百花王学園の支配人 作:匿名P
「今日は生徒会長選挙現在1位の日夜 真君にインタビューをするよ!!」
早乙女芽亜里が校内に設置されたテレビで黄泉月るなが支配人にインタビューする所を見ていた
「相変わらず強いね!あの会長より上なんだもん」
「たまたまだ。綺羅莉に抜かされる事もある」
「日夜 真…こいつに勝てる人なんているの?」
芽亜里は呆れたようにテレビから離れて行った。教室に向かっていた時角から出てきた人に気づかずぶつかってしまった
「ごめんなさ…え?(会長!?)」
芽亜里はぶつかってしまったことを謝ろうと思ったが、目の前にいる人間を見て固まった。自分がぶつかった相手は桃喰綺羅莉だったからだ
「あ…
早乙女芽亜里だな。話がある」
桃喰綺羅莉はアワアワした様子だったが、近くに落ちていた仮面を拾い身につけると元通りになり早乙女芽亜里を空き教室へ連れて行った
「まさか、双子だとは」
早乙女芽亜里は仮面を被った桃喰綺羅莉から本当のことを聞いた。桃喰綺羅莉ではなく、桃喰リリカであり双子であること。仮面をつけていないとまともに話せないこと
「で、副会長が何の用?」
「今回の選挙で協力して欲しい」
「は?なんで?」
生徒会長からスカウトを受けたことがあった芽亜里だが、副会長とは縁がないため話が見えてこない
「もちろんタダとは言わない」
リリカはそう言うとアタッシュケースを取り出した。そこにはチップが大量に入っている
「これを全部使って構わない」
「生徒会長の座も譲る」
芽亜里にとってとても有利な条件だった。だが、芽亜里はこれを飲めなかった
「断る」
「何故だ!」
「どうせ生徒会長に言われて来たんでしょ?」
芽亜里の考えは当たっていたのかリリカは俯く。その様子に芽亜里はため息をつく
「結局言いなりじゃない…それだけなら帰るわ」
帰ろうとする芽亜里の手をリリカがぎゅっと掴んだ。芽亜里は思わず立ち止まってしまう
「なによ」
「確かに芽亜里の言う通りかもしれない…
でも、私は綺羅莉の影としてずっと生きてきた。仕方ないのかもしれない…
だけど、私は綺羅莉に負けたくない」
「早乙女芽亜里、協力して欲しい」
決意の固まった声に芽亜里は小さく笑った。芽亜里自身も綺羅莉にはいいようにされた。そのことを根に持っている
「分かったわ。でもね…」
芽亜里は言葉の途中でリリカの仮面を奪い取った。仮面を取られたリリカはアワアワしている
「人に何か頼む時は仮面くらい取りなさいよ」
「…お願いします」
リリカは顔を赤く染めた。それを隠すように深くお辞儀をした
「いいわ。よろしくリリカ」
〜〜
「で、最初に誰から行くの?」
芽亜里は用意されたジュースを飲みながら、リリカとこれからについて話し合っていた
「支配人・日夜 真だ」
「ゴホッゴホッ」
芽亜里はリリカの口から飛び出た爆弾に思わず飲んでいたジュースが気管に入り込む
「どうした?」
「どうしたじゃないわよ! なんでそんなやつを狙うのよ」
「はっきり言って普通にやれば、日夜か綺羅莉のどちらかが勝者になる」
「つまり、あの2人に票が多く集まる。そのどちらかを潰せれば我々の勝機は上がる」
「勝機が上がるからって無謀すぎるわ」
「私たちは遅かれ早かれどちらかと戦うことになる。なら、票の差があまりない序盤にやるべきだ」
「それはそうだけど…てゆうかなんで支配人なの?生徒会長でもいいんでしょ?」
「日夜の方が綺羅莉より戦いづらいから」
「なんで?」
「私は綺羅莉のことをよく知っている。だから綺羅莉の隙はつける。だが、日夜は掴みどころが全くない」
「強敵を先に潰すってことね」
「そう言うことだ。終盤で私たちよりも票の差がついていても綺羅莉なら勝てる可能性はある」
「日夜は早めに潰さなければいずれ負ける」
リリカもあの生徒会のNo.2だ。そんな人間から負けるという言葉を聞いた芽亜里は改めて日夜がどれだけ強大かを知った
「どうやって戦うの?正面から行ったって勝ち目はないわけでしょ」
「ああ。だが、イカサマをすれば勝てるという相手でもない」
「じゃあどうするの?」
「それは…」
「なるほど…それで支配人はどこにいるの?」
「日夜は支配人室にいるはず」
「じゃあ早速行くよ」
「ああ。だが、その前に…」
リリカは携帯を取り出すと誰かに電話を掛け始めた
〜〜
