百花王学園の支配人   作:匿名P

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路肩の石

「よっしゃあ!また勝った!!」

 

 

「いけるよ!勝己!」

第4ゲームまで終わり日夜相手に連勝している碧依と勝己は2人共勢いづいてこのままであれば勝てると思っていた。

 

「悔しくないのか?俺らみたいな中学生に負けてて」

 

 

「別に相手が誰だろうと何も変わらない。いつも通りにやるだけだ」

 

 

「そうかい。なら俺らが変えてやるよ」

 

 

「やってみろ」

 

 

 

 

「じゃあ第5ゲーム始めるよ〜」

黄泉月がカードを2枚ずつ金城と日夜に配る。

 

 

「ダウン」

俺の宣言が室内に響く。このゲームは後に宣言する方が有利だ。先のやつの宣言を聞いて、嘘をつくか、正直に言うか考える時間が生まれる。さらにその宣言が嘘なのか本当なのかの判断する時間も生まれる。だからこそ後に宣言する方が圧倒的に有利なこのゲームの最善策は、いかに先攻で損失を抑え、後攻で利益を得ること。そして、このゲームは駆け引きが肝になってくる。相手の宣言が嘘か、本当かを見抜き、自分の宣言が相手に気づかれないように欺く。嘘を制した者が勝てると言っても過言ではない。俺の今回の手は8と9のアップだ。さっきまでは本当のことを言って負けてきた。だから今回は嘘をついて相手の出方を見たい。

 

 

「アップ」

勝己の自信に溢れた宣言が響く。アップか…この宣言が本当か嘘かは分からないが、さっきまでの傾向でいけばおそらくブラフだ。さっきまでの4ゲーム全てで勝己は嘘をついてきた。今回も嘘である可能性は高いが、布石という可能性も十分に有り得る。さてどっちだろうか?

 

 

「ベット1万」

さっきまでで200万取られたからな…慎重に行かないと

 

 

「レイズ50万」

なかなか強気だな…手に自信があるのか?だけど妙だな…勝己はさっきからレイズする額が50万で固定されてる。本当に強い手ならもっと額を上げるはずだが…これも作戦なのか?でも物は試しだ

 

 

「コール」

 

 

「チェック」

 

 

「じゃあ行くよ!ショーダウン!」

 

 

「17対20。金城勝己の勝利!」

また負けたか…今回は本当だったか…ん?このカード、裏の模様がおかしい…このカードもか?いや、違うな。場にあるカード全てのマークが微妙に違う。だけど、似てるのもあるな……なるほどな。

 

 

「どうしたんだ?」

カードを見ながら眉間を寄せる日夜を見て金城が声をかける。

 

 

「いや…なんでもない。続けようか」

 

 

「じゃあ配るよ〜」

再び黄泉月がカードを2枚ずつ金城と日夜に配る。

 

 

「ダウン」

金城が笑みを浮かべながら宣言する。

(このギャンブルは俺たちが必ず勝つ。なぜなら、このカードには数字によってマークが微妙に違うからだ。だから、あいつがなんのカードを持ってるのかすぐに分かる。今回のあいつのカードは4と4。俺は10と9。今回も勝てるww。正直に宣言するとあいつは勝負に来ない。だから、わざと嘘をついて餌をまいた。これにつられてあいつは勝負に来る。そこで叩き潰す。これでお前も終わりだww)

 

 

「ダウン」

(おいおいまじかwwあいつ、勝負する気ないだろww。まぁいい。こっち方が弱いと見せかければいい。)

 

 

「ベット1万」

さっきの宣言で笑みを浮かべていたのに、今回の宣言では弱々しい声を出す。

 

 

「レイズ、オールイン」

日夜がいつもと変わらない様子で宣言する。

(ハハハww腹痛てぇ。笑いこらえんのが大変だわww自爆しに来るとは頭使えないにも程があんだろwwそれとも俺の演技が上手かったか?)

 

 

「コール」

弱々しい声はどこかへ行き、自信に溢れたというよりも馬鹿にするような声を出す。そして勝ちを確信した顔で日夜を見る。

 

 

「じゃあ行くよ〜ショーダウン」

(これで終わりだww支配人)

 

 

「は?なんで?」

信じられないといった声を出すのは金城と金元の2人だった。

 

 

「ん?なにかおかしい点でもあったか?それとも俺の手が10のペアだというのが信じられないと?」

 

 

「い、いや。なんでもない」

(は?なんでだよ!なんであいつが10のペア持ってんだよ!確かにマークは4と4だ!なぜだ!もういい…次で潰す!)

