ワリとクズな主人公が行く! 異世界洗脳!! 作:名無しのクズ
加えて二度目の二四時間全区間における【UA】獲得ッ!
常に読んでもらえているって感じがして嬉しいです
「こっち側は全部切ったゾ」
「じゃあ固定すっから離れろ~」
「おウ」
脚を全て切ってただのウネウネ動くだけの毒を持った硬いヤツになり果てた鎧百足。
それを数ヶ所で地面と固定し、ロクに動けなくする。
場所によっては固定を内側に潜り込ませて完全に止めた。
「よし、じゃあやってみよ~ぜ」
「仕方ないからやるけどさ……本当にできると思っているのかい?」
「俺は失敗スルに賭けル」
「俺は成功に今日の飯代を賭けるか」
「マーリンは成功しても失敗しても殴るから」
「よシ、上行ったら速攻で逃げるカ」
幼馴染なんだから応援してあげなさいよ。
なんなんだお前は。
好きだけど素直になれない小学生か?
「まずは触覚ぶった切り、やっちゃいましょ~」
「そのノリはなんダ?」
「……盛り上げ?」
「盛り上がってルカ?」
「集中の邪魔か」
「うん、だから黙ってて」
「うっす」
そう言ってモルガンはすぐ集中に入る。
鎧百足の周りにさっきのような霧が生まれ、顔の辺りを包むが触覚は切れない。
霧はそこにあり続け、けれどそれ以外何も起こらない。
「……やっぱ無理なンジャ?」
「あっ」
「……ア」
「あ~あ……」
マーリンの小馬鹿にしたような声音に反応してモルガンが小さく驚いた声を発し、次の瞬間ポトリと鎧百足の頭が落ちた。
「ちょッ!? 色々実験するって話だったんだからッ」
「……ん? 無理だって思ってたのに実験するつもりだったのか」
「アイツ、たまにそういうところアル」
「ふ~ん」
素直になれない人なんですね、わかります。
……あ、治った。
うっかり頭を切り落としてしまい右往左往していたモルガンは思いついたように霧で頭を新たに生み出し、頭を取り戻したついでに頭に着けていた拘束が外れて動き出す。
その結果は首が落ちてウネウネと動き出した時点で予見していたから俺はすぐ頭に踵落としをして頭を地面に密着させ、その状態で地面と固定した。
「……頭って生やしても問題ないのな」
ふとスワンプマンの話を思い出した。
この鎧百足はさっきと同じ意識なのか、それとも似た別物なのか。
「……ん?」
「どうかした? 何かおかしなことでもあったかい?」
「霧で出したモノは一時的なモノ。霧を解除すればそれも消える、そうだな?」
「うん」
「じゃあこの頭、解除したら消えんじゃね?」
「あ~……そうだね」
「くっつけるべきはこっちの落ちてる頭じゃん」
「霧の範囲外にあって意識が回らなかったよ……」
哀れ鎧百足。
俺らの実験に使われ首を二度も落とされるとは。
指摘を受けてそれでは実験にならないと理解したモルガンは一度霧を解除。
霧散した頭の断面を見ながら今度は地面に落ちた頭も包むように霧を生み出し、頭を治す。
霧が作用して浮遊した鎧百足の頭はその断面を綺麗に接着し、接続した。
モルガンが霧で生み出したのは切れて頭が落ちるという状態。
つまり自らそれを幻として否定してしまえば夢から覚めるように首は元通りになる。
「な? できたろ?」
「う、うん……本当にできるとは……」
「よかったナ。これデ足手まといって言われるコトハなくナったゾ。それデ落ち込ムことモナ」
「別にそんなことで落ち込んだりしないっ!」
「え、でモ新人の頃泣きながラ訓練してたジャン」
「なッ!? なんデそレをッ!!」
「ギルドの訓練場にいタラそりゃ時期次第じゃそウなるダロ。アホか」
マーリン、そういうのって普通黙ってることだぞ?
