ワリとクズな主人公が行く! 異世界洗脳!!   作:名無しのクズ

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第一七三話 情報共有と依頼主

「何かご用ですか~?」

「え、あ、はい。その~、今調査してるじゃないですか。そのことについて聞きたくて」

「? あ~、キュリアスさんのパーティの人ですね~。良いですよ~、それと喋り方も普段通りで良いですよ~」

「あ……そっすか~」

 

 いまだに受付との接し方わかんね。

 気分的には交渉だし。

 

「先に言っておくと不確定な情報が多いですからね~。それで具体的にはどういうことが知りたいですか~?」

「モンスターの情報。具体的にはどの場所でどんなモンスターとどれくらい遭遇したかの情報が欲しいんすけど調査でそう言う情報集めてます?」

「モンスターの特性や出現地域ではなくて~? 一応ありますけど~……」

 

 ん?

 何か間違えたか?

 

「なぜそんなことを調べているのか~、聞いても良いですか~?」

「ま、流石に何も言わずに教えてはもらえないか」

 

 予想できたこと、驚きはない。

 特に気にすることなく取り出したのは地龍の通り道(アヴァムギーヴ)一層の地図。

 そこにはキュリアスとサハルさんが帰って来るのを待っている間に纏めた情報が事細かに書かれている。

 

「本来の出現位置と、今日一日で調べた遭遇位置と各地点での遭遇頻度。その他モンスターの情報。まあ大まかにそういうことを調べてる。なぜやっているのかといえば生息域の変化があると聞き、友人がこの街の魔はおかしいと言っていて気になったからだ」

「……見ても良いですか~?」

「そっちも見せてくれるならな」

「初めに言ったようにそれは構いませんよ~」

「なら、ほい」

「こちらもどうぞ~」

 

 ……ふむ。

 魔道具を用いた簡易的な大気魔の計測もやってるのか。

 単純な大気魔量の計測と、大気魔から与えられる魔術的影響の計測。

 前回の資料と比較しながら……この前回前々回やらの数値、なんか既視感が……ああ、地理の本を読んだ時に地龍の通り道(グラーベンシュタット)の地形図と一緒に書いてたっけ。

 なんか小難しくてよくわからんかったが……もしかしてちゃんと読んでたら魔術使ったときの副作用とか抑えられたんじゃね?!

 

「やっぱ下でも大まかに同じか。流石に情報が少なくて断定は難しいが」

「貴方の情報は細かくわかりやすいですね~。私の方が申し訳なくなっちゃいますよ~。気になることがあれば憶えている範囲で教えられますので遠慮せずに聞いてくださいね~」

「あ~、別にそういうワケで言ったワケじゃなくてだな、流石に二つ合わせて二層分の情報じゃ確証は持てないって話なんだけど。まあ聞いていいなら有難く聞くわ」

 

 さて、情報の整理だ。

 

 ここに書いてある限り出現範囲と遭遇範囲のズレも五層に存在する。

 ただそれは第一層とズレ方が少し異なる。

 全体的に見ると“寄り”が少ない。

 それが何かしらを起点とした“距離”による差、なのかはわからないが。

 明らかにズレが生じている。

 それも気のせいではない程度には大きな規模のモノが。

 

「ちなみに~、この遭遇表記(マーキング)はどれくらいの精度なのでしょうか~?」

「一〇や二〇のズレは目を瞑ってくれ」

「逆を言えばズレはそれくらいということですね~」

「そういうこの区画座標(マーキング)はどれくらいの精度だよ」

「狂いはないと思いますよ~。以前は長期間この街で活動していたので~」

「流石熟練者」

 

 誤差の有無を聞き返しつつもう一枚地図を取り出す。

 とはいっても秘匿していたワケではなく、これ自体は市販の無記入地図だ。

 流石に遭遇表記(マーキング)を全て憶えているワケではないが、それを整理して視覚的に理解しやすいようにした範囲図ならばほとんど憶えている。

 それを無記入地図に記入し、座標を合わせてみた。

 階段を起点に大まかな位置を合わせ、買った店の違いによる縮尺の違いを脳内で修正。

 そうして見ると規模は違うがズレの範囲形状は大まかに相似していることがわかる。

 

 これ、どうにかして要因の位置を探れないか?

 いや、それをするにはそもそもどういう理由で影響が変化してるのかを突き止める必要があるか。

 流石に距離によって変化しているのは確実だろうけど、それを抜いても形状が気に掛かるし。

 どこかを中心にしてるならもっと円形になるはずなのに基本的に直線に近い。

 正確な数値はわからんがこの軌道をそのまま距離要因一つで絞ると半径がえげつないことになる。

 確実に距離以外の要因はある。

 

「……二層、行ってみっかぁ」

「でしたら~、明日の四層探索に同行していただけませんか~?」

「はい? 言っとくけどキュリアスと一緒にいるからって強いワケじゃないぞ」

「ですが~、キュリアスさんから“単独は無理だがパーティでなら通用する程度の実力はある”と聞いてますよ~」

「……人手欲しいのか?」

「そうなんです~。キュリアスさんの実力は充分なんですけど~、一人では手が回らずに一線の時間が長くなってしまうんですよね~」

「だったら依頼出せばいいじゃん」

「実力と適正、長時間の探索を~、となると受けられる人が少ないんですよ~。皆さんそれぞれ事情がありますし~」

「そぉか」

 

 まあ暇ですし?

