ワリとクズな主人公が行く! 異世界洗脳!! 作:名無しのクズ
「ということで、昨日今日で集めた情報……解析して?」
「……」
「はい、説明しまーす」
だから睨まないで。
「サイカが魔が濃くなってるって言ってたってことは話したじゃん」
「あァ」
「街でモンスターの出現域がズレてるって聞いて、調べたらこういう感じの結果が出ました。一層の方は俺が、五層の方はキュリアス……というかギルドが調べたヤツ。雰囲気に差異があるのかそのせいです」
「ほォン。なるほどなァ」
いくつかの資料を手に取りジッと見つめるマユゲ。
俺ではそのデータから答えを得ることはできないがマユゲならそれができるかもしれない。
三分ほど資料を見つめ、そして視線を俺に向ける。
「一層のモンスター、素材あるか? あ~、魔石で問題ねェ」
「魔石で良いのね。え~っと、この辺がゲジゲジ、この辺がスコーピオン、この辺がムカデだろ? んでどれがどの地点で会ったヤツだったかな――」
記憶が曖昧なんだよなぁ。
「別に種類だけで良いン――」
「これがここで、これがこっち、こうこうこうの……こうで、こうこう」
「――で? 種類は?」
「種類? ……コイツが赤っぽい小さめゲジゲジ、コイツが白い普通のゲジゲジ、コイツも赤っぽい小さいゲジゲジで、この砕けたのが青いスコーピオン、これもそうだな」
「全部憶えてンのか?」
「おう」
「なら指さしたヤツから順に言え」
「了解」
意外と憶えてるモンだな。
まぁ、命懸けて戦った相手だし昨日だし。
全部が全部同じ形状ってワケでもないしな。
想像よりも多く残った記憶。
それを頼りにマユゲの求める情報をすべて吐き出す。
モンスターの種類、大きさの差異、主観的強弱。
手掛かりになりそうなモノは全て、俺が必要だとは思わなかったような要素ですら悉く、事細かにその全容を明らかにするために絞り出された。
「……ちょっと待て、数分で終わる」
「え……」
知りうる情報すべてを話し、それがすべてだと理解したマユゲは数秒の思考の後にそう呟く。
思わず聞き返すがそれ以上の反応もなく。
先の言葉通り。
七分後。
魔道具で魔石を計測したかと思えばその出た計測結果を元にものすごい勢いで計算をし、それを終えたマユゲが脳に溜まった熱を排出するかのように一度だけ深く息を吐いた。
「原因の場所は情報の乱れがデケェせいでわからンが、どういうモンかはわかった。上下で範囲にズレがあンのは距離のせいじゃねェ、モンスターの強さのせいだ」
「モンスターの強さ。……魔術防御ってことか?」
「大まかにはそォいうこった。モンスターによって異なる魔力保有量と魔術耐性、そんで種類による発生から完成までの時間経過。同じ層で大して違わねェのはモンスターの種類が違っても根本的な差がそこまでねェからだ」
「やっぱモンスターが出現してからの未熟な時期に影響受けてるのか」
「なンとなくは予想してたンだな」
「確証はなかったが考えはした」
「そォか」
一昨日の推測は一応当たっていたらしい。
だがここからどうすればいいのか。
乱れがあるせいで根本の解消ができず。
これ以上どうすればいいのか、俺には本当にわからない。
元々は魔の異常な状態という要素がノースミナスを彷彿とさせたからそれを確かめるために動いた。
状況はそれに似てはいるモンスターの出現域のズレ。
さて、どうしたもんか。
いやホント、どうしたもんか。
不自然な流れをどうにかしようにも元凶を探す術はなし。
多分唯一あるのは虱潰し。
どうしろってんだ?
ズレを害と認識しなかったら実害なしだから放置しても良いかもしれないけど。
今放置して手遅れになったら大惨事だし。
何よりも犯人の目的を突き止めないことには判断ができない。
ただの未知の自然現象なりなんなりの偶然なら良いけど、もし意図的に引き起こされたモノで。
それが悪意まみれのモンだったら放置は捨て置くことなどできるはずがない。
「……」
「はァ。貸しだかンな?」
「ぅえ?」
「この流れだと――六層北西部。多分そこに強めのモンスターがいる。そいつ倒してェ、ンで最低二時間くらい経ってから指定の座標でギルドの奴に計測させろォ。出た数字をこの式に当てはめて出た座標が大体要因だ。つってもお前じゃこれっぽっちも理解できねェだろォから計算もギルドの奴に任せちまえ。資料の雰囲気から考えてそれなりに学のある奴だろォからなァ」
「マジで?」
宙に文字を書くかのように指先を動かし、そして出した答えを地図に書き込み、また別の紙には難解そうな式が大量に刻まれる。
この世界特有の物理法則などが関わっているらしく、さらにいえばそもそも数学記号などに関しては全く習っていないからその式がどこまでで一つなのか、いくつ式が書かれているのかすらもわからない。
だが、マユゲが答えを提示してくれたことはわかる。
あとは邪魔なモノを排除するだけ。
「マユゲッ! ありがとう!!」
「やめろっ! 抱きつくンじゃねェっ!?」
「あ、ごめん」
抱きつきたくて抱きつきました~。
サーセンッ!
