百花王学園の支配人 作:匿名P
「久しぶりね。定楽乃」
綺羅莉は学園に来た百喰一族の分家の人達を迎え入れていた
「お前がこの学園の生徒会長を辞めるというから、分家の人間は焦って我々をよこしたよ」
「あら、そう。それは大変だったわね」
笑みをこぼしながら綺羅莉が言う
「私はお前が憎い。我々が欲した権力を手に入れたかと思えば捨てるなんてな」
定楽乃は綺羅莉を憤怒の眼差しで見る
〜支配人〜
「来たか…百喰一族。面白い人間しかいないだろうな」
入学者・等々喰定楽乃と書かれた書類を見ながら言う
「百喰一族……懐かしい名前ですね」
どこか懐かしそうな顔で杜和が言う
「そうだね…また来たか」ガチャ
支配人室の扉がノックもされずに開かれた
「誰でしょうか?」
杜和はそう言うが俺は入ってきた人物に見覚えがあった
「小川秀太。わざわざ支配人室まで何の用だ?」
この前勝負を仕掛けてきたが、たった一戦だけやって帰ったやつだった。あの時ほど退屈なことはない
「覚えててくれたのか支配人。あんたには忘れられてると思ってたよ」
あんなことをされて忘れるわけが無い
「忘れるわけが無い。一戦しかやらないで終わったんだから」
「で、何の用?」
「俺と勝負しろ」
「いいけど、どうせ途中で抜け出すんだろ?」
「今回は最後まで付き合ってやるよ。お互いの票が無くなるまでね」
「今のあんたより票は持ってる。やらないで損はない」
「何枚?」
「140枚だ」
思ったよりも持ってるな
「面白い。やろうか」
「俺が決めていいか?」
秀太が決めるのか。別にギャンブルができるならなんでもいいか
「いいよ」
「とっておきがあってね…」パチン
秀太が唐突に指を鳴らした。するとミケとか書かれた札をかけた女子が台を運んでくる
「ルーレット…か」
運勝負なわけだ。実力関係なし。ある意味フェアか
何か仕込まれて無ければ…の話だが
これはアメリカンルーレットか。38分の1の確率で当たる
「当てた方が賭けチップを全て回収できる。お互い当たった場合、当たらなかった場合は賭けた分は戻ってくる」
当てないと話にならないっていうわけか…
ん?なら赤か黒に賭ければいいんじゃないか
なるほど…このギャンブルは2分の1をいかに多く当てられるかが鍵というわけだ
「じゃあ始めよう」
秀太の掛け声でギャンブルが始まった
「赤に20枚」
秀太が赤にチップを20枚置いた。とりあえずは様子を見るということか…なら
「黒に10枚」
「参ります」
女子が玉を回す。玉は赤の14に入った。外れてしまったが、最初は様子見ということでいいだろう
「今日はツイてる気がするんだよな」
秀太が機嫌が良さそうに笑う
「黒10枚」
2分の1の確率で当たるなら1点で賭けておこう
「黒20枚」
こいつ馬鹿なのか?黒に賭けてどうする
当たっても当たらなくてもチップは増えない
「参ります」
女子が先程とは反対側から玉を回す。玉は黒の2に入った。当たったが、チップは増えずに返ってきた
「やっぱり今日はツイてるな」
あいつの言葉は嘘じゃなさそうだ
「…」
待てよ…
俺は秀太をじっと見る。何か動きがないかを観察するが何もない
「どうした?」
「いや、なんでもない」
「黒に49枚」
これで俺の残りのチップは1枚だけになってしまったが不安はない
「!?ハハハ、馬鹿だなw やけか?」
「早く決めろ」
こいつの戯言には付き合わない。俺の読みが正しいならこれの次で決める
「なら俺も行ってやるよ。赤にオールベット」
「参ります」
女子が先程は反対側から玉を回す。玉は再び赤の14に入った
「今日はツイてないなー支配人」
「黒にオールベット」
これで俺のチップは無くなった
「赤にオールベット」
俺の予想通りに動き過ぎて逆に疑うな
「参ります」
女子が先程と同じ場所から玉を回す
「ん?」
「ああ、すまない」
俺はポケットからパチンコの玉を取り出し、それを女子が玉を回した場所の反対側に玉を飛ばす。パチンコの玉が転がってきたのを俺は手で掴んだ
「何したんだ?」
「別に何もしてない。見てればわかる」
「あ?(あの支配人が破滅する瞬間をこの目で見れるとはなw 俺にも支配人になるチャンスが回ってきたわけだ)」
「は?なんで?」
玉が入ったのは赤の21に入りかけたが、黒の33に入った。秀太にとってはわけが分からなかっただろう
それほどまでにイカサマが上手くいっていたからな
「それくらいのイカサマに気づかないと思ったか?」
「は?なんだよ!?イカサマって!?お前こそさっきなんか投げてたじゃねーか!?」
目が泳いでいる。かなり動揺している。ここまで追い詰められてまだ抵抗するか
「ちょっといいか」
女子がいた場所に行くと玉を回していたところに手を置いた。やはりな…
「ここに電磁石のスイッチがある。ここは赤が電磁石になるスイッチ。反対側は黒が電磁石になるスイッチ」
「これを押すことでポケットに仕込まれた電磁石が発動していた」
「発動の合図があると思っていたが、合図は秀太のベットこそが合図だった」
「ベットした色を聞いてどちらのスイッチを押すか決めていた」
「というところか。俺は最後黒のスイッチをこの玉を投げて押した。そうすることで黒に入った。お前がオールベットしたのは驚いたよ」
「全てが予想通り過ぎてね」
「お前は負けた。これから先のこと指くわえて見てろ」
「…す」
今なんて言ったんだ?「す」しか聞こえなかった
「殺す」
秀太は内ポケットからナイフを取り出した
こいつイカれたか。前に会った時はあんなことを言っていたのにな。堕ちたものだな
「てめぇのせいだ!!!」
秀太が向かったのは俺ではなく女子の方だった
マズイ!間に合わない
「ここは支配人室
杜和がスタンガンで秀太を気絶させた。女子にナイフが当たるスレスレだった
「身勝手なことはお控え下さい」
「どうしますか?」
んーそうだな。こいつは本気で殺そうとしていた。やってることは犯罪だ。家畜に堕とすだけにしてやろうか。こういうタイプの人間は家畜に堕ちただけでも心が挫けるだろう
「家畜に堕とすだけでいいよ。だけど、誰かの監視下には置いといて。また変なことするかもしれない」
「あ、あの、ありがとうございます!」
何を勘違いしているのだろうか。助けようと思って助けたつもりは無い
「早く帰れ。ここにいつまでもいるな」
「す、すいません!」
女子は一目散に部屋から出て行った。秀太は生徒会に連れられて行った
「これでチップが230枚か」
「1番多いんじゃないですかね?」
「どうだろうな。
俺は不意に笑みがこぼれた。
「それもそうですね」
「さぁこれから何が起こるかな」