『犬夜叉ワールド』ルート開拓   作:ノイフェル

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今回、犬夜叉成分がやや薄めです

ご留意下さい


 (きた)る時、舞台に上がる者

桔梗は幸せな日々を過ごしていた

 

いつしか恋心を(いだ)く様になった、半妖の少年犬夜叉

 

 

本来ならば、決して許されるはずのない恋

 

しかし、なんの因果か犬夜叉と桔梗の仲は村で認められる事になり、頑なだった桔梗の妹である楓も渋々ながらに認めてくれた

既に両親を喪っていた桔梗にとって、唯一の肉親ともいえる楓からも犬夜叉との仲を認められたというのは楓や村の者達が思っている以上に大きな事だった

 

 

 

初めこそ頑なに他者を信じようとしなかった犬夜叉

彼の生い立ちを考えるならば、致し方ない部分もあっただろう

 

しかし、犬夜叉もまた桔梗に惹かれ始め、少しずつではあるが村の者達や桔梗の妹である楓にも寄り添おうと努力し始めた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

村の者達が、楓が、桔梗が、犬夜叉が

 

 

皆、少しずつ。だが、確実に共に歩む道を歩き始めていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう

 

いた(・・)のである

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ある日の事だった

 

 

 

突如、犬夜叉が四魂の玉を祀られていた社から強奪し、村を襲ったのだ

 

 

桔梗はそれを聞き、動揺し、嘆き、悲しんだ

 

だが、彼女はそうであるならば他ならぬ自分が犬夜叉を止めねばならないと決意し、激闘の末に村外れにある神木に犬夜叉を射止める形を以て封印した

 

 

だが、その激闘により桔梗もまた深手を負い、犬夜叉と傷つけられた村人に自身の血で穢れた四魂の玉を桔梗は黄泉の国へと共に持っていく事としたのである

 

 

二度とこの様な悲劇が起きぬ事を願って

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

狒々と結羅は桔梗のいた村の近くに来ていた

 

 

そして、狒々は桔梗が既に居ないのだという事に気が付いた

何気にこの狒々、目と耳は良いのである

 

 

 

 

 

どうやら、(くだん)の巫女は逝った様だ

 

そうか

ちっ、人間ってのは相変わらず脆いね、本当に

 

加えて、四魂の玉もない様だ。どうする結羅よ?今居るのは年若いどころか、幼い巫女。大した霊力(ちから)を持たぬ様だが?

 

アンタとしては、やっぱり村を襲うのは好ましくないと思っているんだろう?なら、此処に用はないだろうさ

 

 

 

桔梗(力ある巫女)もなく、四魂の玉すらないこの村は既に結羅にとって価値のない村でしかなかった

狒々個人?としては桔梗が逝った事に幾らかの感傷がなかった訳ではないが、それとてそこまで気にかけるほどの物でもない。

 

故に2人はこの場を後にしたのは当然であっただろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桔梗お姉様

 

 

 

敬愛する(桔梗)を突然失った少女楓は落ち込んでいた

 

それもそうだろう。つい二日前までは、半妖の少年といつも通りの生活を送っていた彼女が他ならぬその犬夜叉の手により、命を失う程の怪我を負い、挙げ句姉は最期の力で犬夜叉を封じ、亡くなったのだから

 

 

そう、封じたのだ

姉はどの実力があるならば、例え犬夜叉相手であろうとも、滅する事など容易かっただろうにも関わらず

 

 

其処に男女の仲の想いがあった事は容易に想像出来るが、だからとて桔梗という巫女が恋慕の念により、選択を誤るとは楓は思えなかった

 

思いたくなかった(・・・・・・・・)

 

 

確かに犬夜叉と共にあった時間、姉は間違いなく幸せであった事は疑いようもない

だからと言って、その僅かな時間がそれまでの姉が過ごしてきた時間を全て否定する

 

そんな事は決してないと楓は信じたかった

 

 

間違いなく、巫女という立場は窮屈だろう

決して楽な立場でもないし、贅沢が許される筈もなし

 

 

本来ならば、犬夜叉を恨むべきなのかも知れない

 

だが、不思議と楓は犬夜叉を恨もうとも憎もうとも思わない

 

 

彼と姉の幸せそうな姿が目に焼き付いていた事もあるが、何よりも犬夜叉自身、不器用ながら楓に良くしてくれようとした事が分かっていたから

 

 

 

姉が届かぬ空に手を伸ばした様に、犬夜叉は壊れ物を恐る恐る扱う様にしていた事を楓や犬夜叉と関わった村の者達は知っていたのだから

 

 

 

 

 

 

 

 

何とも言えぬ気持ちを抱えたまま、楓は姉の墓に来た

 

