期間空けて投稿して毎回前書きに「おひさ」とかゲイがありませんよね?
というわけで、今回は前回のあらすじを書こうと思います。
≪前回のあらすじ≫
新生からの命令通り、米国立研究所からシエラレオネ神話の石碑のデータをコピーすることに成功したアグネスタキオン。その後に高級ホテルのホテルウーマンに扮していた新生横七の工作員にデータを渡すことに成功する。任務が終わり部屋で休んでいたアグネスタキオンを訪ねたのは、新生横七を追うアメリカの半公式組織、XCOMの隊長となったグラスワンダーだった。かつての後輩との再会に喜ぶ一方、自分と彼女が今後敵対する運命であることを察する。彼女はただ、その運命が訪れないよう祈りながら夜を明かした。
疲れるな、やめるか(次回もやるかは気分次第)
「はっ?」
アメリカから日本へ帰る便の中で、思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。ファーストクラスで人が散っていたから、他の乗客には聞かれていなかっただろうが、それでも恥ずかしくて頬が赤くなるし、耳だって真っすぐに天を指している。
「用意周到と言うことだね。新生は」
機内食に付いてきたナプキン。その端には新しい指令が書かれていた。
――
帰国してから一週間後、私の仕事用パソコンに一通のメールが届いた。送り主は横七と深海棲艦の戦争に影響され、改組されて国防軍となった元自衛隊の幹部。内容としては、横七の戦争を間近で見ていた人物の話を聞きたい、とのことだった。
この手の仕事が無いわけではなかった。私は横須賀の戦いを横七の基地から見届けていたし、トレセン学園では二人の決着を見届けた。歴史が大きく動いたであろうその場にいた私は、話し手として十分だった。それに加えて予算が少ない私にとっては、こういった依頼はちょっとした小遣い稼ぎだった。
早速この仕事を受注した私は、過去数年間に行ったインタビュー記事の記録を搔き集め、原稿を作成した。これがテレビだと感動だったり恋物語だったり、とにかく何かしらの脚色を付けなければならないのだが、国防軍なら必要ない。何せ彼女らが聞きたいのは横七との比較。『あの』横七と比べられたとき、今の自分たちがどうなのかを知りたいのだ。容赦は逆に彼女たちを怒らせる。
ああでもないこうでもないとうんうん頭を悩ませながら書いた原稿は、我ながらかなりの良作だった。90%の事実と10%の
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「まるでこれでは金田一少女か名探偵コナンちゃんだね」
「アグネスタキオン博士!! ここも危険です、もっと下に」
「分かった。案内してくれ」
建物全体が揺れるのを感じながら、基地のさらに地下へと駆け降りる。現在、私が訪問していた国防軍基地は、襲撃されている。
爆弾を抱えたドローンが建物や壁を破壊し、身を隠す術を失った兵士たちを装甲車が機関銃で粉砕する。突然の襲撃、それも銃規制がしっかりしている日本でのそれに対応しきれなかった国防軍は、戦線を後退させ、頭を完全に抑えられたモグラになっていた。
「あと何階分下がある?」
「二つです」
「詰み盤面だね」
「なんでそんなに落ち着いていられるんですか!?」
「あのときの彼ほど怖くないからね」
基地施設の最地下、そこの一番奥にある一室、資材保管庫。中には非常用食料や水といったここに避難した時のことを想定して備蓄していた物資と、雛人形などの民間交流時などの年に一回のイベントでしか用いない物が収納されていた。
「ああ神様、お助けを…」
「宣戦布告も無しにあれだけの戦力で仕掛けてきた点を鑑みれば、犯人は新生横七か。それならグラス君たちXCOMが飛んでくるだろうし、寝て待つとするか」
外部と繋がっている電線が切断されたのか、今は基地内にある非常用電源で電力需要を賄っている。そのため、何も戦闘に使えるものが無いこの部屋には照明分の電力も供給されておらず、懐中電灯の灯りだけが頼りなのだが、それもバッテリーのことを考えれば移動もしないのに使うのは憚られる。色々と能書きを垂れたが、つまるところ寝るのにちょうどいい暗さなのだ。目をつぶっても存在感を放つ銃声や爆発音、さらには振動が無ければ、最高だった。
「毛布もあるし…君。落ち着いたら起こしてくれ」
