男がほとんどいない世界に来(てしまっ)たロイ   作:ロイ1世

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お ひ さ (およそ一月と半月ぶり)

イベントで絶望したり自棄になったり自己満用の話書いてたら遅れちゃった、キャハッ☆(解体のアイドル艦)


あっそうだ(唐突)、本編全部書き終わりました。自分なりの納得がいったりいかなかったりです。


盗み聞きはよくない

「おいトレーナー、ここはどうするのだ」

「・・・」

「貴様!!」

「ウオッ!?」

「大丈夫か貴様?ここ数ヶ月ずっと心ここにあらずだぞ」

「すまない、色々と忙しくてな」

 

 タキオンがダービーで突然事実上の引退宣言をした。前触れなんてものは無かった。もっと言えば数週間たった今も理由が分かっていない。三流以下の雑誌はトレーナーが何らかの悪質な行為をしていたのではないかと騒ぎ立てていたが絶対に違う。

 

 乙名史さんやネットはダービーでタキオンに対して行われた稚拙な包囲戦法でレースから離れたかったのではないかと考えているようだが、引退ではなく休止宣言としている。それにタキオンはああ見えて熱いウマ娘だ。まだレースに出たいという気持ちはあるだろう。

 

 タキオンのダービー第四コーナーの私でも目を見張ってしまった加速。コーナーでの加速は膨らんで最短距離を取れなくなってしまうが不可能ではない。しかしあのとき、タキオンはずっとレーンすれすれの内側を走っていた。それなのにあいつはあのコーナーを加速しながら膨らむことなく最短距離を駆けていった。それも並大抵の加速ではない。何時ぞやに聞いたウマ娘の出せる最高速度を超えたラストスパート、そこに繋げるためのあの加速のときに掛かる負荷は誇張なしに殺人的だ。

 

 だからきっと、その限界を超えたタキオンの脚は折れてしまった。私はそう考えていた。だがそれも、トレーニングに参加して余裕の走りを見せたことで違うと分かった。

 

 こうしてこの件は迷宮入りでお終いなのだが、トレーナーはその対応をしなければならなかった。以前、空に横七の飛行船が事故で府中まで来てしまったときの記者会見の台本を作っていたので得意なのだろうが、私とスズカが出走する宝塚記念へ向けたトレーニングをする必要があるから楽ではないはずだ。

 

 それに、四月のファン感謝祭以降、トレーナーの身体警護の関係で行動が制限されている。そこに苛立ちを覚えている姿は何度か見たし、私達も制限されることがあった。あのときは衝撃で固まってしまい、その後の演劇で流されてしまったが、あのとき、やはりトレーナーは刺されていたのだろう。ではその後の炎上は?今目の前にいるトレーナーは一体…。

 

「はぁ…」

「エアグルーヴ、溜息はよくないぞ」

「そうか、そうだな」

 

 誰のせいで私が溜息をついていると思っているのか。全く、このたわけは…。

 

「まあ今はクールダウンだ。その後はもう一回幻影を使った模擬レースだ」

「分かった」

「次の宝塚はサイレンススズカが有利だ。あの逃げはお前には止められない」

「…」

「だが、それもお前があることに気付けば話は別だ。お前は気付いてもやらないかもしれないが」

「あること?それは何だ?」

「自分で気づかないとフェアじゃないぞ」

 

 トレーナーは楽しんでいるように見える。私ばかりに肩入れするのは確かにフェアじゃないが、今のスズカを負かすことは私にはできない。到達できる最高速度が違う。アグネスタキオンが殺人的な加速に耐えることができ、スズカは最初から集団を離し距離を稼いで逃げ切れる。一方で私は他のウマ娘のスピードを鈍らせる程度で他は二人に及ばない。

 

 だからこうして陽が沈んでもトレーニングをしているのだが、模擬レースではどうにもならない。

 

「トレーナー、準備ができた。貴様の方も準備を…」

「すまないグルーヴ、少し待てるか?」

「ごめんなさいエアグルーヴさん。少し提督を借ります」

「あ、と、豊峰さん。どうぞ」

 

 横七から送られてきた器具の搬入を終えたのだろうか、監督として度々来校する横七の豊峰さんがいつの間にか隣に立ってトレーナーを校舎裏に連れて行った。

――

「ダメだ。私は何を考えている!!」

 

 もっと他に何かやれることはあっただろうに。なのになぜ二人をつけてしまった!!横七の話なのだろうから、部外者の私が聞いていいわけがないだろうに!!

