百花王学園の支配人   作:匿名P

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遅れてごめんなさいm(_ _)m


試練

夢見弖ユメミのライブ会場に日夜は来ていた。ライブが始まるのはあと数時間後だが、珍しく気持ちが落ち着かず業務をやっていても落ち着かなかったため、学園内をフラフラと歩いているとここにたどり着いた。今日のライブに生徒会役員はもちろん支配人にも招待状が届いていた。日夜に断る理由はないので、行く予定ではあったが、計画のせいで気分が落ち着かない。計画が成功するかどうかは本音を言うとどうでもいい。豆生田楓という男が喰われるのではという不安に襲われているため、気分が落ち着かない。日夜にとってみれば、ただの他人で自分の首を狙っている人間なのだが、どこか昔の自分を見ているようでどうしても肩入れしてしまう。豆生田楓は普段は冷静でクールな印象だが、その裏はただただ王道を征き頂点を目指す野心があり、日夜もその野心には驚いたがそれ(野心)が昔の自分にそっくりだったため、昔の自分を照らし合わせてしまう。そんなことを思っていると後ろから声がかけられる。

 

 

「少しいいかしら?」

その声の主は生徒会長桃喰綺羅莉であった。

 

 

「どうした?」

いきなり声がかけられたのにもかかわらず、驚きもせずに普通に返答する。

 

 

「しばらく学園を空けるわ」

 

 

「今からか?」

 

 

「そうよ。だから頼むわね」

 

 

「分かった」

その声を聞くと綺羅莉はライブ会場から出ていった。ライブ会場に1人残された日夜は、綺羅莉が出てから少し経った後同じようにライブ会場を出た。

 

 

 

 

 

そしてライブ開始まであと数分となったところで、ライブ会場には大勢のファンや早乙女芽亜里、皇伊月、鈴井涼太の姿もある。そこへ生徒会役員がぞろぞろと入ってくる。最後に日夜が入ってきて、生徒会長が座る席よりも高い位置に置かれた椅子に腰掛けた。生徒会役員が入ってきた際、会場にいた人間が入ってくる生徒会役員に視線がいっていたため、日夜の姿に会場にいた全員が「誰だあいつ?」と疑問を抱いた。

数分が経ち、不思議な雰囲気の中ライブが始まった。だが、ライブが始まるとさっきまで不思議な雰囲気だった会場のボルテージが上がる。そして、今回のライブの主役である夢見弖ユメミ、蛇喰夢子が出てくるとさらにボルテージが上がる。異様な盛り上がりをしている中、司会がライブの開幕を宣言した。

 

 

「ただいまより、ドキドキ絶対絶命ギャンブル対決を開幕する〜

ルールは簡単、ギャンブルを5回やって勝利数の多い方の勝ちだ〜」

この声が終わったあとさらに会場は盛り上がる。始まった。誰かが確実に喰われるギャンブルが。

 

 

「まずは、開幕に先立ちまして百花王学園生徒会長桃喰綺羅莉様から言葉を頂いております。なお生徒会長は急用ということで、この度のライブには残念ながらいらっしゃいません」

あいつ、そんな時間あったのかよと日夜は心で思いながら司会の言葉を聞く。

 

 

「皆様、この度は生徒会役員のイベントに来ていただきありがとうございます。皆様が最後まで楽しめるようなものになれば光栄です。では、お楽しみください 桃喰綺羅莉」

意外と丁寧でしっかり書かれているので、日夜はあいつ丁寧な部分もあるんだと思い感心する。

 

 

「続きまして、百花王学園支配人からお言葉を頂きたいと思います」

まさかの指名に驚きを隠せない日夜だったが、すぐにマイクを渡され、スポットライトまで当てられ逃げられなくなってしまい、立ち上がって言葉を述べる。

 

 

