ワリとクズな主人公が行く! 異世界洗脳!!   作:名無しのクズ

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第一四七話 次の目的地は

「その後調子はどんな感じだ?」

「開拓兵さんたち……そこそこス。いっぱい倒してくれたおかげで問題ねえスヨ」

「アタシたちの活躍がもう知れ渡っちゃってるのね」

農家(なかま)の中で噂スから。お兄さんが来て倒してくれた~って」

「ん?」

「あれ?」

「……ヒイラギさん?」

「おい?」

 

 討伐情報が伝わっている、と。

 んでそれがパーティとしてではなく、俺として。

 ……ハハッ。

 

「ヒイラギィィィィッ!」

「ちょッ!? これ違うから! 多分想像してるのと違うから! 昨日は普通にしてましたってッ!?」

「ならなんでアンタだけなのよ! まぁた独りで勝手にやったってことでしょうが!!」

「だから勘違いだって!!」

「ま、まあまあ、嘘は言ってないように見えますし話だけでも聞いてみましょう。ね?」

「サースティ様……後で血を献上いたします……」

 

 理不尽な状態でちゃんと話聞いてくれる人ってホントありがたい。

 

「それは多分三人に言われる前の方にやったことです、ハイ」

「……その噂ってのはいつの話だ?」

「? たしか四日前ス」

「ふむ……すまん、早とちりだった」

「早とちりで肩極めるんじゃねぇよ……ったく」

 

 あ~、肩痛い。

 元は俺が悪いとはいえ話くらいは聞けよ、まったくも~。

 

「仲間にそういうのはダメスヨ?」

「おう……関係ない子にまで言われちった」

「悔い改めろってこった」

「反省してるってっ。大事なことはちゃんと相談しますよ、頼りますよ!」

「それで良いのよ」

「正式に仲間になったワケですしね」

 

 はいはい、すみませんね。

 

「話を戻すけど、スライムは全く出ないの? それともちょっと出るの?」

「あ、少し出るス」

「ふ~ん、了解了解。ちなみに数と頻度は?」

「今日が二体、昨日が一体、一昨日が四体だったスね。他もそんな感じス」

「そうか……。まあ大本を潰したから多分時期に居なくなると思うよ。他の人らにもそう言っといてくれ」

「わかったス」

「じゃあ今日は畑見回って、それで依頼は終了ってことで良いか?」

「はいス。助かったス」

「依頼だからキッチリ働きますとも」

 

 予想外のことがあって思っていた以上に時間と労力が必要だったが、問題はない。

 そんなモノよりも大事な身の安全を勝ち取れたんだ、多少の労は平気だ。

 時間が伸びて依頼報酬もそのままだけどそこも大丈夫だろう。

 

「これからどうするつもり?」

「どうって?」

「依頼を受けるのか、それとも他の街に行くのか」

「え? いや、まだもうちょいこの街にいる予定だけど? まだウェアウルフに素手勝負(ステゴロ)で勝ててないし。まずはそこからってモンよ」

「それが終わったら?」

「その時考える!」

「多分今の状態なら素手で戦っても平気だと思うわよ?」

「マジで? ……なら他の街にでも行こうかねぇ。中央らへんとかまだ行ってないしそっちにでも行こうかしらねぇ」

 

 今ならウェアウルフに素手で勝てる……マジかぁ。

 そんなに強くなった実感がないぞオイ。

 技とか磨けた自信ないし。

 てことはレベルアップ?

 ……それで強くなった感出してもなぁ。

 技で勝ちてぇよ、技で。

 

 レベルアップの力で勝ってもそこに“勝った”という実感はない。

 皆無だ。

 それまでの経験で勝った、といえばその通りではあるがそれを純粋な力として認識できない。

 以前の感覚に縛られているのはわかっている。

 この世界はそういう世界だ。

 レベルという概念があって、モンスターを倒せばステイタスが上がる。

 それが当然の世界で、それはこの世界の人間にとっては物理法則に等しいくらい当然のことかもしれない。

 それによって得た力をズルとは言わない。

 恐らくは俺には依存の弱さがあるのを自覚しているから俺は強さを認めたくないのだ。

 

「中央……そういえば向こうには商業都市があったわね。どんなモンスターがいるか知ってる?」

「知らんっ。勉強不足だわぁ」

「昔行ったな。虫みてえなのとか獣みてえなのとか色々いたぞ。今がどうかは知らねえがな」

「地理的には大平原に建てられた計画都市で“地龍の通り道(アヴァムギーヴ)”を背にした場所。大平原に現れるモンスターは基本的には弱いため都市としては珍しい守るための街壁のない都市。ルートヴィヒ国内において地図上での中心地で地龍の通り道(アヴァムギーヴ)を流れる運河(ルイズギーヴ)によって発展した都市、でしたっけ?」

「詳しいな。サースティも行ったことあんのか?」

「ありませんよ。ただいつかは、と思ってました」

「そうか」

 

 にしても、虫か。

 ……虫かぁ。

 苦手なんだよ……。

 大きかったら現実味なくて平気に、とかなんねぇかな。

 なんねぇよな……。

 モンスターってことはそれなりにはデカいってことのはず。

 デカい虫を想像してどのラインが限界か考えてみるか。

 蟻、イケそう。

 鉢、イケそう。

 ミミズは確実に無理。

 ……あれ?

