スマホ依存症のエスパー少女はビートくんにご執心のようです!   作:昧歌

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ワイルドエリアを抜け『都会へ』

 おはようございます。今日は昨日と違い、雲ひとつもないとてもいい天気です。さて、わたしは昨晩のうちに用事を済ませ、いよいよジム戦に挑戦する権利を得れました。今日はそのジム戦へエントリーしに行きます。

 

 ユウリさんとマサルさんのテントの外から声をかけると、眠そうな声で「準備できたよ〜」という返事が聞こえてきました。ちゃんと起きれてよかったとほっとしながらも自分のテントを片付ける。

 

「おはようございます。昨日は寝れましたか?」

「まあね、普通ぐらい?テントって以外と寝心地いいんですね」

「それはよかったです。いざ旅を初めて、テントに慣れなくて辞めちゃう。なんて人も一定数いるみたいですよ」

「そうなんだ。ま、オレたちはそうなことにならねぇけどな」

 

 二人が元気そうで何よりですね。昨日と変わらず色々と話をしながらもテントを二人分のテントを片付け、朝ごはんはきのみで済ませ、早速ジムチャレンジの開会式がある所───エンジンシティへ向かうのでした。

 

「ユウリさん、マサルさん。ロコンとガーディがいますよ!一つ目のジムはたしかくさタイプですし、捕まえた方がいいのでは?」

「うん?ああ、それなら心配ないぜ!オレの相棒がこいつだからな!」

 

 そう言いながら自信満々に出てきたポケモンは最初に選ぶ三匹の、ヒバニーでした。元気よくぴょんぴょん飛び跳ね、時には小さい火花を起こしながらワイルドエリアの草原を元気に走り回っていました。

 

「なるほど!ヒバニーを選んだのですね!じゃあユウリさんは?」

「私はこの子だよ!いけ──」

 

 掛け声とともにできてたのは薄い水色と黄色が体色のポケモン、メッソンでした。メッソンは出てきたがいなや、すぐにユウリさんの後ろに隠れビクビクしていました。

 

「すみません……この子恥ずかし屋さんなんですよ」

「メッソン!可愛いですよね!謝ることなんてないですよ〜」

「こっちはみずタイプだから……やっぱほのおタイプ捕まえた方がいいな」

「うん、そうするよ。えーっと、ほのおとくさ、どっちも欲しいな」

「バランスよく行くのもいいですが、自分で一つのタイプにこだわるのも楽しいですよ!例えば────」

 

 そう言っていくつかのボールからポケモンを出し、左からユニラン、イエッサン、イーブイの順に並ばせました。さて、これはなんの統一でしょうか!とクイズ風に言うと、意外と二人は悩んでいるようです。

 

「ユニランもイエッサンもエスパーだけど……なんでイーブイですか?」

「ああ、この子はまだ育成途中なんです。一応エーフィになるようにしてます」

「ってことは、エスパー統一なんだな!でもそれだと相性が悪いあくタイプが来たら誰も太刀打ちできないんじゃないか?」

「ふっふっふ、そこがエスパーの強いところなんですよ!見てください、この優秀な技範囲を!このちょうど強い特性を!」

「それにエスパーは見た目も可愛いんですよ、そしてバトル以外でも活躍することも多いし、しかもあくタイプにさえ気をつければ弱点がほとんどないんですよ。それで特防だけじゃなくて防御も強い子が多い、すばやさは遅いけどトリックルーム───

 

「マサルくん、こ、これ、止めた方がいいのかな」

「ど、どうだろう楽しそうに喋ってるし……」

──────って感じで!!ほんとにエスパーって素晴らしいですよ!あれ?二人ともなぜ固まってるんです?」

「い、いいえ、なんにもありませんよ。アイビーさんはエスパーがとても好きなんですね……」

「はい!そうですよ」

「えー、えーっと……じゃあ、先進もっか。ほのおタイプもう捕まえたし」

 

 エスパーの素晴らしさを語っているわたしをなんだか呆れた様子で見ている二人に気付き、我に返って話を締めたんですが、悪い印象を与えてしまったようで、この印象を拭えるように気合いを入れる。

 

「おや、いつの間に!では行きましょう!」

「は、はい……マサルくん、この人大丈夫かな……

いや、多分?きっと、大丈夫だろ……

「二人とも何こそこそしてるんですかー、ここ抜けたらエンジンシティに着きますよ!」

「い、いえ、なんにもありません!えーっと、気を引き締めましょう!ちゃんと案内してくれた……!

