「わあぁ……ここがラステイション……本当に機械だらけの街なんですね!」
ラステイションに到着したネプギアは思わず圧倒される。 周りにはたくさんの機械やジャンクパーツなどが売られており、プラネテューヌから出ていない彼女からすれば、素晴らしい光景なのだろう。
「ギアちゃんは来るのは初めてですか?」
「はい、お姉ちゃんから話は聞いていたんですけど。 楽しそうだな色々と見て回りたいな」
「楽しそうね、ウィオラ」
「うおっ! ネプギアちゃん、目的忘れちゃだめだよ!」
まるで子供のようにはしゃいでいるネプギアを見て、自然とこぼれるような笑みを浮かべたのだろう。 悪魔の笑みを浮かべるアイエフをみて、咄嗟に話題を変えようとする。 我ながら苦しい返しだった。
「あら初々しい。 もっとやっていいのよ」
「そういうアイエフちゃんには、そこで膨れ顔になっているコンパちゃんを進呈しよう」
「え?」
そこを見ると本当に膨れ顔になっているコンパの姿があった。
「いいです。 アイちゃんなんて知らないです」
「ちょっと待ってコンパ。 これはちが……ハッ!」
説得しようと慌てふためくアイエフの姿を見ながら同じような気持になっていた。 それに気づいたアイエフは頬を引きつらせながらこっちを振り向く。
「初々しいねアイエフちゃん」
「アンタ……」
「イチャイチャするのは構わないけど、場所と時間を考えたら?」
今はラステイションの街中。 そこに住む市民や他国から来た人々から見れば、何かと葛藤する少女と他の少女にちょっかいかけてて少女から嫉妬を受ける浮気男の三角関係。 そんな状況が完成していた。
彼らは関わらず、見なかったフリをして通り過ぎる。 触らぬ神に祟りなしだ。
「そろそろギルドに行かないか? 情報収集ならあの場所が適任だからね」
「アンタが言うな! ……まあいいわ、行きましょう」
アイエフは不満気な表情を浮かべてこっちを見るが、ため息を吐き、いつもの表情へと戻っていた。
4人はギルドへと向う。 中へ入ると、人はチラホラとしかいない。
「やっぱり人がいないですね」
「この国もマジェコンヌに支配されているってことでしょうね。 まともな情報があるといいけど」
「じゃあその間に、お仕事取ってきますね」
「なら、俺はネプギアちゃんの方に行こうかな。 正直情報収集は専門外だからね」
彼らは一端別れた。
ネプギアとウィオラは、ギルドの受付まで向かっていた。
ギルドには、市民の落とし物から秘宝の採取まで乗っている掲示板があるのだが、流石に下手なクエストを受けないようにと受付で直接依頼を受けようと提案したのだった。
「じゃあウィオラさん、私がクエストをもらってきますね」
「うん。 とりあえず、アイエフちゃんが怒らないクエストにしてね」
そう言って手を振りながらネプギアの後を数歩離れてついて行った。
そう言ってネプギアは受付へと走る。 それに少し遅れて着いて行った。 少し心配そうな表情をのせていた。
「「すいません、クエストもらいにきたんですけど」」
「え?」
「ん?」
「あ゛」
ネプギアと先ほど彼が見かけた黒髪の少女と声が重なる。 その後ろでは男の野太い声が聞こえるが、彼女らには聞こえておらず、双方の声がした方に顔を向けた。
「アンタもクエストを受けにきたの?」
「え? う、うん。 そうだけど」
二人は会話を始める。 それを見られない場所まで離れていたウィオラは、滝の汗を流していた。
「(間違いない、彼女はブラックシスター様だ。 どうするんだこれは)」
先ほどまで出ていた汗を止め、手を顎に当てる。
「(ここでは無知を装うしかないんだが、後で厄介なことになりそうで面倒だぞ。 だが、下手な呼び方をすればアーテルに何をされるかわからん。 そして、あそこで話しているってことは、一緒に行動することになりかねんが、自分の保身を第一に考えるしかないようだ)」
「ウィオラさん、何か考え事ですか?」
「ん? そうだね、ちょっとした考え事だから気にしなくていいよ」
気づけばネプギアが近くに来ており、案の定黒髪の少女も一緒にいた。
「なーんだ。 そっちは一人でクエストしているわけじゃないのね。 なに、お兄さん?」
「ち、違うよユニちゃん! 紹介するね、この人はウィオラさん。 剣も魔法もとても強いんだ。 ウィオラさん、こっちはユニちゃん。 さっき友達になったんです」
兄というユニの発言に赤くなりながら紹介するネプギアに不思議と首がかしげるが、兄と呼ばれて少し頬が緩んだ。
「別に強くはないよネプギアちゃん。 ユニちゃんだね、俺はウィオラーケウス。 好きなように呼んでくれて構わないよ」
「じゃあ、ウィオラで。 よろしくねウィオラ」
ウィオラがユニの前に手を差し出し、彼女はその手を握り握手を交わした。
その後、詳しい経緯を聞いた後にネプギアが提案を口にした。
「じゃあ、行こうかネプギアちゃん。 ユニちゃん」
「そうですね」
「ええ。 あたしの足を引っ張らないでよね」
「善処するよ」
ネプギアとユニの後を歩く。 楽しく話す彼女達を悲愴な顔つきで見ていたと思ったら、急に一驚な表情を浮かべ、唇が震えていた。
『おーい、早くおいでよ! おいて行っちゃうよー!』
「あ、ああ……」