 

「これが、都市捜索班の進路と発見したものです」

「やはり地形が変わっているな」

「ッ!!」

 

 気づかれないよう、息を殺して気配を静める。レースで培った経験と技術がこんなときに活かされてしまうとは。

 

「そして、都市は本来の位置に存在しませんでした」

「本来の位置?」

「はい。都市は捜索班が回収地点に向かう途中のこのポイントで発見されました」

「都市が存在する…だが位置がずれているのはどういう理屈だ?」

 

 顔をこの角から出して見てみたいがそれをすればきっとバレてしまう。だから二人の会話から想像するしかないが、何を話しているのか全く分からない。都市とはどこのことなのだ。それも位置がずれているとは…。落ち着け、きっと今、トレーナーは昔私が一人で家を訪ねた時のように作戦を指揮しているのだろう。そうすると都市というのは暗号、何か別のものを指しているのか。

 

 そして位置がずれている、つまり事前に手に入れた情報と違うということは都市と呼ばれる何かが移動したということ。トレーナーの困惑はおそらく情報が漏れていた可能性を考えているのだろうか。だとすると都市が指し示すものとは犯罪組織のアジトのようなものか。

 

「…確認した。とりあえず三人は護衛に戻ってもらうぞ」

「はい。数少ないベテランのあの三人が訓練を施してくれたおかげで捜索に参加した部隊は練度が数段も向上しました。抜けるのは痛いですが、BBが代案を出してくれています」

「そうか。ところで、あれはどうなった?」

「…どうです?」

「…これは、すごいな。まさに諸刃の剣だ」

「原理は解明出来ました。コピーもできます。勿論、進化も」

「既にBBが良いものを出しているな。後で指示を出す」

「了解しました。報告は以上です」

「ありがとう。任せたぞ」

 

 話は終わったようだ。一足先にターフに戻っておかないと怪しがられるな。

 

 そう思って二、三歩動き出した時だった。

 

「ッ!!」

「そこにいる奴!!殺されたくなければ姿を見せろ」

 

 コンクリートの壁に小さな穴が開き、何かが私の動体視力を以てしても捉えられない速さで飛んでいった。あの穴の大きさと形状からして、飛んできた物は…銃弾!?

 

 トレーナーは銃を撃ったのか!?

 

「繰り返すぞ、心臓に巨大なピアス穴が欲しくなければ出てこい!!」

 

 どうする、どうする!?

 

 今出て行けば命は助かるかもしれないが、盗み聞ぎしていたことがバレて信頼関係がなくなる。そうなれば今後の契約が怪しくなってしまう!!かといってこのまま隠れていれば必ず私はトレーナーに殺されてしまう。だがバレても後がない!!

 

「提督、学園内であれば生徒や職員の可能性もあります。考えてください」

「四月に何があったか。忘れたとは言わせんぞ?」

「…失礼しました」

 

 豊峰も頼りにはならないか…。仮に全力で走ったとしても音が聞こえてこなかったことからきっとスナイパーライフルのような音速を超える銃に違いない。それなら無駄だ。それに、仮に逃げ切れたとしても息を切らしているところを見られたら怪しまれて結局はバレてしまう。追われているときに見られてもだ。

 

 

 

 

 

 別の方向に私がレースのときに出す幻影を出して注意を引けば、ありえるか?

 

「…時間はもう十分だろう。撃たせてもらう!!」

 

 考えている時間はない!!上手くいってくれ!!

 

「そこに移っていたのか!!」

 

 反対側にある校舎からコンクリートが欠ける音が何回も聞こえる。きっとトレーナーは今、幻影の方に意識が向いているのだろう。なら、今の内に静かにゆっくりとここから立ち去ろう…。




トロ巻き

ウマ娘世界の日本は多分とても平和だと思うから、サプレッサーとかサイレンサーの知識はないんじゃないかという想像。

あっ、後ロイさんはここで仮にエアグルーヴを見付けても盗み聞きをしたことを咎めるだけでそれほど怒りません。むしろ銃弾を当てた方が例え掠っただけでも滅茶苦茶後悔する。ソースはグラスワンダー。

なお豊峰(アイ)は警戒する。
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