ワリとクズな主人公が行く! 異世界洗脳!!   作:名無しのクズ

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第一二一話 約二ヶ月の慣れ

「たっだいまぁっ!」

「うるせ――雰囲気変わったなァ」

「わかる?」

「なンかあったな?」

「うん。あったし、色々わかった」

 

 ああ、久々だ。

 この空気感。

 やっぱりこれが好きだ。

 向こうが嫌だってワケじゃないけど。

 それでもやっぱりここが良い。

 

「マユゲ。好きだよ、愛してる」

「――そォかよ」

「反応薄くない? 冗談とかじゃなくて本気なんだけど」

「知ってる。わかってる。オレの能力忘れたか?」

「だよな。」

「でもなら……」

 

 嫌われたか?

 あくまで研究対象としてしか興味がなかった?

 この一ヶ月で研究が終わってどうでも良くなった?

 

「はァ……頭わりィワケじゃねェのに変なところで馬鹿になるよな、オマエ」

「え?」

「ムカつくからこっち来い」

「な、殴られる?!」

「いいから早くしろォ」

 

 や、優しくしてね?

 多分痛くはないんだろうけど好きな人からと考えると心が痛むッッ。

 

「そこで屈め」

「どのくらい? このくらい?」

「それでいい。……ジッとしてるンだぞ?」

「この高さ……顔面パンチ!?」

 

 高さ的にはちょうど肩のあたり。

 真っ直ぐ殴れば間違いなく顔面か喉だろう。

 心が泣きそうだ。

 

「え……」

 

 ふわりと腕が頭の後ろに回り、そっと抱きしめられる。

 身長に対して豊満な胸に包まれるが恥ずかしいや嬉しいなどの邪念は出なかった。

 

「オレはまだその言葉に愛してる、と返すことはできねェ。だが嫌いじゃァねェし、好きでもある」

「マユゲ……うん、今はそれで良い」

「ただこれは憶えてろ。オレがオマエから興味を失うこたァねェンだよ」

 

 うん……。

 まだってことはチャンスあるってことだ。

 なら今は(むね)を楽しむ!

 

「アダだだだッ、冗談です冗談!」

「次やったら殴ンぞ」

「絞めるのは平気なんですねわかりました」

 

 俺がそういうとマユゲは面倒臭そうな表情で俺を軽く突き放した。

 そこまで強くないのは俺を気遣ってか、それとも嫌ではないが興味もないから面倒ということか。

 とにかく安心できる拒絶。

 恐らくは優しさだろう。

 

「そうだ、頼まれてたヤツと、あとお土産」

「土産ェ? ……マジか」

「話が早いね。ジャジャーン、カーバンクルの素材色々~」

「こンな大量の額結晶に体内結晶……良く手に入ったなァ」

「そりゃもう……日頃の行いですよ」

「なるほど、悪い奴ほど手に入るのか」

「違う違うそうじゃない」

 

 え、何?

 俺そんなに信用ない?

 マジか~。

 自業自得だな。

 

「良いのか? 売りゃかなりの大金なンぞ?」

「良いの良いの。それにマユゲは研究したいだろ?」

「こンな上物見せられて疼かン魔術種(エルフ)はいねェよ」

「ならやる。生きれる程度の金がありゃ充分、必要になりゃ他の手段で稼ぐ」

 

 マユゲが喜ぶならそれで構わん。

 それにちゃんと活用してくれるって信用できるマユゲに渡す方が大金積まれて売るより良いし。

 

「これは投資だ、投資。素材をマユゲに渡す、マユゲは研究する、そして魔道具を造る、魔道具が俺の手元に来る。俺強くなって幸せ、マユゲ研究できて幸せ。これで完璧ってモンよ」

「なるほどなァ。それってオレが研究で有用な成果上げるのと魔道具をおめェにやることが前提じゃねェか」

「? できるしくれるだろ?」

「……ったく」

 

 腕を信じて尋ねるとマユゲは少し面倒そうに、けれど悪い気はしないといった様子で僅かに笑みを浮かべた。

 

「ンじゃァありがたく貰っておくぜ」

「ちなみにマユゲって錬金術の分野ってやってる?」

「やってねェな。アレは魔術の分野の中でもかなり特殊なことやってンだよ。極めるとなると時間と金が掛かっから後回しだ。……それがどォした」

「知り合いに錬金術の研究者がいてさ、その人にもプレゼントしに行こうと思ってるワケよ」

「そォいうことか」

「そゆこと。どんな風に成果が出るか予想して貰おうと思ったんだけど専門外じゃ仕方ねえ」

 

 元々軽い遊びでの質問だったから別に答えが出なくとも問題はない。

 

「……錬金術は基本的に使用した素材の特性を引き継がせるモンだ。全部上手くいくってワケじゃァねェンだが、それを踏まえるとカーバンクルの特性持ちって言えるしィ場合によっちゃ全然ちげェ特性引き出すこともあっからな」

「へーそういうモンなんだな」

 

 やはりそういうのも技術が発展して最終的には計算で結果が出せるようになるのだろうか。

 もし量子のランダム性が実在し、それが錬金術の錬成結果に影響を及ぼすのだとしたら計算では導き出せないかもしれない。

 

「まァ、やってみねェとわからン。専門じゃァねェオレが口出す話でもねェ。ただ結果はオレも気になるから結果出たら教えてくれ」

「りょーかーい」

 

 

 

「やぁっす」

「久しぶりだにゃ。今日戻ってきたの?」

「そ、昼頃着いた」

「雰囲気変わったにゃ」

「皆わかるモンだなぁ……確かに色々あったけどさ」

 

 さっきはベアトリクスにも言われたし。

 俺ってそんなにわかりやすいのか?

