ワリとクズな主人公が行く! 異世界洗脳!!   作:名無しのクズ

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第一七八話 ちょっとした因縁、年頃の娯楽

「それでその設計図はどォしたンだ? まァ結果はわかってるが」

「ギルドが押収、その後は衛兵行きだとさ。解読は難航するだろうけどジョージ(はんにん)の証言通りだと世間に出まわったらヤベェ、ってことで」

「そォだろォなァ……ちょっと見たかったンだが」

 

 とても残念そうにするマユゲ。

 当然だ。

 魔術を研究する人間にとって“魔石を生み出せる”というのはなんとも魅力的な話だし、それ以上に“未知の魔道具”というのは何にも勝る好奇心の火種だ。

 経験という燃料を蓄えた者ほどその影響は大きいだろう。

 

「書けるぞ? 理解はできなくとも見たからな、【洗脳(さいげん)】余裕よ」

「マジか。なら頼む」

「んじゃ二分と作図道具くれ」

「任せろ」

 

 よほど楽しみだったのかいつも以上に素早く動き、作図道具が用意される。

 

 思い出せない記憶を【洗脳】で強制的に引き出して――記憶を目の前の紙に投射。

 んでその記憶を(ペン)でなぞるっ。

 

「ふぅ、ざっとこんなモンだ」

「ほォン? 魔石を創る研究はしてたしその手段は“物質化”だと思ってたンだが……なるほど“概念強化”かァ。収集した魔を魔力に変換、その後魔力を特定の配置にして存在力を強化して個体として成立させることで魔道具の影響下を離れた後も魔石として安定させてるってワケだなァ」

「はい! マユゲ先生ッ! 言ってることがよくわかりません!!」

「あ~、簡単に言えばだなァ……魔術で創った物質は普通魔力が切れりゃ消えンだろ?」

「そうだな、うん。そこまでは理解しましたぁ」

「けど普段以上に魔力を込めて存在力を上げりゃ魔力の供給を切っても残ンだろ?」

「なるほどぉ、理解ッ!」

 

 回路の意味はやっぱわかんないけど、その理屈はなんとなく理解した。

 つーか一目見ただけで理解するとかマユゲはやっぱりスゲーよなぁ。

 

「詳しいことはお前に言ってもわからンだろォし、そのあたりは省くとして、だァ。この部分、そのなンて言ったか……ジョージだったか? の改変した部分。発明はできンでも渡されたモンそのまま使うほど間抜けでもなかったらしィなァ」

「はい?」

「こことか、こことかだなァ。そのまま使ってたらもっと酷いことになってたと思うぜェ?」

「マジか……」

魔石創造装置(こんなモン)造れるよォなヤツがこンなこと気づかねェワケがァねェ。まず間違いなく意図的なモンだ」

「おぉう……」

 

 発明ができる犯罪者。

 なんとも厄介な相手である。

 相手の武器を予想できないのは戦いにおいて厄介だ。

 俺たちの持ちうる武器は基本的に一般的なモノ。

 敵も知っている可能性が高く、けれど相手は情報秘匿が容易だからこちらは武器を知り得ない。

 これは途轍もなく厄介だ。

 具体的には“雑巾が必要なことを前日の夜に言う子ども”くらい厄介だ。

 

「そンでもって、ここだァ。見覚えねェか?」

「? あるような……あるような」

「あるじゃねェかよ。まァ答えを言っちまうとトリゴで見つけたヤツだ」

「あ~! スライムの!!」

「そォだ。魔を集めて魔力に変換して~、っていうのはまンま同じだ。回路の組み方も同じ、確実に同一犯」

「……はぁ、逃がした魚はデカかったなぁ。……いや利益(さかな)じゃねえか。逃がした犯罪者は凶悪?」

「そのままじゃねェか……」

「ホントだ」

 

 状況を指す言葉としてなんの比喩にもなってないし。

 なんならシャノンの情報理論的には情報量ゼロだしで、クソじゃん。

 

