ワリとクズな主人公が行く! 異世界洗脳!!   作:名無しのクズ

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今日は短いです、すまない


第一七話 よくわからない

「依頼で来たんだが……」

「あっ、ヒイラギッ……さんですね?」

「お、おう?」

 

 俺の名前ってそんな言い辛い?

 マジで?

 ヒーラギになるとかならまだわかるけど、ヒイラギッって何さ。

 しかもなんかよくわからない表情だし。

 見たことないんだけど? そんな表情。

 

「って、あれ? なんで名前?」

「それは事前に知っていたからです」

「ギルド?」

「いえ……(確かまだ名乗ってないはずですから……)その指輪の方です」

「マユゲか?」

「ッ……ええ、そのマユゲさんです」

 

 ネーミングセンスがなくてすまんね、だからって笑うほど?

 

「受けた依頼は建物の修理、ですよね」

「ああ。その口ぶりだと他にもやってるのか?」

「いえ、今はこれだけです。けれど後日違う依頼を出すつもりなのでもしよろしければ受けていただけませんか?」

 

 神職、巫女だからだろうか。

 俺に向けてくる視線や声音は初対面だというにもかかわらず親しげで、愛らしい。

 

「つっても内容知らねーし」

「ふふっ、そうですね。依頼の内容は旧市街に住んでいらっしゃる皆さんのために炊き出しを行ったり配給を行ったり……そして親を失ってしまった子どもたちの面倒を見ること、です」

「旧市街……ああ、確か貧民街(スラム)があるところか。危なくないのか?」

「ええ、皆さん優しい方たちばかりですので」

 

 スラム、という言葉の印象で悪印象があった。

 不衛生で、危険極まりない荒くれ者たちの住む場所。

 そんな印象だった。

 けれどそれを聞いて何故だかホッとした。

 ただの仕事の付き合いでしかなく、初対面なのにそう思ってしまったことに驚いた。

 

「それは……良いな」

「ええ」

 

 皆が、全員が優しく在れたらどれだけ幸せだろう。

 そしてその世界はどれだけ不幸せだろう。

 全員が優しい世界など俺は行きたくない。

 ただ、その優しさは純粋に羨ましかった。

 

「もし機会があればぜひお力をお貸しください。もちろん他の方がいらっしゃればその方たちも是非」

「そうか。もしそれが本心ならぜひ甘えさせてくれ」

「もちろん、喜んで」

 

 その仕事に他の奴らを回すのを考えておこう。

 それくらいの仕事内容だったらあまり力仕事も要らないはずだ。

 

「……なあ、あんたはマユゲと仲良いんだよな?」

「え、ええ、最近は会ってませんけど仲は悪くないです。それと私はシャプルっていいます」

「じゃあシャプル、良ければマユゲのことを教えてくれないか?」

「良いですよ。でも何を話しましょうか」

 

 シャプルからイヤな感じは感じない。

 マユゲみたいに他人の心がわかるワケじゃないから正確なことはわからないが、恐らくは善人だ。

 けれどマユゲのような周囲と関係を持たなさそうな人間がシャプルと関わりを持っている。

 と言われても正直信じられない。

 ハッキリ言って疑っている。

 

「話しても問題のない範囲……彼女と初めて会ったときはそんなに仲良くはありませんでした。どちらが悪いとかではなく、お互いがお互いに相反した性格をしていたんです」

「シャプルは仲悪い奴いなさそうな雰囲気なんだがな」

「どんな人間にも相容れない存在はいますよ、きっと。……けれどその遠ざける理由を超えて協力しなければならなくなったために協力することになった、それが私たちです」

「……よくわからんが、深く聞いたらダメっぽいな」

 

 明言せず。

 ぼかして言っているということはそういうことだろう。

 

「私たちの大切な存在が同じで、その大切な存在のために我慢することになったんです。なので今も仲が良いというワケではないです、多分喧嘩もします」

「その理由は聞いていいか?」

「そうですね……どちらも先を主張して、どちらも一番を主張して退かないからです」

「え、意外ッ。マユゲはともかくシャプルって職業的にもそういう自分が一番優れてるとかいう主張しないと勝手に考えてた」

 

 マユゲが一番を主張している姿は想像できる。

 なんとなく偉そうだ。

 けれどシャプルがそういうことをしている姿は想像できない。

 見た目から受ける印象が控えめな感じだからだ。

 けれど彼女も人間ということだろう。

 

「一番というのはヒイラギさんが考えているモノとは違います。概念的なモノというか、知ろうとしてもハッキリしない答えなので」

「ええ……めんどくさそう」

「ふふっ、でも私たちはその答えが嫌いではありませんでした」

「へぇ」

 

 シャプルが何を好んで何を嫌うのかは知らないが、マユゲは研究者って職業上そういう曖昧な答えは嫌いだと思ってた。

 

「意外とわからんモンなんだな」

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