「生徒会長のことはどう思ってるの?」
日夜は黄泉月に呼び出され、インタビューを受けている。この様子が校内に放送されていることを日夜は知らない
「んー…面白いやつだな」
「面白いねぇ…やっぱり似てるよね」
「何が?」
「真君と会長」
「そうか?似てると思わないけど」
「会長も君のこと面白いやつだって言ってたからさ」
「そういう意味では相思相愛だよね」
「その言葉で俺たちの関係を表すな」
「冗談冗談」
黄泉月はいつも笑っているが、底が見えない。本当の姿を見せることはない人間だ
「真君はこの選挙に勝っても意味がないけどなんでやってるの?」
「綺羅莉からの挑戦状だからだな」
「挑戦状?」
「ああ。この選挙で勝ったものは俺と戦う権利を得る」
「確かに」
「この学園で1番強い人間が俺に挑んでくる。支配人という立場を脅かしに来てるっていうこと」
「そんなことされて黙ってやれるほど俺は寛大じゃない」
「なるほどねー
やっぱり面白いね。会長と真君の関係」
「そう?」
「会長はこの選挙で勝てば真君とギャンブルする機会を手にできる」
「もしそれを計算して今回の選挙やったって思うとね。ああ見えて真君にロックオンしてたのかもしれない」
「普通に真君とギャンブルするだけじゃ足りないから、わざわざ自分の立場を捨てて君に挑みに来てる」
「まるで真君が支配人になった時みたいだね」
「確かにな」
俺が支配人になったのは綺羅莉とギャンブルをして勝ったからだ。ただ、条件は厳しかった。というか俺がそうした。そうでもしないと綺羅莉が乗ってこないと思ったからだ。結果俺は勝ち、今がある
もしそれを逆の立場でやろうとしているとしたらどうだろうか。綺羅莉は引くほどイカれてる思考を持っている。だからといってそんなことをするのか…
「…君、真君!」
俺は思考に走っていたが、るなの声で我に返った。考えたって答えは出ないんだけどな…なんでだろう
「ん、あ、ごめん。なんだっけ?」
「これからの意気込みを聞かせて」
「このままを維持できるようにするだけだね」
「はい!みんな聞いてたかな?」
「ん?」
「あ、これリアルタイムで校内に流れてるよ」
るなは平気でこういうことをする。しかもそういうことをしていても気づかれない。全く底が見えない
待てよ…てことは…
俺が真剣に考えてたのも流れてたのか。やっちまったな
「もう帰っていい?」
俺はるなの許可を得る前にその場を立ち去った。本音を言うとこれ以上映りたくなかった
「あーちょっと待ってよ」
〜〜
「マジで災難だった」
俺はこれまで起こったことを杜和に話した。杜和は黙って聞いているだけだった
「確かにそうですね」
「これからどうされますか?」
聞いてないなこいつ。杜和は同情してくれるかと思いきやすぐに話を逸らした
「そうだな〜
自分から行ってもギャンブルしてくれる人間はいないんだよな」
「誰か来てくれれば良いけど」
「なら…誰か来るまで暇ってことですよね?」
このパターンはマズイ。仕事を差し込まれる
「いや〜どうかな?」
「暇ですね。これやってください」
俺の机に見ただけでも気絶しそうな量の書類が積まれてしまった。ギャンブルしてたのも束の間だった。俺って学生なんだけどな
「いや、誰か来たみたい」
微かだが遠くから足音が聞こえる
「げっ、追ってくんのかよ」
入ってきたのは黄泉月るなだった。ここまで追ってくるとは思わなかった
「違うよ。真君宛に手紙が届いてるよ」
るなは手紙を取り出すと手渡してきた
「誰からだ?」
「ん?…なるほど。思ったより早いな」
中身を見てみると場所が書いてあり、シールが入っていた。このシールは生徒会が使っているもの。生徒会役員が来たみたいだ
「一応聞くけどこれ…るなのじゃないよな?」
「そうだよ」
「これ誰から?」
「それは…言えないよ。そこに書いてある場所に行ってみなよ」
それしかないみたいだな。誰がこれを差し出したのか見に行くか
「そうだな。行くか」
「私は残った方がいいですか?」
杜和には着いてきてもらおうか
何かあった時にいてくれないと困る
「いや、着いてきて。もしかしたら、これで俺の選挙終わるかもしれないから」
「わかりました」
「じゃあねー」
るなは手紙を渡すと支配人室を出て行った。直接渡しに来ないのも作戦だろうな。なんか面白そうなことが起こりそうだ