ワリとクズな主人公が行く! 異世界洗脳!!   作:名無しのクズ

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 一昨日に続いて昨日も二四時間全区間で【UA】獲得、ありがとうございます


第一五八話 煙を纏う脆き強者

「はぁ~、ほくほくですわぁ。良い買いモンしましたわぁ」

 

 多数の本。

 この街(グラーベンシュタット)の歴史書だったりこの辺りの地理に関することが載っている本、それに関連してこの辺りで採取できる鉱石や植物及びそれに関する情報が載っている本、その他マイナー英雄譚など。

 良い買い物をした。

 最新の魔術研究書もあってそこには雪華・(アジャラ)にも使われている魔術文字(ルーン)に関することも載っていて読むのが実に楽しみである。

 

「ところで……ここイズどこ?」

 

 ウェアアムアーイ、フーアムアーイ。

 完全に迷ったな。

 もうこれはアレを思い出しますな、マユゲとの初対面の時。

 ……まさか、またマユゲに無意識を操られてる?!

 なワケ、普通に方向音痴です、ありがとうございます。

 

「ちくしょう……完全に住居地だよ。ま、時間と影の方向から方角はわかるし……向こうに行けば大通りだな」

 

 現在地は街の北東部。

 住居が密集していて目印となる建物が道にいるままでは見えないし太陽も直接は見えず方向感覚が狂っているが脳内にアナログ時計をイメージして影でわかる太陽の方向と照らし合わせたら方角もわかった。

 読んでいてよかった、コナン。

 

「てか普通にッ――こうすりゃよかったわ」

 

 手っ取り早い話が、思いっきりジャンプをして建物の上に登ってしまえば障害物など関係なく目印の建物を見つけられる。

 実際、近くにあった適当な高さの建物に飛び乗って見渡した方が圧倒的に早く楽だった。

 

 てかほぼ垂直方向に一〇メートル以上生身で跳ぶのはヤベー。

 コレ生身ですら全力出してないし身体強化もしてないし……俺も強くなったんだなぁ。

 

「ん~、こうしてると今度はアイヴィを思い出すな。上からコッソリ覗き見てちょっかいかけて~って、およ? 煙? 火事……にしては小さいし、放火の準備?」

 

 屋根の上を移動しているとふと近くから細い煙が上がっていることに気付く。

 それは本当に細く、少し上がると拡散して消えるほど。

 遠くからでは見えないほどだ。

 まさか、と思いつつ、そもそもこの国の建材には基本的に耐火性のモノが使われていて火事の件数などほとんどないことを思い出し放火ではないと理解しながらもその煙の正体が気になってその煙が上る道の上へと向かう。

 

「どうした少年。噂でも聞きつけたか?」

「噂? よくわかんねっすけど俺は煙を見て気になっただけっすよ」

「ははは、煙管は物珍しいか」

「まあ、そうっすね」

 

 そこにいたのは一人の女性だった。

 正確には恐らく女性であろう人間だ。

 赤毛の交じった白髪ベースの長髪メッシュ、声は男にしては高い気がするが女にしては少し低音な気もする両性的なモノ、着ている服は知識にあるモノで最も近いモノを挙げるなら中華服の(パオ)いや、長袍(チャンパオ)に近い。

 そんな彼女? は服がゆったりしているからそれが胸の膨らみなのか胸筋の膨らみなのか服の膨らみなのかがわからず、顔つきは美人系でありつつ凛々しくカッコよくも見える顔のためかえって特徴がなく男女の判断が難しい。

 

「よっ、と……この世界に来て煙管なんて初めて見たっすからね」

 

 流石にいつまでも見下ろすのは失礼だから適当な距離を保って道に降り、また同様に距離感も詰め過ぎは不快と考えて性別がどっちであれ問題ないように口調を作りながら返事を返した。

 

「私はこれがないとダメでね、不快なら申し訳なくはあるが我慢してくれ」

「あ~、ちょっと匂い確認良いっすか?」

「構わない。好きに嗅ぐといい」

 

 匂いの確認をしようと近づいた瞬間、彼女? はフッと息を吐いて俺に煙を伸ばす。

 

 ちょッ!?

 そういう匂いの確認方法?