「?」

「あ~、前コンピュータとか二進数の話したじゃん?」

「あァ」

「二択の質問に対する回答は情報量一、八択なら情報量は三。けど当然のことだったら情報量はなくなるわけよ。例えば“魔術の発動には魔力がいるよね~”って言ったところでそれは当然の話で、その話は何の意味も成さない。もし内部も外部も魔力を必要としない魔術があるなら別だけど、少なくとも現代じゃ発見されてないし」

「そォいうことか。確かにさっきの発言情報量ねェなァ」

「だろ?」

「基本お前の話そォだけど」

「さーせん」

 

 無駄話が多くてさーせん。

 まぁ、ですよね~。

 俺のこと興味ないですよねぇ……。

 辛いわぁ。

 

「知ってることだからなァ。知らンことならともかく」

「あれ? そんなに同じこと言ってる?」

「……オレが一方的に知ってるってことだ」

「んん~? もしかして心の声で聴いた後に口で喋られると完全重複で意味なし、とかそういう?」

「違うンだが……まあなんでもいい、気にすンな」

「あ~い」

 

 にしても、ホント、メンドクセェなぁ~ッ。

 こちとら楽しく探索とか冒険とかして、殺し殺されのキャッキャウフフをしたいだけなのに。

 それが……どうしてぇ?!

 

「諦めろ」

「うぇッ!? ナンデ、諦めるナンデ!?」

「そりゃァ、盗賊云々だの犯罪組織云々だの、スライム使った都市崩壊だの、魔道具での厄介事だの。次から次に引き寄せる“面倒事磁石”のお前に平穏な殺し合いは無理ってモンだろォが」

「面倒事磁石て……」

 

 けど言い返せねぇ。

 いや、この国が色々物騒なだけ。

 多分。

 

「それは否定しねェがよ……」

「わかってますって……。結局そういうことに巻き込まれたり首突っ込んだりしてるのに違いはありませんとも」

 

 あ~、休みは別に要らんが……好きなコトだけしていられる時間が欲しい……。

 具体的に何するんだって聞かれたら、まあ、わからんが。

 ……ホント俺って何がしたいんだ?

 戦闘、戦い、バトル……って、言い換えてるだけじゃんッ。

 一七歳、この年頃だと……青春……ん?

 この世界に来て一〇〇日過ぎ。

 誕生日過ぎてもう一八じゃん。

 まあ良いか、取り敢えずこのくらいの年齢だと……青春?

 青春って何すんだ?

 勉強? 部活? 恋愛(セックス)

 現代人ってお盛んだよなぁ……。

 ぶっちゃけ経験なくて良さがわからんから興味もないし。

 ……わからん。

 青春って何するんだ?

 

「どう思う?」

「頭ン中で考えるのは良いが聞かれてること前提で話すンじゃねェ。聞こえるが聴いてると同じなワケじゃねェんだぞ」

「うっす。で、どう思う?」

「どれに対する回答を求めてんだテメェはよ……。テメェの知りたいことならそりゃテメェで探せ。その年頃の普通が知りたいならそもそも前提が間違ってンだよ。そっちの認識じゃ未成年でもこっちじゃ成人だ、何すンのが普通かっつーなら“働け”が答えだな」

「この年頃の娯楽は?」

「飯、博打、娼館、読書、研究。そのへンじゃねェか?」

「あ~……」

 

 食事。

 普段からそれなりに食べ歩いているため不満はなく、量を増やせば逆にストレスになる可能性。

 博打。

 賭け事をやろうと思ったことがそもそもない。

 娼館。

 さっき考えたのと同様に性的経験がないゆえにそもそも性的欲求を持て余していない。

 読書。

 これは良いかもしれない。

 積み本が色々溜まっているし、その消化というのは魅力的ではある。

 研究。

 前提知識がない。

 が、趣味でスライムの研究をする程度なら専門知識は要らないだろうから暇つぶしには良い。

 極めるとなれば別だが。

 

