ワリとクズな主人公が行く! 異世界洗脳!!   作:名無しのクズ

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第一五五話 犬猿の二人

「なっんっでっ、アンタがまた私の行く先にいんノ!」

「そりゃずっと一緒にいたからな、思考が似通うんダロ」

「私はアンタみたいに最悪な性格してないッ!」

「随分じゃァねえカ? アア?」

「いつものことでしょうがッ」

「ギャハハッ!」

 

 これは……クールに去った方が良いですか?

 もしかしてイチャイチャですかーッ!?

 

「前も言ったけどアンタ他のところに行きなさいよッ!」

「理由もねぇのに何でそんナことしなきゃならねぇンダヨ」

「アンタと! 一緒の街に! 居たくないから!」

「今回後から来たのはお前だろウガ」

「前回もッ、前々回もッ、アンタが後から来たくせにどこにも行かなかったでしょ!」

「そりゃ行く理由がないからナァ」

「昔ッから私がアンタのせいでどれだけ苦労したかッ……」

「はいはい、そりゃ大変だったな~」

「アンタッ……」

 

 よぅし、俺は空気だ空気。

 俺は、偶然、近くの席に座っただけの、知らない人。

 うん。

 あ、適当なおススメの肉……ガラグウェってモンスターの肉?

 どういう感じ?

 ……調理法にもよるけど貝とか内臓みたいな食感?

 味はそのままで食えば独特な感じ、味付けすれば大体その味になる、と。

 ほうほう。

 マズそうではないっぽいしじゃあそれで。

 あと適当に甘さある系の果実酒。

 ……知らない食材だし、楽しみだなぁ。

 この世界特有の生物かね?

 モンスターだし単に翻訳の問題かもしんないけど。

 流石に単語そのままだと相手の発音依存で鞄語とかだと区切りがわからんし、意味が理解できねぇや。

 

「なあッ、君もコイツに何かされたんじゃないのかい!?」

「うぇッ!? ビ、ビックリしたぁ……」

 

 いきなり話しかけるなよぉ。

 心臓がキュッとするじゃん。

 

「別に……何もされてませんが? あ、ちなみに俺はヒイラギです。ヒイラギで構いません」

「あ、ああ、私はモルガン、私もモルガンで構わない。それと口調を気にすることはないよ。……本当にコイツは何もやっていないのかい?!」

「多分。……俺なんかされた?」

「された側が認識してないならしてないってことじゃねエカ?」

「なら手遅れにならない内に忠告しておいてあげるけど、コイツ性格クソだから人付き合いは考えた方が良いよ。じゃあもう関わりたくないから私はここで――」

「あ~、性格悪いのは知ってる。身をもって」

「――え……」

 

 いや、ホント、九九%自業自得なんだけどさ。

 

「明日はどうする? 直でさらに下行く感じ? それとも午前中は今日のとこで様子見?」

「俺ぁどっちでも良いゼ。今日のもお前に合わせただけだからナ、お前次第ダ。お前が問題ないってナラすぐ行ってもいいシ、一度寝たせいで虫に対する感覚が戻っちまったナラその慣らしのためニ様子見シテもいいからナ」

「ちょっと待って……その口ぶり。一度何かしらあったのにそれでも一緒に戦おうって気なの?! ヒイラギ、君は正気かい!?」

「正気だぞ。何かあったって言っても知ってたモンスターの情報を出さなかったから相手の攻撃にやられて武器一本失っただけ。ぶっちゃけ俺が事前に調べてたら済んだ話で自業自得だからなんとも思ってませんとも~」

 

 ほとんどね。

 

「ッ~~~ッッ!! 心配だから私も一緒にやるから!」

「仲間が増えた」

「なんだヨ。結局じゃねえカ。モルガンお前……実は俺のことが好きダロ」

「は? アンタいつから起きながら寝れるようになったワケ?」

「ま、まあまあ。……お前こんな優しそうな人に嫌われるって一体全体何したんだ!?」

「色々」

 

