ハロー皆。元気にしてるかな?え?私が誰かって?聞かれたからには答えるしかないな〜って、誰もそんな事聞いてない?そういう冷たい事は言わないでおくれよ。悲しくなるだろう?
ん、んん!!えぇ、それでは改めまして、帝国学園総帥、影山零治と申します。以後お見知りおきを。
ピチピチの50代ダゾ☆
…………なんだいその目は。
私だって痛い事は分かってるさ!!でもこれも若者に寄り添う為の必死の若作りなんだぜ!?そんな目で見なくてもいいだろうが!!
こうなったら私という人間の事を知ってもらう為にも、少しだけ私の人生について話そうじゃないか。え?ジジイの長話に興味は無い?黙らっしゃい!!そんな事言ってると立派な大人になれないわよ!!
って事で話していくぜ?まず私の生まれだけど、父親がプロサッカー選手だったり、前世の記憶があるだけで、それ以外は極普通の家庭に生まれたんだが………ん?普通な要素が無いって?
いやいや、サッカー選手の息子って言っても、父親が凄いだけで私は自身は全然平凡だぜ?それに所謂転生?みたいなのをしたんだろうけど、神様に会った訳でも、何か特別な力がある訳でもない。前世ではサッカーの試合で必殺技なんて無かったし、前世の記憶なんてあったところで毛筋程の役にも立ちゃしない。
そんなこんなでスクスクと育った私だけど、父親はなんか知らんがグレて家を出て行ってしまった。母親は母親でそれがめっちゃショックだったのか、引きこもりがちになって、挙げ句の果てには流行病でぽっくり逝ってしまった。流石の私も結構落ち込んだね。
それからは親戚の家に引き取られたんだけど、これでも前世の記憶持ちってのもあって表向きには優等生で通ってたから、割と良くしてもらったよ。この点だけは前世の記憶に感謝してもいいかもしれない。
で、中学に上がった私は特に何も考えずにサッカー部に入った。これでも一応プロサッカー選手の息子だからね。少しくらいは才能があるかもって思った訳だよ。実際はただの出涸らしだったんだけども。
三年間ずっと補欠だったよ。泣ける。
そう言えばその時のサッカー部の監督は、元日本代表だとかで現役時代は凄い選手だったらしい。私の父親と同じだと言ったら微妙な顔をされたが、なんだったんだろうあれ?
おっと、ごめん話を戻そうか。自分で言うのも何だけど、私はコミュ力には些か自信があってね。サッカー部のレギュラー陣とはとても仲が良かったんだ。特にキーパーの響木とは気が合ってね。あいつはかなり強面で、初対面の人には怖がられる事が多かったらしいんだけど、私は最初からとてもフレンドリーだったから、第一印象はかなり良かったらしいね。ヤクザみてぇな顔してるとか思ってたのは内緒だ。
私が三年になる頃には、響木がチームのキャプテンとなり、サッカー部は全国大会出場を果たした。これには私もビックリしたね。
地元じゃイナズマイレブンとか呼ばれてたっけ。何だその痛い呼び名は、とか思ってたのは私だけだった様で、響木達はその呼び名をあっさりと受け入れていた。まあ中学二年だからね。そういうお年頃だしね?
そんな私達サッカー部は、破竹の勢いで全国大会を勝ち上がり、なんと決勝戦に駒を進めたんだ。いや、私は何もしてないけどね?
もしかしたら思い出として私も出場させてもらえるかもしれないと、わくわくしながら決勝戦当日を迎えた私は、結局試合に出る事はできなかった。
何故って?消費期限の切れた牛乳を間違って飲んじゃってトイレの住人になってたからだよ。ちくしょう。
そしてあいつらはそんな私を置いて会場に向かいやがった。酷くね?
トイレに篭って電話にも出なかった私も悪いとは思うけどさ。
でも結果的にその日私が腹を壊したのはきっと天啓だったのだろう。私を置いて会場に向かったバスが事故を起こしたのだから。
響木達には悪いが、私は自分の悪運にかつてないほどに感謝したね。誰も死ななかったみたいだけど、私がその場に居て同じ様に助かる保証なんて無いんだから。え?友達が心配じゃなかったのかって?そりゃ心配だったけど、自分の命には変えられないだろう?………え?人間のクズ?キミちょっと酷くない?流石の私も傷付くよ?……え、どうでもいいから先をさっさと話せ?なんかさっきから当たりキツくない?まあいいか。ええと、どこまで話したっけ?………ああ、バスが事故を起こしたってとこか。じゃあその続きからだな。
サッカー部は会場に向かう途中でその事故に遭った訳なんだけど、当然試合なんて場合じゃなくて、私達は不戦敗になってしまったんだ。響木達はそれは凄く落ち込んでしまってね。一人だけ無事だった手前、なんか気まづくて顔を合わせられなかったよ。……嘘じゃないって。何でキミは私を極悪非道の悪人にしようとするかな……。
でね?ちょうど決勝戦の日から一週間くらい経った頃だったかな?駅前で苦しそうに蹲ってた妊婦さんを助けたんだよ。で、その人がビックリする事に、帝国学園の理事長の縁者だったんだよ。……ん?ああ、ごめん。帝国学園ってのは私達の決勝戦の対戦相手だったんだよ。変な偶然もあるもんだと思ったよね。
詳しく聞いた訳じゃないけど、その妊婦さんは私が通りがからなかったら結構危ないとこだったらしくて、多分人生で一番感謝されたね。
それで話を聞いて駆け付けた帝国学園の理事長が私に言うんだよ。何かお礼をさせてくれって。でさぁ、私この時に帝国の理事長に関するある噂を思い出したんだよね。何かって?それはねぇ。
自分の事を総帥って呼ばせてるって噂さ。
でね?この時の私って中学生だった訳で、精神年齢もある程度は肉体のそれに引っ張られてた訳なのよね、多分。それで思っちゃったんだよ。
総帥って何か悪の組織のボスっぽい響きじゃね?
