ハロハロー皆元気にしてるかな〜?
皆のアイドル、KAGEYAMAダゾ☆キャハ☆
………オェッ。
気っ持ち悪ぃ、何やってんだ私……。
いやぁ、フットボールフロンティアが始まるとやっぱり色々と忙しくなるね。普段から多い書類仕事がさらに増えてマジで地獄。誰か私の影武者とかやってくんねぇかな。
ん?帝国の調子はどうだって?知らんけど良いんじゃね?試合には勝ってるし。ていうかそんな強いとこと当たってないから、負ける訳ないんだけどね。
そうそうそれよりさ、何と驚く事にあの雷門中が、地区予選決勝まで勝ち上がって来たらしいんだよね。いやこれにはマジでビックリしたね。いずれは強くなってくれればとは思ったけど、まさかこんなに早いなんて。
それに雷門のキーパー、鬼道クンから名前を聞いて、やっと感じていた既視感に気付いたんだけど、まさかあの円堂監督のお孫さんとはね。道理で見覚えがあるはずだ。というか見た目からしてソックリなのになんで気づけなかったんだろう私?もしかして………ボケてきてる……?いやァァァァ!!私はまだ若いのよォ!!
んん!!私はまだそんな歳じゃない。いいね?……い、い、ね!?
よし、分かってもらえたところで話を戻そう。で、その雷門なんだけど、地区予選決勝まで勝ち上がって来たのはいいものの、監督が居なくなってピンチなんだそうな。………なんで?えらいピンポイントなタイミングで居なくなったね、監督さん。
雷門の監督って顧問の先生か誰かがやってたのかな?もしそうなら、こんな半端な時期に異動とかはないと思うんだけど……。
雷門中の資料にその辺の事も載ってないかなぁ?ええと、どこだったかな………ああ!もう!邪魔なんだよこの書類の山!!退けやぁ!!………ってやべ、倒れてきたぁぁ!!ぎゃあああ!!
ふぅ……。酷い目にあったぜ……。けどちゃんと資料は見つけたもんね。私ってばできる子!どれどれぇ?んーと…………へぇ、やっぱり顧問の先生がやってたのか。なんか幸薄そうな顔してんな、このオッサン。ん?あれ?このオッサンどっかで見たような……?
………ああ!!こいつこの間車で移動中に、急に道路に飛び出して来た当たり屋じゃねぇか!?雷門の監督だったのかよ!?
なんか訳分からん事言いながら土下座してきたから、なんかヤベー奴だと思って関わらない様に逃げたんだけど、もしかして話聞いてあげた方が良かったのか……?
え、私のせいじゃない……よな?私あんな人知らんし、不審者にしか思えんかったから仕方ないよな……?
ま、大丈夫でしょ。流石に不戦敗なんて形には学校側もしたくないだろうし、臨時で別の教師が監督引き受けてくれるでしょ。へーきへーき。
なんで監督見つからないんですかねぇ雷門は……。マジヤバくない?不戦勝とか私も嫌なんだけど?四十年ぶりに実現した雷門対帝国のカードは私も楽しみなんだけど?
あ?雷門中が監督を雷雷軒って名前のラーメン屋の店主に頼んだ?なんだそりゃ。焦りすぎてとうとう頭イッたか?なんでラーメン屋?
………店主の名前が響木?え?それってつまりあいつって事?監督を頼んだってそういう……?
私のチームと響木のチームが試合するって事?うわ、何それ熱い。テンション上がるわ。
………次の対戦相手として挨拶とかしに行った方がいいのかな?四十年会ってない訳だし、久々に響木にも会いたい。やだ私恋する乙女みたい。………オェッ。
という事でやって来ました。雷雷軒!!いやぁこれが響木の店かぁ。うーん。ボロいね!閑古鳥が鳴いてそう。アドバイスとかしてあげた方がいいかな?一応私って学校経営者な訳だし?そういう分野に関しては先輩だからマウントとれるし?
ま、とりあえず入ってみますかね。おーい響木ー。お久ーって、ぶはっ!!なんだその髭は!?サンタクロースかよ!?
全然変わんねぇなーとか言おうと思ってたのに、全然違うじゃねぇか卑怯だろ!?頑固オヤジ感が増した代わりに、髭とサングラスで強面が緩和されてやがる。これぞラーメン屋のオヤジって感じだ。キャラづくり苦労してんだなお前……。
ちょい待て待て。人の顔を見るなり帰れとか言うんじゃない。四十年ぶりに再開した親友に何か他に言う事ないのかよ。……客じゃない奴は帰れ?いやいや客だよ客。せっかくだからお前の作ったラーメンも食べてみたいし。だからメニューちょうだい?おい今舌打ちしただろお前。飲食店の店主の態度じゃねぇぞそれ。相手が私じゃなかったら大問題だぞ。
さぁて何食べようかな?って結構高ぇなおい。ラーメンほとんど700円越えかよ。強気な値段設定だな?今も私しか客居ないし、さては儲かってないだろこれ。やっぱアドバイスとかいる?あ、いらない?そう……。
んじゃとりあえずラーメンと餃子もらおうかな。響木の腕を見せてもらおうじゃないか。
……おお。なんか堂に入った動きだな。ラーメン屋っぽいわ。なんか不思議な感じだな。響木はサッカー選手になるとばかり思ってたのに。それが実際は地元の商店街で、売れないラーメン屋やってるなんて。昔の私に言っても絶対信じなかっただろうな。
あ、ちょっと感傷に浸ってたらラーメン出てきた。それじゃいただきます。…………普通に美味い……だと……?