 

「コノヤロっ……」

「私は女だよ」

「あ、口をついて出ただけで他意はないっす……」

 

 オーケー、女ね。

 あ、ワリといい匂いカモ。

 なんというか独特な植物の匂いだけど俺の知ってるような街でオッサンとかが吸ってる煙草みたいな不快感はないな。

 

「ウエッッフ……」

「無理か」

「い、いや……煙が思った以上に粉っぽかったというか……」

 

 油断してた。

 吸い慣れないモノ無防備に吸ったせいで肺がビックリしたじゃん。

 あ~、草って匂いだわ。

 

「まあ問題はないっす」

「そうか。それで用は……と、用はないんだったか。見ての通り煙の正体は私だ、それで終わりだよ」

「ん~、じゃあさっきの噂についていいっすか? あと……言い辛い話題じゃなければ目のソレに関しても」

 

 目のソレ。

 彼女の目には目隠しがされている。

 しかもそれは光を透過するような薄さではなく、普通の素材を使っているならまず間違いなく視界に広がるのは暗闇だろうという程度には厚い。

 つまり彼女は目で見ることなく歩いているということ。

 開拓兵ならともかく探知での視界補充に慣れていない一般人には難しいことで、彼女は酔狂でそんな恰好をしているワケではないということが理解できた。

 

「噂、というのは私の仕事のことだ。私は個人で薬師を営んでいてね、様々な街を歩いて薬を売っているのだよ。だからそのことを聞きつけて買いに来たのかと思ったのだが、ただの偶然とは期待して損したな」

「個人で薬師……へぇ」

 

 そういうのもあるのか。

 でもなんで個人で?

 噂される程度には人気……人気がありすぎて街を歩きながら偶然の出会いで売ってるとか?

 

「この眼帯は私の病気が関係していてね。これを……こうして外すと幻覚が見えるんだ」

「おお……」

 

 眼帯のその内側にあった彼女の瞳。

 それは翠玉(エメラルド)のような美しさがありながらもそれを損なわせる濁りがある。

 少し印象が悪いが最も端的な表現をすれば“掃除をサボって緑に濁った水槽”だ。

 その美しさが素晴らしいだけに実に勿体ないと感じてしまう。

 

「ッ……やはりこの街は……」

 

 いきなり彼女は眼を抑えて苦しみだす。

 それは明らかに演技などではない。

 一気に呼吸が荒くなり、彼女の中に収められていた魔力は暴走状態にあるかのように解き放たれて近くにいる俺の身体を叩く。

 魔力が濃く、以前ガントレットを使う際に用いていた魔力脆化が彼女の目を覆っていた眼帯に引き起っていた。

 ボロボロと、劣化したプラスティックのように脆く崩れ落ちる。

 放ってしまえば目を抉り出してしまいそうな気すらしてくるほどに苦しむ彼女は膝から崩れ落ちかけるも直前でなんとか踏みとどまり、カランと落とした煙管に手を伸ばすが届かない。

 

「どッ、どうした!? その病気か?!」

「あ、ああ……すまないが煙管を拾ってくれ……」

「え、あ、ほらっ、これで良いか?!」

「――助かった」

 

 煙管を奪い取るかのような勢いで掴んだ彼女は煙管を咥え、一気に煙を吸った。

 通常の、俺が想像するような一般的な煙草と違い煙管はフィルターがないため煙の量が多い。

 だからそれを一気に吸うなど通常なら自爆行為なのだが彼女は一切の躊躇なくそれを行い、何故かそれで平静を取り戻す。

 

「やはりここでは吸っていても効果が薄いか……」

「大丈夫……ではないよな、流石に今のを見て無事とは思えん。……落ち着いた、んだよな?」

「ああ、迷惑をかけた。私はこれがないと本当にダメなんだが……この街ではそれも難しいみたいだ。すぐ拾ってくれて助かったよ」

回復薬(ポーション)要るか?」

「ははは、薬師にそれを聞くとは度胸があるね。だが私が今欲しいのは鎮痛薬だ。流石に持っていないだろう?」

 

 たしかに薬師に対して薬要るか、というのは中々な質問だった。

 だがそれよりも強く場違いではあるが一つの驚きがある。

 

 喋りに対して笑い声高いな……地味に面食らったわ。

 

「鎮痛薬……それはないが一時的に痛みを止めるだけならできるかもしれないっすね」

「なら試してくれ、商品にないから今鎮痛剤は持ってないんだよ。それとさっきのような喋り方で構わん」

「あいよ。ならちょっと魔術掛けるぞ」

 

