ワリとクズな主人公が行く! 異世界洗脳!!   作:名無しのクズ

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 気が付いたら普段より長くなってた
 もうちょい伸ばして分割しようかと悩んだけど何となくやめた

 てかちょっと伸びが良くなって嬉しいです
 01/05の19:30に記録を残した時点じゃ【しおり】3、【UA】605、【お気に入り】5だったのに01/06の19:30の記録じゃ【しおり】4、【UA】676、【お気に入り】7っていう……
 しかもこれを予約投稿している17:24時点じゃ【しおり】4、【UA】695、【お気に入り】8になってるしで
 感謝です


第一四話 ボコボコな俺、プラス張り切る奴ら

「戻ったか」

「遅れたか?」

 

 そもそもの時間経過に加えてマユゲの店の中での複数のやり取り。

 店の中では陽の光がなく時間がわからなかったからどれだけ時間が経っているのか、正確にはわからない。

 

「そうだな。ちょっとおせーな、程度だ」

「そうか」

「……色々あったみたいだな」

「?」

「若干だが表情が違う」

「ふ~ん。自覚ねーわ」

 

 表情など普段から鏡を見て訓練している者でもない限り正確に把握することなど出来ないだろう。

 俺としては表情は普段のままだし、精神面も変わったとは思っていない。

 だから実感が湧かない。

 

「まあいい。一戦だけ、頼む」

「それだけで良いのか?」

「ああ、色々あって疲れてんだ。ルールはバーリトゥード(なんでもあり)で」

「いいぜ。そっちのタイミングで来な」

 

 目的としては精神的に若干疲れたから肉体的な疲れで上書きしたいというのと、マユゲから貰った腕輪を使った戦闘をしてみたいっていうのだ。

 ざっくり使い方は理解したけどあれこれ考えるよりも実際に戦った方が経験値になる。

 もちろん前提としてある程度の思考貯蓄があるってのが重要だけど。

 

「じゃあ、やりますか」

 

 荷物を置いてベアトリクスの前に出る。

 武器は感覚が狂いそうだから今回は持たないで戦うことにした。

 

「ほッ!」

 

 距離を詰め、全力で右腕を後ろに引く。

 

露骨(そん)な攻撃ッ、当たるかよッ!」

 

 当然、ベアトリクスは俺の動きなど見えていた。

 踏み込みの位置も、引きつけた腕の角度も、素人が可能な動きなどベアトリクスも通った道であろうから見えているし見えていない位置でも理解できる。

 

 だが、甘いッ!

 こちとらチート搭載だオラァッ!

 

 ベアトリクスにとっての俺は恐らく多少思想は違うが戦闘という面においては(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)大きな差のないた(・・・・・・・・)だの素人(・・・・)

 可能なことは単調な殴る蹴る。

 そこに若干の魔術が混ざる程度。

 使える魔術はベアトリクス自身が教えたモノ、俺が独自に勉強していても経過時間的には多くを学べないし強い魔術も学べない。

 つまるところ新人開拓兵(・・・・・)

 はっきり言って見慣れている(・・・・・・)だろう。

 が。

 ベアトリクスの認識を外せることがあるとしたらそれは。

 それは今の俺で言うところの他者からの支援(チート)だ。

 

「ぬォらッッ!!」

 

 首を刎ねるように迫る大剣。

 俺はすぐさま右足を地面から離してストッパーをなくし、右腕の引きの勢いに加えて身体をねじることで左脚を軸にして回転する。

 そしてその勢い全てを費やして右踵でベアトリクスを蹴った。

 

「ッッ!?」

 

 通常、今現在の俺の体捌きでは不可能な動きをして放たれた蹴りはベアトリクスの想像を上回ったお陰で阻むモノなくベアトリクスの脇腹に突き刺さる。

 流石に筋力もステイタスも低いから吹き飛ばすには至らなかったけれど僅かながらダメージがあったらしい。

 俺との戦闘で痛覚が刺激されることなどないと思っていたらしく、油断していたところにほんの僅かとはいえダメージがあったことで実際の威力以上に痛みを感じているように見える。

 