でさぁ、こう、分かるかなぁ?悪の組織ってボスってカッコイイんだけどさ?でも真のボスは影に隠れた組織のNo.2、的なのも良いよなって。で、その時の私は何をとち狂ったかこう言ったんだよね。
『じゃあ私を帝国のNo.2にしてください」
………やめてくれ。そんな馬鹿を見る様な目で見ないでくれ。
正直もう四十年も前の話だから自分でも何でこんな事言ったかよく覚えてないんだよ。でも多分九割ぐらいは冗談のつもりだったんだよ。
でも何故か帝国の理事長は難しい顔をして少し考え込んだ後、私の阿呆な願いを受け入れてしまったんだよ。
そこからは自分でも何が起きてるのか良く理解できてなかったね。……いや、そこからって言うかもっと前から意味不明だけども。
トントン拍子で話は進んでいって、気づいたら元居た学校から帝国学園に転校して、理事長補佐の地位に就いていたんだ。
………今思うとあの人とんでもない阿呆なんじゃないか?普通中学生に理事長補佐なんて役職与えないと思うんだが。
そうして状況に流されるまま理事長補佐の仕事をこなしていたある日の事。響木や監督達が帝国学園に乗り込んできたんだ。
「影山!!何故だ!!何故お前が……!!」
なんか凄い必死な様子というか、泣きそうな顔で私にそう言ってくる響木を見てようやく思い出したんだよね。あっ、そういえば響木達に何の連絡もしてないなって。………私もこれに関しては自分が悪いと思ってるよ?だからね?そのゴミを見る様な目はやめてくださいお願いします。
でさぁ、まあ状況的に見て何かとんでもない勘違いされてそうじゃん?で、それをすぐに解いてもよかったんだけどさ。またここで私の馬鹿なとこが出ちゃってね。何か面白そうだからこのままにしとこうと思って。
細かいとこは覚えてないんだけど、とりあえずもうお前とは分かり合えないんだ、的な事を言って響木達を追い返したんだ。
今思い返すと我ながら畜生の所業だね、うん。
それからはもう響木達とはずっと会えてないんだ。だから四十年間勘違いされたままなんだよね多分。まあでも、流石にこんだけ時間経ったら向こうも私の事なんて忘れてるでしょ。
あ、でも監督が死んだって風の噂で聞かされた時は少し悲しかったかな。仮にも私も教え子だったのに、せめて葬式くらいは呼んでくれてもよかったんじゃない?って響木に手紙送ったんだけど、見事に無視されたよ。
私の人生で一番大きなイベントはここまで話した事かな。その後は理事長の補佐をしながら普通に進学して、大学に在学中に理事長が死んで、何故かまだ学生だった私が代わりに理事長に就任したんだ。正直それでいいのかと疑問でしかなかったね。
理事長になってから?真面目に仕事してたからそんな面白いエピソードはないかなぁ。あ、そういえばちょうど私達が不戦敗になって優勝した年から、帝国は今年で四十年間全国優勝し続けてるんだ。これ凄くない?
よっぽど帝国が強いのか、それとも他の学校が強いのか、どっちなんだろうね。
一応私はサッカー部の顧問もやってるし、部員の指導もしてるけど、完全に自己流だし、自分が指導者として優れてるのかはよく分からないね。
部員からの不満とかもそんな聞こえてこないから、多分大丈夫なんじゃないかとは思ってるけど。
さて、結構長くなっちゃったけど、これで少しは私の事が分かってもらえたかな?え?人の心がない畜生だって事が分かった?キミやっぱ酷くね?
まあいいや。今回はこれくらいにしておくけど、次回からは私の華麗な活躍をガンガン見せてやるからな?楽しみにしておけよ?
では、ボンジュール!!……あれ、バイビーだっけ。
続く、のか?これが?