 モルガンはマーリンへの怒りと何故か向けられる俺への親切心? に板挟みになって声にならない叫びをさらに押し殺しながら苛立ち交じりに俺の横に腰を下ろした。

 流石にマーリンの隣は嫌だったらしい。

 わざわざテーブルを回ってこちらに来て腰を下ろすほどには。

 

「……仲間になったことだし、改めて。名前はさっき名乗った通りヒイラギ、音の響きで察するかもしれないけど異世界人、主に使う武器は短剣と直剣、魔術は中級をある程度使えて凍結魔術も使える」

「凍結魔術……使える人初めて見たよ。本当に使えるのかい?」

「おう。え~っと、ざっと――こんな感じだ」

 

 ただ氷を作るだけでは味気ないと感じ、ふとした思いつきから飲んでいたロカリー酒を魔術で攪拌させながら凍結魔術でゆっくりと温度を下げて凍らせつつ攪拌で氷になるのを防ぐ。

 つまりシャーベットだ。

 ロカリー酒のシャーベットが存在するのかは知らないが、マズくはないだろう。

 

「食べてドーゾ」

「ん……美味しいね。あっ、頭がちょっと……」

「あ~、一気に食うとそうなるな。全部やるからゆっくり落ち着いて食え」

 

 ほとんど作ったに入らないけど……自分がやったモン食べて幸せそうにしてんの見ると嬉しいな。

 もっと作っちゃうぞ。

 材料(ロカリー)ないから無理だけど。

 

「俺も食いてエナ」

「なら適当な酒頼めば作ってやるよ」

「何にすっか……」

 

 てかアイスとかシャーベットとかって魔道具で作れるよな?

 固定の魔術刻印とか魔術紋様ができる前にできたって話だし。

 そもそもそういう技術がなくても氷とか雪があればできる……でもそもそもそういうのが欲しくなる時期にそういうのが残ってる山とかがないと無理か。

 それに残ってても昔は龍がいた以上、取りに行かせられないし。

 この国にアイスクリームとかあっても歴史は短そうだな。

 俺はアイスクリーム製造機じゃありませんよ。

 

「じゃあ私も改めて。私はモルガン、歳は多分君より少し上の二一だけど気にせず接しておくれ。南東の方の海辺の小さな町出身で忌々しいことにソイツと同郷、気をつけてはいるんだけどたまに訛っちゃうかもだけど気にしないでね。武器は長槍、今は短くなってるけど伸ばせば結構長くなるよ。魔術は少し苦手で下級が限度だね」

「ホントマーリンのこと嫌いなのな……」

「当然だよ。私がどれだけ嫌な目に遭ったか……」

「マーリンお前、マジで何やったんだよ」

「嫌がらせ」

「端的ゆえにクソだな」

 

 内容は知らないがとりあえず尾を引いて嫌われるレベルの嫌がらせって、アウトだろ。

 まあこれでくだらないことで嫌ってるってなったらなんとも言えんが。

 

「昔から色んな悪戯に巻き込まれた挙句その後処理をさせられて……それが町を出るまでの一〇年近く……こんな奴と一緒にいたらそうなっちゃうからね?!」

「た、大変だったんだな……でも今は流石にそこまで酷くはないだろ。最低限開拓兵としての能力とか連携はできるだろうし」

「それはそうだけど……」

「まあ二人のわだかまりは部外者の俺には理解できない話だ、過度に口出しする気はねぇ。仲悪くても構わんから最低限それを活動に影響させないでくれれば良いよ」

 

 自分のわからない部分に対してわからないまま口を挟んでかき回す悪趣味はない。

 それに問題は二人のモノ。

 俺に影響が出ない限りはどうだろうと構わない。

 どうせ臨時的なパーティなのだから。

 

「ヒイラギは楽でイイナ! モルガンも見習エ」

「は? 蹴り殺すよ?」

「はいはい、周りに迷惑かけるなよ~」

 

 あ、この肉うめぇ。

 ホント、独特な感じだけど良いなこれ。

 なんかやたら分厚いけど食えなくはないし。

 これ丸まってるのは火ぃ通ってるからか?

 違うな、そもそも丸い感じだわ、これ。

 ホントなんの肉だこれ。

 ……美味いからいっか!