「よっしゃッ!」

「テメェッ!」

「ッ!」

 

 まさかという驚きを顔に出しつつ素人(おれ)に一撃入れられたことに少し怒っているベアトリクスの肘打ちが襲い掛かってきた。

 当たれば悶絶する威力だと察した俺は反射的に盾を張る。

 

「……なるほどな。そういうことか」

「あれ、バレちゃった?」

 

 俺が無理な体捌きを無理じゃなくした方法。

 それがバリア。

 腕との一定距離を保つ相対位置不変バリアと位置が変化しない固定バリア、そのうちの固定バリアを俺の身体に隠れたベアトリクスの死角に入る場所に設置して壁として身体を支えさせてそこを滑る。

 こうして移動可能範囲を制限することで無理な体捌きを通したのだ。

 

「それを身に着けたのは今日か?」

「まあ、そうだな」

 

 正確には身に着けたのは装備だが。

 

「なるほど、慣れないモンをそれなりに上手く使った技術と発想力は褒めてやる」

 

 おお、嬉しい。

 我ながら単純だがこうやってお世辞抜きで褒めてくれるのはスッゲー嬉しいモンだ。

 日本人相手だとまずお世辞を疑って全然喜べなかったし。

 

「だが……」

 

 ん?

 ちょっと雲行きが……。

 あ、ちょっと自分トイレいいっすか?

 

「私に当てて調子に乗ってるみてぇだから本気でやってやるよ」

「ちょッ!? ベアトリクスの本気ってシャレにならん!! こちとらレベル1だぞッ!!」

 

 圧倒的なステイタスの開き。

 冗談ではなく死にかねないし、生きていても後遺症が残りかねない。

 

「安心しろ」

「何をッ!?」

「出すのは本気(・・)であって全力(・・)じゃあねえ!!」

「確かにッ!」

 

 言葉って難しいと思いました。(小並感)

 

 大剣(おもさ)を捨てた本気の一撃。

 一瞬意識が消え、そのまま気絶出来ればと思うほど重く鋭い拳は貫通しているのじゃないかと思ってしまうほど苦しく、そうでなくても脊椎が砕けて下半身不随になるんじゃないかと思った。

 そして次の瞬間、周囲の情報を拾える程度には回復した意識が得たのは空だけの視界。

 たとえ上を向いても視界端に映っていた周囲の光景も見えず、空しかない。

 俺は空にいた。

 

「ッ!?」

 

 上を向いている。

 今もなお上がり続けている身体。

 反転させて地面を見下ろす。

 感覚からいって最高到達点は大体一〇メートル。

 

 バリアを張って身を守る?

 無理だ、アレは外からの攻撃を防ぐためのモノ、落下の衝撃は俺にダイレクトに来る。

 魔術?

 そんな高出力今の俺じゃ無理だ、漫画みたいな覚醒もありえん。

 五点着地?

 この距離なら可能性はある、が練習ナシのぶっつけ本番で五点着地の限界高度近くの着地は無理だ。

 

 そう考えた瞬間、ピタリと身体が止まる。

 上昇が終わり、最高到達点に到着したのだ。

 皆が俺のことを見ているのも見える。

 思考が一瞬止まり、溺れてはいないが藁に縋るように無意識に宙に手を伸ばして拳を握っていた。

 

「! イケるか?」

 

 咄嗟に思いついた方法を手遅れになる前にと反射的に実行した。

 空中に固定型のバリアを張って、そこに着地をする。

 

三点(スーパーヒーロー)着地だ! 膝に悪い」

 

 でもカッコいいから俺はやる。

 

 何とか間に合った。

 芝生とか土とかじゃない、ガッチガチのバリアへの着地は衝撃がほとんど逃げず膝が冗談じゃ済まないくらい痛い。

 

「おーい、平気か」

「も、もも、もちろんさぁッ!」

「声震えてんぞ」

 

 カッコいい着地を決めたんだからカッコつけさせろ。

 

 その後俺は数度に分けて着地し、無事着陸を果たした。

 何度か飛び降りたことで高度からの着地の感覚にも慣れ、肉体と練習次第ではステイタスに依存しなくてもそこそこ安全に行けると思えた。

 