「本職に影響ない程度に趣味でも見つけてみますかぁ~。……あれ、明日二人帰ってくるんじゃね?」

「サースティの方は知らンがクアークの方は今日の夜か明日の朝早くだなァ」

「あれ? なんで知ってんの?」

「……知ってたらおかしいか?」

「意外と繋がりあったんだなぁ、って」

「……そりゃァあるだろォが。アイツの固有能力封じる魔道具だって壊れねェワケじゃねェンだぞ」

「それもそうか。……ところでさ、マユゲの能力は封じれないワケ? 外出る時とか疲れない?」

「仕組みが違うンだよ。アイツのは本人から他者に影響を及ぼす類の力だ。オレのは周囲から無差別に影響を及ぼされる力だ。魔力感知の派生みたいなモン。それ封じたら危ねェだろォが」

「ンなるほどぉ」

 

 クアークは特殊な体臭があって、今は消臭してるみたいなモン。

 体臭が出ないようにするって根本解決はできてないけど消臭で対処はできてる。

 けどマユゲは周囲から特殊な体臭を敏感に嗅ぎ取ってるようなモン。

 それの対処には今みたいな人のいないところに行く以外だと鼻を使わない、になるけど。

 それだと色々不便になる。

 ってことか。

 

「その理解の仕方で良いけどよォ。……女の方が匂いに敏感な分そォいう話題にも敏感なンだ、本人に言うンじゃねェぞ。オレは大して気にしねェが」

「あ~、1.5倍だっけ? 詳しく調べてないし情報源曖昧だから適当知識だけど。まあそれにこっちの世界の人間の嗅覚男女差は同じとは限らんし」

「そっちのはどうか知らねェがこっちは色々男らしさとか女らしさとかあンだし、それに則して色々気にすンだからよォ」

「は~い。ちなみに俺はマユゲの匂い好き~。淡く香る花の匂いとか優しい緑の匂いとか、回出て落ち着く~」

「はいはい、そォですかァ」

「素っ気なぁい、つれなぁい」

 

 実際ホントに好きなんだけどなぁ。

 嗅いでて落ち着くし。

 あ~、でも香水とか香油とか着けてるんだったら“それ自分の匂いじゃないし”ってなるだけか。

 実際なんの匂いなんだ?

 故郷の森とか?

 ……ま、いっか。

 魔術種(エルフ)の森なら俺とか一生行く機会ないだろぉし。

 

「そンなとこだ」

「そうですかい。……ちなみに俺の臭いってどんな感じ? 臭い? 実はもう既に加齢臭する?!」

「汗」

「……そうじゃなくて」

「基本そンなもンだろ?」

「主観の問題っ。臭いって基本汗か脂とかなんだから。マユゲさんが俺の体臭を嗅いで不快かどうかってこと、です、ヨっ」

「不快……」

「やっぱ不快なの!?」

「不快? 汗の匂いとしか認識してねェしなァ……」

 

 あ、そもそも大して意識してなかったんですね。

 悲しぃ。

 

 不快とかそういう以前の話だったことに少し衝撃を受ける。

 好いている身としては無関心でいて欲しくはない。

 

「ちょっと嗅ぐぞ」

「あ、ちょっ――」

 

 胸倉を掴まれた瞬間ちょっとだけ恐怖を感じ。

 直後胸元にマユゲの顔が当たることが少し嬉しく、少し恥ずかしかった。

 というかかなり恥ずかしかった。

 

「別に不快ではねェなァ。好きってワケでもねェけど。相も変わらずお前の匂い、って感じだなァ」

「ほうほう……わからんが不快ではなさそうで何よりっ」

 

 それなら別に良いかと、少し安心した。




 実は一八歳になっていたヒイラギ
 別に祝って欲しいと思っていないし成人してるから祝う必要もないという


 調べたら初体験が一〇代前半の人もいるみたいですねぇ……
 社会の認識に反した愚かな行為と言えば良いのか、それども少子化の現代社会ではある種の解であると言えば良いのか
 少なくとも子育てに関して知能レベルが低下した現代日本じゃ危ない選択ですねぇ、と

 まあ、結論“好きにしろ”なんですけどね(笑)
 自分含めて身内に結婚しそうな人いないんで関係なさそうです
 いたら手伝ったりと関係出てきそうではありますが


 ちなみに後二話で一時休載です
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