ワリとクズな主人公が行く! 異世界洗脳!! 作:名無しのクズ
ふぃぃぃ、二人部屋にしたおかげで交渉が楽だったな。
お陰で一週間しか泊まれないのが一週間と三日に伸びた。
ヤッタネ。
「んじゃ、俺はギルド行ってくるから。好きにしてていいけど『今後どうするかちゃんと考えておいてね』」
「は、はい」
ん~、暑いからマント開けてたけど流石にちょっと目立つな。
しゃーない、暑いの我慢してマント着けるか。
今後開拓兵をするならこういう我慢は必要だろうし、ブーツの蒸れにも慣れなきゃいけないし。
「なあオバちゃん、ギルドって向こうで合ってる?」
「ん? ああ、そうだよ。ここからもちょっと見えるだろう? あの赤い屋根の大きな建物がギルドさ」
「そっか。ついでにその串焼きくれ、一本」
「あいよ」
なるほど、アレか。
大体の位置と掛かってる看板くらいしか教えてもらえなかったから聞いてよかったな。
……うん、串焼き美味い。
「緑っぽい木材だな……塗料か?」
普通にそういう木かも。
……てか中からイヤな声が聞こえんなぁ。
絡まれたらメンドイし、こっそり行こーっと。
「開拓兵登録ね。あと適当に一人で行けそうな簡単な依頼見せて」
「わかりました。ではこちらに魔力を流してください」
「はいはい」
おお、触るだけでなんか変な感じ。
全身からほんのちょっとエネルギーを奪われるみたいでムズムズするな。
クセになりそう。(ソフトM)
「登録完了です。それと先ほどおっしゃった条件に当てはまる依頼はこちらです」
えーっと?
『薬草の採取(類似の毒草に注意)』『どぶさらい』『ゴブリン討伐』『荷物運搬』『揚重作業』
おーん、面倒臭そう。
まあ、色々試したいし街の外の依頼が良いよな。
となると薬草かゴブリン。
……。
「ちなみに依頼の期限ってある? あ、薬草採取とゴブリンのやつね」
「いえ、どちらも常駐依頼。つまり薬草はどれだけあっても良いですし、倒せるのならゴブリンもいくらでも倒していいので特に制限がありません」
「常駐依頼ってそういう感じなのか」
「はい」
まあ、要するに
自分のペースで経験値を稼げるし、期限がないなら違約金的なのもないだろうからいくらでも失敗できる。
んじゃこれで良いか。
「オーケー、んじゃ薬草採取とゴブリン退治にする。薬草のサンプルとか絵とかってどんなん?」
「特徴はこちらに書いてあります」
「お、用意が良い。あんがとね~」
いくらあっても良い薬草なだけあって特徴とか見分け方とか採取方法を書いた紙は事前に準備されてるんだな。
場所は……ゴブリンが出る森に近いのも考えて北の方にすっか。
「ま、先にゴブリンの方やるか」
確かドロップアイテムは出ずに魔石だけだったな。
魔石を提出したら討伐判定になる、と。
「にしても……緑臭いな」
むせそうなほど濃い緑の臭い。
嫌いではないんだけど何事も過ぎれば毒って言うように濃すぎてイヤになる。
お?
ゴブリン発見。
へいへーい、こっちにカモ―ン。
『ゴアァアアアアッ』
「うわッ、汚い声だなぁ。不細工だし」
流石辞書で『醜い妖精』って書かれるだけはある。
ビックリするほど不細工だ。
ラノベみたいにカワイイゴブリンはいないのか!?
「とりあえず……『止まれ』」
安全のため最低限の距離を取りつつ声が聞こえる距離まで引きつけ、指を鳴らすとともに命じる。
するとゴブリンは勢いよく停止し、その慣性で俺の少し手前に転んで倒れ伏した。
まあ、急停止だとそうなるか。
人間相手だともうちょい命令の仕方を変えた方が良いか?
「流石にそのままだと絵が残念な感じだし……『立て』」
ゴブリンは立ち上がりつつ持っていた棍棒を拾う。
そしてそのまま直立状態で棍棒を振りかぶった。
「ッ!? ……ま、『待て!』」
咄嗟にそう命令した。
するとギリギリのところで腕が停止する。
けれど振りかぶった棍棒をゴブリンの手からすっぽ抜け、勢いよく俺に向かって飛んできた。
「いっでぇッ!!」
アッブねえ!!?
ビビったッ、マジビビった!!
咄嗟に両腕を交差させてガードしなかったら頭に直撃していた。
人間、殴られたらワリと呆気なく死ぬ。
森でガチサバイバルしてるゴブリンにそれやられたら下手したら死ぬ。
とはいえステイタスが存在しているためどうなるかは不明だが。
「なるほど。こういう命令の仕方をすると命令の上書きで一個前の命令は消えるのか……」
なんというか……うん。
面倒だ。
「え~、じゃあ……[これから言う命令は永続だ]。今後一生俺に危害を加えるな、森の中でこういう薬草を見つけたら採取して毎朝ここまで持ってこい、仲間が死んでいるもしくは死んだ場合残った魔石を薬草と一緒に持ってこい」
うん、完璧じゃね?
不労所得ってヤツか?
他の開拓兵にこいつを殺されたら収入源がなくなるけど、まあそれはゴブリンをどんどん洗脳すれば良いよな。
そんなことを考えていたがゴブリンは微動だにしない。
まるで脳からなんの指示も出されていないかのように、ピクリともせずに立っている。
「……あ~、試しにやってみたけど。言語が通じない相手だと洗脳の能力発動させない状態だと意味が通じないのか。なるほどなるほど」
先に試しといてよかった。
こういう能力の弱点は早めに理解しておかないとダメだ。
それに俺の能力は【洗脳】。
他の奴にバレて弱点を突かれでもしたら殺されかねない。
状況をなんとなく把握した俺は今度は能力を使った状態で命令を下す。
するとさっきの『立て』という命令が解除されてゴブリンは去っていった。
「にしても……腕イテー。折れてはないだろうけどヤベー。これ以上頑張りたくないわぁ。帰ろ」
クズ主人公柊くんはボランティアに興味がない類の人間です
わざわざ自分の時間やら体力やら精神やらを削ってまで無償で施すのは「はぁ? なにそれバッカじゃねーの?」と鼻で笑います
ただメリットがあるなら人助けもする、そんな感じ
ちなみにワリとクズですがドクズではないです
ドクズだったら適当な奴らを片っ端から洗脳して金を搾取し、ひたすらニート生活をします
他にもドクズだったら躊躇なく洗脳ハーレムを築きます
今後の展開は作者もわかりませんが……広い心で見てください