 

例え、身内であったとしても村を守護する巫女(桔梗)が亡くなった以上は次の巫女である自分がその任を継がなければならないのだから

 

 

楓と桔梗の住む村は比較的安定した村であり、他所に比べると圧倒的に治安も良い

 

 

そうであるが故に、この村へと影響力を持ちたい者や住みたいと思う巫女は多いと姉から聞いていた

 

その者が善性の者であるならば、楓とて拒むつもりはない

 

しかし、である

影響力を持ちたい者は決してこの村の庇護者ではない

 

 

 

この村はかつては上杉のお殿様が治めていたと姉や村の者から聞いている。その頃はいつも苦しい生活を送る他なかったとも

 

兵役や年貢といったものが頻繁に課せられ、何人もの村の者は(いくさ)に駆り出されては帰らぬ者となったそうだ

 

更に(いくさ)をするたびに様々な名目で村の食料が徴発された

 

 

 

その状況が変わったのは、殿様が変わったからだと姉は言っていた

 

北条だか、伊勢だかと言う者がこの辺りを治める様になってからは兵役を課せられる事も格段に減り、年貢も年に一度のみとなったし、それも収穫次第でだが、ある程度此方の都合を聞いてくれている

 

 

そして、力のある巫女であった姉は不必要にこの村への余人の介入を拒み続けた

結果、この村は比較的安定した生活を送れる事になったのだ

 

 

言ってしまうなら、この村は他の村に住む者からすればかなり良い待遇を受けていると見られているという事

 

力ある巫女であった姉生きていた頃ならいざ知らず、亡くなったとの話が広まれば必ず此処に手を伸ばす者が出てくるだろう事は疑いのない事である

 

 

だが、楓はまだ未熟などという者にすら至っておらず、他の巫女が来てしまったなら問答無用で立場を奪われてしまうだろう

 

別に楓としては、巫女などになりたいとも思ってはいない

しかし、この村で生まれ育った楓である。村の人達が不当な扱いを受ける可能性は減らしたいと思っているのも事実

 

 

 

 

 

そんな取り留めのない考えを楓がしていた頃

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

む?あの時の狒々か

 

 

久しぶり、というほどの時があった訳ではないか。巫女殿よ

 

 

狒々は椿と再会していた

 

 

結羅はある意味我慢すれば、人の中にも溶け込める程度には人の世にも詳しい

当然といえば当然といえる

 

結羅の元となった櫛は、他ならぬ人里で長い時間を過ごしたのだから

 

 

そして、椿程の能力を持つ巫女ともなれば、必ず民草の目を引くし、椿とて人間。霞を食べて生きていく訳にもいかぬ以上は何処かで路銀と食料を手に入れなければならないのは必定

 

となれば、人よりも動くのが早い結羅と狒々である。椿の行先を探すなど手間こそかかっても、見つけられない訳がなかったのだ

 

 

 

 

 

しかし妙なものだな

貴殿は妖怪で私はそれを祓う巫女。にも関わらず、私と貴殿はこうして今席を同じくしているのだから

 

確かにな。だが、我の考えは常に変わらぬさ。己が気に入った者を守り、その者の遺志もある程度までは汲むだけの事

 

 

村から少し離れた木の下で椿と狒々は会話をしていた

結羅は狒々の隣にいるが、基本的に聞き手となるつもりらしい

 

 

して、貴殿の言では桔梗殿が亡くなったと

 

我とて桔梗個人には誼があれど、他の者に姿を晒し無用な混乱を招くのは好かぬ。だが、あの村は桔梗不在となれば桔梗の妹とやらがあまりにも不憫でな。汝であれば桔梗と同じ力のある巫女。力になってやれるのではないかと思ってな?

 

貴殿の様な(あやかし)など私は其方以外にはそこな娘以外知らぬ。が、なるほど桔梗殿が亡くなったとあれば好ましからざる事が起きるという懸念は間違いではないだろうな

ふむ、確かに桔梗殿とは知らぬ間柄という訳でなし

だが其方の話を私が聞いたとして、私に明確な益はないと見るが?

