ワリとクズな主人公が行く! 異世界洗脳!!   作:名無しのクズ

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 明日……投稿できるかな?(この話書き終えたの今日の17:30)


第一一話 濃いめの奴

「あ~、なんか楽しいことないかなぁ」

 

 訓練の休憩時間。

 街の外に出て薬草と魔石を回収し終え街に戻ってきた俺。

 賑やかな街を見て不意にそんな言葉が出た。

 なんとなく、気兼ねなく話が出来る仲間が欲しいと思った。

 恐らく無理だろうけども。

 

「いっそ全て放り投げてどっか行っちまおうか……。いや、それだと何もせずに利用するだけ利用して消えることになるからなぁ、そういうの嫌いなんだよなぁ、いなくなるにしたって最低限の置き土産くらいは残さないとだし……」

 

 こればかりは一種のトラウマだからどうしようもない。

 合理的に考えれば【洗脳】でどうにでもできる以上は利用して速攻で捨てるのが手っ取り早いのだが、それはどうにも心が許してくれないのだ。

 

「もう、なんでもいいから気分転換したい……。スカッとすることが欲しい……」

 

 自業自得なのは理解している。

 けれど少し、辛い。

 自意識過剰かもしれないけど、自分が異世界人である(・・・・・・・)という認識が思考を強制的に周囲を警戒させる。

 異世界人がそれなりによく転移してくるのを考えると通常よりも敵視される可能性が低いのはわかっているけれど、可能性が低いから怒らないとは限らない。

 そう考えてしまって気の安らぐ瞬間が少ない。

 

「……あ?」

 

 人ごみの隙間から見えた姿。

 見覚えがあった。

 アホ陽キャだ。

 ただそれだけならなんともない。

 問題はその隣にいた人物。

 名前は知らない。

 ロクに顔もわからない。

 そいつは女だった。

 アホがアホ面晒してこの世界の女と仲良くしている。

 その光景が俺の心を酷く傷つけた。

 

「あ゙あ゙ぁ゙ぁ゙……俺も彼女が欲しい……」

 

 思わず空を仰ぐ。

 俺にも性欲とか、色欲とか、肉欲とかあるのだ。

 全てそういう行為がしたいというワケではないが、この年頃だし多少なりとも興味がある。

 もの悲しさが襲ってきた。

 

「ちくしょう……アイツがモテて俺がモテないとか……コミュ力か? コミュ力なのか?」

 

 世界が違う、つまり判断基準が違うわけだから美醜は現状評価項目に含めれない。

 それを除いて考えると真っ先に思い付く違いがやはりコミュ力だ。

 俺には壊滅的なほどコミュ力がない。

 コミュ力はそもそも他者との交流経験で高まるモノ。

 俺にあるワケがない。

 

「あ~モテたい。面倒なのはわかってるけどハーレム作りたい。男……というか雄の本能だろ、これは」

 

 趣味がある奴ならともかく趣味がない、というか趣味がなくなった俺の逃げ場どこ? ここ?

 精神的にヤヴァイ。

 いっそのこと適当に洗脳で俺のこと好きな奴でも探してしまおうか。

 けど誰も俺のこと好きじゃなかったらなぁ、逆に嫌いだったら辛いし。

 誰か俺のこと好きになってくれる物好きいねーかなぁ?

 

「……ここ、どこ?」

 

 アホ陽キャの姿を見たくなくて道変えたけど……いい年して迷子かよ。

 若干方向音痴なのは自覚してるけど、こんなところで方向音痴発動すんなよチクショウ。

 

「戻ったらアホ陽キャがいるし……」

 

 仕方ない、適当に歩くか。

 迷ったとはいっても街って限られた範囲である以上位置から考えたら北上し続ければ西大通りに出るだろうし。

 

「……って、あれ?」

 

 ヤバい、なんで俺は店に入った?

 道を歩くだけなのに、店に?

 なんで?!

 

「よォ、来たなクソガキ」

「……」

「なんか言えよ」

 

 クソガキ……。

 世界が違うから種族的な問題で見た目がアテにならんのはわかってるけど……俺よりちっさくて若干ロリ感がある奴にそう言われるとなんか変な感じがするな。

 

「すまん、邪魔した」

「……ハッ」

 

 店主らしきそいつが鼻で笑ったのと同時に状況が頭に入って来る。

 俺は何故か椅子に腰を下ろしていた。

 

 ……なんでこんなことに?

 てかこんな都合よく椅子が用意されてるモンか?

 

 店に入って正面。

 明らかに邪魔になる位置に椅子が置いてあった。

 店として明らかに家具設置がおかしい。

 

「何が起きているかわからない、って面だな」

 

 可能性としては俺と同じ【洗脳】持ち。

 けれど状況的にはよく似た別物の可能性が高い。

 俺の能力と同一だとすると明らかに劣化している。

 肉体が操作されてなお俺の意識が残っているし記憶もある。

 パッと思いつくのだと【無意識を操る程度の能力】あたりか?

 

「残念、オレの能力はンなちゃちなモンじゃねえ。答えは【固有能力模倣】だ」

「マジ?」

「おう。見た能力ならなんでも使える。流石に無制限じゃねーけどな」

 

 怪しい。

 何が目的だ。

 抵抗はできるか。

 俺の能力の模倣?

 だとしたら上回ってる?

 意識が残ってる。

 パラメータ操作?

 意識を残す代わりに指を鳴らす必要を失くした?

