ワリとクズな主人公が行く! 異世界洗脳!!   作:名無しのクズ

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 昨日初めて時間別アクセス数で各時間に【UA】がつきました
 ありがとうございます


第一〇五話 強制戦闘

「もう一〇〇以上倒したのに減らねえッ!」

「おいおい、むしろ増えてるぞぉ? しっかり処理してくれないと困るぜヒイラギくぅん?」

「無茶言うな!? むしろこのへんじゃ俺が一番倒してるくらいだぞ!?」

「ヒイラギ! 向こうのがそろそろこっちに来るから相手頼むぞ!」

「オメーら人使い荒い! 帰ったら憶えてやがれー!」

 

 足元に大量に散らばる魔石と素材の数々。

 定期的に回収班が回収に来てくれはするがこの乱戦だ、いくら動きが素早く周囲を察知することに長けた回収班でもなかなか回収は進まない。

 そもそも回収を行ってもすぐに増える。

 

 マジでこれ無限湧きなんじゃねえの?

 減ってる気がしねえしよ……。

 なんで皆元気なワケ?!

 

「報告! 奥に向かった偵察部隊が巨大モンスターを複数確認! 脅威度は不明! 種類はゴーレム、スコーピオン、リザード! すぐ編成して向かうぞ!!」

「おいおいマジかよ。こっちも余裕があるってワケじゃねえんだぞ?」

「ふむ……」

「参加できないから完全に他人事だけど、大変そうだなぁ」

 

 それにしても巨大モンスターか。

 坑道にそんな広い場所あったっけ?

 ああ、でもなんかそういう洞窟と繋がった的な話は聞いたな。

 聞いたっていうか読んだ、か。

 

 ノースミナスに来る前に読んだ本に一行だけ小さく注釈がされていた記憶がある。

 確か『巨大な晶洞と繋がってしまい、それ以上の進行を断念した』と。

 来てから聞いた話だとそもそもが硬く、採掘困難な結晶の晶洞で。

 準備をしてから挑んだものの晶洞内にはモンスターが撤退することにした、と。

 恐らくはそこだろう。

 

「よしヒイラギ! 行くぞ!」

「ふあッ!?」

「おいおい待て待てこの馬鹿!? お前に加えてヒイラギにまで抜けられちゃ困るぞ!! そいつは討伐数最上位なんだから!」

「へ~そうだったのか。正確な数数えてないから知らんかった……」

「頼むヒイラギ、ちょっと黙っててくれ」

「ういっす」

 

 やっぱりこの中じゃ相性が良かったんだなぁ。

 ……で、俺も一緒に行かなきゃいけないワケ?

 

「発見されたという巨大モンスター。その実力はわからんワケだ。つまり、打てる手は多いに越したことはないのだっ!」

「それはそうだが……」

「無論無思慮に言っているワケではないとも! お前たちなら多少人員が欠けたところでこのままならば問題なく戦える! この俺様が保障してやろう!」

「ああ、もう! お前にそんなこと言われちまったらやらねえワケにはいかねえだろうが!!」

「フハハハハッ!」

 

 なんつーかそういう奇妙な信頼関係って……イイ。

 

「あ、ブルックリン、お前は来るなよ」

「ハナから行く気はねえが……なんでだ?」

「フッ、モンスターとお前を間違えてしまうかもしれんだろう? それにお前とて鏡写しのような相手を殺すのは忍びあるまい」

「バハハハハハッ! そいつぁ勘弁だ! それと余計な気遣い感謝するが俺とアイツらは全然違うだろうがよ」

「ふぅん、確かに波長は違うな!」

「見た目も違うッつーの! 俺の方が綺麗な流線形だし鱗の艶も俺の方が何倍も良い」

 

 蜥蜴の見た目などよほど注意深く見なければ見分けられる気がしない。

 もしブルックリンが全裸になって四足歩行をしていたら咄嗟にはモンスターと間違えるだろうし場合によっては攻撃しかねないだろう。

 そもそも全裸でいたら違う方向性の変態(モンスター)なのだが。

 

「そういうワケだ。行くぞヒイラギ!」

「えっ、ちょっ!? 自分で行けるから!?」

 

 突然身体が持ち上がったかと思えばウルの肩に担がれていた。

 その体勢はなぜか仰向け。

 視界に映るのは荒い岩肌の天井。

 せめてうつ伏せが良い。

 

「場所は奥の晶洞だな!?」

「え、あ、おう!!?」

「よし! 俺たちは先に行っているぞ!!」

「降ろしてぇぇぇッ!?」

 

 なんとか進行方向に目を向けるが上下反転した状態で進むのはかなり恐怖心を煽られる。

 速度もあって背筋がゾクッとした。

 

「うおぉ……スッゲぇ綺麗だ」

「見惚れてるヒマはねえぜ!」

「でか、怖……それと暑くない?」

「暑い? ほう? ……確かにこれは何もせずにいれば少し暑いな!」

 

 すぐ音を上げるほどではないが蒸し暑い環境。

 それをウルは感じていなかったらしい。

 が、それは装備の影響だったらしく、着けていたイヤーカフスを一つ外したウルは俺の感想に賛同した。

 そしてイヤーカフスを着けなおしたかと思えば指輪をこちらに投げ渡してくる。

 

「これは?」

「昔喰った安モノの魔道具指輪だ。魔術陣が刻まれた複雑なヤツは複製できないからそれは素材の効力を利用しただけのモノだがな!」

「喰……まあいいや。多分聞いたら色々ダメなヤツだ。……まあ、ありがとう」

「おう!」

 

 渡された指輪を着けると真夏の室内くらいだった体感温度が初夏の室内程度には落ち着いた。

 血を凝縮したような宝石の付いた艶のない黒の指輪は少し不気味だがそれの恩恵は強い。

 圧倒的感謝だ。

 

「まずは一人でできるところまでやってみるがいい!」

「流石にあのクソでかクリスタルゴーレムは怖いからこっちの巨大通常種(クレイゴーレム)で行かせてもらいまーすよ、と」

 

 まずは耐久力から確認だ。

 いつもの感覚を思い出して……ぶん殴るッ!!

