ワリとクズな主人公が行く! 異世界洗脳!! 作:名無しのクズ
「さっきまでシャプルのところにいたんだけど、マユゲって友達いたのな」
「……はァ?」
露骨なまでに嫌そうな顔を向けられた。
色々な感情が混ざっていて、どちらかといえば多いのは理解できないといった感情。
そんなにも気に障ったのだろうか。
「おめェは何を言ってるンですかねェ?」
「シャプルだよ、シャプル。神星教の女の人で濃紺交じりの金髪美人」
「あァ……アイツかァ」
犬猿の仲だからといってそんなにも忘れるモノなのだろうか。
とはいえ嫌いな奴は記憶に残るっていうのはあくまでも俺個人の感覚でしかない。
世界も違うワケだしそういう精神性の人間がいてもおかしくはないだろう。
「アイツと会ったのか、この世界に来て四日目だろ? 早くねェか?」
「そうか? ああ、でも、確かにそうか。マユゲにベアトリクスに受付にシャプルって、昔に比べりゃかなり交流が増えてるし」
「……オレが言えたことじゃねェが、そいつァ流石に少なくねェかァ?」
「言ってて俺も思った。まあ今はそこそこ付き合いも増えたし、何より愛しのマユゲもいるしぃ?」
「きめェ」
いけずだなぁ。
まあ、実際驚き。
付き合い皆無だったのがこの世界に来てこんなに付き合い増えるとは。
前の世界とこの世界の人間の精神性の違いだろうか?
……どっちかっていえば俺の方か。
前は同じ世界の人間だからって周囲の人間を諦めてて、それが世界が変わったことでなくなって。
そう考えると想像以上にくだらねぇな、俺。
「ちなみにその受付嬢ってのは白いのか?」
「白? ……クジノヴァじゃねえぞ? 名前は知らんが猫感の強い獣人で
「フェードロヴァか」
「知ってるのか」
「深い関わりはねェ。が、何度関わりがあった。向こうはオレのこと憶えていねェだろォがな」
「カワイソス」
てかおしゃれな名前してるのな。
長くて呼びづらそうだけど。
「てか嫉妬しないのか」
「嫉妬? なンでだ?」
「だってぇ、求愛してるマユゲの前で違う女の子を可愛いって言ったんだぞ?」
「……あ~……ねェな。お前なら十人以上女作りそうだ」
「え? 俺ってそんなにモテそう? 将来有望? マジかぁ、モテる男はツレーわ」
「……」
「いや、ツッコんで。独りでボケても寂しいじゃん」
「……そうか」
え、ええ……。
な、何?
この意識の食い違いは一体なんなのさ。
マユゲなら鼻で笑うと思っていたから予想外の反応に思わず動揺してしまう。
それにその前の部分も気になる。
まさかとは思うが、さっきの言葉、本気で言っていたのだろうか。
本当に俺が十人以上の異性と付き合い、結婚することをあり得ると思っていたのだろうか。
それを考えるとマユゲの中で一体俺はどんな人間になっているのか、興味と不安がある。
「ちなみに具体的な話。それって俺からガツガツ行きそうってこと? それとも周囲の方から来そうってこと? どっちなの?」
「どっちもだなァ。気に入れば好きになるし、向こうから来る時は嫌いじゃねェなら受け入れる。てめェはそういう奴だろォが。少なくともオレの認識じゃそォだ」
「うん。まあ本気で好きになってくれるなら基本オッケーよ? 性格に難ありじゃなけりゃ大体。多少変な女でも許容範囲内ならその変なところごと好きになるだろうし……」
だからといって十人以上は予想外だ。
俺も流石にそこまで思い上がることはできそうにない。
可能な範囲で精々五人程度だと思っていた。
大体、そんな十人以上なんて国王でもない限り想像できない。
かといって国王なんてなれるワケがない。
頭もカリスマも鼻で笑われるレベルのクソ雑魚ナメクジなのだから。
「でも、ええぇ……」
「ま、当分ねェだろォから安心しろよ」
「それはそれで寂しいような……」
「ほンっと、メンドクセエなお前!?」
「当分ないってことは当分マユゲは俺を意識してくれないってことじゃん」
「……おォ」
「肯定されちゃった」
ま、それもそうか。
全然強くなれてないし。
条件に当てはまらない。
フィクションのキャラみたいに一気に覚醒して、っていう未来を否定されたのは悲しいけど。
「ま、良いや。今日の分のサンプルは渡したし、また夜に来るわ」
「……ヒイラギ」
「うん?」
「アイツに次会ったらよォ、オレのこと言ってから
「よくわからんが……わかった。風とって言って雪って返ってきたら連れてくるんだな」
何かの符丁だろうか。
一体何を意味しているのか……。
なんかの本にでも書いてあったりするのか?