 

 独特な食感と後味のガラグウェ。

 初めて食べるから一口目は未知ゆえ特に変な感じがしたが、何度か咀嚼を繰り返すとその違和感は消えてなくなった。

 そういう味わいとして受け入れられる程度には問題ない。

 調理の腕が良いのか感じたことのない風味は一瞬にして俺の中に溶け込んでいた。

 

 この酒もよくわからんがうめぇな。

 甘さ控えめだけど結構印象的な感じで。

 

「……ヒイラギはどうしてそうなんだい?」

「いきなり罵倒?」

「違うよ。こういうのって仲良くしろって言うのが普通じゃないかい?」

「そりゃ嫌ってるだけで憎んでないからな。お互い罵っていられるなら実に健康的、だろ?」

「憎しみ合って感情を溜め込む方がよっぽどダメ、というワケか」

「変わった奴だナ、お前」

「ククッ、ただ他人に興味がないだけだろ」

「それはネぇナ」

「うん、それはない」

「ありゃ……」

 

 そんなに嘘くさかった?

 嘘言ったつもりはないんだけどなァ。

 

「そうやって色々考えてる時点で無関心は無理があるでしょ、君」

「そうだナ。性根の良さがにじみ出てルゼ、お前」

「うっそぉん……」

 

 俺って実は滅茶苦茶イイ奴?

 まっさかぁ?

 俺が誰かに何かをするのって多分同様か同等の見返りを求めてるからだぜ?

 多分。

 

「むぅ……」

「そうやって罵ってる方が健康的とか考えてる時点で君は君が思うほど無関心じゃいられないんだと思うよ? まあそもそも周囲に対して本当に無関心だったら開拓兵できないけどね」

「そりゃそうだけど」

 

 戦闘と日常とはいえその切り替えを完全にできる人間はいない。

 意識を切り替えていても脳は一つで心も一つ、切り離すことはできないしそれゆえに周囲に対する警戒、つまり周囲の観察ということは意識的にも無意識的にもやってしまうのだ。

 

「それがどう働くかはわからないけど。私は別に君がどうあっても良いと思う。君が言うように無関心でも、コイツが言うみたいに優しくても、害がないなら好きに思えば良いと思うからね。その自分をどう思っているか、っていうのは言い換えれば自分がどうなりたいかを無意識に表しているから好きな自分になれば良いと思うもん」

「自分がどうなりたいか……」

 

 そんな風に考えたことはなかったな。

 実は俺ってそう考えていたのか?

 俺は無関心になりたかった?

 

「でもどんな姿であれそれを思い描くならどうしてかはちゃんと考えた方が良いよ。どうしてそうなりたいか、そうなって何がしたいか、そうなった時に今持っているモノは失わずに済むか。自分が思い描く姿はそれを捨ててしまってまで手に入れたいのか」

「……」

「ごめんね。なんか変なこと言っちゃったよ」

「いや……ありがとう。今はまだその言葉の意味が朧気だけど……ちゃんとわかって、感謝する日が来る。言い切れる。だから、ありがとう」

「いやぁ、照れるね」




 男キャラ出して~な~、でもデューベの出番はもっと先だしなぁ……
 そうだ! 前適当に考えてた男キャラいるじゃん! ソイツ出そ!
 そんな感じで出たのが今回のマーリンです

 ちなみに当初の予定ではマーリン一人だけだったのですがキャラ構想の際に一緒に造った女キャラがいることに気付き、一緒に出すことにしたのがモルガンです
 今話のタイトルに“犬猿”と出したものの正確には嫌っているのはモルガンだけ
 マーリンはモルガンを嫌ってはおらず、ただ幼少期からの悪戯っ子な対応を変えるに変えられずモルガンに対する不器用を拗らせた結果モルガンに対して嫌味になる、と
 なかなか愛らしいキャラです
 口調がやりにくいので苦手ですけど


 というか機能が連載開始から五ヶ月だったんですね、今日気付きました
 ぶっちゃけ本筋考えると全体の半分にも全然届いていないというか、三割かもしれないというか
 それまでのモチベーションが怖いです
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