 

「せいッ!」

「ほう、魔力脆化か。アレを戦闘で使う奴は珍しいな」

 

 浅い。

 正確には厚すぎて対比で浅い、か。

 

 装甲自体の耐久性能は普段のクレイゴーレムと大差はない。

 だが巨大化に伴って装甲自体も厚くなっており、その結果攻撃の威力が装甲に奪われてダメージが少なくなっている。

 そして不思議なことに傷の治りが遅い。

 普段なら一瞬で消える傷が注意深く見なければわからないほど遅い速度で治っている。

 

「見ろヒイラギ! 凄いぞコイツ!」

「こっちは戦ってるんだけど!? スコーピオンがどうしたよ!?」

「尻尾から針を飛ばしだぞ! しかも大きくなりすぎて針じゃなくて岩のサイズだ!!」

「それを素手で受け止めてるお前は一体何なんだよッ!!?」

 

 頭おかしいんじゃねえの!?

 どんだけ自信があったら素手、しかも片手でそれを受け止めようって思考になるワケ?!

 キャッチボールじゃねえんだからさ。

 しかもそれ投げつけて第二撃撃ち落としてるし……。

 もう怖い、この人。

 

「戦いに集中するんだぞ!」

「だったら話しかけんな!」

 

 だが起こっていても仕方ない。

 それにそんなことをすれば死んでしまう。

 

 攻撃自体は通用する。

 この分じゃこいつは俺だけでも倒せるし、他のヤツらもウルが倒せるな。

 ウルがやる気を出せばだけど。

 

「ところでこいつら再生遅くないか?」

「このクリスタルスコーピオンは再生速いぞ!」

「……環境か」

「だろうな!」

 

 この晶洞。

 恐らくクリスタルゴーレムを構成するモノと同じ。

 周囲から再生のための物質を吸収していると考えたらここは完全にクリスタル系モンスターの土俵だ。

 さらに言えばこのクリスタルは非常に高い硬度を有しているからウルとしては嫌いなタイプだろう。

 

 さっさと部隊着いてくんねーかな。

 ……やたらと速く走ってたし無理だろーなぁ。

 

「【凍壊(フリーズ)ッ!】」

 

 殴って装甲に深いヒビを入れてから【凍壊(フリーズ)】で凍結させ、倒す。

 魔術の通りも表面以外は突破可能だ。

 

「よしッ! まずは一体ッ」

「なら次はクリスタルゴーレムな!」

「普通は段階踏んでストーンなんだよぉッ!?」

 

 宙を舞って頭上から降ってきた巨大クリスタルゴーレム。

 なぜどいつもこいつもゴーレムを降らすのだろうか。

 

 せめて普通に誘導しろよクソがッ!

 心臓に悪いわ!

 バックバクですよチクショー。

 

「前倒した時腕の反動ダメージ半端なかったからできれば違う手段で倒したいんだが……なんか良い技ない!?」

「ハッハァッ!」

「せめて普通の言葉で返せよ」

 

 自分で考えろってことね。

 前回は身体強化と武器強化と魔力圧縮でやったんだっけ?

 ……効かないとは思うけど一応剣も使うか。

 

「やっぱこの無骨なデザインがテンション上がるわぁ」

 

 手に握るは黒鍵・(アジャラ)

 伸縮ギミック付きというのも高評価だ。

 

 見た感じ強化で知能っぽいのも若干上がってるし、中途半端な知能を精々利用するか。

 リーチ可変の有利も存分に使って、普通に向こうだ戦ってたかったわぁ。

 普通にぶっ続けで二時間以上戦って、その後にこれは鬼畜が過ぎんだよ。

 運ばれて来たからちょっとは休めたけどさ。

 

 内心を駆け巡る恨み言の数々

 心底楽しそうに戦っているウルの姿が非常に腹立たしかった。




 ブルックリンは自分の見た目に関してコンプレックスは抱いていません
 ただブルックリンを知らない一般人から角蛇種(リビュア)同様に龍に似ているという理由から差別的視線や言動を向けられることがあり、それに関しては面倒に思っています
 自分が蜥蜴種(リザードマン)であるということに対する誇りがあるためそのことに対して言われるのは何とも思っておらず、ただ単純に悪意を向けられるということに対するストレスが面倒というだけ
 そのためブルックリンにとっては蜥蜴種(リザードマン)差別ネタは鉄板ギャグで、宴会の際には魔術で造った小型の龍の土人形を纏ってふざけることがあります

 それを理解のうえでアーリックは「モンスターとお前を間違えて――」と冗談を言ったワケです
 ただバカでデリカシーがないというワケじゃないですからね?
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