 

 

椿は目の前の狒々ならば、自身に対する対価を有している事を半ば確信していた

 

少なくとも、そばにいる鬼もそうだが狒々も何故かどことなく『人間臭い』のだ

 

 

対峙した時、狒々は鬼など放って逃げる事も出来ただろう

もしくは、協力して自分に攻めかかったなら、恐らく自分はこの場にいなかっただろう事は疑いようもない

 

だが

 

 

「名を惜しむ!命こそ惜しめ!」

と咄嗟に発言して、片腕を犠牲にしてまで自分の髪を切り取るなど我が身のみを惜しむ妖には到底出来ぬ判断(もの)

 

つまり、目の前の狒々は人の価値観を有する公算は高い

 

 

 

 

無論、汝には利のない話。故に我はこの様なものを用意するほかないのだがな

 

 

そういって、狒々は持っていた包みを私の目の前に置いた

 

 

 

・・・・・なるほど。これ(・・)を用意して貰ったのであれば、軽々に断る訳にもいかぬな

 

 

 

私は苦笑いしながら、狒々の願いを受け入れた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから、1週間の時が流れ再び楓の村に舞台は戻る

 

 

 

 

ですから、楓様がおられると

 

ふん。たかが成人どころかまともな破魔の術一つ扱えぬ未熟な小娘がいたところで何程の意味があるというのだ?

ああ、そうだったな。この村にいた先の巫女殿は素晴らしい力を持ちながら、たかが半妖風情に遅れをとったのであったな

 

 

村の名主の家では少し騒動が起きていた

 

 

桔梗の死を聞きつけたとある人物がこの村の守護を勝手にしようとしているのである

 

実は村の中でももっと豊かな生活を都などで送りたいという者がおり、その人物が桔梗の死を村に出入りしていた商人に漏らしたのだ

 

結果、我欲の強い人物や功名心の強い人物がこの村に目をつけたのである

 

 

 

妖怪が跋扈するこの世界において、退魔や破魔の力を持つ神職の者達は非常に高い価値を持つ

 

であるからこそ、彼等彼女達は高い見返りを求める事が出来てしまう

 

 

だがその様な人物というのは、往々にして功名心や野心が強く利益の高い所に住み着こうとする傾向が強い

 

桔梗や楓の様に生まれ育った村に残り、村の一員として清貧な生活を送る者というのもいるにはいるし、其方の方が大抵高い実力と意識を持っているものだ

 

 

だが、欲に目が眩んだ者達は常に豊かな集落などを求めており楓の住む村もかの者達にとっては実に美味しいものであった

桔梗という実力の高い巫女がいたからこそ、この村は安定した生活を送れていた事を名主やある程度の年齢にある者達は理解していた

 

だが、桔梗が死んだからと平然と他所の者を受け入れて、楓の居場所を奪う様な事をしたいとは彼等は思っていない

 

 

 

そんな事は売り込みに来た者にはどうでも良い話ではあるのだが

 

 

 

 

 

 

更に聞くところによれば、かの『四魂の玉』もこの様な村にあるというではないか

そこな小娘でそれを守り切れると思うてか?

 

 

この人物は京から将軍家によりこの地を治めていた管領家への援兵について関州に下野(げや)してきた者であった

 

京では彼の様な退魔師の類は決して珍しいものではなく、それこそ古くは平安の世の頃以前にも存在していた歴史ある存在だった

 

彼は自己顕示欲が強く、組織の中においては倦厭される人物であった為に当時の上から半ば放逐されたのだ

 

無論彼もそれを承知しており、何れは名声を得て自分を追放した者達を見返してやろうと思っている

 

その為の知識を身につける事や、相手を陥れる事などをしっかり学んでいたのである

 

 

 

 

 

 

 

とはいえ、以前も触れたように京の退魔師と地方のそれではそもそも根本的に異なる

環境も、装備も、組織もである

 

 

この人物は資金だけは豊富にあった為に、常に最高の式神を使役していた

だが、地方に来るとその様な上質な式神の素材は手に入るものではなかった

 

 

そうなると、彼の力量こそ重要になるのだが彼はあくまでも退魔師としてのそれは良く言って二流程度

 

それを豊富な装備で補っていたのである

 

 

 

だが、その装備を整えるのにも元手(資金)がいり、装備を入手するには人脈も必要だった

 

どのみち金は必要である為に比較的裕福なこの村に目をつけていたのである

加えて、美しく力のある桔梗という巫女がいた

 

彼からすれば、桔梗を手に入れたかったのではあるが、亡くなった以上やむを得ないと割り切っていた

 

 

幸いにして、桔梗の妹がいる

恐らく力は姉である桔梗ほどではないにせよ、あるだろうし、姉に似て美しくなるなら己が手に入れておくのも悪くないとも考えていたのだ

 

 

 

 

 

 

その為にこの時を狙って村に来たのである

 

 

 

なお、この地を治めている勢力には一切話を通していないが、彼の所属は管領家となっている以上、何の問題もないと彼は確信していた




今回は走者視点を除いております

試験的試みなので、ご意見あれば教えて頂けると幸いです

このままの方針で良い?

  • メインキャラも書いて、どうぞ?
  • 日陰者に光当てんだろ?あくしろよ
  • ふーん、興味ないね
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