ワリとクズな主人公が行く! 異世界洗脳!!   作:名無しのクズ

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第一五〇話 荷物がどうとか、血がどうとか

「あーったま痛いぃ~」

「大丈夫なの?」

「へーきへーき、ただの酒の飲みすぎ」

「おいおい……」

 

 いや~、飲み過ぎたね。

 まあちゃんと適度に水分補給してたから頭痛はそこまでしないけど。

 

「今日出発なのに大丈夫なんですか?」

「それは大丈夫。軽く戦ったけど問題なかったし」

「危ねえなあ」

「どうせ農家んトコに行くだけだし、その道中でのウェアウルフ戦よぉ」

「何しに行ったんだよ」

「ん? とりあえず様子はどうですか~って。今日街を出る予定だったけど状況くらいは知っておきたいじゃんよ?」

 

 だから今日起きた後。

 集合前に見に行ったのだ。

 やはり頭痛状態の頭で戦うものではないと再認識した。

 移動で頭に負担が掛かって頭痛が加速する。

 

「どうだったの?」

「特に問題なしってさ。スライムの目撃なし、被害もなし。他んトコで一体だけ出たっぽいけど」

「広い範囲で一体だけ……大丈夫そうですね」

「そうだな」

 

 もしまだ大きな被害が出ていたりしたら出発を延期して、と考えていたのだがそうならずに済んで一安心だ。

 

 そうなっていたら三人には先に行ってもらって……はぁ、クソ……こういう思考から抜け出せねぇなぁ、ホントダメだわ、俺。

 皆に頼れって言われて、昨日もマユゲに言われたばっかりなのに独りでやろうとしちまって。

 成長しねぇなぁ。

 ホント、情けねぇなぁ……。

 

「色々面倒ではあったが、最終的にはギルドから特別褒賞貰えたし。あーしとしては文句なしだ」

「特別褒賞なんて知らなかったから驚いたぜ」

「あ~、そういえばヒイラギは知らないんだっけ? まあたしかに言われなきゃわからないわよね」

「む? その口ぶり的になんか俺経験してる?」

「ノースミナスでの一件あったじゃない。それのゴーレムの討伐報酬とかそのあたりで全体的に報酬上乗せされてるのよ」

「驚愕の新事実!」

 

 普通にそういう値段だと思ってたわ。

 新種とか特殊なヤツだから若干高いんだと……。

 そっかぁ、そうだったのか。

 

「ちなみにさ。姉御はちょいちょい金うんぬん言ってるけど貯めて何するの? 装備の新調?」

「それもあるな。けど使い道の主はポーションなんかだ」

「そんなに買っても持ちきれねぇだろ」

 

 普通は。

 

「かなり金は要るが濃縮ポーションがあるんだよ。市販はされてなくて知り合いの錬金術師に頼んでもらうんだがな」

「ほう、濃縮ポーションですか…たいしたものですね。ま、それがどれくらい難しいのかとかどれくらい望まれてどれくらい研究を重ねた結果のモノなのか全く知らないんだけど」

「それはあーしも知らねえ。ただそいつは“実は私も研究を完成させれたというワケではないんだよね。見つけた技術を使って強引に実現させているからこの上ないほど非効率なんだよ。けど欲しいって言ったのは君だからね、文句は言わないでおくれよ”って感じのことを言ってたな」

「ふ~ん。高いの覚悟で買ったのか」

「ああ。荷物が減らせるってのはかなりありがてえからな」

「そうだな」

 

 それは俺も思う。

 マユゲの指輪最高だわ。

 必要に応じて好きなモン取り出せるってのは強すぎるし。

 

「……あれ? 荷物でふと思ったんだけどさ……」

「ん? ああ、武器か? それはこの腕輪にしまってある」

「へ~……別の次元とかか?」

「次元? いや、よくは知らねえがなんか鏡面空間に接続してとかどうこう言ってたな。まあそれ使ってる間は量に応じて魔力が割合で減るんだがな」

「似たようなの知ってるわ、俺魔力少ないから使えねーけど」

 