 距離も拡張。

 コイツの実力がわからない。

 抵抗は自殺行為か?

 大人しく従う。

 どうなる。

 都合よく使われる。

 虚勢を張る。

 見破られる。

 高圧的に。

 反感。

 ギリギリを見極めるか。

 態度を変えるのはマズい?

 

「ごちゃごちゃ考えなくていいゼ。オレは今のところお前を殺すつもりも傷つける気もねェ。ただ取引をしたかっただけだからなァ」

「取引……てこたぁ俺のこと、ある程度は調べたってことか」

「あァ。てめェの固有能力が【洗脳】だってのは既にわかってるゼ」

 

 【洗脳】するか?

 ……流石にレジストされるか。

 

「てめェは力の使い方が雑なんだよ。だからてめェが【洗脳】で女を利用してるのなンてわかる奴にはわかるってもんだ」

「……」

「つってもオレみてェな魔力を見れる目がねェとわかんねェだろうけどなァ」

「魔力を見る?」

「見てのとォりオレは魔術種(エルフ)だ。その中でも特に魔力の(たけ)ェオレは生まれつき眼が特殊なんだよ。ちなみにそォいうヤツは魔術種(エルフ)以外の種でもいるゼ。眼も魔力が見えるだけじゃァねェしな」

 

 ざっくり、魔眼か。

 

「おお、ちゃんと知ってんだな」

「……さっきから人の思考盗聴すんのやめてくんない?」

「仕方ねェだろォ? オレは両眼が特殊なんだ、そのせいで聞きたくもねェヤツの頭ン中が聞こえちまうんだ」

 

 そういうとそのエルフは見えやすいように眼にかかった前髪を上げてくれる。

 

 あら、ホントに左右で眼が違う。

 綺麗な翠玉(エメラルド)の右眼と綺麗な黄玉(トパーズ)の左眼。

 

「珍しィな、この眼を見てもビビらねェのは……って、異世界なら価値観も(ちげ)ェか」

「もしかしてこの世界だと魔眼って畏怖の対象なのか?」

「おォ。魔眼はそれだけで尋常じゃねェ魔力の持ち主っつーことだからなァ。魔力暴走させんのがコエーのよ」

 

 魔力暴走。

 そーいえばベアトリクスもそんなこと言ってたな。

 魔力が少ないうちは暴走することはないけど高くなると制御しきれずに暴発させて大爆発、って。

 

「そォいうこった。ガキの頃の魔力感覚ってのはァ大人になって忘れたくてもわすれらンねェもンだからな、不意に暴走すンのがコエーってこったな」

「暴走……すんの?」

「オレがそンなことすっかよ。生まれてこの方魔力暴走なンてしたことねェっての」

 

 ふぅん?

 魔眼持ちは魔力操作が未熟だから魔力暴走しやすいってだけで絶対するってことはねえのか。

 まあ可能性がある奴を近くに置きたくないってことだろうな。

 疑わしきは罰せよ、ってか?

 馬鹿馬鹿しい。

 

「まァこの辺の話はいつでもできる。本題だ。オレの研究材料になれ、俺は代わりにお前の欲する知識全てをくれてやる、研究者としてなァ」

「……はいはい、わかりましたよ、好きに調べてくれよ」

 

 諦めムード全開で受け入れる。

 拒絶するだけ無駄だ。

 

「意外に素直じゃねェか」

「俺の固有能力を知ってて脅せる立場にいる、実力的に勝てるワケがねぇ、そもそも殺す気も傷つける気もねえって言ってる。以上、合理的な判断の理由」

「意外にマトモな頭してるじゃねェか」

 

 それは褒めてるのか?

 

「今オレが欲しいのはお前の遺伝子情報だ」

「? はい?」

「なんでもいいゼ。髪でも爪でも指でも血でも」

「なんじゃそのドロップアイテム扱い」

「おォ、そのとーりだ。要はお前という一個体を解析したいからなァ」

 

 遺伝子情報とか言うからエロいこと考えちゃったじゃないか。

 ……はい、サーセン。

 言わんから睨まないでくれよ。

 

「潰すぞ」

「何を?! ナニを?」

「そんなに潰して欲しィか、そォか」

「やめてッ」

 

 思考が読めるのは話が速くて楽でいいけど隠し事できないのがなぁ。

 ……あン?

 そもそも知られたらヤベーこと知られてる以上隠し事する必要あるか?

 ねえ、よな?

 これ以上知られたくないことなんて……。

 隠し事しなきゃいいだけだし、最悪そのことを考えないようにすりゃ良いだけだし。

 ま、いっか。




魔術種(エルフ)に関する情報
 エルフは長大な寿命を持つ魔に長けた種族
 そのほとんどが森の奥地、そこに異次元空間結界を張ってその中で暮らしている
 魔術の探求に興味のほとんど費やした種族であり、その他への興味関心が薄い
 人間が嫌い、ハーフエルフは忌むべき存在、などという感覚はなく、その理由は魔術に大して関係がないから
 エルフの性格は基本的に一点集中型であり、何故かというと魔術の研究に当たって解明できていない内容を放置して他の研究に移ることができないという元々の性格が他の面にも影響を及ぼした結果である
 人の世にいるエルフは里を出た家出タイプか、自分の研究をある程度終えて休憩中か、研究に必要な物資を大量に集めている途中
 異常なほど見た目が良く、奴隷で買うなら特に問題点がない限りは小城が一つ変えるだけの金が最低でも必要
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