あっそうだ(唐突)
パソコンで読んでいる読者の皆様がおりましたら、前回とか前々回とかの最後あたりをドラックしてみると、面白いものが読めるかもしれませんよ?
「これが残るなんて思えないけどよ、何だか言わなくちゃいけない気がしたんだ」
――
「おばあ様!!おじい様ってどんな方だったんですの!?」
あれはいつも通り、おばあ様の病室に行った時のことだった。あたしは両親の間に産まれた。お母様はおばあ様程じゃないがレースで活躍したし、お父様は新進気鋭の起業家だった。そんな二人の間に産まれたあたしだからこそ、気になったんだ。直系のお母様は一体誰から産まれて来たのかって。
おばあ様はまだ健在だったが、おじい様はあたしが産まれる前に亡くなっていた。あたしは自力でおじい様を知ろうとしたが、何処にも載っていなかった。家系図を見ても、おばあ様には御相手がいない。そういうものだ、って初めは思ってたけどよ、あるとき知っちまったんだ。おばあ様はおじい様のことを溺愛し、そしてお母様を身籠ったって。
メジロ家はひいおばあ様の代でより成長した。つまり婚約相手に求められる格は跳ね上がったわけだから、並大抵の男じゃない。けどどこにもおじい様のことは書いていない。そんな不思議な男を探しに、あたしは旅に出たんだ。
本当だぜ? それまでは基本本邸の中にしかいなかったあたしが外に出たんだから…。
辿り着いた場所はメジロ海岸。叔母様から聞いた話だと、おばあ様はここでおじい様と一夏を過ごしたっていう所縁の場所。そこに行きゃあ何か分かると思ったんだ。ただま、見つけたのはホテルだけだったんだけどな。
でもよ、海岸だけを見て諦めるのはナンセンスだろ? そこであたしは山にも入ったんだ。
山には縁結びの神社があるだけ。そう思っていたらよ、大発見があったんだ。
「ここは…すごいですわ!! まるで秘密基地みたいです!!」
山に生えていた一際大きい木。それがどういうわけか、あたしが近付いたら木の幹が開いてエレベーターが待っていたんだ。あれには驚いたよなー。
そんでその先にあったのは、横七の秘密基地だったってわけ。そこに物は殆どなかったけど、あたしがあんたと出会えたからくりはあった。
横七のタイムマシン。あたしは閃いたんだ。それに乗っておばあ様がおじい様と出会った頃に行けばいいって。しかも詳しく話を聞くと、ある時間から未来に帰れるって分かった。ならあたしはおじい様の顔を見たらとっとと帰ろうって思って、それに乗り込んだ。
適応するのは大変だったぜ。何せあたしが産まれる半世紀前だから、文化も何もかも違ってな。おまけに身の回りの世話をするお手伝いさんもいないんだから、困ったよなー。日銭は横七の連中がくれた打ち出の小槌で大丈夫だったけど、話せる相手がいないって辛いんだぜ? 知ってたか?
だからあたしは学園のデータにちょちょいと入り込んで生徒になりすましてたんだ。ただ理事長室にある紙媒体の方は細工できなかったから、それで全生徒を把握したあんたはあたしとウマネストで会ったとき、あたしが誰か分からなかったはずだ。
おばあ様の先輩として学園で過ごすのは変な気分だったけどよ、友達もたくさんできたし、レースもできて楽しかったぜ。
覚えてるか? ミスターの息子を名乗るキショいのがおばあ様とお見合いしたの。あんとき、あたしはまじでびっくりしたぜ。おばあ様の結婚相手はあんただって確信していたから、余計にな。でもあの一件で、あたしはあんたが何者で、どんな面白れぇ奴かって分かったよ。
そっからは痕跡消し。あたしが存在した過去を違う誰かが過ごした過去にすり替える。ホテルの宿泊記録も、コンビニでの決済記録も。その日その時そこにいたのはあたしじゃない誰か。ま、当然だよな。あたしは未来から来たんだから。
そんでもよ、横七と深海棲艦が戦争始めたってときは焦ったぜ。ここで横七が負けたらあたしの帰りのチケットはどうなるんだって思ったし、あんたが死なないかでも肝を冷やしたぜ。
だからかね、横須賀におばあ様がいるって聞いた時、ヤバい時に使えって渡されたロケットランチャー持って横須賀に来て、あの司令部でぶっ放したのは。流石のあたしも、戦場に乗り込む勇気なんてないからな。
けどよ、一番焦ったのはその後。横須賀でボロボロになったあたしをあんたは入院させたろ? それで血液検査の時になって気付いたのよ。
「やべ、おじい様とおばあ様とあたしの血縁関係がバレる」
だって一大事だろ? 下手したらスパイ疑惑で処されるんじゃないかって本気で不安に思って。
病院勝手に抜け出して心配させたのは悪いと思ってるよ。ごめん。
――
最後に、どうしてこんなテープを残すのか、気になったか? 正解は…あたしもあんたに惚れたからだよ、チュッチュ♡
まじであんたはすげえよ。あたしが出会ったどの男よりもカッコいい。けどいきなり銃乱射はかんべんな。
…本当は、あんたが未来のあたしの傍にいて欲しいから…だけど…よ、タイムパラドックスってあるだろ? それで、もしあんたがあたしのとこにいたら、あたしとあんたは過去で出会わない。あんたと過去で過ごした時間を、あたしは忘れたくない。でも、この感情を伝えずに帰りたくはない。
だから、決して叶えて欲しくない孫の願いを聞いてくれ。
「ロイおじい様、未来の成長した大人な孫を、可愛がってくれ」
ちな的な解説
ゴルシがロイの孫っていうのはいつぞやの回で分かったと思いますが、未来の横七が関係している描写としては、横須賀の戦いのタキオン視点、題名が『おはよう』の回で、グラハムに3の乗数で増えるロケットランチャーを撃った際に、横七の半世紀…(後の技術はどうよ!!)と言いかけています。(ゴルシ誕生が半世紀後かは不明でも、横七はそれ位で残党含め滅亡か停滞しているでしょう。)
ではここでおまけの問題です。未来の横七が作ったタイムマシーンですが、実はそれのパーツが本編中で横七とメジロ家に確保されています。何がタイムマシンのパーツか、ぜひ考えてみてください。正解は明日の番外編で。