 知ってるってのが現物じゃなくて理屈としてだけなんだけど。

 まあ大して変わらんだろう。

 

「たまにあるよね、そういう割合消費とかの魔道具。流石に使用者の魔力全部は初めて聞いたけど」

「あ~、正確には起動に魔力が保有量以上、維持に二割か三割だな。説明不足でスマン」

「それでも充分異常ですけどね」

 

 それだけの魔力が常に使えないってのはかなりキツい。

 あまり魔力を使わなかったとしても、残り魔力が五割というのと二割というのとじゃ全然違う。

 あと一割使えば倒せるとしても残りが二割じゃ出し渋ってしまうし、そもそもそれだけ減ってたら体調に悪影響も出る。

 基本的に魔力消費の体調変化は急激な消費によるが、残量が少なかったらゆっくり魔力を使っても体調は変化する。

 メンタル的に全然違うのだ。

 

「キュリアスはどれくらい使ってんだ?」

「今は三割と少しくらいだな。二ヶ月分の荷物が貯まってっからよ」

「結構制限キッツイな」

「慣れりゃ平気だ。調子にのって一割未満まで使っちまった時は流石に死にかけたけどな」

「え、なにそれ怖い。生きてるし無事……もし腕もげて再生済みとかだったら無事かはわからんか……大丈夫だったのか? それキッカケで心的外傷とか……」

「ねえよ。嘗めんな。脚もげて腕ひん曲がって中身出る程度に腹切れただけだ」

「むしろ死んでないことが驚きですよ。どうなってんだ」

「気合だ気合」

「スゲー」

 

 根性でどうにかなるもんなのか……。

 え、じゃあ、俺も腹切り裂かれたときに気合で生きられるワケ?

 人外じみてる。

 まあこの世界だとそれも普通のレベルなら人外云々はないか。

 さっさとこの人間の枠も更新しないと。

 前の世界の感覚が残りすぎ。

 

「てかなんでお前がそんなこと気にするんだ?」

「え? ……あ~、なんでだろうな」

 

 うん、会話ミスったな、コレ。

 俺が心配する話じゃねえもんな。

 前もそうだけど弱い奴が相手の身を案じたところで基本無意味だし。

 どうにか誤魔化さないと。

 

「あれじゃね? あの~、その件で苦手になった事とかがあってそれで連携崩れるのが不安とかそういう。うん、多分そういう系だよきっと」

「余計な心配すんなアホ」

「あ~い」

 

 嘘を吐いてしまった。

 いや、嘘ではない。

 そういう不安要素があったのは事実だし……。

 メンタルが……。

 強くなりたいな。

 

「そうだ、向こうに着いたら色々見て回りたいんですけど」

「ならしばらく自由行動にするか」

「……そうですね」

「なら適当な頻度で四人集まって探索するようにしてそれ以外は自由ってことで良いんじゃないか?」

「あ~、俺はそれでも良いぞ。二人はどうだ?」

「アタシは構わないわよ」

「ウチもそれで問題ありません」

「んじゃそうすっか」

 

 適当な頻度。

 そうは言っても最終的な回数はそれなりになる。

 向かう先は街としても広大なうえ、地龍の通り道(アヴァムギーヴ)も街北部に広がる地も広大。

 そこを観光したり探索すれば全てはやらず、数割だけでもかなりの期間に及ぶ。

 地龍の通り道(アヴァムギーヴ)があるから全てを探索するつもりはないがそれなりに、可能な限りは探索するつもりだからそれを考慮すれば一ヶ月は最低でも行くはずだ。

 頻度を少なくしても流石に週一はないだろうから一ヶ月だったとしても合計一〇回は一緒に行動する。

 それだけあれば充分ではありそうだ。

 

「なら良さそうな店見つけたらそのうち教えてくれよ」

「あ、なら見つけたら一緒に行きましょう」

「そうなるとサースティは二回行くことになるけど良いのか?」

「何度行っても飽きないようなお店に行けば良いだけですよ」

「それもそうか」

 