俺もあまり他人のこと言えた義理じゃねえけどさ、流石に……。
そりゃモルガンも怒りますわ。
「ヒイラギ、私は泣いたりしてないからね?」
「おお、マーリンの虚言癖だな、わかった」
さっき「なんでそれを」って言ってたのは突っ込まない方が良いよな、うん、わかってる。
俺は空気の読める男だ。
……そんなこと考えてる時点で空気読めないの確実だろうけど。
「おい、俺は嘘なんカ――」
「マーリン、うん、今大事なのはそこじゃないからこの話はやめようか」
「――お、オウ」
笑顔で近づき、肩に腕を回しながら口を塞いで黙らせる。
そして笑顔で圧をかけ、強制的に理解させた。
こんなの俺のキャラじゃないが雰囲気が悪くなるよりは良い。
「そんなことしたら余計嫌われちゃうぞ?」
「んなコトとっくの昔に諦めてルワ」
「ふ~ん」
なんだよつまんねーな。
嫌いなはずなのに目が離せない、みたいなラブコメを見せてくれよ。
イチャつけよ、隣でニヤニヤしながら見守ってやるからさぁ。
我ながら良い性格をしていると思いながらも同時にやはりそれはないだろうと思考する。
マーリンが何を考えているのかは全くわからないが、少なくともモルガンのマーリンへの感情は嫌気だ。
かつての経験ゆえに嫌い、その腐れ縁ゆえに理由があれば行動は共にする、と、そんなところだろう。
はっきりいって他人の感情をどうこういえるほど多くの人間と関わってきたワケではないが、どっちつかずなマーリンと比べてモルガンの嫌いという感情は過ぎるほどにわかりやすい。
「ほら、次行くよ。アンタはさっさと上に行けッ」
「ヒヒッ、怖い怖イ」
「モルガン」
「? どうしたんだい?」
「これはあくまで俺のために言う、そうしないと進めない俺の弱さと考えて聞き流してくれて構わない。……多分モルガンは最強になり得る人間だ、多分元々広かった実力差はもっと広がる。だが絶対に同じ高みに辿り着いてやっから、それだけは憶えてろ。いくら臨時とはいえ足手まといになる気はねぇからな」
「顔……、滾ってる?」
言われて、頬を触って確かめてようやく気づいた。
口角は酷く釣り上がっている。
「ああ。元々脆弱で、固有能力も戦闘向きじゃなくそれどころか現状使い道を決めあぐねている半分呪いみたいなモンを持った俺だ……ほとんどの人が目指す目標。けど……久々に差を思い知ったよ。いや、普段一緒にいる奴らも俺じゃ遠く及ばない人間だ。けどその中でも、モルガンは最強の姿が明確に想像できた。だから最ッ高に滾った」
「良いね良いね、そういうの好きだよ。やっぱり開拓兵はそうでなくっちゃッ」
槍を用いた近接戦闘も、そしてゆくゆくは魔術も。
モルガンは確実に強くなる。
本当に、現段階のモルガンと出会えてよかった。
一度近くで見た姿、これで心の弱さに負けて実力差を才能なんてモノで言い訳することはない。
人は小さな気づきで強くなれる。
これは、滾る。
「あ~、食った食った」
「良いザマね」
「躊躇なく高いの頼んダナ。金は余ってルカらいいガ」
「なるほど、また奢ってくれるってか」
「言ってネエよ!」
幾度もの連戦を終え、地上に戻ってきた。
その頻度は半端ではなく、場合によっては戦っている最中にその戦闘音に反応して寄ってくるため全方位を取り囲まれるというシーンもあった。
装甲の硬いモンスター相手では一体一体は問題なく倒せても数の暴力によって武器強化の効力が落ちる。
魔力に性質を持たせて武器を覆っているに過ぎない武器強化は使えば摩耗し、その都度強化しなおす必要があるが忙しない状況下ではその精度が狂う。
モンスターとの戦闘が長期化するほどに精度は下がり。
精神力も魔力も体力も蝕まれ。
苦戦を強いられる。
そうなる前にと俺たちは引き返すことを選んだ。
「明日は無理だッタか?」
「ああ。本来のパーティと探索する」
「なら私は明日は一緒にいる必要はないね」
「仕方なイ、明日は表層でヤルカ」
少し前に六の鐘が鳴ったから現時刻は午後二時過ぎ。
安全のために引き返したのもあるが、加えて地下では時間間隔が体感に依存する場合が多いためゆっくり慣らして把握する、と。
とはいえもちろん魔道具の運用時間、魔力が切れるまでで時間を計る手もあるが基本的にそれは推奨されない。
例えば、以前ゼーフルスで使った光源の魔道具。
あれは携帯性のため一度で二時間保つ。
が、地下で使えば光の届く範囲が狭く視界確保には使えないためむしろ逆効果。
というよりもそもそも魔道具はその発動で周囲に魔力のノイズのようなモノを発するらしく、地下という光のない空間で食って食われて襲い襲われてを続けるモンスターという存在にそれは最大級の情報源。
通常の人間が感知できない要素を一方的に探知し、高い隠密能力で襲い掛かってくる。
グラーベンシュタットの地下で魔道具を使うのは自殺行為だ。
そのため時間の把握は自力で行う。
「んじゃ、今日は解散かね?」
「そうだね。ヒイラギ、今日はありがとう」
「こっちこそありがとう。やる気が出たぜ」
昼食を終え、互いに要件のなくなった俺たちは特に何をするでもなくそれぞれくつろいだ後、好きなタイミングで去っていった。
まず要件を終えたモルガンが俺への感謝直後に訓練場へ向かい、その数分後に残っていた飲み物を飲み終えた俺がいなくなる。
俺は暇つぶしがてら適当な店を見て回ることにし。
まずは初日にチラ見した通りを見ようと決め、お上りさん気分の軽い足取りで街を行く。
気を抜くと設定を破りそうになる、どうも間抜け作者です
モルガン:
身長一九二センチ 二一歳
青と紫の六対四メッシュで外ハネの多いロングヘア
固有能力は【夢幻霧】
武器は双槍、冷静なように思えるが実は脳筋気味
魔術が苦手と言ったがその原因は固有能力に魔術領域の大半を占領されているためであり、一般的な魔術の構築はできないがその代わり固有能力を用いれば最強になり得る逸材
イメージ力と魔力さえあればほとんどどんなことでもできるが、前記の通り脳筋気味でありある程度までなら勉強ができるが専門分がになると完全に思考が停止してしまうためその真価を完全に活かすことはできない
が、むしろこの固有能力を完全に活かしきることができる人間がいるとすればそれは果たして人間と言えるのかがわからない