ワリとクズな主人公が行く! 異世界洗脳!!   作:名無しのクズ

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第一六三話 パーティと臨時パーティ

「あれ、ヒイラギじゃないか」

「ぬ? おお、モルガン」

 

 探索(しごと)終わりに四人、ギルドで食事をしていると偶然モルガンと出会う。

 そんな彼女は少し前まで訓練をしていたらしく石鹸で身体を洗った仄かな匂いと蒸気を漂わせていて、服装はチューブトップに半袖シャツ、ショートパンツとかなり露出が多い。

 

「……そちらの三人は君の妻か?」

「ハハッ! そうなら嬉しいが全員俺にゃもったいねーよ」

「そうかい。まあ三人とも雰囲気が君より強そうだしそれもそうか。軽い冗談だよ」

「ヌフッ、言ってくれる……これから用事なくて飯まだなら一緒にどうだ?」

「ならそうしようかな。個人的興味もあるし――君酒臭いね」

 

 そりゃ結構飲んでますし。

 

「私は先日ヒイラギと臨時パーティを組んだモルガン。パーティで楽しんでるところ邪魔してしまって悪いね。少し三人に聞きたいことがあったから一緒させてもらった」

「組んだヒイラギではなくアタシたち? アタシクアーク」

「初対面……ですよね? ウチはサースティです」

「知らないあーしらに話ってことは間接的にヒイラギのこと知りたいんだろ。キュリアス」

 

 あ、もしかしてコレ俺がボッチになるやつ?

 まあ聞いてるだけでもヒマにはならなさそうだし、一応俺の話だから聞いておくか。

 

「その通り。私がヒイラギとパーティを組んだ理由は私の幼馴染が二人でパーティを組んだから。その幼馴染はかなり性格がクソで色々面倒を起こす野郎なの」

「あ~……少し身に覚えがある……」

「ヒイラギさんにはそれを説明してなおその幼馴染さんと組むことにした、ということですか」

「ふっ、アホなヒイラギらしいな」

「そうね」

「たしかにそうですね」

 

 どうやら俺の性格は行動をある程度理解し、納得できる程度には把握されているらしい。

 それにしても、アホという部分にも二人は賛同しているのだろうか。

 

「だからヒイラギみたいな人間にまた出会った時に説得できるようヒイラギの性格とかそういうのを客観的に見てどうなのかを聞きたいの」

「端的に“お人好し”」

「一言で言うなら“異世界人を理由にできないほど特殊な性格”ですかね」

「間抜け」

 

 キュリアスさぁん?

 さっきから辛辣が過ぎるんじゃありませんこと?!

 それ人物評価じゃなくてただの悪口でしょ!

 

「アタシ、少し前までは固有能力を理由に色んな男に手を出してたのよ。それでアタシのことをアタシが昔パーティを組んでた子からヒイラギも話を聞いてたはずなんだけどなんだかんだ言いながらパーティ組み続けてくれて、今も一緒にいさせてくれるの。だから“お人好し”」

 

 あの時はクアークから声かけてきたじゃん。

 一度軽く拒絶したのに誘ってきたし、まあ趣味を聞いたからオッケーは出したけど。

 でもノースミナスを出る時は半ば無理矢理じゃありませんでした?

 今となってはクソどうでもいいけど。

 

「ウチは種族的に、吸魔種(ヴァンバス)なので体液を貰うことが多いんですけどそれをヒイラギさんは平然と受け入れて血を吸わせてくれるんですよね。皮膚に牙を突き立てる時にどれだけ受け入れているかで防御力が働くんですけどヒイラギさんは完全にそう言うのがなくて……状況的には“襲われている命の危険がある”はずなので異世界人どころか生物的にも少し不自然な“特殊”ですね」

 

 へ~、純粋な実力差で牙突き立ててるとか考えてたけど防御力なくなってたんだ。

 それに防御ってそういうので変わんのな。

 何が理由で変わってんのかね。

 マユゲは経験値を魔がどうのこうのって言ってた記憶があるし……その辺も魔的ななんかと考えて――はいはい、あとで考えましょう。

 てか街中で殺人は流石にねぇべ。

 わざわざ俺を殺す理由イズ何?

 愉快犯?

 通り魔的思考?

 そもそも遠征開拓兵まで上がった人がするワケねぇし。

 

「心技体、戦いにおける要素がてんでバラバラ。興奮状態でしかマトモに動けねえで、得た戦闘経験が平静状態に活かせないから訓練の時に戦っててモヤモヤする」

 

 そんな風に考えてたのか。

 てかそうなの?

 俺って経験ロクに活かせないのかよ。

 これでもちゃんと帰った後戦いのこと思い出しつつ復習するんだぞ?