 うん、順調に思考が開拓兵化してますな。

 店って言って真っ先に出てくるのが武器防具屋で、しかもその後の思考が止まる時点で結構頭がヤバい状況だわ。

 これ今はまだ笑えるかもだけど力加減とか精神的リミッターとかも変わって酔った拍子とかに一般人相手に暴力振るいかねんぞ……。

 自制心、自制心。

 ちゃんと残すべき感覚は残して……最悪自己洗脳で無理やりにでもストッパー掛けないと。

 

「それと血のことなんですけど。向こうに着いたら他の人で探してみようと思います」

「……ん、あ、ああ……別に遠慮とかしなくて良いんだぞ?」

「いえ、ずっと貰ってばかりではヒイラギさんに負担もあるでしょうし。それにありがたみが薄くなってしまいますし」

「ふ~ん。まあ必要になったら言ってくれたまえ~」

 

 アレか、美味いモンばっか食ってたら前の生活に戻れないってヤツ。

 そりゃそうか。

 もしそれを許容できるとしたら常にマズ飯の心配がない状況。

 手段は二つ。

 一つは各箇所に最低一人、体液の美味い奴がいること。

 もう一つは美味い奴を見つけてソイツと生涯を共にするか。

 現状美味い奴は俺ともう一人の異世界人……いや、もう一人の方は味がないだけだっけか?

 ともかく俺相手にそんな気合の入ったことするワケがない。

 うん、多少苦痛でもマズいの飲んで味覚を前に戻すのが賢明だな。

 

「てか同性は無理なのか?」

「無理ではないですよ? ただ同性だと味とは別に変な感じがしてたまに気持ち悪くなるんですよね。同じ種族の男性に聞いたらその人も同性はダメだと言っていました。あと男性の方が単純に交渉が楽な場合が多いですし」

「へ~、面白いこと聞いた」

 

 交渉が楽なのは煩悩だと思いま~す。

 にしても気持ち悪いのはなんでだ?

 同性と異性による違い……なんか遺伝子的なのが近いとかそういう?

 吸魔種(ヴァンバス)だし魔力……。

 近いから不快に思う……。

 そういえば娘が父親の匂いを嫌うのは遺伝子的に近いから近親交配を避けようって理由だって聞いたことあるし、それに近い理由か?

 魔力の性質が遠い人間の体液を美味く感じるとか、相性が良いとそう感じるみたいな。

 今度マユゲに聞いてみよ、知ってるかわからんけど。

 

「てか吸魔、だよな? ――こんな感じで魔力そのままじゃダメなのか?」

「無理ですね。例えば“塩分が人体に必要”でも“岩塩をそのまま単体で摂取しない”は普通のことですよね? つまりはそういうことです」

「あ~、瞬間的にも必要量的にも過剰すぎてキッツイのか……。そりゃ死にかねんな」

 

 ホッキョクグマの肝臓食うとビタミンAの過剰摂取で吐いたり全身の皮膚が剥がれ落ちたりしながら死ぬって言うし、水でも飲み過ぎたら死ぬのと同じで急激な摂取はダメか。

 

「良い感じの体液の奴と会えると良いな」

「そうですね」

 

 こっからまた二週間ちょいか……しかも今回は野宿有り。

 ちょっと楽しみだなぁ。

 苦痛に喘いだって何も変わらんし、楽しみますか。




 昨日の夜、というか今日の午前一時、部屋にゲジゲジ? が出ました
 これまで生きてきて初めての経験に驚きました
 発見時の距離が約四〇センチ、体長一〇~一五センチほど
 本棚に入らないからと積んでいた本の塔の陰に隠れられ精神が……
 家の中にいる虫の居場所を正確に把握できる固有能力が欲しいです

 最終的にはどうにか頑張って透明な袋に入れ観察しました
 スーパーで野菜を入れるような透明な袋のためクシャクシャでよく見えないうえ捜索に精神を消耗したためロクに記憶がありませんが、遭遇したという事実から次の街で出そうかなと思いました
 最近気温が上がってきたからでしょうけどやめて欲しいものですね


 次回からはまた別の街です
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