ワリとクズな主人公が行く! 異世界洗脳!!   作:名無しのクズ

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第一六四話 納品するモノとか

「ヒイラギか?」

「んぉ、戻ったか」

九の鐘の後(こんなじかん)に来るとは……すまないな。用は依頼のことか」

「そうそう。探索終わりに軽く依頼とか見に行ったらサイカの指名依頼があったから話聞きに来た。てか依頼書に採って来て欲しいモン書きゃ良いのに」

「それ以外にも用があったんだよ。それより部屋に行こうか」

「そうだな」

 

 外に出ていたし煙管も吸っているから大丈夫なんだろうけれどもサイカにとってはあまり好ましくない魔的環境、部屋の方が良いだろう。

 だがふと一つの考えが脳裏を過ぎった。

 病気だからと態度を変えるのはどうなのか、と。

 その感情は個人による。

 気遣われることを嫌う人間もいる。

 

「無神経承知で直球に聞くわ。ぶっちゃけ気ぃ遣っても平気か? それとも病人だからって甘く見るなと怒る?」

「好きにしろ、元々私は病弱でそういう扱いには慣れている。あとそれを聞いて何の意味があるんだ?」

「慣れているだけでそれを良しとしてるワケではない、と。ちなみに目的は精神衛生」

「なるほど。衛生か。衛生は大事だ」

 

 んじゃ一応普段は他の人と接するのと変わらん感じでやるか。

 最低限魔の濃い場所には誘わないようにして、あとは何かあったらその時に適度に心配する程度で。

 

 あくまでも自分のため。

 そういう考えが気を楽にしたのかほんの一瞬、サイカは少しだけ微笑んだ。

 

「さあ、本題だ」

「ああうん、依頼な。確か地龍の通り道(アヴァムギーブ)で入手可能なんだっけ?」

「私は地下に行くワケにはいかないからね、頼んだ。――図鑑は……あった、これだ」

「本屋で見たな、買ってないから読んでないけど」

「ああそう。じゃあ説明を始めるぞ」

 

 どうでもいい話してすみません。

 そりゃ本見たとか読んでないとか興味ないっすよね~。

 夜にわざわざ宿んトコで待ち構えたあとにする話じゃないよねぇ、ワカル。

 

「エラリザ、クラリザ、リザラリザ、ナラリザ、アヴァギラリザ、カーラリザ、ウラリザ――とりあえずここで一区切りだ」

「……呪文聞いてる気分」

 

 ラリザ、ラリザと一体何なんだ。

 いや、意味は分かるけど。

 葦だろ?

 ……あれ?

 葦とか含むイネ科全般だっけ?

 まあ、とりあえずあの辺だった記憶。

 

「次にサカラマ、ラカラマ、サーカラマ」

「おお、三種類、少なくてイイネ」

「最後、エブラック、クブラック、カーブラック、ガブラック、リブラック。これで終わりだ」

「え~と、全部で一五種類?」

「そうだ」

 

 なんか少なく感じるな。

 でも問題は数じゃなくてその希少性とか群生地のバラツキとかか。

 流石に全種類が一ヶ所に揃ってるなんてことはなさそうだし。

 それを考えたら多い方か?

 

「これを一週間以内に持って来い」

「一週間……ん~、採取の手間とか考えてその日数なんだろうけど一週間で大丈夫か? 早くこの街離れたいなら急ぐぞ。どうせ俺用事ないから一日採取に突っ込めるし」

「気にしなくて構わない。部屋の外に出ることもあるが基本は部屋にいるからな」

「そっか」

 

 こういう時。

 愛那の【真偽看破】のような能力が欲しくなる。

 だが本人が問題ないと言っている以上はそれを信じるしかない。

 元々他者の心はわからないモノ。

 それは魔術のある世界でも同じ。

 相手の言葉を信じる。

 それが“話す”ということだろう。

 

「まずエラリザの群生地だが――」

「ちょい待ち、地龍の通り道(アヴァムギーヴ)の地図出す――よし」

「ん、コレ書き込んで良いか?」

「構わんぞ」

「なら群生地先に書くか――――ん、ざっとこんなモンか」

 

 素早く書き込まれた複数の群生地。

 その数約五〇。

 近場に抑え、群生地被りは表記をまとめて、それで五〇だ。

 

「要求量は後で別にまとめるとして、必要なのは採取方法と保管方法か」

「なんかあんのか?」

「例えばアヴァギラリザは鋭い棘を持ってるから適当に採取すると刺さる可能性がある。サカラマは水から出して乾燥させると燃えた挙句爆発するから採取後は水に入れて持って来い」

「植物が燃えて爆発すんの!?」

「珍しいよな」

 

 いや、珍しいって話?

 ゴジアオイでも爆発はしねーぞ?

