ワリとクズな主人公が行く! 異世界洗脳!!   作:名無しのクズ

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第一四六話 事態終息? 手掛かりナシ

「ンでオレのところに来たってかァ?」

「ごめんッ、頼む!」

「オレは便利屋じゃねェンだぞ。……ったくよォ」

「こ、こちらが研究資料と残っていた機材とかございます、ハイ。巨大魔石とか巨大試験管、あとスライム(なかみ)入りの普通の試験管」

「このデケェ試験管、中に魔素(ミスト)吸引の術式が――野郎(やろォ)……」

「うえッ!? ご、ごめん、何かしちゃった? また俺何かやっちゃいました?」

「え、ああ……お前じゃねェよ。勘違いさせてワリィな」

「お、おう」

 

 ビックリしたぁ。

 いきなり“野郎”とか言って無作為に殺気放つから心臓キュッとしたわ。

 でも勘違いで良かった。

 

「倒しても減らなかったってのは共食いによる魔力補給もあるだろォが一番はこの機械だろォな。聞いた速度で倒し続けてたンだったらすぐには無理でも言ってた時間戦ってりゃ自然と数は減る」

「まあ、関与できん場所で増殖されりゃそうか」

「ここの部分に刻まれた術式が周囲の魔素(ミスト)を吸収して魔石の構造利用で魔力(マナ)に変換、貯蓄しつつ四基の機械に魔力を送ってたンだろォなァ」

「この液体は?」

「スライムの粘液と魔石粉末、あと何種かを錬金術で合成したモンだろォな。役割としては試験管底部の術式と巨大魔石を接続して疑似的に巨大魔石に術式を刻む。余計な手間とこの液体が必要にはなンが巨大魔石を使いまわせるってェ利点がある」

「ほうほう」

 

 要するにスマホとマイクロSDカードの関係性みたいな感じね。

 初めから内蔵すりゃ容量は多いが使いまわせない。

 けど後から追加すりゃ他の機体に流用できる、と。

 てことは元々この巨大魔石は他の目的に使用されてたか使用する予定があったってことだな。

 ……ん?

 でもそもそも魔道具とかの魔石って普通に術式刻まれてない(プレーン)よな?

 魔石に術式組み込む利点って……なんぞ?

 

「魔石に術式組み込む利点ってのはだなァ……簡単に言えば色ンな無駄を省くためだ。接続距離が延びることによって起こる魔力の浪費だの干渉防止の距離だのなァ」

「あ~、送電力損失みたいなのと電波干渉みたいなのか」

 

 以前マユゲに教えて貰ったことがある。

 魔力ロスは言わずもがな、干渉に関しては電波干渉とは少し違ったはずだ。

 たしか回路から放たれる微弱な魔が周囲の回路から同様に放たれる魔と接触することでマトモに発動しなくなったり不本意な効果が現れたり暴発や破損の原因となる、と。

 それを防ぐために回路は複雑さを増すほど干渉防止として距離が開く。

 

「お前の持つ認識での例えはオレにはまだよくわからンが……まァ、多分そンなモンだ」

「粘液でやりゃ結構効率的そうだが普及してる魔道具がそうじゃないのはつまり欠点があるから……それやると値段がバカ高くなるとか?」

「端的に言えばなァ。そもそもこの粘液は作るのに費用が掛かる。そのうえ劣化がはえェから長期運用ができねェンだよ」

「マユゲそういうの研究して創れたりしない?」

「簡単に言うンじゃねェよ。嘗めるなアホォ」

「サーセン」

 

 そうだよなぁ。

 そう簡単にできたら苦労するワケないし。

 賢いと生み出せるはまた別の話。

 ま、本題そこじゃねぇから良いや。

 

「そうそう、研究資料は複写とったから燃やすなり隙にしろってさ。機材も高くはあるけど市販品の複合程度らしいからいらないって。あと試験管に入ってた種スライムは解析に回すために一部持ってかれてその残りだからそっちも好きにして良いぞ」

「そォか」

「うん。一応調べるけど手掛かりにはならないだろってさ。風車の中も調べるけど多分ロクな情報出ないだろうし」

「まァそれはこっちも同じだなァ。あンま期待すんな」

 

 残っていたのは研究資料だけ。

 たしかに得られず情報は少ないがマユゲならそこから敵の意図を、と思っていたのだが。

 手掛かりなしでは不可能に近い。

 期待してまっせ、と言うのは流石に無茶振りが過ぎるだろう。

 

「んじゃ、邪魔にならんように俺はそろそろ行くわ。酒の予定はそっちに任せるぜぃ」

「なら明日の夜だな」

「明日……あっ、明日依頼あるわ」

「……ならその依頼が終わり次第だなァ」

「りょうかーい」

 

 

 

「やあやあ、三人ともお揃いでどうしたので?」

「ヒイラギか。これからどうするか話し合ってただけだ」

「ふ~ん。よくわからんがわかった。女子会なのかは知らんが邪魔したな、バイちゃ」

「まあ待て」

「んぐぇ」

 

 流石に女子トークに混ざれるほど強固な精神はしていないからと挨拶だけして去ろうとしたところ、背後から襟首を掴まれ不意の出来事に首が軽く締まった。

 

「な、なんぞ?」

「今受けている依頼を終えたらどうしましょうか、と話し合っていたんですよ」

「どうするもこうするも……好きにすれば? としか言いようがないぞ。元々依頼のために集めたんだし、依頼が終われば解散するだけだろ?」

 

 他になんかあるのか?

