Library of ruinaに無いはずの本   作:餓空 泥暮

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書いてあるだけの本です、焼けないしコアペも無い。けど、大事な本です。


崇拝者

オンリー・マイ・ヘブンの本

 

 私だけの地獄、貴方にはそう伝えました。貴方の幸福を願い、躊躇を与えないために、そう伝えました。しかし、懺悔させてください。貴方の意に背いた事を、ちっぽけで、世界を変える嘘をついた事を。

 これは私だけの天国、死んでも死んでも貴方が迎えにくる天国、終わらない天国。だから、貴方がここに居てはならなかったのです。私の天国が必ずしも、貴方の天国という訳ではありませんから。私を忘れて、貴方の天国へ羽ばたいて下さい、貴方の地獄はここで燃え尽きます。

 申し訳ありません、申し訳ありません、懺悔します。貴方の命は貴方の為に、私の命は貴方の物です。私がした事は貴方が捧げた物を返したに過ぎないのです。全てお返しします……何度でも。

 貴方が最初に下さった物『ウェルチアース』美味しかったですその美味しさのあまり、貴方が死んだ後は二度と飲めません。

 二つ目に下さった物『知識』アドバイス受けてばっかりで、何も成長しないで、何度も貰ったものです、今ならいくらでも、どんな物でも用意できます。

 三つ目『呪い』貴方の約束です、私の行動原理であり全てです、これが無くなれば私は動く死人です。貴方に『行動』を返します。

 四つ目『命』私の命はありません、ただそこにあるのは命を受け取った傀儡です、貴方の盾であり矛であり…貴方を最も愛します。

 五つ目『チャンス』貴方は私に命を与えて下さったと同時に、やり直しのチャンスを下さりました。全て貴方が与え、貴方が作ったものです。

 六つ目『魂』狂っても狂っても、貴方は何度でもやって来て何度でも手を差し伸べました。私の魂は貴方に塗り固められ、貴方の色になりました。貴方の殻が私を絶望から遠ざけて下さります。

 7つ目『貴方の幸福』私が貴方に望む唯一の物です。まだ手は届いていません、確証もありません、この天国がいつまで持つかも分かりません。でも、少なくともひとつだけ絶対的な物があります。この天国が崩落する時は、私が世界一の幸福を持って死に至るということです。

 

 狂って見せましょう、英雄譚に見える様。壊して見せましょう、貴方が理由という丈夫な殻で守られる様。笑わせて見せましょう、下らない喜劇が貴方に映される様。

 

 分かっています、貴方は時間軸が逸れた時点で、貴方ではない。でも、そうすれば私の恩は、どこへ行くのでしょうか。私の、私だけの願いも、エゴも、天国も、地獄も、全て……私への感謝はいりません何も与えないで下さい、ただ……私の存在意義だけは奪わないで。




「…なぁ、この本本棚整理したら出てきたんだけど、どこに分類したらいいかな?」
「んー?これは…宗教かな?いや、文学かも、詩っぽいし」
「何か…」
「どうしたのさ?」
「いや、なんか見覚えある気がしただけ、忘れて、多分気のせいだから」
「ふーん、そう」
「…泥暮、ね……」
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