「ただいまご紹介に預かった支配人の日夜です。私のことを初めて知るという方がほとんどだと思います。なので、軽く自己紹介を紹介をさせていただきます。私は、1週間前桃喰綺羅莉生徒会長に勝利しこの立場につかせて頂いております。ですので、生徒会長より上の人間だという認識で構いません。今回のライブを企画したのは私です。生徒会役員の夢見弖に何かイベントをやってくれないかと言ったところ、このような盛大なライブをやってくれました。皆様には、心ゆくまで楽しんでいただければと思います。以上です」

マイクを係員に渡し、椅子に座る。今の言葉を聞いて、会場がザワつく。だが、司会が進めてくれたおかげで、大事にならずに済んだ。すると、黄泉月が日夜に耳打ちをする。

 

 

「真君に喋らせたの会長だよ。君が計画してたプログラムを変えてユメミちゃんに渡したんだ」

前言撤回だと日夜は心の中で思う。さっき、綺羅莉に感心したが、相変わらずであり感心した自分を憎みたくなる日夜だった。

 

 

「さぁ、お待ちかね、ユメミちゃんと夢子ちゃんのギャンブル対決だァー」

司会の言葉のあと、夢見弖にサイコロが渡された。

 

 

「どんなギャンブルをするのかサイコロを振って決めてもらうぞ〜 じゃあユメミちゃんサイコロ投げちゃって〜」

司会からその言葉が出ると、夢見弖がサイコロを振る。出た目は6だった。

 

 

「出た目は6〜ということは〜」

その言葉でスクリーンに歌唱力対決という文字が現れる。

 

 

「ということで〜まず最初は歌唱力対決だァー」

その言葉で2人にマイクが渡される。

 

 

「ユメミちゃん、始まる前に一言お願いします〜」

そう言われると夢見弖はマイクを口元に近付け、目を輝かせて言った。

 

 

「負けないように頑張るよ〜だから応援よろしく〜」

会場に人に笑顔でピースサインをしながらこういうことを言えるのはアイドルの鏡だろう。

 

 

音楽が始まり夢見弖が歌い始める。その音楽に乗せて、会場にいるファンも踊り出す。ファンでない生徒も手拍子をしている。夢見弖の会場の盛り上げの上手さに日夜は感心した。

 

 

歌が終わり会場も落ち着けを見せた頃、それを見計らって司会がライブを進行させる。

 

 

「いや〜素晴らしい歌声をありがとうユメミちゃん!さぁ気になる点数は〜」

この声とともにドラムロールが流れる。

 

 

「ドン!85点!これは中々の高得点だァー!」

高得点に会場がまた盛り上がる。夢見弖はその盛り上がりに答えるように手を振る。

 

 

「ユメミちゃんを越えられるのか?夢子ちゃんの挑戦だァー」

夢子はお辞儀をして、会場の歓声に答える。

 

 

「夢子ちゃん一言お願いします〜」

 

 

「負けないように頑張ります」

そう言うと集中した顔つきになる。そして、音楽が始まり歌い始めたが、誰もがその歌に驚いた。夢子が歌ったのは童謡だったからだ。まさかの選曲に会場の人間はただただ黙って聞くしかなかった。

 

 

夢子が歌い終わり未だにザワついている会場を無視して司会が進行させる。

 

 

「いい歌声をありがとう!夢子ちゃん!」

 

 

「いえいえとんでもないです」

 

 

「さぁ得点の方に参りましょう!夢子ちゃんの点数は何点だァー?」

再びドラムロールが流れる。

 

 

「ドン!96点!なんと!?ユメミちゃんを超えたァー!ということで、1回戦目は夢子ちゃんの勝利だァー!