 

 わたしを置いてコソコソ喋っている二人に強引に話に入ろうとしたけれど、そうするとまた引かれそうなのでやめておきます。気付いてないフリしてどんどん先に進みましょう。

 

「早く行こうぜ、開会式に間に合わなかったら大変だし……そういえばアイビーは推薦貰えたか?」

「ええ、そこはもう心配しなくていいですよ!実は昨日の夜に終わらせていました」

「へえ、アイビーもすごいな。この短期間に推薦状貰えるほど信頼されてるんだ」

「いやいや、昔からの付き合いだったからだけですよ〜」

「それでもそんな人と知り合いな時点でアイビーもすごいんだな!」

 

 推薦状の話を適当にはぐらかして、時刻の確認を確認したらちょうどお昼の時間で、ちょうどエンジンシティに行くのに通る階段のところに着いたのでこれからはユウリさんとマサルさんに任せます。

 

「この階段を登ればエンジンシティですよ、時間も時間ですし、エントリーが終わったらご飯でも食べませんか?」

「いいですね!!なんかいい感じのカフェでもないかな〜」

「カフェ探しも兼ねて後で少し探検しようぜ!」

 

 目をキラキラさせてエンジンシティに入る二人を見てなんだか微笑ましく思いながらシティの中心部にある大きなエレベーターに乗り、結局こうなるのですか……、と思いながら二人をエンジンスタジアムまで誘導する。

 

「あ、ホップくん!」

「マサル、ユウリ!ようやく来たな、遅いぞ!」

「へへっ、遅くなってすまん。ワイルドエリアで色々あったんだ」

「そうか……でも早く行かないとほんとに間に合わないぞ」

「ええ!?もうそんな時間なの?アイビーさんも行きましょ!」

「う、うん、わかりました。あ、えと、アイビーです。よろしくお願いします」

「おれはホップ、おまえもチャレンジャーか?よろしくな!」

 

 なんか知らない人に急にユウリさんが話しかけに行ったと思ったら、見た感じホップと呼ばれているあの人はユウリさんとマサルさんと知り合いみたいだった。そのまま流れで連れていかれそうになったからとりあえず急いで自己紹介すると、眩しい程の笑顔で挨拶が帰ってくる。

 

 スタジアム内に入ると、受け付けには見覚えがあるような一人の少年がいた。髪はパーマ掛かった白に近い綺麗な色で、紫のコートにはマクロコスモスのマークがプリントされいた。彼はもしかして────

 

「なんだよアイツ……」

「ホップくん大丈夫?」

「謝罪の一言もないのかよ!」

「やめろマサル、今はそんな場合じゃないぞ」

「………………」

 

 その少年は受け付けから戻る時にホップさんと少しぶつかってしまったようで、ユウリさんがホップさんの心配をしている。マサルさんは少年を追おうとしてホップさんに止められ、わたしは心ここに在らず状態で少年のことを考えていた。そんな私たちを見て受け付けの人が急かす。

 

「ジムチャレンジ参加でしたら推薦状をお願いします」

「はい、お願いします」

 

 受け付けの声を聞いてはっと我に返り、昨晩急いで送ってもらった推薦状を受け付けに見せる。そんなわたしを見てほかのみんなも続々と参加してきた。推薦状には推薦してくれた人の名前が書かれており、ちらっと横を見ると、三人とも推薦状にチャンピオンの名があった。

 

「なんと……チャンピオンの推薦ははじめてですね!」

「おれもだぞ!」

「ええっ!ダンデさんが三人も認めたんですか!?あなたたち何者です……」

「おれはホップ!ダンデの弟、そして未来のチャンピオンだぞ!」

「あとあなたは────おお、これは珍しい」

「そういうのはいいので、早くしてください」

「えっあっはい……しばらくお待ちください……」

 

 と言って受け付けの人が台に置いてある端末を操作し始めた。ホップさんがチャンピオンの弟だとかなんだとか、未来のチャンピオンがなんだとかの話は全て聞き流し、手続きを早く終わらせてさっきの少年を追うことしか考えていなかった。