 実に……ファンタジーだ。

 

「サーカラマは別々に生育していたものがやがて接合し、一個体となり、寿命を迎えて分裂するまで巨大化し続ける。これに関しては“一部”ではなく“全部”を持ってこい」

「ん~、はいはい。了解。てことはなるべく色々くっついてそうなデカいのが良いのか?」

「そうだな。だが接合せずとも巨大になるのもいる、複数採取して来い」

「承りぃ」

 

 くっついたり離れたりって忙しいヤツだな。

 てかサイズによっちゃクソめんどくせぇ……。

 藻のくっついてる離れてるは探知で見分ければ良いとしても、回収めんどくせぇよぉ……。

 

「リブラックは……単純に傾斜に生えてるから足場に気を付けろ」

「お、おう……」

 

 今更そのレベルの心配事かぁ……。

 高いところから落ちてもある程度までなら素で耐えられるし、それ以上の高さでも落ちてる間に魔術で対応できるだろうし。

 

「培養すれば済むから基本は少量で良い。大量に持ってくるのは全体が必要なサーカラマだけ。入れ物はこれを入れて持って来い」

「おお、小さい……水槽? がギッチリ入ってる」

 

 渡されたのはスーツケースのように両開きの四角い鞄。

 中には複数の仕切りがあってそこには小さな透明な容器がいれられている。

 いくつかには中身が入っていて、そのことに気づいたサイカは中身の入った透明容器だけを回収し、別の鞄から空の透明容器をそこに填め込んだ。

 そしてそれが片面。

 もう片面には仕切りがなく、大きな透明容器があった。

 つまりはそこにサーカラマと入れろ、ということだろう。

 

「他に欲しいモンないか? どうせだし追加依頼料なし(タダ)でやってやんよ」

「採取してきて欲しい素材はないが最初に言ったそれ以外の用はある」

「お、なんぞ?」

「お前の髪とか血とか、くれ」

「いいぞ」

「……良いのか?」

「うん。減ってもそこまで困らんし」

「変わってるな」

「よく言われる」

 

 やはり異世界人は研究対象になるのだろう。

 それを考えると初手の、転移して即座に確保されずに自由になって良かったと感謝したい。

 援助を受けた身で偉そうではあるが、理性的かつ合理的な判断を下せる国で良かったと安心した。

 

「てか何に使うん?」

「異世界人だからな、未知の宝庫だ。本来越えることのできない二世界の壁を通じた魂への影響、何故二世界で姿が似ているとはいえ種的に異なる存在が我々と子を成せるのか、持っていなかった魔力や魔術を獲得できるのか。生物的に実に興味深いよ異世界人(キミ)は」

「確かに?」

 

 言われてみればおかしな話だ。

 仮に両種の種族が“ホモ”だとしてもそこから“サピエンス”だったり“ネアンデルターレンシス”だったりと同じ世界でも異なる種は現存せずとも存在している。

 それなのに世界すら異なる、自転公転重力加速度など似ていても異なる点があるであろうこの世界の人間と子を成せる、というのは面白い話だ。

 

「てか異世界人(おれ)ってこっちでこっちの人と子ども成せるの?!」

「実例がある」

「へ~」

 

 いよいよわからん。

 

「俺関連のモノが欲しいってのはわかったけど具体的に何がどれくらい欲しいワケ?」

「髪は抜け毛程度で構わん。血は試験管二本分、唾液、粘膜、尿」

「尿もか……恥ずかしいな」

「誰も今ここでやれとは言ってねぇよアホ」

「せ、せやな」

 

 流石にここでやるメンタルないッス!

 それなんてエロゲ?

 むしろエロゲでもそんなシチュねぇだろ……ありそうだなァッ!

 現代だし、日本だしッ、探せばありそうだなァッ!!

 

「あ~、でも魔力が混ざるの考えたらこの部屋でやらせるのが良いか」

「え゙ッ……」

 

 え、ちょ、マジ?

 やめてくんない?

 メンタルがヤバくなるから……。

 

「あ~っと!! そ、そうだ! お、俺この世界に来てワリと初期にッ、髪色が変化する前に色々採取してあんだよッ! それも余ってたらついでにいるか!?」

「話逸らすの下手か。あるなら寄越せ」

「あ、残って余ってたらもってきま~す! お休みなさぁいッ!

「オヤスミ」




 その後色々提供する模様(色々はヒイラギの尊厳のために控えます。旅の過程で裸見られる程度なら平気になってるハズなのに……)


 サカラマ:乾燥したら発火し全体を乾燥、爆発させ自身を周囲に散布
      落下後その場が水場であればその場で再び成長する

 ファンタジーだし燃える植物欲しいな~、という安易な考えの下考えた植物、というか藻
 けど「水場で燃えるって」どうすんだ!? いや、魔術的な火だったらある程度水も平気に創れるけど……燃えるメリットイズ何!?
 と悩んだ結果生まれた乾燥したら躊躇なく自死し、その後再び再生するフェニックス気質な藻
 考えてて楽しかった(小並感)
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