒で熟すあたり、シルヴィアのスペックは高い。
そんなシルヴィアの目は、再び折心が攻撃の構えをした事を認識した。
「死んだ様な人生から生き返ってすぐに悪いけど、早速
う〜ん欲しいなぁ、君の魂。
定められた運命を容易く超えてくる才。
欲しい。こんなに何かを欲しいと思えたのは折心初めてだよ。
君と折心の二人なら神の位階にも上がれそうだ。
だから、その魂…折心が引き受けるね」
このゲームの天使は、人間を見下すのが基本姿勢の、文字通り天上人なスーパーエリート種族様だが、人間が少しでも己を超える可能性を見出すと、妙に性的にさえ感じる求めを滲ませてくる。
今まで全く興味が無かったクソカス下級庶民に俗に言う「面白れー女」として関わってくる、王子様系攻略対象が如くガンガン執着する。
微妙に初期プロットで恋愛シュミレーションゲームであった名残が表れている。
折心は頬に手を当ててジティアに笑みを向けた後、その恍惚の表情のまま、無詠唱で魔法剣を発動した。
「────ファイナルマナブレイドΣ…ダブル。
…先程の倍だけど、
両の手に究極の魔法剣を構える折心。
だがその事実は、ジティアとシルヴィアを絶望させるには至らなかった。
「シルヴィアの技を一番上手く使えるのは、この俺様だっ!! Code:
「一人で二つの剣を持つ貴方と、二人で二つの剣を持つ私達。
当然、
ですがハンデはあげませんのであしからず。
我が右手には主神の栄光、我が左手には女神の叡智。
天照す残酷な祝福よ、飽和を以て虚無へと誘え。
──────絶対王技ファイナルマナブレイド」
再び立ち上がったシルヴィアもまた、魔法剣を顕現させている。
その魔力は既に
神々を裏切って、人の世界に舞い降り、そして散ったソラプロダクト王家の始祖たる二神から引き継いだ血が、今此処で覚醒した。
それでも、その受け皿は人の肉体。
より神に近い天使の折心には、届くはずが無い。
神に近い肉体の中に、神に近い血が流れている。
血液だけ神に近付いた人如きでは、届く筈も無い。
そう、彼女一人だけなら。
シルヴィアの純白の魔法剣、ジティアの漆黒の魔法剣。
それらは真逆の属性でありながらも、その本質は等しい。
引き寄せ合い、反発し、相乗し、相克する。
彼女のコピー能力は、本家の技の1.99倍で同じ技でカウンターする事が出来る。
それは、元の技を二人に使われて2倍の威力となった場合には対応しきれない事を示している。
更に言えば、シルヴィアとジティアの魔法剣は、副次作用により、2倍どころの威力ではない。
二人の魔法剣が世界を妬く。
人間の存在を強制的に否定して弱体化させる、天使のフィールドを崩壊させて、そこに新たな理を結び直す。
意志を力へと循環させて、魔臓で加速した
人を裁く剣は砕けて止まり、天へと反逆する剣は突き抜けた。
決着はついた。
天使の翼は断たれ、頭上の円環は割れた。
天使にとって強力なブースターとなるそれらを再生させる隙を与える程、二人は甘くない。
「何故、人間がここまで…」
「簡単な事だ。
シルヴィア・フォン・ソラプロダクトの存在。
それ自体が俺様を強くした。
俺様はシルヴィア・フォン・ソラプロダクトを超える為だけに強くあろうと思えた。
それだけだ」
ここぞとばかりにライバルアピールして悦に浸るジティア。
その文面の至る所に(宿命のライバルとして)という但し書きがあるのだが、シルヴィアは敢えて都合良く解釈して悦に浸っている。
勿論、表情は冷厳冷徹な王女としての顔のままだ。
豊かな胸を見せ付けるように背筋を伸ばして、勝利者の余裕を見せつつも、警戒は怠らない。
余裕の無い折心は、普通に(コレって恋愛的な意味でも好きなのでは?)とジティアの発言に感じ取り、精神的に結構大きなダメージを受けている。
「…そんなに彼女と戦い、勝ちたいの…かい?」
苦しそうに薄い胸で呼吸しながら問う【絶対防壁】折心。