 

「前とは全然違うもん。ところで(にゃに)があったの?」

「え~、まず初日にクアークに会いました。ちなみにこの街にクアークも来ました」

「え゙ッ?!」

「まあそういう反応するわな」

 

 本当に苦手としているのだろう。

 その感情が表情からありありと伝わってきた。

 

「んで、ノースミナスでで色々問題があって。それを解決しました、以上っ」

「にゃるほど、色々修羅場を潜り抜けてきたんだにゃ」

「そゆこと」

「その過程でクアークと(にゃか)良くにゃったと……」

「うん。まさか着いて来るとは思わんかったぜぃ」

「まあ、にゃんとにゃくわかった」

 

 すっごい心配そうな目で見てくるね。

 大丈夫大丈夫、ちゃんと断りましたとも。

 俺にはマユゲがいるもんで。

 

「ところで最近このへんどんな感じよ? 治安とか」

「ん~、問題はにゃいはず。にゃんで?」

「ノースミナスで色々あったからな、ちょっと心配になったりした」

「そういうこと」

「じゃあ俺が一緒にいた奴らは?」

「みんにゃちゃんと生きてるよ。ゴブリン倒したりしてるって」

「ほ~ん、そっかそっか」

 

 なら一先ず安心だ。

 とりあえず一ヶ月以上耐えれる事はわかったし、これからは特に気にしなくても良いかもしれん。

 

「あとは……なんだろ。面白いこととかあった?」

「面白い……そうだにゃぁ、たとえば海の方で新種のモンスターが色々発見された、とかかにゃ?」

「おお、良さそう。具体的に」

「前ちょっとだけ依頼紹介した“海域調査団の募集”って憶えてる?」

「あ~はいはい、憶えてる憶えてる」

 

 いつだっけか。

 この世界に来て一週間経つか経たないかくらいだっけ?

 たしか護衛依頼とか森の調査だったかとかの依頼を色々調べた時に出たんだっけか。

 六日目?

 あ~、ダメだ、初期の記憶が若干ごちゃごちゃしてきた。

 

「それで集まった開拓兵たちが一ヶ月の調査で合計二二の新種モンスターと遭遇。その内一九種を討伐、一三種類のモンスターから素材(ドロップ)を入手したって」

「じゃあ調査終了から大体一週間くらい経ってるのか」

(はにゃし)によるとモンスターの一体が青魔の月の光を吸収するのがいて――って、そもそもヒイラギって青魔の月とか魔月とか知ってるの?」

「知ってる知ってる。つっても知ったの当日だけど」

「にゃら(はにゃし)を戻して、普通なら魔力がにゃくにゃってしかも留めることにゃんてできにゃいはずの青魔の月の力を吸収、貯蓄、放出できるモンスターの存在とその力をちょっとだけではあるけど残した素材の入手。青魔の月とか魔月を克服できるかもって素材欲しさに今海は大賑わいにゃの」

 

 俺はこの世界に来て間もなく。

 月という存在の恐ろしさをほとんど理解していない。

 けれど一〇〇年以上ずっと、大きく、明確に苦しめられてきていると考えると。

 なるほど、確かにそれは克服したい話だ。

 

「海は普通の場所と違って簡単にはいけないから利益もデカいだろうしな」

「うん。まず船は大きさとかによって製造、所有に結構なお金が掛かっちゃうし。その運用にもかにゃりのお金が掛かっちゃうの。ものによっては一ヶ月の運用だけで金貨が平気で二桁にゃくにゃっちゃう。それを取り戻そうと船の所有者は同船した開拓兵たちに利益の一部を要求する。けどそれを差し引いても余りあるお金と、(にゃに)よりもスッゴイ未知がある」

「はっ、そりゃ喜んで乗るわな。命の危険がなんぼのモンだ、って感じだ」

「おお、ヒイラギも開拓兵に染まったにゃぁ」

「モチロン。一ヶ月以上もやったし」

 

 というよりもあと少しで二ヶ月になる。

 移動期間を考慮しなければ二週間と少し短縮されるが、移動中でも戦っているため経験と含めても良い。

 そしてそれだけの期間をずっと活動していれば慣れるのは当然のこと。

 

「あと他には……いつににゃるかはわからにゃいけど、次の遠征は北ににゃったって」

「ほう、北とな。……何あったっけ?」

「北は龍壁山脈を越えた後もしばらくは山岳地帯とか丘とかが続くはずだにゃ。木はあまりにゃくてそこそこ見晴らしは良いけど地形で視界が遮られたり背の高い草もあってそれはそれでメンドクサイって聞いたことがある」

「あ~、それはウザい」

「以前は上手くいかにゃかったからわかってるのはほんの少しだけだけどにゃぁ」

「ついでに言えば聞いといてなんだけど一般開拓兵の下の方の俺にとっちゃ少なくとも直近の遠征は関係ねーな」

「確かに」

 

 行けて何年後だろうか。

 五年くらい?

 とにかくその遠征はしばらく関係ないことだ。




 リアルの方が色々忙しい&集中出来なくて作業が捗らん……
 明日投稿できるか心配です


 細かい設定の作成とか練り直しとかがちょっと面倒
 必要のある設定の範囲が広いから色々下調べをしたり計算したりで時間が足りません
 時間加速装置を誰か下さい
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