 

 

「落ち着いて勝己!たまたまだよ!」

金元が金城に耳打ちする。

 

 

(確かにマークは4と4だった。なんで違うんだ?)

 

 

(大丈夫。たまたまだよ。次は勝てる。)

 

 

「じゃあ配るよ〜」

2人の会話が終わったのを確認してから黄泉月がまたカードを2枚ずつ金城と日夜に配る。

 

 

「アップ」

(俺のカードは12と13。あいつのカードは1と1。最弱の手だ。それでアップを宣言するって頭やっぱ悪いなww今回はミスすることはない。勝つのは俺たちだ!)

だが、この時金城も金元も気づかなかった。日夜の目の色が青から茜色になっていたことに

 

 

「アップ!」

金城が次こそはと勝ちを確信した声で力強く宣言する。

 

 

「ベット、オールイン」

(あの野郎!なめやがって!潰す!)

 

 

「コール、オールイン!」

(俺たちを舐めたこと後悔させてやる!)

 

 

「じゃあ行くよ〜ショーダウン!」

最後のゲームになるかもしれないため黄泉月の声にも力が入る。

 

 

「な、な、なんで?そ、そ、んなわけない。な、なんでお前が13のペア持ってんだよ」

声が震えその震えが体にも伝染していく。

 

 

「なんでって…お前たちがイカサマしたからに決まってるだろ」

 

 

「は?」

 

 

「こんなイカサマ、俺が気づかないとでも思った?」

 

 

「おまえの手は1のペアのはず」

 

 

「はぁー…そこからか。教えてあげるよ。なんで俺が勝ったのか。特別にね。」

 

 

「お前たちはこのカードの微妙に違うマークを覚えてきたんだろうけど…盲点にもほどがある。例えば、この13のカードを上下を逆にしたら?」

13のカードを指さしながら裏返し逆さまにする。

 

 

「え?い、1」

 

 

「そう。これは全てのカードにも当てはまる。なんでこれに気づかずにきた?付け焼き刃にもほどがある…それともイカサマすれば簡単に勝てる相手だと思った?」

 

 

「もしそう思ってんだったら脳みそ入れ替えてこい。そんなに甘くねぇ」

 

 

「頑張れよ。10億の借金。ちゃんと返せよ」

 

 

「じゃ、あと頼んだよ。君」

金城と金元を引率してきた生徒会の生徒の肩に手を置いてそう言うと支配人室を出ていった。

 

 

「大変だね〜中学生から借金なんて。しかも10億。一生かかっても無理だねー」

他人事のように黄泉月が2人に言う。

 

 

「まぁ面白いもの見させてもらったよ!にゃはは、ありがとう!」

そう言うと日夜のあとを追うようにして部屋を出ていく。

 

 

 

 

〜次の日〜

さすが花の都パリ。いい場所だ。観光したいけどフランスに来た目的は観光じゃないからな…まぁいいかすぐに仕事終わらせて観光しよう。

なんか腹減ったな…朝からなんも食ってない時間もちょうどいいしどこかで適当にランチ食うか。会議の場所はあっちだから、向かう途中で食えばいいや。えっと、ここが会議の場所か…おっ、隣にいい感じの店あんじゃん。そこでいいや。

 

 

「こんにちは」

挨拶を言いながら、ドアを開けて店に入るとその中にはいかにも高級店っぽい物がたくさんあった。店の中にいた人達が一斉に俺を疑わしい目で見てくる。その視線を受けながら席に座る。店員が来てメニューを渡してくれると思ったら、その店員はメニューを持っていなかった。

 

 

「ここはあなたが入っていいような場所じゃありません」

この場にふさわしくない人間だと思ってるっぽいな…それだった証明すればいいか。俺は日本円でおよそ100万円になるユーロを店員の前に出した。すると店員の目が見開かれ言葉が出なくなっていた。周りの客も驚いた顔をしていた。

 

 

「これはあなたのお金ですか?」

まだ聞いてくるので、あまり見せたくなかったが通帳をスーツの内ポケットから取り出し0が12桁の中を見せると店員は案の定固まっていた。この額は一般人にしてみれば天文学的な数字なのだろう。

 

 

「メニュー持ってきてもらってもいいですか?」

俺は通帳と出した金をしまいながら言った。

 

 

「すいません!今すぐにお持ちします!」

店員が慌てた様子でメニューを取りに行った。はぁー…面倒なことになった。ん?誰か近づいて来てるな…

 

 

「すごいね君!」

店内だというのにサングラスをかけ、首にはネックレス、ピアスを耳につけた明らかな若者が日夜に話しかける。

 

 

「そんなことないですよ」

 

 

