ワリとクズな主人公が行く! 異世界洗脳!!   作:名無しのクズ

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 青年の基準ってよくわからないです
 個人的には高校生になれば青年と認識してたんですがそれも少年に入ったり入らなかったり
 基本はこの世界基準で成人(一〇強歳~一五歳)を迎えた者は青年という表記をしますが、多分たまに表記が揺れます
 ごめんなさい


第一五二話 パーティを求める青年

「……」

「俺ぁマーリン。見ての通り一般開拓兵ダ、よろしくナ」

「ヒイラギ、同じく一般開拓兵。つっても経験は三ヶ月程度だ。よろしく」

 

 なんだ。

 何が目的だ。

 いきなり笑った挙句そのまま話しかけて“よろしく”って……。

 

 黒髪交じりの赤髪を掻き上げて格好をつけるマーリン。

 背中からは翼が生えていてそちらの色は赤交じりの黒だ。

 そして翼はあるが腕もあるタイプの鳥人で、よろしくなと手とともに乗り出してきた身体をよく見れば脚が鳥のタイプ。

 足は流石によく見えないが立った時の音や普段街で見る鳥人の傾向的に恐らく裸足、趾はわからないが音から察するに三前趾足か三趾足だ。

 

「見ててわかったゼ、お前今日来たばっかダロ」

「正解、二週間の旅を経てついさっき着いた」

「実は俺もつい最近、四日前に来たワケ。そんで聞きたいんだがヨ……パーティ組んでるカ?」

「俺含めて四人」

「っぁー、マジカッ。ちょうどいいのが見つかったと思ったのにヨォ。……こういう時アイツがいればナァ」

 

 ちょうどいい……流石に口振り的にカモろうとしてたとかそういうのじゃないと思うけど。

 てかそういうのだったら口に出さないだろうけど。

 

「パーティ探してたのか?」

「ああ。けど流石にどこもパーティがいっぱいでヨォ、しばらくは浅い場所でやってたんダ。でもやっぱもっと深く潜りてぇじゃんヨ。だからお前を誘ったってワケ。でも四人、俺入れて五人じゃ俺がイヤダ。ぜってー退屈になる」

「あ~……それは、うん」

 

 俺も退屈なのはなぁ。

 戦いてぇし。

 

「流石にそっちは不定期だと組みたくないっしょ?」

「どういうことダヨ」

「俺らしばらくこの街にいるつもりだから週に二回か三回一緒に活動してそれ以外は自由って決めてんだよ。だからそれ以外の自由な日だったら俺は別に良いぞ、っていう」

 

 久々に男同士で話したいという感情が強い。

 パーティは人数比が一対三というハーレム状態、男と会話した回数など限られている。

 ノースミナス以来同業者とも一般人とも男とロクに話をしていない。

 それゆえできれば久々に男とやいやいと遊びたいのだ。

 可能なら馬鹿話に花を咲かせたいのだ。

 

「本当カ!? なら頼むゼ」

「おお、明日休みだし明日はどうだ?」

「なんなら俺は今からでもいいんダゼ?」

「今から? 流石に疲れてるし軽くしか無理だわぁ……」

「よし、行くカ」

 

 ……マジか。

 良いけど。

 

 

 

 下から風が吹き上げる。

 冷たく湿った風が叩くように吹きつけ、髪や革長衣(レザーコート)が持ち上げられた。

 

「うお~、風ぇッ」

「足元注意しろヨ」

 

 地下へと続く岩壁に造られた長い階段。

 途中で折り返すとはいえそれでも一つの列が長く、途中で転べば以前の生身であれば確実に大怪我だったほど、端から視力強化なしで見たのでは逆端がほとんど見えないほど、恐ろしいまでに長い。

 以前の世界の階段寸法なら幅と高さを一対一でやれば前後に動く距離はトータルで七〇メートルから八〇メートルくらいで済んだだろう。

 だがこの世界には多種族が存在するのだ。

 足の大きさが違う、現にマーリンは俺よりもかなり足のサイズが大きい。

 階段幅が三〇センチなら余裕で足がはみ出すほど。

 そのため階段一つ一つの幅がかなり広く、前後の移動がかなりある。

 

「一応落下防止あるとはいえ怖いよな。流石にこの高さから落ちたら死ぬかな?」

「知らねえヨ。痛いだけじゃねえカ?」

「そうか」

 

 死ぬって断言しない辺り、俺らはともかくもっと強くなったらこの高さから落ちても死なない実例があるってことだよなぁ。

 少し下って今は……大体四〇メートルくらいか、ヤベェ。

 俺の体重だと前よりちょい増えて五五キロくらいで高さ四〇メートル、重力が同じくらいと仮定して……二万ちょいジュール?

 単純なエネルギーだけで考えればアンチマテリアルライフル以上?

 ……俺は人間をやめるぞ! マユゲーーッ!

 ま、人間やめたところで何もないっていうか、そもそも人間の定義って俺的には知能とかだから力とか関係なかったわ。

 

「ところでヨ、ヒイラギは虫平気カ?」

「ふっ……無理だ」

「……こっちじゃない方が良かったカ?」

「苦手だろうと克服するッ。そうして強くなる!」

「……まともなこと言ってるが。声、震えてるゾ」

「いちいち言わんでヨロシ」

 

 だって仕方ねーじゃんっ。

 怖いしキモイもん。

 虫だぜ、虫。

 こっちの人間がどうかは知らんが俺ら側の人間としては本能レベルで避けるヤツだぜ?

 ゴキブリとか出ませんよーに!

 ……フラグじゃねーぞ!!

 変に空気読んで出て来なくていいからな(モンスター)ァッ!!

