男がほとんどいない世界に来(てしまっ)たロイ   作:ロイ1世

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思い付きで始める話。


再始動、プロジェクトL'arc

 カフェVS覇王世代やシンボリルドルフを筆頭とするその他有象無象の有マ記念がカフェの圧勝で終わったある日のこと。

 

「トレーナーさん、私、凱旋門賞に出走してみたいです」

 

 避寒地である横七島で行われた冬合宿…と言う名のバカンスでマンハッタンカフェが零した一言。フランスで行われる世界最高峰のレース、日本ウマ娘の追い求め続けた夢への挑戦。国内最強に対しても何度も苦汁を嘗めさせてきた飽くなき挑戦は…。

 

「じゃあやるか」

 

 あっさりと決定した。

 

――

「ぷろじぇくとらあく?」

「十何年も昔に行われた凱旋門賞専用のトレーニング支援計画の総称です。学園内に洋芝のコースを設置しての慣らしやフランス重賞ウマ娘を招いての模擬レース、フランス語やフランス料理などを使用して現地生活に備えるなど広範に渡る計画です」

「それでも今だ凱旋門を獲ったウマ娘がいないということは、そういうことなんだろうな」

 

 凱旋門賞勝利のため、まずはこれまでの挑戦の過程を義明と共に見返していたのだが、色々とぶっ飛んでいて面白く実用的なことをやっているようだった。特に数年かけて挑んだ集大成ともいえるL'arcは、施設建設やトレーニング計画書、人材招集などの保管されていた書類が一つの資料室を占領していた。

 

「うーむ、確かに勝てなかったみたいだが、入賞はしているな。なのに何故終了…打ち切られたんだ? 投入された学園の予算からも肝いりの策だったように思えるが…」

「その理由はこちらに」

「最終年度の予算計画書? …うっわ!? 理事長が好き放題やってる今のトレセンよりも支出が多い!!」

「それと比例するようにスポンサー企業も多かったですが…最終年度、このウマ娘が勝たなければもう日本に凱旋門は獲れないとまで言わしめたウマ娘の敗北。ここでスポンサーが離れてしまったみたいです」

「膨らみ続ける費用に根負けしてプロジェクトは打ち切りか」

 

 しかし現代の技術なら洋芝やロンシャンの風を完全に再現したコースをVRで安価に再現できるだろう。言葉の壁も言語アシストマシンが。今なら当時と比べて比較的安く行えるだろう。

 

「さーてと、我らが錬金術師たちに増産を命じるか」

 

――

『Project L'arc 再始動!!』

 

 去る三日、トレセン学園秋川やよい理事長は欧州の最高峰レース、凱旋門賞を目指す一大プロジェクト、L’arcを今年、再始動することを発表した。参加ウマ娘は後日、始業式後に募集を開始するそうだが、横七が参加することもあり、かなりの規模になることが予想される。特に~

 

――

「佐岳メイだ。前回に続いて今回もL'arcを任された。ロイトレーナー、よろしく頼む」

「お願いします。事前にお送りしました新型VRによるトレーニング計画はご覧になりましたか? 早速お話ししたいことがいくつかあるのですが…」

「そうだ!! それだ!! あれを作った人間と話がしたい!!」

「え?」

「従来のただ洋芝を敷いただけのコースでは完全なロンシャンを再現することは不可能だった。いくら洋芝で走ろうと気候条件は日本とフランスでは違う。時差ボケもそうだが気候に慣れることが必要なんだ。それからフランスの方にも実機を置きインターネット上で模擬レースを行うことで招聘した国外ウマ娘の滞在に関する諸問題を一気にパスし、容易に対戦できるようになった。この機能があれば海外ウマ娘とのレースの仕方の差というものを知ることができるし、メンツさえそれえば事実上の凱旋門賞を行うことができる。勝てば自信に、負ければ成長の糧に繋げることの出来るこの…」

 

 ああ…

 

 乙名史記者(あれ)と同じか。

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