 俺以上の実力者はいくらでもいるけど長期拘束をオッケー、と言える開拓兵は少なそうだし。

 

「サハルさんは戦う感じ?」

「一応は戦いますね~。基本はキュリアスさんに任せますけど~」

「……二人で足りる?」

「もう少しいた方が良いかもしれませんね~。三人前後でしょうか~」

「ん~」

 

 クアークとサースティはまだ帰ってこないし。

 誘うとしてマーリンとモルガンか。

 どうしますかなぁ。

 一応聞くだけ聞いてみますか。

 

「お~い! マーリン、モルガン、ちょっと来てくれ~!」

 

 いつも通り別々の、かなり離れた位置に座っている二人を呼ぶ。

 

「なんダ?」

「またコイツと一緒か……」

「それはスマンね。簡単に言えば四層の調査に同行することになったんだけど人手がもうちょい必要らしいから手ぇ貸してくんない? ってこと」

「いイゾ」

「構わないとも」

「てことで、人手追加だぜぃ」

「実力は大丈夫なのですか~?」

「おうよ。ぶっちゃけ俺が最弱」

 

 フフフ、(やつ)は四天王の中でも最弱。

 俺で構わんなら誰だって構わんハズ。

 

「ところで報酬はあるノカ?」

「あ~、じゃあ依頼主俺ってことで。基本報酬は七〇〇〇〇アスター、追加で俺の手に入れた素材(ドロップ)は二人で分配。これでどうだ?」

「よシ、決まリダ」

「私は別に構わないんだけどね。貰えるというなら貰っておこう」

 

 金が溶ける溶ける。

 まあ良いんだけどさ、稼げるし。

 ぶっちゃけ二人ともそれは同じだし、完全に体裁と善意だよねぇ。

 

 基本報酬七〇〇〇〇アスター。

 それだけで一度の探索収入としては充分だ。

 物価が高いとはいえそれだけあれば暮らすには事足りる。

 が、二人とも稼ごうと思えばすぐ稼げる。

 だから恐らくは“タダ働きではなく仕事である”と認識させるための気遣い。

 向き先は三割が外部、七割が俺だろう。

 

「明日? 三の鐘くらい?」

「三の鐘が鳴る頃に集合してくださいね~」

「そうカ、わかッタ」

 

 八時か。

 ちと早いな。

 まあ問題ないか。

 

 集合時間を聞いた二人はその他に用事がないか訊ね、俺がもう特にないと返すと早々に立ち去る。

 まず先にモルガンが足早に去り、それに対してマーリンが少し項垂れながらゆっくりと去った。

 嫌われているのが悲しいのだろうか。

 

 もしかして反省してたりする?

 でもまあ、あきらめた方が良いけど。

 子どもの心を傷つけるのに大事は必要ない。

 経験の少なさゆえに些事ですら傷つくんだ、その時期の失態は取り返しづらいぞぉ?

 

「くくッ」

「どうかしましたか~?」

「あ、なんでもないっす~。ところでここについてなんだけど――」

「そこは――」

 

 思わず漏れた笑いを誤魔化しながら詳細を訊ねる。

 そうして得た情報を自分が理解しやすい形に変換して地図に纏め、書き記した。

 

「映し終えた?」

「終わりました~。わかりやすくはありましたが情報が多くて困りましたけどね~」

「ハハハ、纏めるのが苦手なもんで」

 

 わかりやすい、というのは楽なものだ。

 転移者、というか現代日本でそれなりに教育を受けた者のささやかな特典。

 様々な発展の中で生まれた円グラフや散布図、バブルチャートなどの様々な種類のグラフが使える。

 情報の整理、理解、図示には実に良い。

 

 どうすっか。

 モンスターの数で塗り分けマップも作ってわかりやすくしてみるかね。

 モンスターの種類で三原色に分類して、色の混ぜ具合で度合いを……うん、やめよう。

 作業効率悪い(メンドクサイ)上にゼッテーわかりづらい。




 ちなみに開拓兵の出した依頼を受けても実績にはほとんどなりません
 それを含めてしまうとゲームのパワーレベリングと同じような感じで実力が付かないまま実績だけは一般開拓兵の条件を満たせたり未熟なまま遠征開拓兵になる条件を満たせたりするのでそう言った行為を防ぐためにもいかなる理由があっても基本的には実績にはなりません
 ただし、一日一度のカウントで、一〇〇のカウントがされるとようやく実績点一が貰えます(上限は三点)
 なので基本的にはわざわざ依頼として出されることはありません
 開拓兵同士の交渉でそれぞれの目的の手伝いを行ったり
 ヒイラギももちろんそれは知っていて、便宜上“依頼”と言っているだけです
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