百花王学園の支配人   作:匿名P

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勝利の女神

 

「そうかお前だったか」

俺が紙に書かれた場所に行くとそこには、綺羅莉によく似たやつと金髪の女がいた。

 

 

「リリカ。お前は…早乙女芽亜里だったか」

リリカが驚いたような反応をする。やっぱり双子だったか。リリカは綺羅莉に似ているという次元ではなく。気配や姿勢、全てにおいて一致していた。

 

 

「呼んだのはお前たちか」

 

 

「支配人が素直に来るとはね」

 

 

「ギャンブル以外なら帰るが」

 

 

「お前を呼び出すのにギャンブル以外なわけが無いだろう」

この2人の目つきは覚悟を決めている。ここで全てを失ってもいいということだろう。全てを賭けたギャンブルは面白い。

 

 

「それもそうだな。で、何をするんだ?」

 

 

「ここにはちょうど4人いる」

リリカはそう言うと立ち上がり布で覆われたものを露にした。

 

 

「テキサス・ホールデムか。面白い」

 

 

「票を賭けたギャンブルはこれでいいか?」

 

 

「ああ。もちろんだ」

 

 

「杜和もやるか?」

 

 

「いえ。私は見ているだけで十分です」

 

 

「そうか」

 

 

「おぉ〜集まってるねぇ〜」

るなが部屋に入ってきた。リリカが呼んだのか。準備万端というわけか。

 

 

「ディーラーをやってくれ」

 

 

「任せて〜」

 

 

「ルール説明は大丈夫だよね?」

 

 

「ああ。始めてくれ」

 

 

「じゃあスタート〜!」

 

 

〜元会長〜

 

 

「副会長と早乙女芽亜里が支配人にギャンブルを挑んだそうです」

 

 

「あら、先を越されたわね」

桃喰綺羅莉は焦る様子もなく優雅に座っている。

 

 

「清華、あなたはどちらが勝つと思う?」

 

 

「…お言葉ですが、支配人かと。副会長も腕は立ちますがそれでも及ばないかと」

 

 

「そう…芽亜里のことは1ミリも気にしないのね」

 

 

「早乙女芽亜里はあの2人についていくことすらできないと思いますが」

 

 

「あなたはそう思うのね」

 

 

「なぜ私に聞いたのでしょうか?」

 

 

「あなたの意見が聞きたかったからよ…まぁ高みの見物といきましょうか」

 

 

〜早乙女芽亜里視点〜

 

 

日夜 真とはギャンブルはしたことは無い。どれくらい強いかも知らない。1つ言えるのは、この学園内で頂点に立てる程の実力があるということだ。

ここには化け物ばかりだ。そんな化け物たちの頂点に立つ人間に勝てるのかと言われると正直なところ分からない。でも、私にできるのはリリカのことを信じることだけだ

リリカは「信じてくれ」と言っていた。バディならそれを信じて行く。

 

 

黄泉月が全員にトランプを配っていく。

今回はクローバーのAとハートの2。そこまで強い手では無い

場のトランプはダイヤのA・スペードの2・クローバーの3。既にツーペアできている。

ツーペアで勝負に行くのは決定打に欠ける。Aか2のどちらかが来てくれれば勝負へ行ける。

 

 

「真君、ベットは?」

 

 

「ベット、3枚」

最初の手には自信が無いのか、強くは出てこない。たが、それは私にとっても好都合。

 

 

「コール」

 

 

「フォールド」

リリカは降りた。手が強くなかったんだろう

 

 

「じゃあ行くよー」

黄泉月が場に4枚目のトランプをオープンする。

場に出たのはハートのK。

K…強いが今欲しいカードでは無い。ここは降りた方がいいのか。

 

 

「真君、ベットは?」

 

 

「チェック」

お互いに手が進んでいないようだ。

 

 

「チェック」

 

 

「じゃあ行くよー」

黄泉月が場に5枚目のトランプをオープンする。

場に出たのはスペードのK。

欲しいカードではないが、これでAのペアとKのペアができた。ツーペアの中では最強だが、相手がツーペア以下でなければ意味が無い。

 

 

「真君、ベットは?」

 

 

「レイズ、200枚」

200枚!?なぜこのタイミングでベットをあげた?めくれたカードは先程と同じK。それなのにレイズに行く意味はなんだ。

4枚目のKを持っていて、Kのスリーカードになった今、レイズの理由が分かる。Kのスリーカードには勝てない。勝負するのはダメだ。

 

 

「フォールド」

私は勝負にはいけない。もしここで200枚を失えば私たちは脱落だ。そんなリスクを負うのは早すぎる。

 

 

「ブラフだったんだがな」

日夜はそう言うとカードをオープンさせる。ダイヤの8とスペードのQ。

ブラフに降ろされたのか。やってくれるじゃない。

 

 

「配るよー」

黄泉月がカードを全員に配る。機嫌が良くなったのか手つきが早い

 

 

配られたカードはエースのペア。

場にはダイヤのエース、クローバーの2、クローバーの4。

エースのスリーカード、これは勝負手だ。この手は稼げる!

