ワリとクズな主人公が行く! 異世界洗脳!! 作:名無しのクズ
「タイミングが悪いな」
戻ってくると多くの面々が休憩をしていた。
訓練をしているのは数人だけ。
その数人は他の者たちよりも長く訓練をしているのか、それとも休憩を早々に切り上げて訓練をしているのか。
正直そこまで関わり合いのない奴らではあるのだが、それでもこの場を作ったのが俺である以上根を詰めすぎて未来を閉ざすようなことにはなって欲しくない。
「……」
流石にそこまでのことはしないと信じたいが……俺らの年頃って何しでかすかわかんないからなぁ。
「永井くん……今暇?」
「ん? 暇かそうじゃないかで言えば暇だな」
「なら、ちょっと訓練に付き合って」
「いいけど……」
そもそも誰だよ、コミュ力どうなってんの?
初対面だろ。
名前わからんわ。
「パーカーちゃんはどういう条件がお望み?」
「パーカーちゃん? 私のこと?」
「そりゃもちろん」
「
「んじゃ、彩で」
「ん」
関わんなかったらすぐに忘れそうだけど。
「で?」
「軽く組手、素手で」
「オケオケ、魔術なし能力なしね」
基礎の体術を色んな奴相手で試せるのは俺にも良いから喜んで受けよう。
本気出せないのはちょっと窮屈だけど自分の動き把握に意識を割けるって考えたら問題ない。
「そっちからドーゾ」
「やぁッ!」
彩からの攻撃。
あまりにも真っすぐな右拳を俺は左手で上に払いながら右手で掴みに掛かる。
だが指先が手に触れて握りかかった瞬間、彩は勢いよく拳を捻って俺の掴みを防いだ。
失敗したと理解すると、俺はすぐ次の手を打つ。
掴みに掛かっていた反転し、手刀で首を叩く。
それすらも彩は仰け反ることで回避した。
「ちッ」
一撃くらいは当てれると予想していたからこの結果は中々辛い。
こちらの一切が読まれている気分、一切が通用しない気分だ。
「ぉらッ!」
自分の方が先だった、なんて理由で余裕ぶるのはやめだ。
全力は出さないが本気で戦う。
そうじゃないと負けの可能性の方が濃い。
「ほッ!」
「ッ……」
試しにわかりやすい一撃を放ってみたが効果はナシ。
舐めプと思えるレベルで紙一重の回避をしてきて少しイラっとする。
次に途中で腕を鞭のようにしならせて叩きに行ったが彩の目が俺の腕を正確に追ってきた。
「見えてんなぁ、てめぇ」
「うん。バッチリ」
「っかぁッ!! ムカつくなぁオイ」
スポーツとかそういう経験があるのかは知らんが彩は多分以上に思えるレベルで眼が良い。
見えてるモノが全て目で追えるレベルで。
だがそうだというのなら手の打ちようはある。
効くかはわからんが少なくとも可能性は残っている。
「ならッ」
両腕に力を籠め、左脚を踏み出し、先に右腕を出す。
顔面目掛けて突き出した右拳。
彩は速度重視で出した拳の速度に少し驚いて目を見開きながら上半身を少し横に反らしてそれを避けた。
けれど俺は右拳を出した直後に左拳も出していた。
右拳の陰に隠れて見えなくなっていた左拳を見た彩はギョッとしながらもすぐキッと眉間に力を込めて左拳を避けようとする。
「ぃゖる……」
油断したように彩がそう漏らした直後、彩の身体はガクンと落ちた。
拳に気を取られた彩は俺の蹴りに気づかず、膝を蹴られて体勢を崩したのである。
「はい、終わり」
そこからは呆気なく終わった。
攻撃を受け、理解ができずにそのまま倒れていった彩。
頭を打たないように手を挟んでカバーしながら額に拳を軽く当てて勝利宣言を行う。
負けるとは思っていなかったのか、少ししても正気が戻らない彩を無理起き上がらせながら俺は彩から手を離した。
