男がほとんどいない世界に来(てしまっ)たロイ   作:ロイ1世

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ここ最近のあるあるミス



タイトルの付け忘れ


一番立派な

 エアグルーヴ君に車を走らせること三十分。府中市の郊外に佇む巨大な建造物は、かつての記憶のままにその姿を残していた。

 

「あれが目的地なんだな」

「そうだ。あそこには何か私たちにとって逆転の一手と成り得る何かがあるはずなんだ。…もっとも、それを手にできるかは分からないが」

 

 ヨーロッパの城郭都市のように巨大なレンガ造りの壁で囲まれた広大な敷地。横七が持つ日本の拠点の中ではおそらく最も拠点として機能していたトレーナー君の邸宅。横須賀を放棄した後の横七は、日本中の戦力全てをここに集め、そしていつの間にか消えていた。

 

 私がここを訪れたのは一度だけ。横須賀を逃れた後、サバイバーと呼ばれる機体に乗っていた私は終点であるここに運ばれた。降ろされてからはすぐに車に乗せられて学園まで送られたため滞在時間は一時間にも満たないが、それでも世界で唯一の外部からの訪問者である。

 

「開かずの扉の城壁。マスコミが侵入を試みても全て失敗したと聞く。どうするのか当てはあるのか?」

「一つだけ」

 

 車が扉の前で止まる。降りた私たちは何かしらの『目』がないか調べた。

 

 いかに横七が進んだ集団とはいえ、扉の前に立った何者か全てに無反応を貫くわけではないだろう。横須賀の後に集ったマスコミもいれば、横七の財宝に目が眩んだ新生のような危険な存在もいる。何よりも深海棲艦対策をしていたはずだ。三者三様な訪問者を見極める装置があるはず。

 

 そして見つけたのは配電盤…に扮した指紋認証装置…のように見せかけて、実際のところは血液から本人確認を行う装置だった。

 

「これで開くはずだが…」

 

 指を押し込めば、おそらくはナノ単位の針が筈かに飛び出し、左手からほんの少しの血液を採集する。十数年ぶり…いや、そもそもトレーナー君なら顔パスに似た何かを使うだろうからおそらく史上初めての作動であったにも関わらず、扉はすぐに開いた。

 

「閉まらないうちに入ろう。もしかしたら、私たち以外の誰かが見ているかもしれない」

「あまり怖いことを言うな。貴様は顔を隠していないのだから、通報されては困る」

「マスクとサングラスと帽子は常備するべきだよ。私はそれをトレーナー君とのお出かけで思い知った」

 

 車を中に入れると扉は自動的に閉じた。まるで常に見ているかのような横七の技術に感心しつつも複数ある建物の中で、最も豪華な建物の前に車を横付けする。

 

「一番立派な建物には最も多くの物が集まる。そうであってくれよ」

 

 扉を開けて中に一歩踏み込む。

 

ゴトンッ

 

「え?」

「タキオン!?」

 

 足を着けたはずの地面が突如として開く。予想外のことにバランスを崩した私はエアグルーヴ君に助けられるよりも先に暗闇の彼方へと落ちていった。

 

――

「遺伝子検査中、類似率、33.3333333…%。あなたを『76』の対象者として承認します。お帰りなさい、提督」

 

 頭がぼんやりとする。落下の衝撃…自体は皆無のようで、体には傷一つもない。しかしそれでも突然の落下という恐怖によって脳が一時的な麻痺…もとい、私は気絶をし、今立ち上がるところだった。

 

「BB? いや、違う。あれよりも小さいから、コピー品か」

 

 部屋の中央には、いくつものモニターと、それを一望できる腰掛椅子、その椅子の背もたれより少し後ろにBBモドキがあった。

 

「現在、部隊は、活動を停止しています」

「指揮権は誰が持っている? トレーナー君か? それとも豊峰さんか?」

「照合中…。指揮者は、提督、です」

 

 それも当然か。トレーナー君が死んだとしても、横七にとって提督は彼だけ。唯一無二の存在であるからこそ、その不在が悔やまれる。

 

「ふむ、質問には答えるのか。では、提督からのメッセージを」

「照合中…。該当するメッセージは、ありません」

「参るね」

 

 彼から何か指示のようなものがあればやりやすかったのだが、それがないなら仕方がない。

 