否定して欲しい。
どうか、肯定だけはしないで欲しい。
悔しそうにそう願う少女としての姿がそこにはあった。
「当然だ」
そこにはシルヴィア・フォン・ソラプロダクトに勝ちたい以外の感情はない。
けれどもシルヴィアに執着しているジティアを見るのは折心の心が痛んだ。
「なら────」
折心の問い。
そこには、僅かな期待が乗せられていた。
「なら────
彼女と好きに戦えるよ」
それは、人を見下し人を廃する使命を持った天使としてはあり得ない勧誘だった。
そんな理屈があったのかさえも分からない。
それは、当の天使さえ気が付きかけたばかりの感情によるものだったから。
「愚かだな。
競争の根底を履き違えている。
競走を思い浮かべてみろ。
同じ方向で競うからこそ、抜いた抜かれたと優劣が生まれると言うもの。
俺様はシルヴィア・フォン・ソラプロダクトを競争で追い抜きたいのだ。
もし、俺様たちが互いに対抗進路で進むのならば、それは競争ではなく一時のすれ違いに過ぎない」
「そっか…。
折心もすれ違いは嫌だな」
天使は心底残念そうに笑って、そう答えた。
そして、彼女は決意した。
「……………ならさ、折心もそちら側につくよ。
そしたらずっと折心を見てくれるんだよね」
シルヴィアは嫌な予感がした。
これはもしかすると、もしかしなくてもライバル発生なのでは?と。
一人称が自分の名前というあざと過ぎる天使は、余りにも
事実、刹那・ミラノサロネは難関過ぎるポジションも相まって、原作ゲームの人気投票でも彼女はそこそこ好順位だったので、恋のライバルとしてはかなり強い。
だが、誰よりも勇者シルヴィアのライバルたらんとする男にとっては、王女シルヴィアの恋のライバルとかそんな事はどうでも良かった。
考えてもいなかった。
何故ならシルヴィアのライバルは己以上に相応しい者なんてあり得ないからだ。
というか恋の鞘当てが始まっているかどうかなど、気付きさえしていなかった。
「はっ?
貴様など直ぐに抜き去って進んでくれるわ。
俺様が貴様の背中を見るのではなく、貴様が俺様の背中を見る羽目になるのだ。
俺様に後ろを振り向く趣味は無いからな」
「うん、折心は負けないよ」
普通にモラハラ感を醸し出す男に対して、あざと天使は割とポジティブだった。
世の女性が好む優しい男は、モテないから優しくするしかない男ではない。
モテるけれど優しい男だ。
優しい者が求められるわけではなく、魅力的な者が求められるのだ。
求められないから媚びる者は、売れない品を必死に安売りしているに過ぎない。
そこには大したお得感は無い。
高い価値がある男が己に優しい事こそが、最高に女心を擽るのだ。
自分を好きな男に尽くされるよりも、自分が好きな男に尽くす時の方が女性の幸福度は高くなる。
結論を言おう。
ジティア・スカイラインは他人に少し優しくすれば、それだけでモテるのだ。
それ程に強キャラとイケメンいう資格は強い。
ジティアにとって、倒すべき宿命のライバルとしか思っていないシルヴィア・フォン・ソラプロダクトの窮地に助けに行けば好意を持たれた。
刹那・ミラノサロネに至っては、定められた限界を超えて天使を倒す人間という衝撃を見せて、彼女の価値観を壊したが為に、その価値観の再構成の際に憧れの象徴としてジティアが設定されてしまった。
そもそもジティアは尊大で傲慢だが、緻密で慎重な研究を行う性格であり、他者に対しても相手が本当に困っているのなら、割と手を差し伸べるクチだ。
態度がクソなだけで、結果だけで見ると性格は悪くない…ようにも見えなくはない。
多分お花畑フィルター入りの色付き眼鏡を十枚くらいは重ねると、そう見えるのだろう。
世の中一般的には、それはもはや盲目と言うのだが。