「俺の勝ち! なんで負けたか明日までに考えといてください」
軽く煽りつつその場を離れようと背を向けると突然腕を掴まれて全身が仰け反る。
「今教えて」
「え、ええぇ……流石に考える機会を奪いたかねーぞ」
「なら答え合わせ。眼に頼り過ぎたから、違う?」
「正解。お前は眼が良いからそれがかえって弱点になってしまった。ちょいちょいその気配はあったがそれ以外の感覚を疎かにし過ぎだし眼を絶対視し過ぎ」
眼だけに。
……はい。
「相手の動きを予測しろ。全体を俯瞰しろ。……つっても俺も全然未熟なんだが」
「うん……」
「眼が良いのは武器だが武器を失ったら戦えない、なんてのは止めておけ。今やってる体術が万が一の時に命を助けるって理解してるから体術頑張ってんだろ? ならちゃんとしろ。どれだけやったか、じゃねえ。どうやったか、だ。自分が努力しているその行動の意味を理解して意識しとけ」
「ありがと……」
「おう。これからも頑張れよ、何かありゃ助けてやっからよ」
あ~、恥ずかし。
俺だってロクにできないくせにカッコつけちまった。
もう今日はベッドに入れないじゃん。
入ったら恥ずかしさでバタバタしちゃうよ。
「やさしーじゃねえの」
「揶揄ってくれるな、ベアトリクス……俺は今猛烈に恥ずかしいんだ」
「いや、私は良いと思うぞ?」
「そんな笑いを堪えながら言われてもなんも感じねえっての」
正面に立ってるから無理だがそういうことを言うならせめて表情を隠してから言って欲しい。
そしたらまだ真面目に受け取れる。
とはいえ冗談を真面目に受け取ってもそれはそれで問題かもしれないが。
「いや、真面目な話、私は嬉しかったぞ」
「? なんで関係のないベアトリクスが嬉しーんだよ」
「言ったろ、お前もそのうちちゃんと誰かの面倒を見ろって。別に特別強くなくても良いんだよ、ただできる範囲で誰かを助けりゃ。んでもってお前はちゃんと出来る範囲でサイに助言をした」
「……まあ、それくらいは俺でもする」
「それで良いんだよ。人間なんてのは聖人君子にゃなれねえんだ、なれてその手前。私はお前に全ては求めない、可能な範囲の全力で充分だ」
「……それはそれで大変だが、まあ要するに全力で生きろってことね」
言葉にする気はないけど、やっぱり嬉しい。
ベアトリクスにとっては大したことは言ってないんだろうけど、それでも過剰なことを求めずに目の前にいる
少なくともベアトリクスの前では俺が俺で在れてるって感じだ。
小さいことかもしれないが、それが嬉しい。
「俺はベアトリクスが好きだからな、顔向けできないような生き方はしたくねえよ」
「ほ~ん」
ちょっとは興味持ってよ。
確かにそういう意図では言ってないけどさ、ちょっとくらいは反応してくれ。
これが
やっぱ俺にカッコいいと思える要素ないしな。
「ま、俺はやりたいようにするし、やるべきだと思ったことをするだけだからな。たまに間違うかもしんねえからそん時ゃよろしく頼むわ」
「全力でケツひっぱたいてやるよ」
「……ちょっとは手加減して」
俺の尻肉がミンチになっちゃう。
「ま、それはそれとして」
「やるか」
「おう」
書いてて思った、キャラ多くね? と
そして同時に思った、ま、現実よりはマシだろ、と
そもそも作者は人の顔と名前を覚えるのが苦手なんですよね
高校時代は二年三年とクラスの面子が同じだったんですけどようやく覚え始めたのが三年の途中っていう……
卒業時に憶えていたのは男十未満、女三くらい(クラス作者を除いて三九名)
ボッチだし、仕方ないね