ワリとクズな主人公が行く! 異世界洗脳!!   作:名無しのクズ

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 ゆっくりとではあるけれどUAが増えてきて嬉しい……
 一〇日で大体600の増加
 自分より話数が少なくて文字数も少ないけど人気のある作品を見ると自分の下手さが思い知らされて悲しいですが作者は今日も元気です(多分)


第三〇話 強い、なんてまだ言えたモンじゃないけど

「今日は助かった。本当にありがとう」

「気にすンな」

「そうですよ、この人に感謝なんて。それに私は何もしてませんし」

「いや、シャプルを頼ろうって思ったから答えに辿り着けるようになったワケで」

 

 それがなかったら答えに近いヒントを貰えなかったし、最終的にマユゲに頼らなかったかもしれないし頼ったとしてもかなり時間がかかったはずだ。

 

「だから、ありがとう」

「そういうことなら、どういたしましてです」

「マユゲも、マユゲのお陰で敵の場所に辿り着けたし借りたこの指輪がなければ死んでたかもしれない」

「アホ、そいつァくれてやったンだ。貸したンじゃねェ」

「そうなのか?」

「他人に対して所有権を移さなけりゃ好きに使え」

 

 こいつはどれだけ良くしてくれるんだろうか。

 色んなモノをくれて、色んな支援をしてくれて。

 

「ありがとうな」

「おォ」

 

 これからちゃんと返していかないと。

 

「それと……おかえりだ」

「ヒイラギさん、おかえりなさい」

「あ、ああ。ただいま」

 

 おかえり。

 おかえり、か。

 

「どォした?」

「どうかしましたか?」

「いや……その、なんだ。おかえり、なんて言われたことなかったからさ、嬉しくて。ここ俺の帰る場所なんだって、ここが俺の居場所なんだって、俺はちゃんと受け入れて貰えてるんだって」

 

 親が共働きで「おかえり」なんて言葉記憶がない。

 愛情を受けた記憶なんて絶無だ。

 きっと育児放棄(ネグレクト)の子どもからしたらちゃんと飯を食えてる時点で愛情を貰ってると思われるんだろうけど。

 それでも俺は親が子どもを育てるのは親としての当然の義務(・・)と思ってるからそれを愛情とは思わない。

 倫理的にも、生物的にも当然の義務。

 二人(おや)の身勝手で生まれた(こども)に対する当然の対価(ぎむ)

 義務はやって当然だからそこに称賛など生まれるワケがない。

 果たさなければ責められるが果たしたからと誇るのはおかしな話だ。

 生憎、脱税をして責められる政治家はニュースで見ても、納税をして称えられる政治家を俺はこれまでの人生で一度も見たことがない。

 だから俺は少なくとも物心ついてからは愛情を知らないし。

 だから二人の言葉が泣きそうなほど嬉しい。

 

「ヒイラギ、泣くンじゃねェよ」

「バッカ、まだ泣いてねーよ!」

「泣くって宣言してるじゃねーか」

「ヒイラギさん、私の胸を貸しましょうか?」

「え? 良いの? わぁい」

「ヤメロ、オレの前でいちゃつくんじゃねェ」

「じゃあマユゲの胸貸してくれる?」

 

 背のワリに胸が大きいから顔の埋め甲斐がありそうだ。

 

「…………仕方ねェなァ」

「え゙ッ」

「マジで? デジマ? やったぁッ!」

 

 まさかお許しがいただけるとは。

 これは脈あり?

 アリアリですか?

 ありおりはべり?

 

「さあその胸に!」

「ンなわけあっか!!」

「あべっ!?」

 

 ば、バリアァァァ……。

 

「いったぁい! 顔がァァァッ!?」

 

 バリアに顔面から突っ込んだ俺は盗賊に殴られたとき以上のダメージで床をのたうち回る。

 痛覚を軽減してないし精神的ダメージもあるから本当に辛い。

 

「……オイシャプル、何物騒なこと考えてやがる」

「うぇ?」

「いえいえ、別に何も考えてませんよ? ええ、考えてませんとも」

「嘘言うな、思いっきり殺意飛ばしてただろォが」

「怖ッ!? あい、サーセン! みっともないことしてすみませんでしたァッ!!」

 

 やっぱダメですよねぇ!?