 

「エントリーできました、それではお好きな番号をお選びください」

「選んだ番号はユニフォームの背番号にもなります」

「415でお願いします」

「こんな早く決めていいのですか?!」

「これがいいです。早くしてください」

「えっと、承知しました……。明日はここで開会式が行われます。時間通りに来てください」

 

 話を聞き終わる前にスタジアムから出る。ちなみに聞いた内容は何も覚えていなかった。ユウリさん達はびっくりしていたが、先に行ってて、と一言残して、ちょうどスタジアムを出た大通りの端っこでであの少年がいた。

 

「あ、あの……!」

「なんです?ぼくはあの委員長から推薦を貰ったのです。つまりエリート!貴女に時間を使う暇は──」

「君は、ビートくん……ですか?」

「あ、貴女なんでぼくの名前を……」

「ああやっぱり、また会えたんだ……!えへへっ、夢みたい……」

 

 わたしたちがまだ小さかったあの時、あの施設で初めて出会い、一緒に遊んで、勉強して、一緒にローズ委員長からポケモン貰ったよね、あの時のユニラン未だに持ってるよ……!わたしがポプラおばあちゃんに引き取られてから別れ離れになっちゃったけど、こんな所でまた会えるとは──そっか!これは運命なんだ!わたしが成り行きでジムチャレンジ参加することになったのも、ここでビートくんに再開することも運命なんだ……!

 

「えーっと…………貴女は誰ですか?」

 

──────────は?

 

「え?えっ……?ビートくん?」

 

わたしのことわすれたの?わたしのことわすれたの?わたしのことわすれたの?わたしのことわすれたの?わたしのことわすれたの?わたしのことわすれたの?わたしのことわすれたの?わたしのことわすれたの?わたしのことわすれたの?

 

「うそ……でしょ?」

「名前がたまたま同じなだけで、人違いじゃないですか?」

「えっだって、わたしがビートくんを間違えるわけ……」

「はあ、ぼくは貴女の事知りませんし、そもそも名乗られていませんよ」

「あ、そっかあ……見た目結構変わっちゃったから、わかんなかったのか!アイビーだよ!」

「アイビー…………」

「どう?思い出してくれた?」

「……聞いたことがある気がしますね、どこかで会ったことがありましたか?」

「っ……覚えて、なかったの……?」

 

ジムチャレンジの説明を聞き終わったのか、ユウリさんたちが急いでスタジアムから出てきた。そしてわたしたちが見えると駆け寄ってきた。三人が来たのを見てビートくんは少し驚いていうようでした。

 

「アイビーさん!ここにいたんですか!」

「心配したぞ!」

「みなさん……なぜここにいるんですか?」

「アイビーおまえ、泣いてんじゃねえか」

「え?そうですか?」

「何されたんだよ……」

「いえ特に、何もされてませんよ」

 

知らないうちに泣いていたようだった。言われてやっと頬に涙が流れていることに気が付き、急いで拭う。そしていつものけろっとした調子に戻して誤魔化す。

 

「なんなんですか……こんな事で時間を使ってる暇がないんですよ」

「ごめんなさい、迷惑でしたね……」

「全く、いきなり訳が分からないことを言われるこっちの身にもなってくださいよ」

「ほんっとにごめんなさい……」

「アイビー、こんな奴に謝る必要ないぜ」

「え?」

「ほら、行きましょ。アイビーさんさっき説明聞いてませんでしたよね」

「あ、いや……」

「あとホテルにもチェックインするから時間が無いぞ」

「えっと……」

 

ほらほら行くよ、とユウリさん達に引っ張られ、その場を去ってしまいそうになる。ビートくんまで呆れながらどこかに行きそうになった時、最後に一つだけ言いたくてビートくんを呼び止める。

 

「あ、あの!ビートさん!」

「……また何かあるんですか?」

「また会った時、話しかけてもいいですか?」

「なぜ許可を取るのかはよく分からないですが……。いいですよ」

「やった……!」

 

またね、とにこにこの顔で手を振って別れを言うと、相手も小さく手を振り返してくれた。それがまた嬉しくて口角が上がってしまう。このやり取りを見た三人は呆れて見ていた。




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