「そんな…寝ないでくださいよ!! 一人きりなんて怖いじゃないですか!!」
「一応、現役の軍人なんだろ? もっと堂々としたまえ」
「まだ配属されて三日も経ってないんですよ!! 訓練でもイマイチだったから、あなたの案内なんていう懲罰を押し付けられたわけで…」
「気が変わった。そこに直れ」
案内人の一言で頭に血液が直線一気した。掛かり気味かもしれない。おかげで眠気がtake offした。
「こんな状況じゃあ、私の原稿は無駄になってしまう。いいか新人。君が私のレポートを纏めろ。そして私に原稿料が支払われるよう手配するんだ」
「はいッ?」
「じゃあ話すぞ。あれはボロボロになった深海棲艦が学園に現れた時のことだ」
「突然の回想ですか?」
「黙りたまえ」
――
その日は雲一つない快晴の青空だった。午前授業を終えた私*1はカフェテリアで私を慕う後輩*2と共に昼食を摂っていたんだ。
「緊急放送、緊急放送です。学園内に不審者が現れました、生徒の皆さんは落ち着いて、避難指示に従って…」
放送の声は自動音声ではなかった。たづなさんの緊張した声色が、呼びかけていたんだ。その放送を聞いた私は借りていた教室*3の窓から外を見たが、そこにいたのは深海棲艦だった。テールだ。
しかし様子が可笑しかった。彼女はずっと笑っていたんだ。気が狂ったように。こっちまで可笑しくなってしまうような狂気から目を逸らすため、テールの周囲を見た私はそこでようやく何がテールを狂わせたのか気付いたよ。一人だったんだ、テールは。
今までのテールは傍に誰かが常にいた。部下であったり、子供であるツインズだったりが。そんなテールがアウェイであるトレセン学園に一人で現れた。つまるところ…孤独だったんだ。横須賀で自分以外の全てを失ったテールは、自棄になって学園に現れた。
生徒にも職員にも手を出さず、ただ正門で笑い続けた。トレーナー君…ロイ・ヴィッフェ・ヒドルフを待っていたんだ。どうせ負けて死ぬのだから、最期に花を咲かせたい。そう思ったんだろう。そしてテールの望み通り、彼は来た。
二人の戦いは説明するのが難しいんだ。何せ私たちの想像の域を超えているからね。だから結果だけを言うが、相討ちになった。彼はテールを連れて大空に飛翔したんだが、そこで忽然と姿を消してしまった。
その後、続くように横七は歴史の表舞台から去り、その名を聞くことは無くなった。
――
「というのが大まかな内容なのだが…」
「は、はあ、そ、そうですか…」
「安心したまえ。原稿はここにあるから、それを刷って配ればいいさ」
「いえ、その…」
「ところでだが、この部屋にはこれだけ人がいたかな? 二十人は増えている気がするが」
私を照らす懐中電灯の灯りの数が気付けば増えていた。ライブ会場ではないのだから、この部屋にそんな数のライトがあるとは思えない。つまるところ、外から誰かが来たのだろう。
「アグネスタキオン博士、ですね」
防弾ベストにプロテクターなど、生存性がかなり高くなるような装備に身を包んだ一人のウマ娘が私に話しかける。凛としていて、それでいて柔らかい聞き馴染んだ声。左胸には地球のような球体にXの字が被さっているXCOMのマーク。
どうやら既に救援が来て、襲撃者たちを倒したようだ。
「グラス君か。そういえば、君が隊長だったね」
「はい。…アグネスタキオン先輩。あなたを
新生横七に協力した疑いがあるため、逮捕します」
そのとき、新たに電源を確保したのか、基地の照明が復旧し懐中電灯の灯りだけしか光が無かった暗黒の世界が真っ白に染まる。
暗闇に順応した目が今度は明るさに慣れるまでの数秒後、私はようやく現状を理解した。
「…始まりはタレコミでした。ですが詳しく調査するうちに裏が取れました。タキオン先輩。私もあなたを撃ちたくはありません。抵抗せずに、捕まってください」
なぜ案内役は照らされずに私だけが照らされていたのか。その答えが分かった。
「さしずめ王手と言ったところかな?」
グラス君の部下。その全員が私に銃口を既に向けていた。おそらく電源が戻る前からだ。でなければ銃身に取り付けたフラッシュライトが私を照らすはずがない。
誰がXCOMにタレコミを入れたのか。なぜこのタイミングで彼女たちが来たのか。分かっていた。分かっていたさ。
だからこそ。
「私はここで終わるわけにはいかない」