 女の人の前でそういうことしちゃダメだよねぇッ!

 調子に乗りましたぁ!

 

「調子に乗った自覚はあンだな」

「まあ、そりゃもちろん。アホの自覚はあるし」

「あ、あの? 別にヒイラギさんには……」

「うっす、わかってます。変なこと言ってすみません」

「話を……」

「クハっ、笑えンなァ」

「……」

「おォ、怖ァ」

 

 シャプルってそんな顔も出来んのな。

 ニコニコしてる姿くらいしか見ないからちょっと意外。

 見て、精々困った顔だし。

 

「じゃあシャプルがまだいたってことはまだ話があるんだろうし、俺は帰るわ」

「そォか。……あ~、ちょっと待てヒイラギ」

「おん?」

 

 まだ何か言うことあった?

 それかまだ用事あった?

 ……もしかして今日のサンプル提供?

 

「いや、それは今日の夜で良い」

「そうか? なら何用?」

「一回服を脱げ」

「お? それは上半身? それとも下半身? それとも全裸?」

「パンツは残して良い」

「オケ」

 

 健康診断?

 ……そういえば前の世界から持ってきたパンツ、やっぱ激しく動き回ったりしてるせいかかなりボロくなったんだよなぁ。

 こっちのパンツは素材が違うせいでまだ微妙になれないし。

 それまで持ってくれよ、日本のパンツくん。

 

「そこそこちゃンとしてるじゃねェの」

「そうか? まあ元々暴飲暴食はしないタイプだったから痩せてたし、この世界に来てからちゃんと鍛えるようになったからある程度まともにはなったか」

「ただ偏りが気になンなァ」

「そうですね。全体の比率もそうですし、少し歪んでいますね」

「ちょっと試しに真っすぐ立ってみろ」

「お、おう」

 

 偏り?

 歪み?

 もしかして猫背だったからか?

 

「ン~、左に傾いてンな。普段片方でしか荷物持たねーだろ」

「正解!」

「じゃあ次は前屈」

「ほい」

「今度は後ろに反れ」

「はいはい」

「片足上げれるところまで上げろ」

「あいよ……くっ」

「身体(かて)ェな」

 

 サーセン。

 昔はだらだら過ごしてたからです。

 

「ちょっと触るぞ」

「冷てぇ……」

 

 マユゲの手が冷たいということを触られてから思い出した。

 冷たくて身震いしたくなるのを我慢してマユゲが腕や胸や腹や脚を触るのを無心で待つ。

 

「せっかく筋肉は良い感じに柔らけェのにもったいねェなァ」

「そうなのか?」

「まず全身が傾いてるから負担が大きくなる。まァまだ傾きが小さいのは良かったなァ」

「お、おう」

「ンで、全身の筋肉の量が歪だ。てめェ回数こなせるヤツばっかやってンだろ」

「そうだが……」

 

 腹筋はあまりできないけど腕立てはそこそこできるし。

 できる筋トレはできるだけやっといた方が良いだろうと思ったんだが。

 

「アホか、バランス悪く鍛えてもマトモな身体なンてできねェに決まってンだろォが。まだ成長の余地がある身体で何やってンだ。そんなことしたら筋肉の重量の負荷が変にかかって開拓兵向きの身体にならねェだろォがよ」

「そうなのか」

 

 けれど確かにそうかもしれない。

 荷物を変に持ったせいで骨格が若干歪んだワケだし、筋肉のつけ方が悪いと同じように歪むかもしれないし、足腰や関節が弱い状態で上半身に筋肉をつけ過ぎたら膝が負荷に耐え切れず膝を悪くする。

 

「とりあえずその腕立てとか腹筋は禁止な。それのお陰で基礎体力は着いたし、しばらくは戦いだけで身体を鍛えろ。走るのは構わねェがやりすぎはダメだからな」

「了解っ」

「あァ、それとこれだ」

「また指輪?」

 