 ミミズって虫だっけ?

 昆虫ではないけど虫ではあったような……まあ世界違うし細かい分類は気にしても無駄か。

 他、蜘蛛は……ギリイケる、かな?

 でもあのデカい目はちょっとキツイかも。

 芋虫、論外ッ。

 考えたくもない。

 ゴキブリ…………種類と大きさ次第、かな?

 百足は、これも種類と大きさによるなぁ。

 あとパッと思いつく虫……蝶はどうだろ、無理かも。

 他は……蟷螂……イケそう。

 

 だがこうして考えていると自分のダメ基準がわからなくなってくる。

 自分の中にあるなんとなくの気持ち悪さでしか判断できていない。

 

 てか外骨格の巨大化って――いや、もはや俺自身人外じみた身体能力なワケだし今更か。

 多分魔の何かしらで強化してるんだろ。

 そういう感じの物質も色々あるワケだし。

 

「ちなみにその地龍の通り道(アヴァムギーヴ)ってどんな感じなの?」

「最も深いところで地上から五〇メートルほど、浅くても三〇メートルほどの深さがある溝といいますか峡谷といいますか。地龍が通ってできたと言われている巨大な空間です。東西に向かって長く伸びていて、途中から地下を通っているため正確な長さは不明ですが一説によると龍壁山脈の外まで続いているとか。最下部には先ほども言いました通り川が流れていてそこを利用して商業が栄えています」

「ほうほう。面白そうな場所ですなぁ。てことはそこから北の部分は地龍の通り道(アヴァムギーヴ)で分断されてるの?」

「そうですね。けど地上部には大きな橋が掛けられているため南北の移動も容易です。というか北に行くにはそこを通るのが一般的です」

「あ、ちゃんと橋掛かってるのね」

 

 魔術で空を飛ばなきゃダメ、みたいなのをちょっと想像してた。

 というか若干そういうファンタジーを期待してた。

 

「当然ですよ。ちなみに幅は場所によっては深さの倍以上あります」

「はえぇぇ……スッゲー」

 

 ……ん?

 幅が深さの倍以上?

 

「峡谷? 渓谷?」

「ですから場所によるんですよ。街がある辺りは比較的幅の狭い峡谷、他は基本的に渓谷です」

「なるほど」

 

 場所によって呼び方が……いや呼び方は普通に地龍の通り道(アヴァムギーヴ)か。

 まあなんでも良いや。

 

「面白そうだしそこに行ってみますかにゃぁ」

「やっぱり判断基準はあくまでそこなのね」

「そりゃ勿論。文句はねぇだろ? つーか俺に付いて来てる以上文句は言わせんッ」

「久々に行きたいしあーしは文句ねえぞ。しばらく金貯める予定だしな」

「行きたかったのでウチも問題なしです」

「クアークは?」

「アタシも問題ないわよっ」

「んじゃ次の目的地はそこに決定っ」

 

 帰ったらマユゲにも報告しよっと。

 てかマユゲは普通にこのまま付いて来るのかね?

 まあそれ自体に文句はないし会える分嬉しくはあるけどマユゲ自身の都合とかどうなんだろ。

 商業都市っていうくらいだから色々買えるだろうし、マユゲにもメリットはありそうだな。

 マユゲは研究するだけだろうし、それならどこにいても問題はないか。

 結界の云々で魔力はかかるけど俺が稼げばいいっしょ。

 

「いつ頃行く?」

「いつでも良いぞ」

「ウチも同じく」

「アタシも」

「んじゃ近いうちに行きますか」

 

 目標さっさと達成して、さっさと次の場所に行きますか。

 




 慣れ次第でいくつかの虫は平気になりそう、でも確実に芋虫は無理
 どうも作者です
 大人になると虫がダメになる人は多いですよね、まあ作者は初めからほとんど無理だったんですけど……触れた虫は蟻とダンゴムシ、あとモンシロチョウとテントウムシくらいです
 あと血を吸われるので即座に殺しますけど触れる触れないで言えば蚊は平気
 芋虫は絶対に無理でした、理科の教科書の写真すら見たくないレベル


 ちなみに大型の人間が出てきていることからなんとなくお察しの方もいるでしょうけど、この世界では魔の影響で強度が向上しているモノが多く存在します
 なので巨人(そうはいっても流石に大きすぎるのはいない)もいますし、巨大化した外骨格生物もいますし同様のモンスターも存在します

 通常外骨格生物はサイズ肥大による三乗分の体積重量増加(縦横高さが二倍になったら八倍になる)で強度不足を理由に死ぬし、虫とかになると酸素獲得の方法を理由に酸欠になって死んだりします
 これは“巨大化できる理由を魔で補完した”というよりかは“魔によって進化の余裕が生まれたので必然的にそういう道を辿った”と考えていただければ幸いです
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