日夜は簡単には勝負に乗ってこないだろう。

最初は額を低くしておびき出さなければ。

 

 

「リリカちゃん、ベットは?」

 

 

「ベット、5枚」

 

 

「コール」

 

 

「コール」

私も日夜もリリカの手に乗った。

 

 

 

「じゃあ行くよー」

黄泉月が慣れた手つきでカードを場に見せる。

落ちたカードはクローバーのJ。

 

 

「リリカちゃん、ベットは?」

 

 

「チェック」

 

 

「レイズ、15枚」

日夜がチップを前に出す。

上げてきた!これならいける!

エースのスリーカードなら勝てるはずだ。

今の場のカードで私の(ハンド)より強い(ハンド)は出来ない。

 

 

「レイズ、19枚!!」

 

 

「フォールド」

リリカは私の宣言を聞くとすぐに降りた。

 

 

「19枚?中途半端なレイズだな。負けたら1枚しか残らないぞ?」

 

 

「……黙って勝負するのか降りるのか決めなさいよ」

 

 

「余時は排除しておかないとな……コール」

来た‼️食いついた!!

意味深なことを言っていたが、そんな事は気にしない。

 

 

「にゃはは、芽亜里ちゃん負けたら飛び、聴牌するよ?」

黄泉月が笑顔を見せて言う。

 

 

「……早くカードを見せなさいよ」

 

 

「じゃ、行くよー」

黄泉月がカードを場に広げる。

落ちたカードはハートのK。

ほぼ私の勝ちだ。私のスリーカードより強い(ハンド)が出来てる可能性は今の場のカードでは低い。

これは貰った!!

 

 

「1つ言っておく……見くびってると痛い目見るぞ?」

日夜が私の顔を見て言った。

日夜の声のトーンは低くて、忠告するようだった。

私の背筋が凍った。ゾワッとしたものが全身を駆け抜けた。

 

 

「行くよー!!手札開示(ショーダウン)!!」

私と日夜の手がオープンされる。

私はエースのスリーカード、日夜はクローバーのフラッシュだった。日夜の手札はクローバー2枚、場にはクローバー3枚。その可能性があったか……!?

私の負けだ。これで残りチップは1枚になってしまった。

 

 

「芽亜里……」

リリカが残念そうな表情で言う。

だが、目は死んでいない。

それは私も同じだ。

 

 

「1人脱落か」

 

 

「桃喰リリカから早乙女芽亜里に票が20票移動」

 

 

「……??るな、説明してくれるか?」

 

 

2人(リリカ・芽亜里)は「19枚賭けるか、否か」で外ウマを賭けていたんだよ」

 

 

「そう!!これならあなたが私たちを読むのは難しい!!」

 

 

「お前の相手を()()能力はあの綺羅莉をも上回る。私がいくら綺羅莉になろうが勝てない。だから、事前に策を打たせてもらった」

 

 

〜日夜〜

 

厄介だ。俺の知らないところで外ウマが結ばれていた。

外ウマにより、俺には2人のベットが分からない。

例えば15枚賭けたとしても、それが15枚なのか、そうでないのか、本気なのか、否か。全てが分からない。

つまり、相手を読むことが出来ない。ベット、表情から読み、相手の(ハンド)を読むことが出来るがそれが出来ない……

どうしたものか……?

 

 

「にゃはは、面白くなってきたねぇー

 日夜君もそう思うでしょ?」

黄泉月がカードを切りながら笑顔を見せる。

 

 

「…………純粋無垢なギャンブルか。運志向のギャンブル……久しいな。面白い」

日夜はそう言うと笑顔を見せる。

早乙女はその様を面白くなさそうに見ていた。

 

 

――――――

 

 

「フォールド」

 

 

「フォールド」

 

 

「フォールド」

 

 

日夜は3回連続で降りていた。降りるしか有効な手段が無いのだ。

日夜のチップは初期の230枚を切って、210枚。リリカと早乙女の合計は初期の140枚(リリカが120枚、芽亜里が20枚)から増えて188枚。その差は30枚近くになっていた。

日夜の顔は相変わらず無表情で、感情を感じられない。

 

 

(真君、どうしたんだろう?元気無さそうだけど)