 渡されたのは三つ目の指輪。

 土台の金属部分の意匠は同じで、今回のは白い石が填め込まれている。

 色は何かを意味しているのだろうか。

 

「特に意味はねェ」

「あ、そう……」

「それの効果は装着者の魔力を自動で消費して部位強化するシリーズの骨版だ」

「ほぉ」

「とりあえずそれで骨に掛かる負荷をしばらく軽減しろ。ンで、それと並行して姿勢の矯正と柔軟性の向上だァ」

 

 どうやら俺に長期休暇はないらしい。

 欲しいと思っていたワケでもないが努力という言葉から長い間離れてきたからだろうか、あまり頑張ろうと思えないのだ。

 マユゲがせっかく力を貸してくれるから頑張るけど。

 

「じゃ、服着ていいぜ」

「あいよ」

「そのまま帰って良いぞ」

「ほいほい。んじゃまた夜に」

 

 

 

 さて、どうしたものか。

 宿に戻るには早すぎるし依頼はもう疲れた。

 行く場所も目的もない。

 

「そぉいや盗賊の奴らスッゲー金持ってたなぁ。全部要求されたけど財布拾うのと同じ感じで一割か二割くらいくれりゃ良いのに……」

 

 恐らくだがあの様子ではそれはない。

 そもそも盗賊たちの持ち物はほぼ全てが盗品だろう。

 流石に盗まれたものを寄越せと言ってももらえないだろうし、そもそも後味が悪すぎていらない。

 ただ回収された盗品の行き先は気になる。

 持ち主が生きているのなら持ち主に返却されるだろうけれどもほとんどが殺されているワケだから盗品の大多数が所有権が誰にもないワケだ。

 とすると、まあ十中八九国が持っていくのだろう。

 まあそこには正直文句はない。

 落とし物ならともかく盗品なワケだからその所有権がなければ国の所有権となっても別にどうでもいい。

 一つあるとすれば、苦労して取り戻したんだから横領はされないでほしいということ。

 

「……そうだ、短剣ももうボロボロだし新しいの買いに行くか」

 

 盗品の中にあったいくつかの武具を思い出していたら短剣がボロボロなことを思い出した。

 これで時間を潰せる。

 

「鍛冶場街は確かすぐそこの第三地区~っと」

 

 とはいえ俺はロクに鍛冶屋の調査をしていない。

 だから俺はそんな状況でも耳にする程度には有名な“プロミネンス工房”に行くことにした。

 

「なんか良い感じの装備ある?」

「イイ感じって、オニーサン適当ッスネ」

 

 そこにいたのは褐色肌の少女。

 輝く赤銅色の短髪と小柄ながらもがっしりした体格。

 その体格が少女個人特有のモノではなく、種族特有のモノなのだとしたらまるで小人(ドワーフ)のようだ。

 

「ドワーフ、の店長?」

「惜しいッス。ドワーフは合ってますけど店長じゃないんスよネ。トーチャンが店長ッス」

 

 元気な少女は俺ににへっとした笑みを向けてくる。

 初対面でハッキリとわかる表裏のない性格。

 本心の笑顔に俺は少し警戒心を解いていた。




 ドワーフは語源的には単なる小柄な人間
 神話や民話、創作によって設定が様々でウジ虫が元だったり、醜い姿で短命で女がいなくて石から生まれたり、エルフと仲が悪く酒が大好きだったり
 作品によっては精霊やそれに類する種族となっている場合がありますがこの世界では沢山いる人間種族の中の一種族です

 小人(ドワーフ):この時代では小柄な人間を総称している
    のちに剛小人(ドワーフ)敏小人(ミゼット)に分化
    この時代の小人(ドワーフ)は力強さと素早さを併せ持ち、それぞれに特化していった姿がのちの分化した二種族である
    男は髭が伸びるのが早いが職人の場合は作業の邪魔になるため多くが剃っている
    女は子どもを授かると魔力の回復速度が著しく向上する
    その理由は母体の魔力で胎児が成長するからであり、妊娠期間は六ヶ月ほど 
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