ワリとクズな主人公が行く! 異世界洗脳!!   作:名無しのクズ

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今日発売の新刊を買いに行ったら何故か売ってませんでした
正確には特装版がありませんでした
六巻までは普通に入荷してたのに……なんで七巻だけ?
通常版の七巻は大量に入荷してたのに

追記:時代設定を忘れてて冒険者を出してました
   正しくは開拓兵です
   ストーリーに影響はありませんが二話三話四話五話七話八話一四話一九話二〇話二二話二三話の部分を修正し二話には一文追加しました
   設定間違えてごめんなさい


第二四話 偶然の出会い

「鳥人? でも嘴は?」

「獣人の肉体が個人によるのは知ってるだろ。私は偶然口元が普人種に近かったんだ」

「近かった? 正確には違うのか?」

「ほらっ」

 

 大きく開けた口。

 別に口を開けることで口の形状が尖って嘴に見えるとかそういうことはなかった。

 ただ歯が鋭い。

 いわゆるギザ歯(・・・)だったのだ。

 

「カッケぇじゃん」

「……変わってるな」

「そぉか? 強そうに見えて良いだろ」

「普通は怖がるんだよ。こんな歯で、前提が獣人なんだから」

 

 ……?

 何を言っているんだ?

 

「なんで獣人が怖がられんだ?」

「そりゃこんな見た目だからそうだろう」

「街にいくらでもいるだろ」

「確かに街にはたくさんいるし普通に働いてる。法律でもちゃんと獣人を普人と同じ人間に含むって言ってる」

「なら平気だろうが」

「だからって差別意識が変えられるわけじゃない」

「まあ、それはそうだな」

 

 法律で決まっていることにみんなが従うなら犯罪はない。

 殺人事件も、信号無視も何も起きない。

 けれど現実じゃ前の世界もこの世界も法律(ルール)を無視する奴は平然といる。

 咎められないからと無意識に破っている奴は前の世界なら少し街を歩けばいくらでも見られた。

 

「降星歴元年以降、普人の両親から異形の人間、亜人が生まれた。情報もなんもない当時は生まれた子どもを殺したり捨てたりなんか平然とあったらしいし」

「それは……」

 

 酷い。

 そう言おうとして口を噤んだ。

 確かに恐怖心だけで捨てた親もいただろう。

 けれど異形で生まれ、育った子どもがどうなるか、どんな仕打ちを受けるか。

 それを考えて涙ながらにそうした親もいただろう。

 その親まで酷い(・・)の一言で一緒くたにするのは違うと思った。

 第一そんな考えは自分の現実逃避に思えたのだ。

 

「今は普人からは普人が生まれやすくなったらしいが、それでも当時の悪感情が残ってる。獣畜生だった馬鹿にする奴らもいる。全員がそうだとは言わないがこんな歯は大体の奴がビビってた」

「一応聞くが、獣人が殺人癖持ってるとかそういうのはないよな?」

「あるわけないだろうが。人をなんだと思ってる」

「ならどうでもいいな。少なくとも俺は気にしない。ギルドでだって進んで獣人の女に話しかけに行ってるしな」

 

 変態の国日本生まれだし。

 

「変なの」

「変人上等。どんな変人だろうと貫きゃ周囲を黙らせられるモンだろ」

 

 歴史上の偉人は変人奇人ばかりだ。

 つまり実力で黙らせたもん勝ちだろう。

 俺はその実力が足んないんだけど。

 

「けどそういう風潮があるのか……気をつけねーとなぁ」

「? 獣人じゃないのに?」

「俺が獣人じゃないからって無関係ってワケじゃねーだろぉ。もし万が一彼女ができてその子が獣人だったらちゃんと立ち向かわないとダメだろうし彼女じゃなくても仲良い奴が獣人だったらちゃんと味方できるようにそのあたりの理解もし解かなきゃだろーが」

 

 無知な状態でそういうことに関わってもロクに口出しできずに終わるのが目に見えてる。

 やるとしたらちゃんと法律とか知ったうえでやんないとこの世界における一般常識がない異世界人である以上勝ち目がないに決まってる。

 

「オルロヴァもそういうのは気をつけろよ……って流石に俺に言われるほどじゃねーか」

 

 獣人として生まれ育った人間に気をつけろなんて釈迦に説法だ。

 ……ん? これ使い方あってる?