「あのまま落ちてきたら受け止めてやったんだが、意外とやるな」

「え? 受け止めてくれたの?」

「流石に受け止めるっつーの」

「んじゃあ今からでも遅くない、その豊満なお胸に俺を――」

「殴るぞ」

「ぱふぱふッ!?」

 

 今のは殴ったにカウントされないんですね、そうですね。

 地面に叩きつけられる程度じゃ人間は殴られたに入らない、と。

 いやぁ、異世界って戦いが日常茶飯事だから認識が物騒だなぁ。

 

「うわぁ……」

「サイテー」

「キモッ!」

 

 香月? ガチでドン引かないで?

 辰壬? ゴミ屑を見るような目で見ないで?

 霜村? 嫌悪感マックスで罵倒しないで?

 ちょっとした冗談じゃん。

 半分くらいしか本音入ってないよ?

 

「根性ない奴は無理だ。私より弱い男もな」

「え? それって根性見せて強くなれば可能性(ワンチャン)あるってこと? ……よっしゃぁッ、やったるぜオルァァッッ!!」

 

 これ、マジであるんじゃね?

 俺の努力次第じゃ本気であるんじゃね?

 俺の時代キタ―――(゚∀゚)―――― !!

 

 正確には辛うじて、目を凝らしてようやく「ああ、あるな」と気づける程度の距離なのだが。

 それでも可能性がゼロではないという事実が非モテサイドにいた俺にとっては本気で、叫ぶほど嬉しかったのは事実だ。

 以前はメンドクサイと思いつつモテちゃったらどうしような~とか考えるようなどうしようもないアホ童貞だったのが、ほんの僅かに改善された気分である。

 童貞である事実は未だ変わらないが。

 

「え……そんなに私が好きなのか?」

「いや、まだその感情には達してないぞ? けど優しくて、強くするために本気で戦ってくれて、強くて、見た目も普通に整ってて、何より本音を包み隠さず言ってくれるってのは本当に高ポイント。多分時間経過で普通に好きになる」

「お、おう?」

 

 確かに空を舞う程度にはちょっぴりバイオレンスだけどぶっちゃけそれ以外目立った悪いところってない気がする。

 付き合いが浅いし短いからそういうダメなところが見えてないだけだろうけど、少なくとも今現在じゃ好きになれる要素しかないと思うんだが。

 

「とはいっても私って顔は傷だらけ(こんなん)だし、地味に図体デカいし、護り甲斐ないしで女としてはワリとダメな部類だぞ?」

「関係ねーわッ。顔に傷? それがどうしたよッ、確かに見た目はあって損はないが加点であって減点じゃねーしっ、その傷は頑張った証じゃんっ、努力と苦労の痕跡が減点対象なワケねーだろぉっ、大体顔なんてぶっちゃけ不潔じゃなかったら良いわッ。図体だって大した要素じゃねーわっ、好きならデカかろうとちっさかろうと構わんしッ。護り甲斐だってそれはつまり頼もしいってことじゃねーか、加点だろうが」

 

 その程度の理由でこんな良い人間ダメって認識になる方が俺としてはどうかしてる。

 人種だってそもそもこだわりはない。

 肌が黒かろうと白かろうと青かろうとなんだろうと、角やら翼が生えていようと獣みたいだろうと、俺としては心底どうでもいい話だ。

 重要なのはその精神性。

 同じ日本人だろうと嫌な奴がいれば良い奴もいる。

 俺に対して害がなければ見た目は重要ではないから、正直在り方が俺好みであればロボットだろうと愛せる自信が俺にはある。

 次元の違う相手(二次元)に憧れてたんだ、HENTAIの国日本に住んでいた俺がその程度じゃ止まらねぇ。

 簡潔に言って、色々違うんだけど愛さえあれば関係ないよねっ、だ。

 

「……すげぇな、お前」

「お? 惚れた?」

「イヤ、惚れてはないけど、素直にスゲェわ」

「褒めんなよ」

 

 そっちの皆も惚れて良いのよ?