その前には、少し濃いフクシャ色の髪をしたパーカーワンピを着た少女がその列に加わっていたように見えた。 それに無意識で自身右手が、前へと突き出されていた。
「ウィオラさん、どうかしました?」
声が聞こえ瞬きをすると、そこには不思議そうにこちらを向けたネプギアとユニがいた。 もちろん先ほどの姿はどこにもなった。
「いや、なんでもないよ。 行こうか」
彼女らの先を歩いて行く。 ポケットに入っていた十字キーの首飾りを握りしめていた。
「へえ。 それでギルドでお友達になったんですね」
それから彼らはアイエフ達と合流し、現在リビートリゾートへと来ていた。
その移動中に彼女らは様々な話をしていたのだが、気まずいと数歩後ろを歩きながら、度々会話に参加する形になっていた。
その時、ユニはこちらへと顔を向ける。
「そういえばウィオラ。 アンタ強いらしいけど、どのくらいなの」
ユニ自体はちょっとした疑問だったのだろう。 だが、ネプギアたちは汗が噴き出していた。
「ユニちゃんそれは……」
「どうしたのよネプギア。 それにコンパさんもアイエフさんもすごい汗だけど」
そんな漢字反応されるが彼女達の予想を裏切る結果になるのは分かっていたが、それを口にした。
「それがちょっと色々とあってね」
「どうかしたんですか?」
それがと頬をかきながらそちらを向き。
「俺の剣、コールブランドなんだけど、ちょっと故障しちゃったんだ」
「「「え?」」」
頭をかきながら乾いた笑いをする彼にユニ以外が、開いた口が閉じていない。
見せると前見た時と違い、その刀身に黄金の輝きが失われ、ただのちょっと古い剣がそこにあった。
「その剣どうしたのよ?」
「ちょっと整備サボったせいで故障しちゃったみたいなんだ」
「何かそれって機械だったんですか!」
ネプギアは顔が輝いていた。 まずいと思いながらすぐに話を戻す。
「実はさ、これがないと魔法とかが大幅に制限されるんだ」
「え、なんでですか?」
「この機械剣には持ち主を補助する機能がついていてね。 だからあんな魔法を使えるんだ」
そのことを聞いたアイエフたちは驚愕する。 特にアイエフは慌てふためいていた。
「そんなのありえないわ。 そんな剣が実在するなんて聞いたことも噂としてすらないわよ!」
「まあそうだろうね。 でも実際それが目の前にあるんだよ。 コールブランドという名前はお飾りじゃないってことだよ」
そう言われてアイエフは肩を落とし、コンパは苦笑いする。
話についていけないユニは考えるのをやめる。
そして、ネプギアはというと
「うわー。 これ剣なのに精密機械の部品がありますね! ウィオラさん、少し触らせてくれませんか?」
この通り剣に執着する。 これにはウィオラは想定の範囲内だが苦笑い。
「そうしたら俺の武器がなくなるんだけど」
「なら後で!」
「そしたら帰ってこないと思うんだけどな」
中々あきらめないネプギアに距離を詰められ、どんどん後がなくなっていく。
「ネプギアそれ以上はやめておきなさい。 ここで戦力を減少させてどうするのよ」
「はい。ウィオラさんすすいません」
「ま、まあ……これの前の型だったらいいよ」
「本当ですか! 絶対ですよ!」
あからさまに落ち込む姿を見た折れた。 完全に折れた。 だがしかし、それによって目の前の少女が笑顔になるなら国家秘密相当の次世代技術の塊を受け渡してしまうことにためらいを感じたことを恥じた。
「とりあえず、話は決まったわね」
目の前にいる少女は眉間を抑えていたが。
「ごめんなさい。 ついおさえられなくなちゃって」
「ごめんアイエフちゃん」
「まあいいわ。 けど、ウィオラ。 あなたには先客があるでしょ」
そのほうへと見ると、眉間に皺を寄せたユニがそこにいた。
「人を無視するなんて……ね」
「ご、ごめん。 まあ、一応魔法が使えるけど、大魔法はちょっと難しいかなって感じだと思うよ」
「そういうじゃなくて! アンタが戦力なるかどうかなのよ!」
「それは大丈夫だと思うよ。 剣なら負ける人なんて指数えるくらいだし」
「ふーん。 まあ、五人がかりならこんなクエスト楽勝よね。 ぱぱっと終わらせちゃいましょう」
頭を掻きながら苦笑いする姿に、思わず溜息を吐くユニ。 その態度にネプギアは不満が残っていたが、気にしていないことを確認すると、首をブンブンと横に振った。
5人は再び歩き出し、残り数メートルの道を縮めていった。
「チッ! アイツらもう追いついてきやがった。 どうしましょうべリアル様」
同時刻、ウィオラたち一行がリビートリゾートへと向かっていたのを彼らには見えてた。
「問題ない。 あの程度ならどうにかなるさ。 所詮は女子供だが、あの男は私が相手をしよう」
「べリアル様が出向かなくも私が」
「たわけ。、相手の実力を考えることだ。 過大評価ではないがあれでも私たちの手を煩わせる相手だ」
その言葉に、下っ端は驚愕する。 ふつう彼らはそんなことを口にしないはずなのにそれを言わせるってことは相当な手慣れだと。 それと自分が手合せしたこともあり、その言葉には説得力があった。
「まあ、しかし」
べリアルは不気味な笑みを浮かべる。
「ここまでたどり着けたらの話だがな」
そう言い残すと、彼は奥へと歩いていていったのだった。
2016年2月8日 文章訂正