そもそも本来の成功率0.001%の魔臓構成から、不確定要素による揺らぎや無駄をとことん削ぎ落とすあたりに、彼の徹底した入念さが現れているし、25%の確率で成功しなければ死んでも良いと考えるあたり、我が身を優先するタイプではない。
チュートリアルにおいて、不適切な攻撃をシルヴィアが繰り出す度に駄目出しを入れて来る辺りに、隠し切れない面倒見の良さが表れている。
研究に悩む後輩にも、偉そうな態度ながら、ミスが起きやすい細かいポイントをクドクドと教えるし、シルヴィアと同じ方向性でシルヴィアを抜き去る為に、勇者が行うべき苦難を進んで引き受けて来た。
シルヴィアと対立して敗北し、永遠の氷像と化した第三章のボス『絶対零度の戦乙女』を解凍して助けたのもジティアだ。
やってる事は割と聖人だが、シルヴィアに対する執着心と、実力主義から来る、平民でありながら王族よりデカい態度がそれを全て台無しにしている。
イケメンで、優秀で、向上心の塊で、出自で人を差別せず、やたら意識高くて、綿密な計画を立てつつ大胆で、自己犠牲に無頓着で、絶体絶命のピンチには助けに来てくれて、割と面倒見が良く、闇属性だが正義サイドで善行をテトリスのプロプレイヤーの様な速度で積み上げていく。
何か普通に良い奴っぽいが騙されてはいけない。
自分が誰より偉くて賢いと信じてやまないクソ野郎なのである。
本来の『マナファンタジア』というゲームでは、ジティアはここまでシルヴィアに執着せず、実力主義の信念に置いて致命的な敗北を受けて、心が折れて、善良な凡人として平民らしく生きていこうとするネタキャラでしか無かった。
そもそもマナファンタジアは初期案と完成版が大きく違う作品で、プロット案においてはマナファンタジアのジャンルは恋愛シュミレーションゲームで、ジティアは純朴な努力家の平民であり、シルヴィアに至ってはライバル令嬢であった。
それが色んな都合が重なって、ジャンルがアクションRPGに変わった挙げ句に、悪役令嬢が主人公に変わってしまった。
そして、今この世界は初期案の要素がグチャグチャに混じってしまったバグ世界だ。
ジティアは『努力家のライバル』という運命を与えられた。
ジティアの魂は物心付いた時に、その宿命を本能的に理解した。
勿論、ライバル意識を向けるのは、初期プロットでライバル属性の本来の持ち主であったシルヴィアだ。
その理解が主人公の宿命のライバルという立場に執着させたのだ。
「シルヴィア」
「…何ですかジティア」
シルヴィアはやや熱を込めた目線を向け、折心はそれを鬱陶しそうに見ている。
だが、シルヴィアを見つめるジティアの瞳には、その様な感情はどちらも込められてはいないのだが、強い熱意と、溜めに溜めた言葉を言い放つ前の覚悟があった。
シルヴィアも自然とその言葉の先を待つ。
「今の万全ではない貴様と戦っても、俺様が貴様を超えたと誇れん。
次だ。次こそは貴様を倒す。
それまで他の有象無象に負けるなど絶対に許さん。
良いな!! 肝に銘じておけ!! 我が宿命のライバル、シルヴィア・フォン・サンプロダクト!! 貴様を倒すのはこの俺様だ!!」
彼は今、最高にライバルしていると青春を感じているに違いなかった。
三段笑いの要領で高笑いをすると、ジティアはマントを翻して去っていった。
残されたのは女性二人。
「……貴方と旅をしないと行けないのでしょうか?」
「折心も不本意だけど、裏切者宣言しちゃったからには居場所もないし仕方ないね」
二人は溜息を付くと握手しながら立ち上がった。
王女と天使の旅は続く。
脆い友情を醸しながら、互いを出し抜く未来を計画し合いながら。
二人の旅は…続く。
マナファンタジア
初期プロットでは女性向け恋愛シュミレーションだったが、何故かアクションRPGになってしまった。
持つ者と持たざる者の格差を教えてくれるゲーム。
第五章のボスである折心・ミラノサロネが強過ぎる。
(それ以降は主人公が強化されるので少し楽になる)