そのうち本を読んでみるか。
「よっす、フェードロヴァ。依頼を終わらせ帰ってきましたよ~っと」
「お帰りにゃさいにゃの。というか私
「いや、人から聞いた」
「そっか。フェーニャでいいよ」
「じゃあフェーニャン」
「あ~……それでもいい」
モフモフしたい。
耳がピクピク動いてるの可愛い。
猫吸いたい。
「にゃんか嫌な感じがした」
「ごめん」
「別に良いけどにゃ。仕事上
「ホント、ごめん」
そこらの男と同類は嫌だ。
これからは気をつけよう。
流石に女の子はそういう感情向けられるのは嫌だよなぁ、フェーニャン以外にも気をつけるか。
「大丈夫だから。それより依頼の方、終わったんでしょ?」
「おう、これがその証明」
「依頼者のサインと依頼者証明のメダル。うん、大丈夫、バッチリ!」
「そうなのか。渡されたときから気になってたがそのメダル、依頼者証明のメダルなのな」
片面にはギルドのマークが。
もう片方には龍らしきマークが刻まれていて。
メダル側面には数字が刻まれている。
「そう。これは依頼書を作成した時に依頼者に渡すメダルにゃの。ギルドの方で色々記録を取ってるから偽造しても意味がにゃい。うっかりこれを受け取り忘れちゃったらお金が貰えないから気をつけるようにッ」
「へ~、色々考えられてるのな。ちゃんと気をつけないと」
「まあ、開拓兵ってほとんど討伐ばっかりだから知らにゃい奴もいっぱいだけど」
「確かに。こうやって依頼者と会う依頼を受けないと見る機会ないな」
モンスターの討伐、素材の納品なんかはその証拠をギルドに提出すればそれで依頼達成になるから場合によってはこのメダルを一生見ないかもしれない。
「ちにゃみにッ。メダルを偽造偽装してそれがバレたらかなりの重罪だから気をつけるように」
「え、マジで? たったそれだけで?!」
「たったそれだけ、じゃにゃいッ。メダルの偽造偽装はギルドの信用ガタ落ち、場合によっては経済事情まで大きく影響を及ぼす大切なモノにゃの。事が事にゃら国が傾くから国家転覆罪に問われてもおかしくにゃい犯罪にゃの!」
「た、確かに!」
言われてみれば前の世界でも通貨の偽造はかなりの重罪だった。
記憶が確かなら殺人と同等かそれ以上だったはず。
詳しくはわからないが普通の殺人が数人や十数人程度と考えて、通貨偽造は場合によっては何万何十万もの人間を死に追いやりかねないからだろう。
同じように考えればメダルの偽造が重罪なのも納得がいく。
「そりゃ考えてみればギルドって国の防衛、経済を担ってる重要組織だもんなぁ。そこに喧嘩売る行為はヤベェよなぁ」
「というかそもそもギルドは元々国の組織にゃの。正確にはギルドの前身、
「マジかッ!? 組織に歴史あり、色々あったんだなぁ……」
「当然にゃんだよ」
今でこそちゃんと素材の買い取りということができるだけの力があるが、それは確かに金は無限じゃない。
ただ買い取るだけの金は無限にはなく、仮に無限に出せるとしたらそれは国家だけ。
とはいえ金は無限でもリソースは有限。
毒のあるフグをどうにか食べられないかと毒のない部分を探したり、毒を失くして食べれるようにしたかつての日本人のように竜をも利用して金にした。
竜に価値を見出すことで竜をリソースとして職人に仕事を与えられるし、職人の造った装備のお陰で狩竜人たちの死亡率も低下させられる。
一般人にはできないことだ。
「国王ヤベー、一族丸ごとヤベー。一生勝てる気がしねー。つーか現人神とか言われても余裕で信じちゃいそうだわ」
世の中にはラノベ主人公も真っ青なチート人間が稀に生まれる。
だから実在を疑ったりはしないが、現実逃避くらいはしたくなる。
もうこれはジョン・フォン・ノイマンの異名が『人間のフリをした悪魔』になるくらい当然のことだ。
理解の及ばない存在を畏怖するのは大昔からの当然というか、生物の本能。
どうしよ、実はこの世界の人間皆俺以上の知能の持ち主だったら。
ヤベェよ、話についていける気がしねぇよ。
話が当然のように一段飛ばしで進んで行くとかなったら俺人間不信になりそう。
「国王様は代々凄い人たちばかりにゃのさぁ。英雄だったり、英雄とお友達だったり」
「子どものプレッシャー半端なさそう」
「王族は負けず嫌いの血らしくて幸いそういうのはにゃいらしいよ」
「なるほど、上手くできてる」
負けず嫌いなら周囲の大人たちの凄さに絶望する前に絶望する自分に負けてたまるかって全力で頑張るだろうし。
「あ、王族で思い出したんだけどさ。アデル・オーガストって知ってる? 上級騎士だから多分そこそこ偉いと思うんだけど……」
「アデル様はそこそこどころじゃにゃい偉い人だよ。にゃんてったって初代国王様と肩を並べて戦ったオーガスト様の血筋。名家の生まれで家系の人は全員凄い強いって
「そんなに凄い奴に俺は会ったのか……」
「会ったの?!」
「おう、街の外で、ちょろっと話した」
「凄いにゃぁ……羨ましいにゃぁ……」
確かに今思い返せば動きの一切に隙がなかった。
明らかに素人な俺相手でも全く油断してなかったし。
なんか……俺の幸運ストックがそろそろ限界を迎えそうなんだけど?
これから一気に不幸だ~ってならない?
「まあ、同じ街にいるんだし、機会があれば会えるんじゃね?」
「普通は遠目で見るだけにゃんだけど……」
「……それも、そうか」
普通に考えたらそれだけでも凄いことなんだよな。
……怖いわぁ。
まあこんな大事な存在に国が絡んでいないワケありませんね
万が一にでもギルドが潰れたらその後のモンスター討伐はどうするの?って話です
仮に善意でモンスター討伐をしてくれるとしてもやがて開拓兵の金は尽きる、金が尽きると装備が買えなかったり手入れできなかったりで戦えなくなる、戦えないと国が外側からゆっくり滅ぶ
もしギルドの起源が民間であったとしてもそれなりに国が保護はしますわ
ちなみに狩竜人の方のストーリーは一応ちゃんとあります
ただそれを小説にしたらかなり長くなるんで書いてあるのは現状小説一巻分だけ
設定はちゃんと作ってるんですけどね、大まかなストーリーもありますし
けどその骨に肉をつけて造形するのが作者の性格や書く能力、モチベーション的に辛いっていう
要望が多ければ出す――かもしれません