では勝利した夢子ちゃん一言お願いします」

 

 

「勝てて嬉しいです!次も勝てるように頑張ります!」

会場の歓声が夢子に送られる。

 

「次にユメミちゃん一言お願いします!」

 

 

「まだまだこれからだよ!負けないように頑張るから応援よろしく!」

ファンから「負けるなぁ〜ユメミちゃん!」「頑張れ〜!」というような応援が送られる。

 

 

そして、ライブは最後の5回戦を向かえた。これまで、夢見弖・夢子ともに一進一退の攻防を繰り広げておりお互い2勝2敗という成績であった。

 

 

「さぁこのギャンブル対決もとうとう最後となりました!これまでお互い全く譲らず、2勝2敗!どちらが勝つのでしょうか?では準備が整ったようなので始めましょう!最終戦の開始致します!!」

 

 

「最終ゲームは誕生月当て対決です!この会場いるいらっしゃる人の中から1人を選び、その方の誕生月を予想していただきます!お互いに不正解であった場合、より近い方の勝利となります!ルール説明はこれくらいにして早速参りましょう!では、夢子ちゃんサイコロを投げちゃって〜」

夢子は渡されたサイコロを投げた。

 

 

「数学は3、ということで30〜39番の方の中から選ばれます!じゃあ次に、ユメミちゃんサイコロを投げちゃって〜」

夢見弖は夢子からサイコロをもらい、そのサイコロを投げた。

 

 

「数学は1、ということは〜31番の方ご起立ください!」

指名された番号の人間は立ち上がった。その人間を見て、夢見弖はフリーズした。なぜなら、この会場にいる人間は全てファンの人間だけであったはずだったのに、指名された人間はファンの人間ではなく早乙女芽亜里だったからだ。このギャンブルは夢見弖が必ず勝つように仕組まれていた。これまでのギャンブルもこの状況を演出するために、夢見弖が仕組んだものだった。これまで順調に進んでいたはずの計画がここに来て瓦解した。何者かによって。

 

 

「げっ、私かよ」

めんどくさそうに早乙女が立ち上がる。

 

 

「わー芽亜里さん」

早乙女の気持ちを考えずに意気揚々とした声をあげる夢子。

 

 

(誰だよお前!)

予定にない人間の登場で動揺が隠せない夢見弖。そして、サイコロを投げる前に夢子が言っていたことが脳裏によぎる。

 

〜回想〜

 

 

「やはり、私が勝てるのはこれしかないですね」

あの時の言葉は意味が分からなかったが、今になってその言葉の意味を理解した。

 

 

〜現在〜

 

 

「さぁ31番の方の誕生月を予想してください!」

 

 

「うふふ、これで決まりますね。破滅するかどうか。」

そう言うと、夢子はカードに夢見弖から見て6月と書いた。

 

 

「うーん難しくて、迷うなぁ〜(今こいつ、6って書いたぞ。てことは、正解は6だ。だが、待て、そんなに分かりやすく書くか?これまでのギャンブルを見ても、そんな分かりやすいことはしない。ということは正解は反転した9だ。)だけど、これだ!」

夢見弖はカードに9と書いた。

 

 

「では、お互い書き終わったようなので予想を見せて頂きましょう!一斉にオープン!」

夢子と夢見弖はほぼ同時にカードをあげた。

 

 

「夢子ちゃんは6、ユメミちゃんは9だ。さぁ正解は〜」

 

 

「3月だけど」

早乙女はめんどくさそうに言った。

 

 

「正解は3月ということは〜、より近い夢子ちゃんの勝利だァー」

 

 

「そんな、なんで?知らなかったの?」

地面に膝をつけて落胆したように呟いた。

 

 

「私は芽亜里さんの誕生月は初めて知りましたよ」

 

 

「運だったってこと?破滅するかもしれないギャンブルで?」

 

 

「ええ、運勝負というのもギャンブルの本質ですから」

 

 

「それでは、負けた賭け金を払ってもらいましょう」

夢見弖の目を見て夢見弖に近づきながら言う。

 

 

「待って、ここに5000万円ある。これであの音声を流すのはやめてもらえないかしら?」

マネージャーが懇願するように言った。

 

 

「夢見弖さんも同じ意見ですか?」

 

 

「いえ、いいわ沙織。流して」

 

 