「未完了のタスクが、一件」

「まだ終わっていない? 飛ぶ鳥よりも後を汚さない横七にやり残しがあるなんて…。それを表示しろ」

「了解…。未完了のタスク、部隊を再起動する、です」

「部隊!?」

「照合中…。スパルタン3名から編成される、遊撃部隊です」

 

 スパルタンチーム!! それがまだ残っているなんて…。もしもそれを使えるならば、この先争うであろう新生とも、XCOMとも戦える力になる。

 

「どうすれば彼らを再起動できる!?」

「オーダー承認…。部隊を再起動します」

「え?」

 

 まるで私の望んだ通りに事が進むのを少々不気味に思いながら、何か変化はない物かと周囲を見回していると、後ろの扉から人が()()も入って来た。

 

「前も一度このようなことをした覚えがあります」

「そうだな」

「同感だ」

「貴様ら、放せ!!」

「…まさか」

 

 そこにいたのはミョルニルアーマーを身に着けた大柄のスパルタン…今はヘルメットの中に収容されているバイザー部分から覗ける顔を見るに、アリス、ダグラス、ジェロームの三人衆。全く老けていない三人によって簀巻きにされた挙句、アリス君に担がれていたエアグルーヴ君。

 

「アグネスタキオン…まさか、あなたが」

「君たちには聞きたいことがたくさんある。だがその前に、エアグルーヴ君を解放してはくれないか? 彼女は私を助けてくれたんだ」

「了解」

「…置くときは床に優しく置きなさい」

 

――

「それで、アリス君たちは横七が遺した助っ人ということでいいんだね」

「はい。横七消滅後の大佐の復活。そのときに私たちの力が必要になると考えた副司令は、各地に部隊を分散して停止しました」

「そしてトレーナーの復活計画である『76』を補助する、と」

「大佐の死が横七の死であったように、大佐の復活は横七の復活と同義です。そして残念なことに、この世にはそれを望まない者が深海棲艦以外にもいます。そうなったとき、私たちは『76』の実行者たちを守る盾となるよう命じられていたのです」

 

 三人の案内で地下を抜けて応接室で話す。エアグルーヴ君が一度もその(掃除好き)を発症しないぐらいに綺麗に維持された建物は、とてもではないがおよそ十年の間、人の手が入っていなかったとは考えられない。しかしそれでも不思議ではない横七。

 

「情報は更新され続けています。国防軍、および警察組織の脅威度は低。新生横七は中。XCOM

は高です」

 

 絶えず変化する世界。特にここ十数年はそれが最も顕著だったと言い切れる。考えられもしなかった国際犯罪シンジゲートと宗教の合体である新生横七。その対であるXCOM。それらを知っているのなら、話はしやすい。

 

「私たちは今後、彼女たちと戦う可能性が高い。…勝算はどれほどある」

「計画の成功、という点で絞れば100%問題はありません。尤も、十分な武器があればの話ですが」

「それについても聞きたいと思っていた。ここは長年人の出入りこそなかったが、それでも放棄されていたんだ。その類のものはあるのかい?」

「単刀直入に言うと、ありません。武器弾薬は全て消滅時に廃棄されました。そのため、私はまず買い物をすることを提案します」

「「買い物ォ~!?」」




『76』計画ことロイ・ヴィッフェ・ヒドルフ提督復活計画について

シエラレオネ神話に記されていた復活の儀式を行うことでロイを蘇生させると同時に、タイムリープをさせて戦局をより有利にする計画。担い手はロイを継ぐ者に任せられた。
しかしメジロマックイーン、ルイ・フォンス・ヒドルフ(新生横七の統領)と外れを連続で引いたことで血縁に眠る精神に期待することにした。本編ではゴールドシップが期待に応える存在となった。
二周目タキオンやロイの左腕を移植されたタキオンは想定外の大当たり。
世界各地に様々な形で散っていった横七の戦士たちは、招集される時を今か今かと待っている。



名前の元ネタは、fallout76。vaultが開く再生の日をロイがタイムリープしたことで新たに刻まれる再生した日、ウェストランダーズの登場人物など、割とネタを盗用、もとい登用している。

余談だが、ドラマを見てps4でもう一度やろうと思ったが、ps plusの契約期間が切れていたため、諦めた。 超☆許さん
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