 まあいい。

 

「今更なアドバイスどーも」

「何か困ったら言えよ~、嗅覚操作教えてもらって分くらいは働くぜぇ」

「……それってどれくらいなの?」

「あ~…………そうだな、命懸け一回?」

「多くない?」

「そうか? 例えば俺がこの先この嗅覚操作を活用していくとするだろ?」

「うん」

「つまり俺の嗅覚は一生強化されてるワケだ。とすると、それだけでかなりの価値になるワケで、もし嗅覚操作で命が助かる場面に遭遇したとするなら俺は今日オルロヴァに教えて貰ったお陰で命拾いしたってことだ」

 

 ちょっと考えただけでも嗅覚強化はかなり強い力だと思う。

 風下に立たれると使えないって弱点はあるが索敵にも使えるし、追跡にも使えたり自分の臭いをかいで追跡から誤魔化せるように応用もできるはずだ。

 五感の強化はかなり強い。

 

「だから命懸け一回って軽い方だと思うぞ? 流石に命を何度も掛けたら命が軽く思えるし鬱陶しいだけだろうから一回にしたけど」

「……そんなに重く捉えなくていいけど」

「ま、受けた恩は返すってことだけ言っとくわ」

「わかった」

 

 そうしているうちに気づけばギルドに。

 今日も今日とて賑やかだ。

 

「……臭くねえよな?」

「出てすぐに消臭したじゃん」

「でもちょっと不安で」

「大丈夫だよ」

「ならよし」

 

 悪臭漂わせてフェーニャンと会うとか最悪すぎる。

 

「じゃ、機会があればまた会おう」

「うん。機会があれば」

 

 まあ俺はプライベートで会っても平気だけど。

 

「おっすフェーニャン。これ依頼書」

「どぶさらいお疲れ様」

「なんかメダルじゃなくてハンコだったけど」

「こういう依頼は定期的かつ大規模に出してるからメダルにゃんかよりハンコの方が楽にゃの。ちにゃみに偽装防止のためにギルドの機械でだけ反応するようににゃってるからこれも嘘は吐けないの」

「ああ、そういう」

 

 つまりは硬貨から紙幣になったみたいな、そういうことだな。

 日本の紙幣での偽造防止のための透かしとか超精密な線とかがこのハンコだと特殊な機械で反応するようになってるワケか。

 考えることは世界が違っても同じというか、それがやっぱり最適解なんだろう。

 

「綺麗ににゃってるかの確認が必要だから報酬は明日以降。どうする? 今日は終わるの? それとも他の依頼やってみるの?」

「ん~、ノウハウなくてもすぐ終わる、もしくは日を跨いでも構わない依頼なんかある?」

「にゃら……これかにゃ。こっちが鉱石の方のどぶさらいで、こっちが片づけの手伝い」

「ん? 片づけの手伝い? ……え?」

 

 それは本当に依頼なのだろうか。

 片づけの手伝いはメイドでも執事でも雇ってやってもらうかそもそも散らかさないのが手っ取り早い。

 大体こんな物の少ない時代に他人の手が必要なほどの散らかりも不思議だ。

 

「依頼主のエリナはたまにこうして片づけの依頼を出すの」

「常習かよ」

 

 学ばないというか、その金があったら他のことができただろうにというなんとも不思議な感情に襲われる。

 

「……なんとなく興味が出た、その依頼受けるわ」

「にゃらはい、依頼書」

「んじゃまた後で」

 

 

 

「……ここか」

 

 指定の場所。

 そこには奇妙な雰囲気の建物があった。

 暗いとかボロいとかはなく、なんとなく妙なプレッシャーを感じる。

 周囲と比べても背景の一部になりそうなくらい普通の材質だ。

 けれどなんとなく妙な感じがする。

 

「あ~、片づけの依頼で来ました~」

 

 家の前、そこそこ大きな声でそう呼びかけるとすぐに扉が開いた。

 にもかかわらずそこには人の姿がない。

 魔術かなにかだろうと判断し、開けたイコール招かれたと考えて建物の中に入り扉を閉める。

 中はワリと広く、外観からもわかっていたが二階もある。

 左側に上への階段があり、右には奥へと続くであろう扉が。

 すると上の方から足音が聞こえ、それは頭上を通り過ぎて左へ向かい、やがてその足音は階段の先から響くようになる。

 