 そう言って掌に魔力を込め、手を激痛で閉じられ今なお手で目を隠している彼女の目にかざしながら表情を作る。

 やるのは久々だ。

 

「今から解除するまで『目の痛みを感じない』ようになる」

「お? おお! 痛みを感じない!」

「一時的に感覚を遮断した。流石に酷いダメージがある時は感覚で分かるように調節したが」

「面白い魔術だ。久々に全く目が痛くないぞ!」

 

 明らかな喜びが籠った声音。

 痛みで涙が出たのか彼女は一度目をこすり、目を開く。

 

「なッ!?」

「ああ、こうなるんだ。さっきみたいなのがあると」

 

 紅い。

 血だ。

 病気のせいで彼女の目は白目の部分も紅く、目の周りも出血で紅い。

 それは見ていて痛々しく。

 だが一切の動揺が彼女に見られないことから恐怖を感じた。

 

「治癒魔術かけようか? それともやっぱ回復薬(ポーション)か?!」

「だから不要と言っただろ。私の病気(これ)には逆効果だ」

「そ、そうか……目は見える、のか?」

「幻覚も見え――ダメだ、やはり進行してしまっている……」

 

 俺のことを真っすぐ見つめた彼女はすぐ心底不快そうな表情で目を閉じる。

 嫌悪の表情を向けられて一瞬不安になったがすぐ幻覚に焦点が合っていたのだと理解しなんとか心的ダメージを軽微に抑える。

 

「探知で周囲の把握はちゃんとできるか?」

「それは問題ない。だがすまない、私の眼帯を拾ってくれ」

「把握できるんじゃないのか? 眼帯は魔力に中てられてボロボロになったよ」

「そうか……」

「あ、良かったら俺が持ってる布とかいるか? ちゃんと綺麗なヤツだ」

「必要ない。それを貰ったところで役に立たないから」

 

 どういうことだ?

 心配なのに何もわからな過ぎてどうすれば良いのか全く理解できないぞ。

 

「さっきのは斥魔の力が込められた特殊な布なんだ。少年の持つただの布では意味がない」

「斥魔……ようは魔力を弾くってことか。てか俺この国の感覚でいえば成人だぞ、一七歳だ」

「子どもじゃなかったのか。顔付きも雰囲気も全体的に幼いから子どもだと思ったよ」

「ちゃんと大人ですよ~」

 

 ひっでぇの。

 たしかに俺って我ながら幼稚ではあるけどさぁ。

 そんなハッキリ少年と思うくらい?

 

「すまない、布を回収してくれ。見えないんだ」

「え? ――あ~、ホントだな」

 

 一瞬理解が及ばなかったが斥魔という要素から察し、探知を使うとその想像通り探知に掛からなかった。

 魔を弾くということは、魔で行う探知も通じないということ。

 斥魔の素材は魔的に不可視なのだろう。

 

「ちなみにちゃんと立てるか?」

「……問題ない」

「はいはい、フラついてまっせ。どうせ鎮痛剤使うまで目の痛覚遮断そのままなんだ、そこまで送るよ」

「すまないな」

「どうせすることないし、見捨てても寝覚めが最悪になる。構わんさ」




 明確にモデルがいるけどモデルの性格などをそのまま反映させる気はない、そんな新キャラ登場
 名前は多分次回出ます

軽く事前に情報出し
 幼少期から病弱
 薬師の家系に生まれ一三の辺りまでは実家の営む薬局を手伝っていた
 一五歳の頃に目に異常を来たし、それ以降ずっと苦しんでいる
 元々の目は暗闇で僅かに発光する赤色で、猫目がちな少し縦に長い瞳孔
 目の変質によって色は緑になったが暗闇で僅かに発光する点や瞳孔の形は変わらない
 目の痛みを堪えるために目に力を入れることが増え、目が死んでいてなおかつ少し険しい
 環境を整えれば斥魔の眼帯を外せるため視力低下はほとんどない
 意識が目の痛みに持っていかれるため昔に比べたら感情が乏しい
 が、目をどうにかすれば感情が改善される 
 なので基本棒読み気味と考えておいてください
 多分そのうちグラーベンシュタット以外で出る……と思う……多分、恐らくメイビー
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