 ぶっちゃけ良い印象持ってないから現状興味はさほどないけど。

 

「ま、話を戻すか」

「え? ベアトリクスのことが好きかどうかって?」

「ちげぇ、調子に乗ってるからボコるって話だ」

「……あ~、ちょっと用事を――」

「まあまあ」

「ぁい……」

 

 肩が痛いよぅ。

 爪がぁ。

 

「ビビるなよ」

「……」

「死なねえから」

「死ぬほど痛いってことだな? ……やってやろうじゃねえかよ、この女郎!」

 

 死ぬほど痛いのがなんぼのもんじゃい!

 こちとら油断すれば即死の職に就いたんだってんだ、死なないのなんて甘いわッ!

 

 何よりも。

 打ちのめされるのがイヤだ。

 実力差的に負けるのは万歩譲ってイイ。

 けれどだからと心まで折られる気はない。

 本気で襲い掛かって来るって言うんだったら俺は全力で迎え撃って、勝てないなりに成長の糧にさせてもらうし、もし可能なら引き分けに持ち込ませてもらう。

 さっきは俺の蹴り(きば)が通用したんだ、やり方次第じゃ無理ではないはずだ。

 

「おらッ」

「グフッ」

「おらぁッ」

「ボゲェッ」

「ぬおらァッ!」

「しッぬッ!」

 

 手加減を疑いたくなるレベルの強烈さ。

 ギリギリ視界端に映った姿から次の攻撃を予測して、そこに力を込めて防御力を上げることでしか意識を保てない。

 一撃ごとに身体が強制的に動かされるこの威力は、一度でも無防備に食らえば気絶する。

 防いでなお視界が白むほどだからその確信が持てる。

 

「まだまだぁッ!!」

「ごぼォッ」

 

 胃の中身を全部ぶちまけそうだ。

 辛うじてそうしないでいられるのは休憩ののち、すぐ外に行って、マユゲに誘き出されて、そのまま帰ってきて腹の中にほとんど何も入っていないからだろう。

 

「こんなモンかぁッ!?」

「んなッ、ワケッ……!!」

 

 いちいち腹が立つんだ。

 そうやって的確に俺のやる気を引き出すのが、無性に。

 

「オラオラオラッ!」

「ぐゥッ!!」

 

 殴るだけじゃなくて蹴りもある。

 容赦なく顔面を殴ってきて顔が跳ね上がるから次の一手が見えないし。

 こめかみを意識がなくならない程度の絶妙な加減で殴って来るから平衡感覚が曖昧になる。

 呼吸をしようとしたタイミングを狙って鳩尾を穿ってくるから呼吸もままならない。

 悪魔かと思うほど躊躇なく金的をしてくるから純粋に痛い。

 

「私たちもちゃんとしないと……」

「霜村さん?」

「アイツ……いや……永井があんなになるくらい頑張ってるの。助けてもらってる私たちが頑張らないでどうするのよ! やるわよッ、みんなッ!」

 

 俺の意識外。

 戦闘に集中するあまり周囲の情報のほとんどを遮断した俺の耳にも意識にも霜村の言葉もそれに感化された他の奴らの言葉も入ってこなかった。

 

「ふッ」

「俺との戦いで随分と余裕そうじゃねえの! ムカつくなぁッ、オイッ!!」

 

 何も知らない俺は突然笑みを浮かべたベアトリクスに蹴りかかるだけ。

 そのことを知ったのは訓練後、香月の能力で治るからと六回もボコボコにされた後。

 そして結局マトモに一撃入れれたのは六回の戦闘で二度だけだった。




 オタク系の皆さんならきっとわかるはず、人種だの傷だのは最重要事項ではないということを!
 確かに見た目は良いモノではある、が、それが全てではないということを!
 身長がデカいからなんだというのだ、強いからなんだというのだ、推しという概念の前には些事よ!

 けど柊、お前すげぇよ……
 ボコボコにされて笑えるって、流石にキツイわ
 ……いや、推しにされるって思えばワリとイケるかも?
 ……うん、この先は深淵だなッ
 これ以上は行っちゃイカン!
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