男がほとんどいない世界に来(てしまっ)たロイ   作:ロイ1世

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何?正史と作品内での時系列が歪んでいる?それはきっと見間違いだ。心の目で見ればエアグルーヴの三年目とサイレンススズカの三年目は同じ年に見える筈だ。


レース結果もおかしい?



小田真理(b.c.1234567890~a.c.0987654321)!!



追記 

現在、タグにも含んでいる通りに艦これ要素が入ってきて戦闘描写がある話を作っています。ガイドライン的にこれ大丈夫かな?と思って一応確認してきて、暴力表現で引っ掛かりそうだな、と思って暴力的な表現で調べたところ個人的な主観で大丈夫だと判断した表現にしています。

ですが、「これダメなんじゃない?」といった読者の皆様からの意見も欲しいです。意見等がありましたら遠慮なく感想欄などにお願いします。

更に追記 誤字の指摘、ありがとうございます。


大きな一歩

 このままじゃ、いけない。

 

「デオキシリボカクサン、このまま余裕勝ちか?」

 

 このままじゃ、いけない…。

 

「デオキシリボース、そのままゴールイン!!」

 

 このままじゃ、いけないのに…。

 

「勝ったのはリボース!!」

 

 何も、変われていない。

――

「トレーナーさん…」

「何、サイレンススズカ」

「い、いえ。そ、その…」

「何よ、言えばいいじゃない?あなたの所為で勝てない、そう言いたいんでしょ!?」

「ち、ちが…」

「そうよね、あの男が奪っていったエアグルーヴは勝ち続けてるのに私は沈んだまま。私も一緒に奪われればよかったのに、そう思っているんでしょ!!」

「そ、そんなわけ…」

 

 私とトレーナーさんの仲は険悪でした。スカウトされたときは勿論嬉しかったですし、色々と相談できる信頼したパートナーでした。…あの時までは。

 

 始まりは同じ時期にスカウトされたグルーヴの生徒会活動を辞めさせようとしたときでした。トレーナーさんはあの頃、グルーヴのトレーニング時間を増やすため、どうしても時間が必要な生徒会活動を辞めさせようとしてルドルフ会長や理事長さんなどに話をしていました。それが受け入れられないと今度はグルーヴに直接言って口論になり、グルーヴはトレーニングに参加せず一人でやるようになっていって…そのままある日、ロイトレーナーさんと契約してしまいました。その時はまだグルーヴは書類上はトレーナーさんと契約している二重状態になっていて、それを理由にトレーナーさんはグルーヴのロイトレーナーさんとの契約を白紙にさせようとしていましたが、学園側がグルーヴの意向を尊重するという形でむしろトレーナーさんとの契約が切れてしまいました。

 

 その時はまだ、何も問題は無かったんです。トレーナーさんとはグルーヴは不仲でしたが、私達の仲は悪くありませんでしたし、グルーヴとも学園で会った時は仲良く過ごせていました。

 

 ですが、グルーヴと私が同じ年にデビューし、グルーヴは連戦連勝向かう所敵なしの大活躍をしている一方で負けが嵩んだりして、気が付けば私はグルーヴを妬んで避けていました。勝ち続けるグルーヴが羨ましかった。

 

 負ける理由は分かっていました。トレーナーさんが逃げしか出来ないと何れ対策されてしまう、だから先行など作戦を変えてトレーニングやレースをしていたことです。初めは少し不調かな?位のものだったんですが、次第にペースも何もかも分からなくなって、レースが勝てなくなったんです。

 

 そんなときにスぺちゃんが転入して来て、スぺちゃんを通じてロイトレーナーさんやグルーヴの話を聞いて、余計に悔しくて。何よりも勝てなくなってしまった理由を作ってしまったトレーナーさんも嫌いになってしまって。

 

 あの人の頑張りも想いも分かっている筈なのに、どうしても離れたくて。そんな風だから、私はトレーニングを抜け出したり、サボったりして、行く当てもなく学園内や外を走っていました。

 

「…はぁ」

「溜息は、幸運を逃がしてしまいますよ。スズカさん」

「フク…」

「何だかここ最近、特に元気がなかったので心配して付いてきちゃいました」

「そう、ごめんね。心配かけちゃって…」

「…エアグルーヴさんのことですか?」

「…うん」

 

 エアグルーヴ、トリプルティアラ達成

 

 エアグルーヴ 年度代表馬選出

 

 エアグルーヴ ロイ・ヴィッフェ・ヒドルフ 年間有名人大賞受賞

 

 

 

 去年の年末でグルーヴとロイトレーナーさんの名前をその輝かしい功績と共に何度も見て、より調子を落としていた。勝てないのはトレーニングをサボった私が悪いのに。トレーナーさんに言えない私が悪いのに。

 

「気持ちは、分かります。私も結構良い成績でしたのに、掻き消されましたから」

「ダービーを勝つのは十分凄いことよ、フク」

「分かっています。スズカさんも出走していましたからね」

 

 去年の東京優駿。私は掲示板にすら乗れない惨敗のレースで、フクは栄冠を勝ち取ることが出来ました。ダービーバ、夢のような称号を得たのにも関わらず、世間はグルーヴのオークスにのみ関心を示して、フクがダービーバであることを知らない人もいるんです。

 