「殴ンぞ?」
「過激な愛情表現ですこと」
「捻り潰すぞ?」
「うえぇぇ……ごめんなさい」
「真面目にやってるかと思えばいきなりふざけやがって……テメェの情緒はどォなってンだ?」
「マユゲからの愛に支えられて成り立っております」
「つまり情緒は浮いてンのか」
「ちょっと待ってぇッ!? それだと愛情が一切ないことになります!」
「あると思うか?」
「あります!」
「ほォ」
ちょっとで良いんで愛情をください。
そういうわかりにくい、というか遠回しな感じの愛情じゃなくて、真っすぐな。
こう、胸を真っすぐ打つような。
そんな愛情です。
「胸を真っすぐ打つような、ねェ……」
「殴らないでくださいね? ね?」
「胸が苦しくなって過呼吸になるくれェのをくれてやろォ」
「マジ、勘弁……今日ワリと疲れてるんすよ」
「懲りろ」
「承知致しました!!」
本気の
怒りはない。
が、呆れがある。
つまり愛想が尽きる方向へと向かっていた。
それは嫌だ。
マユゲにそれをされたくはない。
あくまでも
「ったく……人肌恋しいとか寂しがり屋さンですかァ?」
「違うはずです、はい」
「せめてこっちに合わせるなり聞くなりしろってンだァ」
「聞いたら許可下りる?」
「…………どォせ前にやったしなァ、膝の上に乗るくらいはしてやンよ」
「マジすか」
アレはああいう流れだからそうしただけだと思ってた。
それ以外の時だと許してくれない的な。
「ベタベタ触らせる気はねェけどなァ」
「うぃ」
流石にそこまで気安くはないらしい。
だが今は触れ合える程度には許してもらえている事実を喜ぼう。
「まぁ、息抜きがてらの冗談は終わりますか」
「あァ。時間はねェが魔道具くらいは作ってやれるぜ?」
「う~ん……すべてを使いこなせてるワケじゃないし、今は良いかな~」
「そォか」
バリア、経験値吸収、収納空間、カーバンクル、ナイフ。
咄嗟の選択肢として身近てなくては本当に使いべき時に使えない。
選択肢は多すぎても逆に選択肢を少なくする。
必要なモノだけ使いたい。
「あ、バリアの強化ってできる?」
「できるぞ。仕組みは変えねェで基本性能だけ向上、それで良いか?」
「それで頼む」
アップグレードだ、わぁい。
元々強度は文句なかったけど上げれるなら上げたいし。
「他はなンか要望あるか?」
「……特にないかな? 完成するまで訓練してていい?」
「好きにしろォ、いつも通りなァ」
「ういっす」
明日、か……。
楽しみで怖いなぁ。
六層……強さがどんなもんか。
つーか絶対実力不足で足引っ張るよ。
どうにかして実力を補う……せめて足を引っ張らない様に。
どうすればいいんだ?
全身を駆ける不安と焦燥。
非力――いや、無力。
そんな感情に支配されるのが嫌で、脳が必死に答えを求める。
今、自分の持つ力をどう扱えば足手まといにならずに済むのか、と。
知恵のない俺にできる最大限の実力。
疾うに火は点いている。
点され、火が火を生み、全身に廻っていた熱。
けれど生まれた負の感覚が。
過熱していた脳を冷やし。
巡りを良くする。
強く在りたい。
けど今回そう在るのは無理だ。
なら俺にできるのはサポート。
思考を放棄するな。
恥じるな。
恥じたら脚が竦む。
そんな情けない姿……皆に見せて堪るかよ!
選択肢が多すぎて使いこなせない(作者が)
一応まとめてはいるものの、結構難しい……
というか最近本当にモチベがヤバいです
多分一八〇話まで書いて一度一区切りつけたら休載します
色々考えてたことを書ききれていないのでそのうち戻りますけどそれがいつになるか
ヒイラギの過去……は特に語るほどのモノがないので隠し設定程度ですが、その他マユゲの色々だったり、ヘルベルトの色々だったり、後輩との色々だったり、サイカとの色々だったり、ヴァーチュ+?との色々だったり、アデルとの色々だったり、設定と展開決めてて使わないのはもったいないですし