「ようやく来たか、待ってたよ~って、キミは……」

「どこかで会いました?」

「変わりかけの男にしては長めの黒髪、黒目、やや武骨ながらもよく見れば整った造形、濁りながらも子どものような眼差し……もしかしてキミがシャプルの言っていたヒイラギくんかい?」

「……てことはアンタがシャプルの言ってた錬金術の人か!?」

 

 まさかと思っていると頷かれ、どう反応すれば良いのか、よくわからない感情になった。

 

「そうかそうか、まあとにかく先に依頼だ。着いて来てくれよ。あ、別に敬語はいらないからね」

「わかった。まあ引き受けた以上ちゃんとやらせてもらう」

 

 エリナを追って階段を上るとそこには一階とは打って変わって狭苦しい二階の姿があった。

 間取り的に狭いとかそういうワケではない。

 むしろ広い。

 けれどそこを大量の本や紙の束が埋め尽くしていたのである。

 物凄い光景に驚きつつこれが本題ではないということに僅かながら恐怖した。

 と同時に、不意に立ち込めた異臭に眉を顰める。

 少し鼻を刺激する悪臭。

 腐敗臭。

 生ごみの臭いだ。

 

「いやぁ、研究に熱中するあまり家を散らかしてしまうのが私の悪いところなんだよね」

「この部屋だけゴミ屋敷じゃねえか!?」

 

 扉を開けるとそこには廊下が比べ物にならないほど荒れた部屋があった。

 陽の光が入らないようにと改造した窓の所為で光はほんの僅かな魔石灯から出るモノのみ。

 積んだ本の中から調べたい本を抜き出したら崩れ、そのまま放置したとはっきりわかる荒れた本と思考を書き殴った紙の数々はこの部屋だけ嵐が起きたのではないかと疑うほど。

 さらにはそこに食事の跡すら見える。

 けれどそれはほとんど干し肉など長期保存の可能な食糧のみ。

 前の世界で言えばカップ麺のゴミだけが散乱しているような食事の痕跡。

 

「……すまん」

「の?」

 

 謝りながらも確かめずにはいられず、一切不純な感情なしに俺はエリナの白衣と服をめくる。

 するとそこにはマユゲ以上に貧相、というか明らかに栄養失調で肌の状態が悪化した痩せ細った姿があった。

 小柄で幼い容姿も相まって虐待を彷彿とさせる身体だ。

 

「飯を食え!」

「ぬっ?!」

「健全な精神は健全な肉体に宿る。鍛えろとは言わないが最低限健康を維持しないとロクに頭が働かんぞ! ちゃんと飯食って運動しろ!」

「いや、しかし……」

「健全な精神じゃないと研究が進まんぞ?」

「あいわかった」

 

 研究のためならすんなりと了承する現金な姿に思わずため息が出る。

 熱中できるって言うのはそれだけで充分凄いことだ。

 俺はエリナみたいな能動的熱中がなくて、ゲームみたいな受動的熱中しか持ってなかったから自分勝手は承知で口を挟んでしまった。

 自己嫌悪がヒドイ。

 けれどこれで良いと思う。

 今のを無視して放置したらもっと自己嫌悪がヒドかっただろうから。

 

「とりあえず依頼を先に終わらせるか……飯のゴミは普通に捨てるとして、紙はどうすんだ?」

「う~ん…………」

「じゃあとりあえず纏めるってことで」

 

 量は多いが種類が少ない分普通よりはかなり楽だろう。

 




 たとえ変な性癖だとしても日本人だからで説明がつくと思ってる作者です
 日本人はロリコンの血(昔の結婚年齢は一三歳くらいって話)ですし、作中世界の時代的にもぶっちゃけよっぽどじゃなきゃ異常性癖扱いされないっていう
 良い世界だなぁ(小並感)

 依頼書のハンコ:モンスターの素材や魔石などを配合したインクで見た目は普通
         ただしギルドの魔道具を使うと模様の一部が反応して光る
         加工した双子石で遠隔魔力供給を行っていて魔道具は盗んでも使えない
         ギルドの魔道具は分解したら内部が壊れるように設計されている
         製法を知っているのは一部の人間のみ
         インク・魔道具ともに工房は王城の敷地内にあるためセキュリティも高い
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