 大本を断った以上スライムを狩っていけば事態は収束に向かう。

 依頼は遠からず完遂。

 そうなったら後はそれぞれ自由、その後は俺の知るところではない。

 

「残ったスライムの討伐は別に適当で良いだろ。大本のトコにいたのが最高レベルだと考えたらその辺で繁殖してんのは大したことねぇワケだし、俺がウェアウルフと戦いながら適当に片づけっから気にしなくて良いぞ、別に」

「そこは大して気にしてねえ。元々不自然に現れたモンスターだ、放置してりゃ本来の生息状態に戻る」

「んじゃ何よ。あ、もしかして黒幕探しとか? それは多分手掛かりないから無理だぞ。諦めた方が良い」

「ふ~ん、そこも大して興味はねえ」

 

 んじゃ猶更何さ。

 後始末でもなく、さらなる事件の防止でもなく、他に何があるのさ。

 

「察しが悪いわね」

「あーしは“お前について行けば面白そうなことがありそう”あと“お前イジメんの楽しそう”」

「ウチは“ヒイラギさんの血が飲みたい”という理由でパーティを継続しようかと」

「……ふぁッ!?」

 

 アイエエエ!? パーティ!? パーティナンデ!?

 いや、理由は言ったけど。

 ただそれだけの理由で?

 

「それ、さ。旅にもついて来るって認識で良いワケ?」

「ああ」

トリゴ(ここ)にこだわる理由はウチたちにはないですから」

「まあ、ぶっちゃけそっちが良いなら別に良いけどさ」

「ちょっと!? アタシの時と違いすぎない!?」

「だってクアークは目的が完全にアレな感じだったし……」

 

 身の危険を少し感じたからです、まる。

 まあ二人も二人で身の危険は感じるんだけどさ。

 イジメとか、血とか。

 血はともかくイジメはトラウマだからヤメロォ!

 せめて表現を変えなさいっ。

 

「ま、極論俺が不快に思わない範囲だったら好きにすれば? だな、やっぱ」

「ならこの話題は終わりだな」

「害がないなら俺の周りで何が起ころうと構わんし」

「お前のそういうトコ、あーしはワリと好きだぜ」

「わかりやすくて良いですよね」

「対応が決めやすくて楽よね」

「そりゃドーモ」

 

 自分の意思はわかりやすい方がいい。

 わかりにくくしてイチャモン付けられた挙句に嫌われて敵意向けられるくらいならわかりやすくした方が相手もこっちも楽ってモンよ。

 それに俺は俺自身の感情に嘘を吐く理由もないしね。

 素直に生きられるなら無駄なこと考えずに済む分そっちのがやりやすいし。

 

「ヒイラギ、お前もやるか? 奢るぞ」

「流石に回収した機材とかでわがまま言ったうえにそれは申し訳ねぇから良い。それにこれから魔術の訓練すっから」

「気にすんなっつーの、禿げるぞ。まあ訓練あるなら仕方ねえか、吐くなよ」

「流石にそこまではしねえよ……」

 

 吐くくらいって……それ魔力使いすぎだろ。

 てか吐くまでやる前に倒れて休むことになるわ。

 流石にそこまで経験ないっつーの。

 え、もしかして“それくらいやれやハゲ”って暗に言ってる?

 ……まっさかぁ 考えすぎだよな。

 ……うん!

 考えないようにしよう。

 無茶したらマユゲに殴られかねん。

 

「そんじゃぁの」

「頑張ってね~」

「それではまた明日」

「忘れんなよ」

「はいはい、わかってますよぉ」




 スッキリしない終わり
 ひとまずこの区切りの事件に関しては終了、ですかね?
 生きてりゃよくわからないまま事件が起きて解決したかもよくわからない、なんてことあるでしょうし黒幕がわからないまでも明確に解決してるだけマシ、なんじゃないでしょうかねえ
 推理小説じゃないんだし煮え切らないことの一つや二つ、一〇や二〇くらいあって然るべきって思います
 自分の持つ情報だけで全てが解き明かせると思うんじゃねえぞヒイラギ、とでも思っていただければ

 ちなみに黒幕の目的はほとんど皆無
 前話でも言いました通り九割方暇つぶしのお遊び
 一割くらいだけ実用目的
 まあそれも「上手くいけば儲け」くらいの、遊びつつも僅かに本気を入れる程度です
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