「でも、それじゃあ」

マネージャーが言いかけたところで夢見弖が遮る。

 

 

「いいの。ここで負けるくらいなら上には行けない。なら、ここで終わりたい」

 

 

「……わかったわ。いいのね?」

 

 

「ええ」

 

 

「いい覚悟ですね」

 

 

「なんだ?トラブルか?」

会場から心配そうな声が上がる

 

 

「夢子になにかあったのかな?」

鈴井は夢子のことを心配している。

 

 

「それは大丈夫でしょ。問題はもっと違うでしょ」

勘の良い発言をする早乙女。

 

 

夢見弖が出てきたが、マネージャーも一緒である。そのマネージャーはマイクと録音機を持っている。夢見弖がマネージャーに頷くとマネージャーはマイクを録音機に近づけ、音声を流した。

 

 

会場に夢見弖のファンに向けての暴言が公開される。夢見弖はただ真っ直ぐを見て、立っている。と音声の途中で、ファンの人間から「ユメミちゃん好きだーー」という声が上がった。その声を皮切りに次々と夢見弖を応援するような声が上がり、更にはアンコールまで出てきた。それに夢見弖は涙して、アンコールに答えるべく音楽をかけさせ、夢子と歌った。会場のボルテージは最高潮になり、最高のクライマックスで終わった。

 

 

「それでは皆さんこれで、絶対絶命ドキドキギャンブル対決を終了いたします!」

これで終わると思っていたが、マネージャーである沙織はなにかが引っかかった。

 

 

「どうしたのですか?」

沙織に気づいた夢子が声をかける。

 

 

「そうですよね。これで終わりではない。まだ夢見弖さんを陥れた犯人が断罪されていませんもの」

そう言うとマイクを手に取り口元に近づけた。

 

 

「皆さん、夢見弖さんのあの音声は私に誰かから送られて来ました」

その言葉に会場はザワつく。

 

 

「その人物は支配人・日夜真さんです」

日夜を指さしながら言う。

 

 

「どういうことか説明してもらえるかな?支配人?」

日夜はそう言われると立ち上がり、ステージへと向かって行く。

 

 

「真君!お呼びだよ〜」

黄泉月が日夜を催促する。

 

 

「支配人。本当にやったのですか?」

五十嵐が震えながら尋ねる。

 

 

「見ていれば分かる」

と一言だけ言い残して行った。

 

 

ステージに上がった日夜はマイクを持ち、口元に近づけた。

 

 

「このような事態を招いたのは、俺だ。蛇喰夢子に夢見弖の音声を送ったのも俺だ。だが、俺は頼まれて力を貸していただけに過ぎない」

まさかの発言に会場に緊張が走る。日夜の言葉は続く。

 

 

「俺が責任を取るべきだろうか?真犯人が責任を取るべきではないのか?」

 

 

「その真犯人とは一体誰なのでしょうか?」

 

 

「それは、生徒会会計豆生田楓だ」

日夜は豆生田を指さしながら言った。

 

「豆生田さん。そんな小賢しいことをせずにギャンブルをしましょうよ。ですから、私は公式戦をあなたに申し込みます」

夢子の突然の宣言に会場にいる誰もが驚いたが、豆生田は固まったままだった。

 

 

「さぁ、こちらへ来てください」

夢子が豆生田をこちらへ来るよう催促する。

 

 

「いいだろう。公式戦を受理する」

夢子の言葉に目が覚めた豆生田はステージへと向かって行く。

 

 

「これがお前の()()だ」

ステージへ向かう途中日夜から一言そう言われると豆生田は力強く前を向いた。

 

 

「俺が今回の真犯人だ。だが、ここで負ける訳にはいかない。次期生徒会長いや、支配人になるのだからな」

日夜と入れ替わりでステージに上がった豆生田は高々に宣言した。

 

 

「じゃあギャンブルを始めましょう(よう)」

蛇喰夢子と豆生田が揃って言った。

 

 

 

 

 

 

 

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