不味かったら盛大にツッコミを入れてやろうと思ってたのに、美味かったら私何言えばいいんだよ……。ちくしょう、何か負けた気分だぜ……。
ご馳走さん。餃子も美味かったわ。響木のくせに良い腕してるじゃねぇか。褒めてやるぜ。(謎の上から目線)
えーと、私何しにここに来たんだっけ。あ、そうだ。響木、お前雷門の監督やるんだって?え?そんなもんする気はない?
えーマジかよ。せっかく面白くなりそうだと思ったのに。どうせこんな店暫く開けてなくても問題ねーだろ?なあやろうぜー監督。
………はぁぁぁ。相変わらず頑固だねぇ。ま、そんな事言ってられるのも今のうちだぜ?どうせお前は監督をする事になるんだ。何故って?私の勘がそう言ってるからさ。(ドヤ顔)
んじゃ、食うもの食ったし、そろそろお暇しようかね。美味かったよ。また来る。
あ、そういえばさあ響木?随分昔に私がお前に手紙送ったじゃん?あれ何で無視したの?返事くれても良かったんじゃ………って何怒ってんのお前?おいおいおい!?
何か急に怒り出した響木に店追い出されたわ。これだから年寄りはキレやすくていけねぇや。もっと余裕持って生きれないもんかねぇ?
ん?電話か?誰からだろう?………鬼道氏から?珍しいね。もしもーし?
うんうん。はあ?鬼道クンが部屋に引きこもって出てこない?なーにやってんのあの子は。分かりましたよー。今から向かいまーす。
はい。という事でやって来ました鬼道邸。いつ見ても凄い豪邸だな。何で金持ちってやたらデカい家に住みたがるんだろうね?私には分からないや。
あ、お久しぶりです鬼道氏。すいませんね、あんまり来れなくて。……いえいえ、迷惑だなんてそんな。あの子は私の弟子ですからね。迷惑なんて掛けられてナンボですよ。ハッハッハ!!
ええ。大丈夫ですよ。私にどんと任せておくんなせェ!……え?繊細?鬼道クンが?
ホントに繊細な子は年がら年中ゴーグル着けて、奇異の目で見られる事に耐えられないと思うんですけど……。
まあいいや。入るよー鬼道クーン?あれ?何見てんの?この間の雷門中との練習試合のビデオ?え、部屋に引きこもって自分達が相手ボコボコにしてる映像ずっと見てんの?趣味悪ッ!
はあ?俺はいったい何です?何言ってんのいきなり。哲学?哲学に目覚めたの?何で?
そんな質問私にされてもなぁ……。キミは鬼道有人だ、としか言えんわ。
哲学もいいけど、あんまお父さん心配させないであげなよ?そりゃ鬼道家の跡取りって立場が大変なのは分かるし、その環境にキミを放り込んだ私に何を言う資格も無いかもしれんけども。
今思い返すとあの頃の私はどうかしてたのかもな。確か理事長業も板に付いてきて、弟子の一人でも居れば凄い人っぽくね?とか考え出したんだよナ。
そしたらあの施設で凄いサッカーの上手い子を見つけて、それも六歳でドレッドヘアーとかいう逸材だったから、欲しくなっちゃったんだよね。
何言ったか全然覚えてないけど、詐欺師みたいな事を口走った気はする。あれ、何か急に罪悪感が湧いてきたぞ?それに乗ったのは鬼道クンだし、私だけが悪い訳では無いだろうけど……。
うーん……。何か話しててもいまいち噛み合ってない感じが凄いなぁ……。チームの皆を否定しているとか言われても、私何したよ?全然覚えがねぇんだけど。
ん?何だこの古い雑誌?ってうおっ!?ビックリしたぁ!!触るなって、そんな嫌がらなくても良くない?まるで黴菌みたいな扱いでオジサン傷つきますよ。オヨヨ……。
まあ色々悩みたまえ、少年よ。答えはいつもキミ自身の中にあるのだ。………なんちゃって。
さあて、今日はもう遅いから帰って寝るとして、明日は試合に備えて業者の手配でもしようかね。ちゃんとグラウンドも完璧な状態に整備しておかないとね。いやぁ、楽しみだなぁ!
何で私逮捕されとるん?