「スズカさん、今日の運勢の結果、知りたいですか?」

「今日ももうすぐ終わりなのに?」

「そ、そういうことじゃないんです。いいですか?スズカさんは今日、最も嫉妬している相手から助言を貰うと運勢がずっと上がり続けるんです。それこそ、運命も跳ねのけるぐらいに!!」

「嫉妬している…相手から…」

「はい。そうでなければ大大大凶です」

「…グルーヴと、話せるかしら」

 

 この一年間、グルーヴと話したことは授業に関することとか生活に関することとかの最低限で、嫌われてるんじゃ…。

 

「大丈夫ですよ、エアグルーヴさんは優しいですから」

「そうね…行ってくるわ。ありがとう!!」

――

「失礼します!!」

「うぅわ!?」

「スズカ!?…、ノックするなら返事を待て」

「あ、ごめんなさい」

 

 仮面姿で有名なロイトレーナーさんが取り敢えず仮面を手で抑えています。耳辺りから眼鏡のフレームのようなものが見えるのでサングラス姿だったんでしょう。

 

「ええっと、どうしたんだ、サイレンススズカ。エアグルーヴに用なら席を外すが」

「いえ、むしろロイトレーナーさんにも聞いてほしいんです」

「そ、そうか。分かった。そこに座ってくれ」

 

 案内してくれたソファーに座ると、その柔らかさに体が少し沈みます。グルーヴは向かい側に座って、ロイトレーナーさんは何かまだ仕事が残っている様で、事務用の机に向かって座ったままです。

 

「それで、何なんだ急に。だいたい、この時間は貴様はトレーニングだろう?」

「参加せずに外を走っていました」

「おいおい、君のところのトレーナーは正直に言って大嫌いだが、流石にそれはダメだろ」

「はい、分かっています。ですが、参加する気になれないんです」

 

 ロイトレーナーさんのガードさんが出してくれたお茶を飲んで、一息つきます。

 

「私もグルーヴと同じ年にデビューしましたが、ずっと勝ててません。自己分析ですが、敗因は私が得意な逃げではなく先行や差しで走っているからだと思います」

「スズカの逃げは理想的な逃げで、終盤に入ってからも再加速する。それでいて序盤から後ろを引き離していく、大逃げと呼ばれるものだ」

「ああ。選抜レースの映像を見たが、あれは凄かったな」

 

 選抜レース…もうあれが二年以上も前…。あのとき、色んな人に呼び止められた。その中から何かを感じてトレーナーさんを選んだのに。

 

「私は、今のトレーナーさんではどんなに指導を受けても勝てないと思っています。でも、私も戦法を逃げに変えてもしばらく逃げのレースをしていなかったのでどうすればいいのか分からなくて、だから助言が欲しいんです」

「助言…」

「私はあまり上手いことアドバイスを送れないが、トレーニングに付き合うことぐらいはできる」

「グルーヴ…ありがとう」

「トレーナー、貴様からも頼む」

 

 困り声のロイトレーナーさんがグルーヴの方を見ます。きっと以前、トレーナーさんと揉めたことを思い出して言葉を贈っていいのか悩んでいるのでしょう。

 

「…」

「貴様…」

「ごめんなさい、無理…ですよね」

「すまない…」

 

 グルーヴと話せただけでもよしと思って席を立とうとしたら、グルーヴが立ち上がってロイトレーナーさんに頭を下げました。

 

「頼む、いえ、お願いします。私は同期のスズカが、これ以上苦しんでいるのを見たくないんです」

「グルーヴ…」

「…お前に頭を下げられてそんな風に言われたら、逃げれないよ」

「トレーナーッ!?」

 

 溜息一つ、間に挟み込むように入れて助言をくれました。

 

「好きなようにやれ。手伝いはグルーヴに任せるしかないが、いざとなったら呼んでくれ」

「ありがとうございます!!」

「良かったな、スズカ」

「うん、ありがとう、グルーヴ」

 

 グルーヴの手を取って、助言を貰えた喜びに浸る。グルーヴも何だか喜んでていて、おかしな感じ…。

 

「それじゃあ私、走ってきます!!」

「おい待て、門限は近いぞ」

「もう行っちまったぞ。拾いに行ってこい」

「何!!貴様、少しは…」

「俺じゃあ寮まで連れていけないでしょ。ほら、速く行かないと置いてかれるぞ」

「ああ、もう。分かった。明日までにそれを作り終えるんだぞ」

「よゆー」

――

 あれから一週間。短い間だったけどグルーヴと一緒にトレーニングや並走をしたりして逃げの感覚を取り戻して挑んだ金鯱賞。

 

 私は選抜レースで見せた大逃げを再度成し遂げて、デビュー戦以来掴むことが出来なかった勝利の栄冠を掴んだ。

 

「サイレンススズカ、あなたは!!」

「ウイニングライブ、行ってきます!!」

「・・・」

 

 トレーナーさんとの間に、埋めることができない絶対の溝を作って。




この世界でのサイレンススズカの戦績

デビュー戦→逃げで余裕勝ち

それ以降は逃げ対策読みで差し先行で出走して入着や掲示板入りなど惜しい、あと一歩の位置。

クラシック後半はエアグルーヴの勝利ニュースを聞いて調子が絶不調を越えたスランプになり、調整兼様子見のOPですら順位は下から数えた方が早くなる。
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