 えぇ……ちゃんとしてると思ったのに。

 ……復讐のやり方変えてみるかぁ。

 

「……これヒイラギは嫌われてるの?」

「好かれてるんじゃね?」

「今の内容で?」

「だって嫌われてたらここまで俺のこと理解しないだろ。それに一緒にいてくれるワケない」

「まあ、そうね。アタシはヒイラギが好きよ」

「ウチもそれなりに好きですね」

「愉快だから気に入ってる」

「さっきから姉御おかしくない?」

「気にすんな」

「うっす」

 

 まあ良いか、こうやって悪いところを変に取り繕わずにそのまま素直に伝えてくれてんだ、むしろありがたいってモンだ。

 こういう罵倒に聞こえる話だって俺が成長の糧にすれば良いだけの話。

 表面上を冗談やら馬鹿話で取り繕って、今後の行動と努力と実力で恩返しすれば良いだけ。

 

 言葉は字面だけを見ても意味はない。

 そこに含まれた真意を、正しく、出来る限り考えて読み取らなくては。

 彼女たちが俺に関心を向けてくれている限り、俺は真摯に向き合うべきだ。

 まずは自分以上の実力者がわざわざ付き合ってくれるという事実に感謝して。

 そしてそれに報いる。

 

「良い人たちだね」

「だろ?」

「にしてもそうかぁ……ヒイラギが変わってるだけかぁ」

「参考にならんべ」

 

 俺ほどアテにならない男はそうはいないぜ?

 捻くれに捻くれて、拗らせに拗らせたクソ面倒な野郎だからな。

 

「俺みたいな頑固なアホは一度決めたら基本変えねぇからな、無視で良いと思うぞ。そもそも俺は基本自己責任で割り切るし」

「う~ん。……氷ちょうだい」

「ほいほい。まぁ、変に難しく考えねぇでさ、俺……というかマーリンに付き合わずに自分のしたいことすりゃ良いと思うぜ? モルガンの人生なんだから好き勝手生きてさ。マーリンに巻き込まれるのが好きなら別に止めはしないがな」

「それはないよ。……自分の人生、好きに生きる、かぁ」

「アタシも賛成ね。雰囲気的に言ってアタシと同じくらいよね? 二十少し? 大人なんだから好きに生きて良いわよ。アタシだってヒイラギと会うまでは好き勝手生きてたしそれを後悔もしてない。今はヒイラギの好き勝手な人生に付き合っててそれも楽しいけどね」

「そうですねぇ、そうでないと開拓兵をやっている意味がありませんし」

「あーしも同感だ。したくもねえこと嫌々するなんて利点ほとんどねえだろ」

 

 メンタルに悪いからそのうちメンタル死にそう。

 まあモルガンの場合はなぁ、幼少期に大人たちからそれを押し付けられたって経緯があるし。

 一種の洗脳というか、呪いというか。

 

「もう染みついちゃってるからね。中々苦労しそうだよ」

「現在進行形で苦労してるけどな」

「君がアイツと組むからじゃないか」

「君が首を突っ込むからじゃないか」

「ムカつくね」

「ンヘヘヘヘっ」

 

 まあ、どっちもどっちで間を取って全責任はマーリンということにしましょうそうしましょう。

 

「この仕事やってて命を落とすのは自分の実力不足。極論言ってしまえばマーリンに何されようと俺がアデル並みに強けりゃ死ぬ危険性はなし。少なくとも俺はそう考えてるから昔の付き合いがあるからって深く気にすんなよ。……って、まだ全然弱い俺じゃ説得力ないか」

「そう、だね。弱くはないけど信頼しろって言われてそれができるほど強くないし」

「んじゃ俺が証明してやんよ。二人がいついなくなるのかは知らないがそれまでの間、弱い俺がもっと強くなって何かがあってもちゃんと五体満足で生き残れるってよ」

「君が?」

「ああ。それを証明すりゃマーリンが他の人と組んでも生きれるって安心するだろ? なんせ皆俺なんかより強いんだからよ」

「……」

 

 やれやれ、責任重大ですよまったく。

 元から手を抜くつもりはないけどモルガンの今後の人生に関わるんだ、俺に熱を滾らせてくれた分キッチリやってやりますとも。




 そうなら嬉しい――
 これは酔ってますわ


 寿命の近い種族同士なら魔力の雰囲気で年齢がなんとなぁく把握できる、という設定
 ヒイラギは異世界人でこの世界で過ごした年数が短く、さらには他者との交流も多いワケではないのでその年齢感の把握ができません
 見た目が若けりゃ若いと認識してしまうし老けてたら老いてると認識

 機體種(エクスマキナ)のモルガンと不明種(種族としての数があまりに少ないため今後の時代変化で種族として定着するかもしれないししないかもしれない)のクアークは寿命がそこそこ近い、という設定
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