 

「たしかに初見じゃビビるかもナ」

「初見じゃなくてもビビるんじゃね? いきなり出たらビビるだろ」

「それはどのモンスターも同じじゃねえカ? ゴブリンだろうといきなり上から目の前に出てきたらビビるダロ」

「それもそうか」

 

 お化けとお化け屋敷じゃ湧く感情が違うっていうか、お化けは普通に怖いけどお化け屋敷は驚かしてくるからビックリってだけだし。

 ……彼女いたことないからお化け屋敷言ったことないけどぉ!

 

「ヒイラギにも使えるかはわからねえが対処方があるゼ。聞くカ?」

「教えてくれぃ」

「正面から見ろ」

「?」

「お前、正面から虫見たことあるか?」

「……ねえな」

「大きさの問題で俺ぁ上からしか基本見たことねぇナ。よぉするにそういうことダ」

「気持ち悪いと感じるのは普段見慣れた俯瞰図だけ、見慣れてない正面からならある程度軽減できるってことか。そうやってまず正面から虫を見て、見るという関門を突破、近づいて、戦う。……了解」

 

 言われてみれば虫の正面図というのは嫌悪感が少ない。

 それは単純に見た経験のなさ、画像でしか知らないというのもあろう。

 だがだが絵の圧。

 正面から見たのでは見える面積が違う。

 そういう理由もあってまずは正面から戦うのが良い。

 

「着いたぞ」

「え、まだ下あるっぽいけど?」

「そっちは下層ダ。陽や月の影響が良くも悪くも極端に少ねぇからナ、かなり強いのがいるって話ダゼ。まあそれは明日ダロ」

「ほいほい、まずは俺の慣らしと俺らの連携とかだな」

「対岸に渡るんだが移動手段はあるカ? ねぇなら掴んで飛ぶが」

「あ~……多分イケる」

「そぉか、まあ無理そうなら言えヨ。掴んで飛んでやるし、それが嫌なら適当な足場見つけて踏んで来い」

「あいよ」

 

 空を飛ぶのはちょっと魅力的だけど初対面の野郎にってのはな……それにマーリンって雰囲気が悪戯小僧って感じがするから途中で手を離されないか不安になるし。

 ま、バリア適当に張って足場にして移動すりゃ良いっしょ。

 

「よっ、っと」

「バリアか。昔子どもの頃遊んだゼ」

「遊びかよ……てかその大きさ、三メートルちょいの翼で飛べるもんか? 全然羽ばたいてねぇけど……」

「知らねぇのカ? 俺らみたいに翼がある奴ぁ魔を掴んで飛ぶんダゼ?」

「魔を……掴む?」

「理屈は知らねぇ、感覚を言ったところでわからねぇ奴にはわからねぇ。だから聞くんじゃネェ」

「……わかった」

 

 ま、流石に魔術系統抜きで飛ぶのは無理だわな。

 プテラノドンは翼開いて八メートルで体重が二〇キロくらいだって話だし、人間が飛ぼうとしたらバカみたいなサイズの翼と二メートルの胸筋が必要なんだっけ?

 マーリンは背が大体一八〇くらいか? だとして体重が七〇くらい?

 うん、飛べるわけがねえ。

 

「この奥に石樹林っつー場所がある。とりあえずそこの浅い場所でやんゾ」

「石の……樹林? また面白そうな」

 

 街のある方は真っすぐな壁、だが渡ってきた先には壁の下の部分がさらに抉れて奥へと広く続いていた。

 弱く広く広げた探知を視覚情報に変換しないとほとんど何も見えないほどに暗く、石の色のせいでモノクロ写真を見ているような気分になって来て長時間居れる気がしない。

 

「あんま面白れぇモンじゃねぇゼ?」

「マジか……」

 

 あまりにもな事実に肩を落としつつ背後を振り返る。

 既に遠く、光は小さい。

 水場の近くだからだろうか、やけに足元が滑る。

 坑道の時とは違い、森の感触に近い。

 

「見えたナ」

「ん~? ……ああ、ホントだ。デケェ……てか落ちてる葉っぱデカくね?」

 

 遠いため正確な大きさはまだわからないがおおよその距離と比率、探知の感覚などから考えて細長い一本の葉は腕ほどの大きさがありそうだ。

 

「そうカ? ワリとあるだロ」

「マジか」

 

 移動箇所が少ないからこの世界の植物のサイズがわからないな。

 王都近くはワリと普通だった記憶があるが、あれは小さい部類だったのかよ……。

 

「なんつーかトウモロコシみてーな葉っぱだな」

「触るんじゃねぇゾ」

「え、毒あるの?」

「手が切れる」

「刀葉樹かよ」

 

 つまりここは地獄の可能性が微粒子レベルで存在している?

 

 触るな、と言われたため念のために手を魔力で覆って防御を強化しつつ橙色の刎落者(ディキャピテイター)と、青と紫の叩切者(チョッパー)を握りしめて軽く叩いてみた。

 コン、と硬質な音。

 明らかに植物ではなく石を叩く音である。

 水面を叩くような軽い力では石の葉は壊れず、何もせずに力だけで叩くと前の世界でのぶん殴り程度の力は必要で、飛翔斬撃でやるとワリと簡単に壊れはした。

 

 あ~、色があるって良いわぁ。

 今度からもうちょい色のある装備選ぼ。

 

「おい、いたぞ」

「え、探知には……ゲジゲジィッ!」




 マーリンの“ナ”とか“カ”とか“ダロ”とかは訛りと捉えてください
 港町(ゼーフルスではない)出身で方言的な感じです
 本当はもっと訛っていますが都会に来てそれなりに経ち、訛りが変化というか消えつつあるというかそういう感じ
 それが理由で訛る時と訛らない時があります

 ちなみにマユゲは固有の口調、マユゲの出身地は普通に喋ってます
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