ジティア・スカイライン
何かを掛け違えたこの世界における主人公。
だが本人は主人公よりもライバルポジションに執着している。
平民の中では最も裕福な家の生まれで、「うちの子ったら天才」と溺愛する両親に育てられた。
親の愛を存分に受けた為、自尊心の塊。
基本は闇属性だが、ほぼ全ての魔法を基礎理論の重ね合わせで再現する事が可能。
原作ゲームではイキって生物としての格の差を見せ付けられて心を折られる。
名前の由来:ジティア→ジーティーアール
シルヴィア・フォン・ソラプロダクト
勇者で王女で研究者で見た目悪役令嬢だけど普通に善人よりで爆乳。
時折王族として冷酷な判断もするけど、基本は善人。
割と人類でも突出し過ぎた才覚の持ち主で、対等な異性という存在を感じた事が無かったのは嘗ての話。
自分に(ライバルとしてだが)ジティアが執着する状況が美味しいと理解して甘んじている節がある。
ジティアの恋愛感情がガキ時代から成長してないので、他の女も手が出せないだろうと高を括っている節もある。
実際、ジティアがシルヴィア!!シルヴィア!!シルヴィア!!なシルヴィアバカでライバルバカなので、ヒロインレースは割と独走状態。
基本的にほぼ全ての事においてサボらないウサギなのに、ヒロインレースではカメ相手なら余裕と安心したウサギである故にその結果は不透明。
実は今まで異性として意識した人がいなかった為にビビっているだけだったりもする。
原作ゲームにおいては脳筋レベル上げソロパーティーで、天使や神をフルボッコに倒していく主人公。
人気投票ではゲームでは倒して来た女性ボスたちに負けている。
名前の由来:ソラ→ソーラー→日光 プロダクト→産出物
おりごころちゃんじゃなくて、せつなちゃんである。
天才で天使で勇者でクソ高難易度のボスで一人称名前であざと可愛い、絶対防壁な美少女。
フリフリフリル衣装を好んで着る。
実にあざとい。
持ち得る者である貴族の中の貴族、則ち王族さえも天使から見れば、所詮はは持たざる種族なのだと教えてくれる硬い壁。
尚、そんな彼女も胸に関しては持たざる側である。
一般天使の中では隔絶した才能を持っていて、人類なんか誰も彼も弱小種族に見えていたのは嘗ての話。
人類の中でも魔法が使えない平民生まれのジティアが、貴族どころか天使を超えてきた。
それ自体が天使という種族にはドキドキを禁じ得ない。
自分が可愛いという事はかなり自覚している。
実は天界では上司とその上司の同性愛の同人誌を描いていて、上司の上司である神に発禁にされた。
色々と勇者である。
男性が他の男性とではなく、自分と恋愛する可能性を想定したのは今回が始めて。
原作ゲームでは余りの難関の為、名前の通りプレイヤーの心をへし折ってきた。
実はプレイヤーから攻撃を仕掛けなければ、クソつよカウンターをして来ないので、バフ掛けまくった後に潰すのが正解。
バフスキルを鍛えていなかったプレイヤーに、バフスキルの大切さと、普通程度のプレイヤーにはスキルだけで何とかする事には限界があるという事を教えてくれる。
印象とビジュアルの良さとアニメ声の為、人気投票では好成績だったらしい。
人気投票において、折心の上には第三章に登場する悲劇のボスがいる。
名前の由来 折心→セツナ ミラノサロネ→ミラノサローネ
ソラプロダクト王国
外映えは満点。
馬力も高水準。
内部の快適さはやや他に譲る。
えっ? 何の話かと言われると架空の国の話です。
天界
スペシャルスペックな天使とクレイジースペックな神がいる。
天使の多くは基本的に巨乳であるが、戦士階級の天使にはそうでないものも見受けられる。
実在する天使や神を使ったホモネタ厳禁なのに、知り合いを使ってホモ同人誌描く天使もいる。(現在は活動休止)
というか感嘆と恋愛感情の区別が付かない天使に、性の区別を付ける機能があるかどうかが疑問。