黄泉月は心の中でそう思いながらカードを配る。

場のカードはダイヤのK、ダイヤの10、ダイヤの9、ダイヤの6、ハートの2。既に5枚見えている。

強い(ハンド)が生まれそうなカードが落ちている。

 

 

「ベット、10枚」

日夜が無表情に宣言する。

 

 

「レイズ、15枚」

早乙女が即座にレイズと宣言する。

 

 

「お前たちの策は良くできてる。現に俺が降りるしか出来てない。ただ、その策には穴がある。オールインし続けないといけないこと。でも、それで俺の票を削り切れるか?」

 

 

「何言ってんのよ。あんたこそ、私たちと30票しか差無いわよ」

 

 

「あと3回持つかな?」

日夜は挑発的に言った。

 

 

「は?」

 

 

「オールイン!!私たちが勝つ!!」

 

 

「クックック、オールイン」

 

 

「オールイン!!」

三者がオールインした。早乙女サイドとしてはリリカか早乙女が日夜に勝てば良い。日夜が勝負に乗ってきた今が稼ぎ時なのだ。

 

 

「にゃはは!!脱落者が出るよ!!手札開示(ショーダウン)!!」

 

 

プルルルル、プルルルル

 

 

どこからともなく着信音が聞こえた。

日夜の胸ポケットに入っていたスマホからだった。

日夜がスマホの画面を確認すると、社長と表示されていた。

 

 

「すまない。電話だ。出てきてもいいか?」

 

 

「真君、そんな大切な電話なの?」

 

 

「あぁ。無粋な真似してすまない」

日夜は席を立ち、部屋の外に向かう。

 

 

「ギャンブルより大切な電話ねぇ……やましいことでもあるの?」

早乙女が両手を上げて呆れた、といった様子で言った。

早乙女の言葉を聞いた日夜は立ち止まり早乙女の方を向く。

 

 

「……黙れ」

日夜は冷酷な視線を早乙女に向け、冷たく言い放った。

早乙女は日夜の圧に押され生唾を飲んだ。

 

 

「何よ……あいつ……」

早乙女は部屋を出ていく日夜の背中を見ながら言った。

 

 

――――――

 

 

「すまない。このギャンブルはなかったことにしてくれ」

戻ってきた日夜は突拍子もないことを言い出した。

早乙女とリリカは日夜の言う事に目を丸くした。

 

 

「は?負けそうだからって逃げるわけ?」

 

 

「そんな気は無いんだが、こちらにも用事があってな」

 

 

「ギャンブルを無かったことにって……票も元通りってこと?」

るなが首を傾げて言った。

 

 

「いや、この票ままでいい。俺は今後、選挙に参加しないからな」

 

 

「真君、それって……」

るなが目を丸くしながら尋ねる。

 

 

「あぁ。俺は生徒会長にはならない。支配人のままだ」

 

 

日夜は生徒会長選挙から脱落した。

暫定1位の票を持っているにも関わらず、自ら選挙に参加しないと宣言した。

参加しないという日夜の顔には悔しさが混じっていたことに黄泉月とリリカは気づいた。

 

 

「何よそれ!!逃げるってこと!?」

 

 

「芽亜里。おそらくだが、参加しないのは日夜自身で決めたことじゃない」

 

 

「どういうこと?」

 

 

「日夜の顔は悔しさが混じってる。日夜には私たちも知らない秘密があるということだ」

 

 

「あんたマジで何者なの?」

早乙女はマジ?という顔でリリカの話を聞いた後、何が何だか分からないといった表情で日夜に尋ねる。

 

 

「探ってみるか?命の保証は出来ないぞ」

日夜が無表情で言った。

 

 

「……!?」

早乙女はまたしても生唾を飲んだ。

 

 

「るな、すまない。お開きにしてくれ」

日夜はそう言うと杜和と共に部屋を出ていった。

 

 

「真君はよく分からないなぁ」

黄泉月がちんぷんかんぷんといった様子でカードを片付け始める。日夜の手を見るとダイヤのQとダイヤのJがあった。ロイヤルストレートフラッシュが出来ていた。勝負していればリリカたちは負けていた。

 

 

「ロイヤルストレートフラッシュ……?命拾いしたってわけ?」

リリカと早乙女が日夜のカードを見てそう言った。

 

 

「みたいだな。私の手は10ハイのストレートフラッシュだった」

リリカが自身の手を開けてそう言った。

 

 

「私はただのフラッシュよ」

早乙女も手を開けため息をついて言った。

 

 

「何よあいつ……感じ悪い!!」

 

 

「芽亜里!!」

早乙女は怒ったように言うと部屋を出て行った。リリカも急いで後を追う。

 

 

「真君って何なんだろ?」

1人部屋に残された黄泉月はポツリとそう言った

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