「またまたそんなこと言って、それよりこの後空いてる?」

 

 

「すいませんこの後仕事なんです」

 

 

「そうかそれは残念だな…」

 

 

「どうしてですか?」

 

 

「君とギャンブルしたかったんだけど」

 

 

ギャンブル!?」

 

 

「そうそう、良い賭場場知ってるんだよね」

 

 

「んー」

どうしよう…ギャンブルしたいけど、したら会議の時間、間に合わなくなってフランスに幽閉されるなぁ…それに綺羅莉の言ってた面白いことがそろそろ起きるのに。んー、仕方ない今回は辞めよう。楽しいことが帰ったらたくさんあると信じて。

 

 

「ごめんなさい」

俺がそう言うと笑って返してくれた。そして、そのまま自分が座っていた席へと戻って行った。

慌てて戻ってきた店員が頭を下げながら、メニューを持ってきたので「大丈夫です」と言って、そのままメニューを開いて目に留まったものを注文した。メニューを渡してすぐに注文されるとは思っておらず、驚いていたがすぐに対応して厨房へと向かっていった。

えっと、このコース料理は340ユーロ(日本円で約4万5000円)か…まぁ払えるけどランチにしちゃあ高いか…

そして俺の机にどんどんフランス料理が運ばれて来る。やっぱり豪華だな。

そんな本場のフランス料理を堪能しながら俺は日本に帰ってからのことを考えていた。

帰ってたら綺羅莉が言ってた面白いことは多分始まってる。それがなんなのかは全く予想ができない。それが困るんだよな…無茶振りとかだったらヤダしなぁ…

あっ、ヤバい時間が。あと10分で始まんじゃん!急がないと!

ちょうど料理を食べ終わった俺は支度を急いでして、レジの会計で、持ってた金を全て渡してお釣りはいらないと言って勢いそのままに店を出た。

店が隣にあって助かった…何とか間に合うな

時間を確認した俺は会議の場所である会社の中に入り、会議室へと向かった。

そして、数時間程で会議が終わり予約したホテルへと向かってる最中に俺の携帯がなった。

 

 

「どうした?」

 

 

「生徒会が動きました!!」

慌てた様子で俺の使用人である、月永杜和(つきながとわ)が言う。

 

 

「やっぱりか…で、どんな感じ?」

 

 

「今の生徒会長が生徒会を総解散して、新しい生徒会長をギャンブルで決める、生徒会長会長選挙が始まりました」

 

 

「うんうん、ってえ?綺羅莉、生徒会長辞めたの?しかも生徒会まで解散させた?」

 

 

「そうです。そして、さらに生徒会長になったものには支配人への挑戦権が与えられるそうです」

 

 

「おいおいおい、それ聞いてないぞ…」

 

 

「どうしますか?抗議しますか?」

 

 

「いや、いいや。綺羅莉からの挑戦状だろうからね」

 

 

「そうですか。分かりました」

 

 

「で、ルールはどんななの?」

 

 

「それは、生徒1人に投票チップが1枚ずつ配られ、この投票チップを生徒会長選挙が終わった時に1番多く持っている人が生徒会長になれるみたいです。このチップは直接的な譲渡は禁止されています。なおこの生徒会長選挙の期間は1ヶ月なので、来月の今日までです」

 

 

「なるほどね、もう始まってるのか…そのチップは俺にも来たの?」

 

 

「はい、いまさっき届きました。生徒会長からの手紙もついてます。読み上げますか?」

 

 

「綺羅莉から手紙?とりあえず読んでみて」

 

 

「分かりました。

支配人 日夜真様

この度は強制的に生徒会長選挙に巻き込んでしまいごめんなさい。あなたには期待してるわ。あと頑張ってね仕事。

元生徒会長 桃喰綺羅莉」

 

 

「なんであいつ手紙だと人格変わるんだ?」

 

 

「それはよく分かりませんが、とにかく支配人、戻って来てください!あなたが桃喰綺羅莉と交わした契約は桃喰綺羅莉が生徒会長を辞めた以上無効になるので、そのせいですごい量の業務が溜まってます!私がやってますが1人じゃ終わりません!」

 

 

「やっぱりあいつやってるな…分かったすぐに戻るからもう少し耐えて」

 

 

「はい…分かりました」

はぁー…何が面白いことだよ……地獄見させることが面白いことなのか?だとしたら、頭イカれてるぞ…

そして、ホテルのロビーでチェックインをして部屋に入り、すぐにベットに飛び込んだ。

 

 

「はぁー…やっぱり慎重には無理です。社長」

ため息混じりに呟いた声は俺しか居ない部屋の中で虚しく響いた。

 

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